セルシス(3663)企業分析レポート

株価:1,642円(2025-10-31終値)
市場:東証プライム/情報・通信業
主力:CLIP STUDIO PAINT(イラスト・マンガ・アニメ制作向けアプリ、SaaSへの移行進展)

1. 企業情報

  • 概要:クリエイター向け制作ソフト・プラットフォームを開発・提供。主力の「CLIP STUDIO PAINT(CSP)」は世界的に利用が拡大。サブスクリプション(定額)モデルへの移行を推進。コンテンツ流通基盤(DC3、Hive)やビューア(Clip Studio Reader)、制作支援ハード(Tabmate)も展開。
  • 事業再編:2025年1月より開示区分を単体へ変更(子会社&DC3を吸収合併)。内部運営は「クリエイターサポート(CSP等)」「クリエイタープラットフォーム(DC3等)」の2分野だが、会計上は単一セグメント。
  • 海外売上比率:63%(2024年)とグローバル比重が高い。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション:イラスト・マンガ・アニメのデジタル制作ニッチで強い存在感。ブラシ表現、コマ割、Webtoon対応など専門機能に優位性。Wacom等デバイスとの親和性も高い。
  • 競合:Adobe(Photoshop/Illustrator/Fresco)、Procreate、Corel、MediBang、Kritaなど。総合系やモバイル強者、無料・OSSも含め競合は多様。
  • 課題:
    • サブスク移行の継続率管理(2025/6の月次チャーン5.0%と開示。定義・季節性に留意)
    • 生成AIとの競合・補完の設計(ワークフロー内での価値提供の深化が必要)
    • プラットフォーム分野(DC3等)の収益化加速
  • 市場:クリエイターエコノミー拡大で創作ツール需要は堅調。モバイル・Webtoon・グローバル対応が伸長ドライバー。

3. 経営戦略と重点分野

  • 中計(2025–2027):ビジョン「クリエイションで夢中を広げよう」。KPIに期間中ROE30%以上を掲げ、CSPの収益強化とクリエイタープラットフォームの柱化を推進。
  • 重点施策:
    • CSPの継続的アップデート(2025/3にVer.4.0)とサブスク移行促進・多言語/地域展開・デバイスバンドル
    • プラットフォーム新規開発(2026年サービス開始目標、2025/7開発着手)
    • グローバル決済強化(英国子会社設立)
    • 資本政策:自己株式取得の継続・配当増(2025年通期配36円予想)
  • 進捗指標(2025/6):CSP累計出荷5,259万本、ARR483億円(前年比+30.2%)と拡大。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:ソフトのサブスク収益+パーペチュアル/アップグレード、加えて配信/ビューア等のプラットフォーム収益。ARRの伸長で収益の視認性が改善。
  • 適応力:
    • 高頻度アップデートとユーザー基盤の厚みで機能進化を反映しやすい
    • モバイル/タブレット、Webtoon市場など成長領域に対応
  • リスク:チャーンの管理、競争激化、ストア手数料/為替、投資有価証券評価損などの非業務要因。プラットフォーム新規開発のROI実現。

5. 技術革新と主力製品

  • 主力:CLIP STUDIO PAINT(イラスト・マンガ・アニメ制作)。Ver.4.0で表現力・UI/ワークフロー改善。コミック/Webtoon機能が強み。
  • プラットフォーム:DC3(コンテンツ配信基盤)、Hive(コンテンツプレイヤー)、Clip Studio Reader(各種コンテンツ閲覧)。エコシステム拡張を志向。
  • 独自性:専門特化機能と使い勝手、周辺コミュニティ/素材文化、ハード連携に強み。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 現在株価:1,642円
  • EPS(会社予想):56.95円 → PER約28.8倍(業界平均PER約23.2倍よりプレミアム)
  • BPS(実績):179.78円 → PBR約9.13倍(業界平均PBR約2.3倍より高位)
  • EV/S(試算):時価総額約595.6億円 − 現金約55億円 ≒ EV約541億円、売上(LTM)88.8億円 → 約6.1倍
  • 配当利回り(予想):2.19%(5年平均1.06%を上回る水準)
  • 所見:成長性・高収益体質を織り込んだプレミアム評価。資本効率(ROE)改善の進捗とプラットフォーム収益化が評価継続の鍵。

