川崎汽船(9107)企業分析レポート

株価: 2,213円(2025-10-31終値)
市場: 東証プライム / 海運業
時価総額: 約1.41兆円

1. 企業情報

  • 概要: 1919年創業の総合海運。ドライバルク(鉄鉱石・石炭・穀物等)、エネルギー資源(LNG・LPG・原油/製品)、製品物流(自動車船・港湾/物流・近海/内航)が主力。2018年にコンテナ船事業はONE(Ocean Network Express)へ事業統合し、持分法適用会社として収益に寄与。オフショア・エネルギー開発関連や倉庫・ターミナル運営も展開。
  • 事業構成(2026/3期1Q、外部売上):
    • 製品物流 約61%(自動車船・物流等が主力の利益源)
    • ドライバルク 約28%
    • エネルギー資源 約10%
    • その他 約1%
  • 特徴: 自動車船とLNG等の中長期傭船による安定収益と、市況連動のドライバルクを組み合わせるポートフォリオ。為替・燃料・運賃市況・持分法適用会社(ONE)の業績に収益が影響を受けやすい。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション: 日本の海運大手3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)の一角。自動車船とエネルギー輸送で強み。コンテナはONEを通じて関与。
  • 競争優位性:
    • 中長期傭船契約や自動車船の運行ノウハウにより一定の収益安定性。
    • 物流・港湾事業を含むバリューチェーンの広さ。
  • 課題:
    • ドライバルク/コンテナの市況変動、為替・燃料価格の影響。
    • ONEなど持分法利益の振れ幅。
    • 地政学リスクや各国の通商政策の不確実性。

3. 経営戦略と重点分野

  • 方針(会社開示の要旨):
    • 運航効率の改善、コスト削減、中長期契約の積み上げで安定収益を拡充。
    • 財務健全性と資本効率を両立しつつ、必要投資と株主還元(自己株式取得含む)を実施。
  • 重点分野:
    • 自動車船・LNG等の安定分野の拡大。
    • 港湾・物流の取扱拡大と付加価値サービス強化。
    • エネルギー転換対応(燃費・排出削減技術導入、船隊更新・最適化)。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル: 市況連動(ドライバルク等)と中長期契約(LNG・自動車船の一部)を組み合わせた分散型。ONEの業績は持分法利益として反映。
  • 適応力:
    • 中長期傭船の比率を高めることでボラティリティに対応。
    • 運航最適化・デジタル化・省エネ投資によりコスト競争力を追求。
    • 規制強化(環境対応)への投資継続。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の方向性: 省エネ・低炭素燃料対応(例: LNG燃料対応船など)、運航最適化・デジタルソリューションの活用。
  • 主力領域:
    • 自動車船(世界的な車両輸送需要に連動)
    • LNG等のエネルギー輸送(中長期契約で安定貢献)
    • 物流/港湾・近海内航(取扱増で底上げ)

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • PER(会社予想EPS 182.03円ベース): 約12.16倍
    • 業界平均PER: 7.8倍 → 業界平均比では高い水準
  • PBR(実績BPS 2,557.62円): 約0.87倍
    • 業界平均PBR: 0.8倍 → やや上回る水準
  • EV/Sales(概算): EV ≒ 1.36兆円、売上高LTM ≒ 1.05兆円 → 約1.30倍
  • 益回り(予想): 約8.2%(=1/PER)
  • 参考: LTM EPSが高い時期の実績配当100円に対するトレーリング配当性向は約22%だが、足元の会社予想(EPS 182.03円・配当120円)ベースの前向き配当性向は約66%と上昇。

7. テクニカル分析

  • トレンド: 終値2,213円は50日移動平均2,206円、200日移動平均2,096円を上回る。
  • 52週レンジ: 1,571.5円〜2,362円。現在値はレンジ上限に近いゾーン(約81%位置)。
  • 直近10日: 2,120円台から2,200円台へジリ高。出来高は3カ月平均(約489万株)をやや下回る日が多い。
  • 信用動向: 信用倍率2.85倍。買い残・売り残ともに前週比減少でポジション整理の動き。

