1. 企業情報
エム・エイチ・グループは、美容室「モッズ・ヘア」の運営を主軸とする企業です。日本国内での直営サロン運営に加え、フランチャイズ方式であるBSサロン運営も手がけています。また、美容室の経営を支援する決済代行やPOSシステム提供などのサービス、ヘアメイクアーティストの派遣・マネジメント、アパレルなどと連携したキャリアデザイン事業を展開しており、多角的な事業構造を持っています。プライベートブランド(PB)商品の開発・販売も行っており、オンラインストアを通じて販売しています。主要株主に剣豪集団があり、中国や台湾、韓国など海外への店舗展開にも意欲を示しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は「モッズ・ヘア」という歴史あるブランドを核に事業を展開しています。このブランド力は、顧客集客や質の高い人材確保、フランチャイズ加盟店の拡大において競争優位性となりえます。直営サロン運営だけでなく、フランチャイズ支援、ヘアメイク事業、美容室支援、キャリアデザイン事業と多角的な事業を展開している点が特徴です。しかし、美容業界においては競合が多く、人材の流動性が高く確保が難しいこと、物価高騰によるコスト増が課題として挙げられています。市場シェアに関する具体的な数値は開示されていませんが、多角化とブランド力を背景に特定のニッチ市場でのポジションを確立していると考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
エム・エイチ・グループは、2024年7月〜2027年6月を「助走」、2027年7月〜2030年6月を「飛躍」と位置付けた中期経営計画(第36期~第38期)を公表しています。この計画では、以下の4点を重点分野としています。
* 人的資本への投資: 人材の確保と育成に注力し、社内制度の刷新を含め働きがいのある環境を整備します。
* 経営基盤の強化: 経営インフラの強化、情報セキュリティ対策、ガバナンス体制構築を目指します。
* DX化・GX化の推進: デジタル技術活用による業務効率化や顧客体験向上、環境に配慮した事業活動に取り組みます。
* 既存事業の効率化と新規収益柱の創出: 各事業セグメント(直営サロン、BSサロン、ヘアメイク、美容室支援、キャリアデザイン)の強みを活かしつつ、効率化を図り、新たな収益源となる事業の開拓を目指します。
2025年6月期は、上記の中期計画における基盤固めのためのブランディング投資や人材関連コストの先行発生が業績に影響を与えています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、直営サロン運営に加え、ブランドシェア型フランチャイズ、ヘアメイク、美容室支援、キャリアデザインといった多様な収益源を持っている点で持続可能性を追求しています。特に美容室支援事業では決済代行やPOSシステム提供、PB商品の開発・販売は、顧客のニーズ変化やデジタル化・DX化といった市場動向への適応力を高める要素となります。また、海外展開への意欲や、人材のプロフェッショナル集団としての強みは、変化の激しい美容業界での競争力を維持する上で重要です。しかし、直近の収益性の悪化は、事業モデルのコスト構造や市場環境への適応力に課題がある可能性を示唆しています。
5. 技術革新と主力製品
同社が提供する主力製品・サービスは、美容室「モッズ・ヘア」のサロン運営、自社開発のPB商品、ヘアメイクアーティストの派遣・マネジメント、美容室向けの決済代行やPOSシステムなどの支援サービスです。
技術革新に関しては、具体的な新技術開発の発表は見られませんが、中期経営計画にDX化の推進を掲げており、デジタル技術を活用した業務効率化や顧客体験向上への取り組みが期待されます。現状では、長年のブランド力と多角的なサービスポートフォアが強みとなっています。
6. 株価の評価
現在の株価223.0円は、以下の指標に基づくと、業界平均と比較して割高と評価できます。
* PER(株価収益率): 会社予想EPS 1.30円に対し、PERは171.54倍です。業界平均PERの15.0倍と比較すると、非常に高い水準にあります。これは、将来的な大幅な利益成長への期待が織り込まれているか、または現在の利益水準に対して株価が割高であることを示唆しています。
* PBR(株価純資産倍率): 実績BPS 43.65円に対し、PBRは5.11倍です。業界平均PBRの1.2倍と比較して、こちらも非常に高い水準にあります。これは、企業の純資産価値と比較して株価が過大評価されている可能性を示しています。
直近の2025年6月期は赤字(1株当たり当期純利益△1.52円)ですが、2026年6月期は黒字転換の予想であり、この予想EPSに基づいてもPERは市場平均から大きく乖離しています。
7. テクニカル分析
現在の株価223.0円は、年初来高値280円、年初来安値188円の範囲内で推移しています。直近10日間の株価推移を見ると、概ね215円から225円の狭い範囲で取引されており、大きな方向感は見られません。50日移動平均線(216.84円)と200日移動平均線(210.40円)を上回っているため、短期・中期的な上昇トレンドの兆候も見られますが、出来高は少なく、活発な取引が行われているとは言えません。全体としては、年初来高値圏からは離れており、安値圏でもない中間の水準にあると判断できますが、直近の出来高の少なさから、変動が緩やかである傾向が見られます。
