日揮ホールディングス(1963)企業分析レポート
株価(終値):1,562.5円(2025-10-31)
1. 企業情報
- 概要:総合エンジニアリングの国内首位。海外含め石油・石油精製・石化・ガス・LNG・クリーンエネルギー・ヘルスケア等の大型プラントでEPC(設計・調達・建設・試運転)を提供。機能材製造(触媒、ナノ粒子技術、電子材料、高機能セラミックス等)も展開。
- 事業構成(売上・利益寄与の概観)
- 総合エンジニアリング:約93%(利益率は案件・時期で変動)
- 機能材製造:約6%(相対的に高い収益性)
- その他:約1%
- 地域:海外売上比率 約75%(中東・東南アジア・北米などが主要)
- 特徴:LNG・石化に強み。エネルギートランジション(再エネ、水素・アンモニア、CCUS等)やヘルスケア分野へ展開。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内EPCの最大手。海外では欧米・中東・アジアの大手EPC(Bechtel、Technip、Saipem、Hyundai等)と競合。
- 競争優位性
- LNG・中東案件の豊富な実績とプロジェクト管理力
- 機能材製造を含むポートフォリオの多様化
- 強固な財務(実質ネットキャッシュ)による受注・保証能力
- 課題
- 一括請負(LSTK)型の工事損失リスク、為替・資材価格変動
- 受注残の減少(1,412,852→1,246,115、前期末比▲11.8%)による将来売上の変動可能性
- 地政学リスク・規制変更の影響
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方向性
- エネルギートランジションを収益機会に、LNGの既存強みを核に水素・アンモニア、CCUS、再エネ、ヘルスケアを拡大
- 高付加価値の上流工程(FEED、コンサル)やO&M等のリカーリング型の比率を高め収益変動を緩和
- 重点施策(公表情報・短信要旨に基づく)
- 案件選別とリスク管理の厳格化(契約条件・為替ヘッジ・原価管理)
- 機能材製造の収益性強化と用途拡大(触媒・電子材料・次世代エネルギー領域)
- デジタルエンジニアリングやモジュール工法等の生産性向上
- 通期計画(2026/3期 会社計画)
- 売上高 6,900億円(前期比▲19.6%)、営業利益 210億円、経常利益 220億円、親会社純利益 150億円(EPS 62.08円)
4. 事業モデルの持続可能性
- EPCは長期・大型案件で受注段階〜引渡までの期間が長く、収益は進捗に依存。受注残1.25兆円は可視性に寄与(会社計画売上の約1.8倍相当)。
- 案件ミックス・コスト環境・為替の影響を受けやすく、利益率は周期的に振れる傾向。
- 機能材製造は相対的に安定・高採算で、ポートフォリオ分散と収益平準化に貢献。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- LNG・石化プラントの設計・プロジェクトマネジメント力
- 触媒・ナノ粒子・高機能セラミックスなど機能材の材料技術
- 収益ドライバー
- 総合エンジニアリング(LNG、精製・石化、クリーンエネルギー、ヘルスケア)
- 機能材製造(当期のセグメント利益率は相対的に高水準)
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:1,562.5円
- 予想EPS:62.07円 → 予想PER:約25.2倍(業界平均 14.0倍)
- 実績BPS:1,571.38円 → PBR:約1.00倍(業界平均 1.1倍)
- 予想配当:40円 → 予想配当利回り:約2.56%(5年平均 1.93%)
- EV/Sales(LTM概算):EV ≒ 4,059億 + 344億 − 3,027億 = 約1,376億円、売上 ≒ 8,437億円 → 約0.16倍
- 諸指標の示唆
- PERは業界平均比で高め、PBRは同程度〜やや低め、EV/Sは低位(豊富な手元資金による)。
7. テクニカル分析
- トレンド:株価は50日線(約1,483円)、200日線(約1,286円)を上回り、中期的には上昇トレンド。
- 位置:52週高値1,685円に対し約7%下、52週レンジ(940.6–1,685)の上半分に位置。
- モメンタム・需給
- 直近10日で急伸後に反落・持ち合い気味(1,545–1,585円のレンジ)
- 信用倍率 7.57倍、信用買残の増加は短期的にボラティリティ要因。
- 出来高は10日平均が3か月平均を上回り、投資家関心は高い水準。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益
- 通期推移:22/3期 4,284億 → 23/3期 6,069億 → 24/3期 8,326億 → 25/3期(LTM)8,580億前後と拡大傾向。26/3期は会社計画で減収見込み(案件進捗の反動)。
- LTMの粗利率は約2〜3%と低水準、営業損益は期により振れが大きい。25/6月期1Qの営業利益率は約4.2%。
- 収益性
- LTM純利益は赤字域(わずかにマイナス)。ROEはゼロ近傍〜小幅マイナス。
- 営業外収支は金利収入・為替差損益の影響が大きい(1Qは為替差損で経常減益)。
- キャッシュフロー・財政状態
- 現金等 3,027億円、借入金 344億円でネットキャッシュ基調。流動比率 1.65倍、自己資本比率 51.4%(1Q末)。
- 受注残
- 受注残 1.25兆円(前期末から減少)。大型案件の有無で将来売上の変動可能性。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:期末一括 40円(予想)、配当利回り 約2.56%、予想配当性向 約49%。
- 自社株:自己株式比率 約6.9%(過去の取得実績が示唆される)。足元での新規自社株買いの公表は確認情報なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落率 約+19%と堅調。直近はイベント前(決算)を意識した売買増加。
- 10日平均出来高が3か月平均を上回り、短期関心は高い。信用買い優勢は上値の軽さと同時に反動リスクも内包。
- 近接イベント:11/11決算(UTC)予定は変動要因。
11. 総評
- 強み:LNG・中東でのEPC実績、堅固な財務(ネットキャッシュ)、多様な事業ポートフォリオ(機能材の収益性)。
- 留意点:受注残の減少と26/3期の減収計画、EPC固有の工事損失・為替・資材価格リスク。利益率は案件ミックスにより振れやすい。
- バリュエーション:PERは業界平均比で高め。PBRはほぼ1倍、EV/Sは低位で、手元資金の厚さが企業価値倍率を押し下げている構図。
- テクニカル:中期上昇トレンド内での持ち合い。信用需給の偏りに留意。
(注)本レポートは公開情報に基づく客観的整理であり、投資助言ではありません。
12. 企業スコア
- 成長性:B
- 根拠:過去数年は増収トレンド・LTMも概ね横ばい〜微増だが、会社計画は前期比減収見込み。
- 収益性:C
- 根拠:LTMでは粗利率低位・純利益は小幅赤字。1Qは改善も通期安定性は未確定。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率約50%台、流動比率1.65倍、実質ネットキャッシュ。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは業界平均超、PBRは同程度〜やや低め、EV/Sは低位。総合で中立。
企業情報
| 銘柄コード | 1963 |
| 企業名 | 日揮ホールディングス |
| URL | https://www.jgc.com/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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