8. 財務諸表分析

  • 売上高(LTM): 約1.05兆円(前年約9.6千億円)で前年比+約9.4%。
  • 収益性:
    • 2026/3期1Q 営業利益率 ≒ 8.1%
    • LTM 営業利益率(参考データ): 約8.1%
    • LTM 純利益率(参考): 約25.6%(持分法利益・為替等の影響を含む)
  • ROE/ROA:
    • ROE(実績): 18.85%
    • ROA(LTM): 2.66%
  • キャッシュ/負債:
    • 現金等 約3,390億円、有利子負債 約2,862億円 → ネットキャッシュ約+529億円(概算)
    • 自己資本比率 74.6%、流動比率 253% と健全。
  • トレンド:
    • 2023/3期にコンテナ市況好調で利益が大きく伸長、その後は調整。
    • 2026/3期1Qは売上-8.5%、純利益-58.7%(持分法利益の減少・為替差損)と減益。製品物流は堅調だが、ドライバルクが赤字転落。

9. 株主還元と配当方針

  • 2026/3期 会社予想配当: 年間120円(中間60円・期末60円)
    • 予想配当利回り: 約5.42%
    • 予想配当性向: 約66%(EPS予想182.03円ベース)
  • 方針: 基礎配当40円に追加配当80円の枠組みを公表。資本効率と財務健全性の両立の下、自己株式取得を含む株主還元を機動的に実施する方針(会社説明資料)。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム: 直近は上昇基調を維持。年初来高値(2,362円)まで約6%。
  • 52週騰落: +4.44%(参考ベンチマークとの比較数値は異市場のため参考程度)
  • 投資家構成: 機関投資家保有比率が高め(約68%)。
  • 主な価格要因:
    • ONEの業績動向(持分法利益)
    • 自動車輸送需要・運賃、ドライバルク市況、燃料価格
    • 為替(USD/JPY)と地政学・通商政策(関税等)
    • 次回決算予定(2025/11/5)と配当・還元方針の運用

11. 総評

  • 事業: 自動車船・LNG等の安定領域が収益を下支え。コンテナは持分法経由、ドライバルクは市況影響が大きい。
  • 業績: LTM売上は増加も、直近期は持分法利益減・為替差損で減益。営業面は8%台のマージンを維持。
  • 財務: 自己資本比率が高くネットキャッシュ。財務健全性は高水準。
  • バリュエーション: PER・PBRともに業界平均比でやや高め。PBRは1倍未満。
  • テクニカル: 50日・200日線上、レンジ上限寄り。短期はじり高基調。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性: A
    • 根拠: LTM売上成長率 約+9.4%、3年CAGRもプラス。直近四半期は減収だがLTM基準で評価。
  • 収益性: A
    • 根拠: 営業利益率約8%台、ROE高位。持分法等の影響はあるが、営業面の採算は良好。
  • 財務健全性: S
    • 根拠: 自己資本比率約75%、流動比率約253%、D/E約17%かつネットキャッシュ。
  • 株価バリュエーション: C
    • 根拠: PER・PBRが業界平均を上回る水準。EV/Sは約1.3倍(参考)。

参考データ抜粋
– EPS(会社予想): 182.03円 / BPS(実績): 2,557.62円
– ROE(実績): 18.85% / 自己資本比率: 74.6%
– 配当(会社予想): 年120円(利回り約5.42%)
– 2026/3期1Q: 売上高2,449億円、営業利益198億円、純利益299億円(いずれも前年同期比減)

不明点は会社IR/決算資料をご確認ください。


企業情報

銘柄コード 9107
企業名 川崎汽船
URL http://www.kline.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 運輸・物流 – 海運業

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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