1. 企業情報
株式会社ニチリョクは、日本において霊園や納骨堂の受託開発・販売、および葬祭事業を展開する企業です。具体的には、一般墓や樹木葬などの屋外墓地、都市型の納骨堂の建設・販売・管理、そして葬儀の受託や関連ギフト・仏壇の販売を行っています。近年は葬祭事業への重点シフトと終活セミナーの開催にも注力しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は霊園や納骨堂の受託開発・販売において業界大手の位置付けにあります。しかし、提供された情報からは具体的な市場シェアは不明です。
業界全体としては、高齢化の進展に伴い、埋葬に対する価値観が多様化しており、樹木葬や納骨堂といった新しい形態の需要が増加しています。一方で、「墓じまい」のニーズ増加や、葬儀の簡素化(一日葬など)による施行単価の低下という変化にも直面しています。都市部では駅近の納骨堂など利便性が競争要因となっており、同社は都市型納骨堂や付加価値サービス、本堂葬儀などで差別化を図る方針です。
3. 経営戦略と重点分野
同社は「第二の創業期」と位置付け、ライフコンサルティングからお墓・葬祭まで一貫して提供するビジネスモデルの再構築を経営戦略として掲げています。
中期経営計画における重点施策は以下の通りです。
– 都市型納骨堂の安定収益化: 第三者割当増資で取得した物件を中核に、短期的なキャッシュ創出を目指します。
– 販売戦略の改革とマーケティング投資の再設計: 広告の効率化や会員制度の再設計を通じて販売力を強化します。
– 財務の安定化: 増資による自己資本比率の改善を図り、フリーキャッシュフローの創出を目指します。
– ガバナンス強化: 意思決定および執行体制の見直しを行います。
2025年5月には増資を実施し、財務基盤の改善に着手していますが、各施策は実施途上の段階です。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、お墓事業(屋外墓地、納骨堂)と葬祭事業を柱としています。高齢化の進展により、お墓や葬儀の需要自体は継続すると考えられますが、市場ニーズの変化への適応力が重要となります。
具体的には、従来の墓地から樹木葬や納骨堂へのシフト、葬儀の低価格化・簡素化に対応し、付加価値の高いサービスを提供できるかが収益性を維持する鍵となります。都市型納骨堂を短期キャッシュ創出源と位置付ける戦略は、都市部のニーズを取り込むことを目指したものですが、来園者数や成約数の変動が収益に直結するリスクも抱えています。
5. 技術革新と主力製品
明確な技術革新に関する記述は少ないものの、都市型納骨堂におけるデジタルサイネージやデジタル家系樹などの付加価値サービスの導入が示されています。
主力製品・サービスは、屋外墓地、納骨堂、葬祭サービスです。特に葬祭事業は売上構成比の約60%を占め、セグメント別では利益貢献がありますが、全社費用計上により会社全体では営業損失となっています。
6. 株価の評価
現在の株価124.0円、会社予想PER17.01倍、実績PBR0.47倍です。
業界平均PERが21.1倍、業界平均PBRが1.3倍であることと比較すると、PER、PBRともに業界平均より低い水準にあり、割安と評価される可能性があります。しかし、直近の損益計算書においては過去12ヶ月および2026年3月期第1四半期で純損失を計上しており、EPSもマイナスです(LTM EPS: -16.92円)。会社予想EPS 7.29円に基づいたPERは割安に見えますが、この予想が達成されるかどうかが重要な焦点となります。過去の利益実績から直近の赤字転落、そして今後の業績回復への不確実性があるため、EPS予想の信頼性には注意が必要です。
7. テクニカル分析
現在の株価124.0円は、年初来安値110円に近く、年初来高値173円からは大きく下落した水準にあります。
直近10日間の株価推移は、123円から129円の範囲で推移しており、横ばいからやや軟調な動きです。50日移動平均線127.26円、200日移動平均線127.82円を下回っており、短期および中期のトレンドは下降傾向を示唆しています。株価は高値圏ではなく、安値圏に近い水準にあると見られます。出来高は直近で減少傾向にあり、投資家の関心は一時的に低い可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上: Total Revenueは2023年3月期をピークに減少傾向にあり、過去12ヶ月では2,242百万円、2026年3月期第1四半期では483百万円(前年同期比-12.8%)と減少が続いています。通期業績予想2,500百万円の達成には、今後の大幅な売上回復が必要です。
- 利益: 2024年3月期までは経常利益・純利益ともに黒字でしたが、過去12ヶ月では営業損失 -98百万円、純損失 -271百万円と赤字に転落しています。2026年3月期第1四半期も営業損失 -99百万円、経常損失 -112百万円、純損失 -114百万円と赤字が続いており、収益性の悪化が顕著です。営業利益率は過去12ヶ月で-10.40%、第1四半期で-20.5%と低水準です。