※ EVは有利子負債情報が未開示のため概算。

7. テクニカル分析

  • トレンド位置:株価は50日移動平均(1,765円)を下回り、200日移動平均(1,489円)は上回る。中期は調整、長期は上向き基調。
  • 価格帯:年初来高値1,964円から約−16%、安値999円からは大幅反発後の調整局面。
  • 需給:信用買残81.9万株、信用倍率40.3倍と買い残偏重。短期は需給の影響に留意。出来高は3カ月平均(約18.1万株)並み〜やや減。
  • 価格レンジ:直近10日で1,610〜1,750円のレンジ推移が中心。

8. 財務諸表分析

  • 成長:
    • 売上(LTM):88.8億円、四半期売上成長(前年比):+16.7%
    • 2025年通期予想:売上90.8億円(前年比+10.7%)、上期進捗52.2%
  • 収益性:
    • 粗利率:約60.1%
    • 営業利益率(LTM/上期):約32.4%
    • 当期純利益率(LTM):14.9%
    • ROE(LTM):22.7%、ROA(LTM):19.1%
  • 安定性・流動性:
    • 自己資本比率:63.4%(2025/6単体:65.3%)
    • 流動比率:2.82倍、現金同等物:約55億円
  • 特記事項:
    • 投資有価証券評価損(特損)4.8億円計上により中間純利益は抑制
    • 会計開示が連結→単体へ変更され比較性に留意
  • セグメント構成(上期売上):
    • クリエイターサポート:約85.3%
    • クリエイタープラットフォーム:約14.7%

9. 株主還元と配当方針

  • 配当:2025年通期36円(中間22円に記念配10円含む、期末14円予想)
  • 配当性向:概ね55%(開示ベース)
  • 自社株買い:2025/8/12–10/31に上限50万株・5億円を決議。過去累計で約50億円規模を実施。自己株式は約15.9%保有。
  • 流通株式:発行済3,627万株のうち自己株・関係者保有が厚く、フリーフロートは約2,250万株(参考値)。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 52週騰落:+35.9%と中長期で強含み。
  • 直近:50日線割れで戻り待ちの展開。信用買い残の整理進捗(前週比▲7.5万株)は需給改善要因。
  • 近接イベント:配当権利落ち日(2025/12/29)を控える。中計進捗・新プラットフォーム開発の開示が関心材料。

11. 総評

  • 強み:CSPを核にサブスクARRが堅調(+30%成長)、高い営業利益率と健全な財務で投資余力あり。グローバル展開と機能特化でニッチの強みが明確。
  • 課題:評価損等の非業務損益の変動、チャーン管理、競争激化、プラットフォーム分野の収益化確度。会計区分変更に伴う対前年比較の難しさ。
  • バリュエーション:業界平均に対しプレミアム。今後はROE30%目標の進捗、ARR拡大の持続性、プラットフォームのマネタイズが評価の変動要因。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:A

根拠:LTM売上成長+16.7%、ARR+30.2%。中計下で2桁成長を維持。
– 収益性:S

根拠:粗利率約60%、営業利益率約32%と高水準。
– 財務健全性:S

根拠:自己資本比率63%超、流動比率2.8倍、現金潤沢。
– 株価バリュエーション:C

根拠:PER約28.8倍・PBR約9.1倍・EV/S約6.1倍と業界平均比で割高圏。
参考データ
– 株価レンジ:年初来高値1,964円/安値999円
– 時価総額:約596億円、発行済株式数:36,271,180株(自己株式約15.9%)
– 2025年通期予想:売上90.8億円、営業利益25.6億円、純利益17.4億円、EPS約56.5円
– ベータ(5年):0.94(市場連動性は限定的)


企業情報

銘柄コード 3663
企業名 セルシス
URL https://www.celsys.com/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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