- キャッシュフロー: Operating Cash Flow(過去12ヶ月)は417百万円のプラスですが、Levered Free Cash Flow(過去12ヶ月)は-210百万円とマイナスです。現金及び預金は2025年3月末の107百万円から2025年6月末には79百万円へ減少しており、手元流動性の低さが課題として挙げられています。四半期キャッシュフロー計算書は作成されていません。
- ROE/ROA: Return on Equity(過去12ヶ月)は-10.45%、Return on Assets(過去12ヶ月)は1.26%といずれも低い水準にあります。直近の赤字転落が影響しています。
- 自己資本比率: 2025年6月末には61.5%と高い水準を維持しています。これは2025年5月の第三者割当増資も影響していると考えられます。
- 流動比率: 2025年6月末で1.03と、短期的な財政健全性を示す流動比率は1倍をわずかに上回る程度で、手元流動性の低さが懸念されます。短期借入金および1年内返済予定の長期借入金が大きい状況です。
- D/E Ratio (Debt/Equity): 2025年6月末で152.32%と、総負債が自己資本の1.5倍以上あり、負債比率は高い水準です。
9. 株主還元と配当方針
同社の配当利回り(会社予想)は0.00%であり、2025年3月期の実績および2026年3月期の予想ともに配当は0.00円です。直近の業績が悪化し、純損失を計上していることから、会社は株主への配当を見送る方針です。自社株買いなどの具体的な株主還元策に関する記述は提供情報にありません。過去の「Trailing Annual Dividend Yield 3: 12.10%」は、過去の特段の配当実績に基づくものと思われますが、現在の会社予想とは大きく乖離しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は123円から129円の範囲で推移し、横ばいからやや下落の勢いが見られます。出来高は1万株から6万株程度で推移しており、活発な取引とは言えません。
信用買残が1,212,200株と発行済株式数(17,393,505株)に対して比較的多く、信用売残は0株であるため、信用倍率は0.00倍となっています(買残のみ存在するため、実質的に信用買いのポジションが多い状況)。これは、将来の株価上昇を期待する買い方が多いことを示唆する一方、将来的な手仕舞い売りにつながる可能性も孕みます。
筆頭株主はバリューアップ・ファンド投資事業有限責任組合(保有割合43.81%)であり、ファンドが資本政策に一定の影響力を持っていると考えられます。
11. 総評
ニチリョクは、霊園・納骨堂と葬祭事業を主軸とする企業で、高齢化社会における需要に応えるビジネスを展開しています。しかし、近年は市場ニーズの多様化や低価格化により、売上が減少し、直近では赤字に転落するなど、収益性に課題を抱えています。経営陣は「第二の創業期」と位置付け、都市型納骨堂の安定収益化、販売戦略改革、財務安定化、ガバナンス強化といった施策を進めています。2025年5月の第三者割当増資により財務基盤の改善を図り、一時的に継続企業の前提に関する重要な疑義は解消されたと会社は判断しています。
株価は年初来安値圏にあり、PER、PBRは業界平均よりも割安に見えます。しかし、これは直近の赤字と、会社予想EPSの達成に対する不確実性を考慮する必要があります。流動比率の低さや負債比率の高さなど、財務健全性にも注意が必要です。今後の業績は、中期経営計画で掲げた施策がどれだけ迅速かつ効果的に実行され、特に都市型納骨堂事業や葬祭事業における収益改善が見られるかにかかっています。第1四半期の赤字を考えると、通期業績予想の達成には強い回復が必要であり、その進捗が今後の投資家関心を左右するでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: D (LTM売上高は前年比で減少傾向にあり、過去数年の売上も減少傾向。直近の四半期売上も前年同期比で減少しています。)
- 収益性: D (過去12ヶ月および直近四半期で営業損失・純損失を計上しており、営業利益率も大幅なマイナスです。収益性の悪化が顕著です。)
- 財務健全性: C (自己資本比率61.5%は高い水準ですが、流動比率1.03と手元流動性が低く、Total Debt/Equityも152.32%と負債比率が高い点が懸念されます。増資による改善は見られますが、依然として課題があります。)
- 株価バリュエーション: B (PER 17.01倍、PBR 0.47倍は業界平均と比較して割安水準ですが、直近の赤字計上と会社予想EPSの不確実性を考慮すると、単純に割安と判断することは難しく、中立的な評価とします。)
企業情報
| 銘柄コード | 7578 |
| 企業名 | ニチリョク |
| URL | http://www.nichiryoku.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
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