8. 財務諸表分析
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売上高:
- 2021年6月期: 1,814,578千円
- 2022年6月期: 1,848,736千円
- 2023年6月期: 1,902,314千円
- 2024年6月期: 1,877,674千円
- 2025年6月期(実績): 1,844,060千円(前期比 △1.8%)
過去数年間は18億円台後半から19億円台で推移していましたが、直近の2025年6月期は前期比減収となりました。
* 利益:
* 営業利益: 2023年6月期に54,487千円の利益を計上しましたが、2024年6月期は23,151千円に減少。2025年6月期は△9,709千円の営業損失に転落しました。これは、ブランディング投資費用増や原材料・人件費高騰が影響しています。
* 経常利益: 2025年6月期は△7,091千円の経常損失となりました。
* 親会社株主に帰属する当期純利益: 2025年6月期は△17,621千円の純損失を計上しました(1株当たり当期純利益△1.52円)。これは、特別損失として減損損失を計上したことも影響しています。
* キャッシュフロー:
* 営業活動によるCF: 2025年6月期は29,377千円のプラスを維持しており、本業によるキャッシュ創出力は健在ですが、前期47,240千円からは減少しています。
* 投資活動によるCF: △10,892千円であり、投資を継続していることがわかります。
* 財務活動によるCF: △47,193千円であり、借入金の返済等によりキャッシュが流出しています。
* 期末現金及び現金同等物: 573,512千円で、前期から減少しています。
* ROE(自己資本利益率): 過去12ヶ月実績で-3.19%と赤字となっており、自己資本を効率的に活用できていない状況です。
* ROA(総資産利益率): 過去12ヶ月実績で-0.31%と赤字であり、総資産に対する収益性が低い状態です。
* 自己資本比率: 2025年6月期末で28.4%であり、前期の30.2%からさらに低下しています。一般的に40%以上が望ましいとされる水準を下回っています。
* 流動比率: 直近四半期で1.33倍であり、短期的な支払い能力は確保されていますが、より高い水準が望ましいでしょう。
* 有利子負債対自己資本比率(D/Eレシオ): 直近四半期で25.15%であり、有利子負債は自己資本に対して低い水準にあります。
全体として、売上高は横ばいから微減傾向、利益は直近で赤字に転落しており、収益性には課題が見られます。自己資本比率は低いものの、有利子負債は相対的に少ないため、即座の財務危機にはないと考えられます。
9. 株主還元と配当方針
- 配当: 2025年6月期の実績配当は年間0.50円(中間0.00円、期末0.50円)でした。配当総額は5百万円です。この実績に基づくと、配当利回り(会社予想)は0.22%です。
- 配当性向: 2025年6月期は純損失を計上したため配当性向は算出できませんが、2024年6月期実績では年間1.00円の配当に対し配当性向は90.9%でした。2026年6月期の年間配当予想も0.50円です。
- 自社株買い: 株主構成には「自社(自己株口)」として100,000株(保有割合0.86%)が記載されており、過去に自社株買いを実施した形跡がありますが、直近の具体的な自社株買い計画の発表は見受けられません。
同社は安定的な配当を維持しようとする姿勢が見られますが、直近の業績が赤字である点を考慮すると、配当の持続性には注意が必要です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は215円~225円の範囲で小動きであり、出来高も1,400株~32,500株と少なく、活発な取引は行われていません。信用取引状況を見ると、信用買残が149,600株あるものの、信用売残は0株であり、信用倍率も0.00倍となっています。これは、今後の株価上昇を期待して買っている投資家がいる一方で、空売りをする動きはほとんどないことを示唆しています。
投資家関心は現状では限定的であると考えられます。株価に影響を与える要因としては、中期経営計画の進捗、各事業の収益改善、原材料費や人件費の高騰といったコスト要因、そして美容業界全体の景況感が挙げられます。特に、直近の赤字からの早期の業績回復が投資家からの評価を改善するために重要となるでしょう。
11. 総評
エム・エイチ・グループは「モッズ・ヘア」ブランドを核に、直営サロン、フランチャイズ支援、ヘアメイク、美容室支援、キャリアデザインと多角的に事業を展開しています。中期経営計画では人的資本投資、DX・GX推進、既存事業効率化、新規事業創出を掲げ、将来的な成長を目指しています。
しかし、直近の2025年6月期決算では、ブランディング投資やコスト増の影響により、売上高は微減、営業利益・経常利益・純利益が赤字に転落しており、収益性に大きな課題を抱えています。財務面では、自己資本比率が低下傾向にあるものの、有利子負債が比較的少ない点はプラス要因です。株価は、現在の収益水準(特にPER・PBR)から見ると、業界平均と比較して非常に割高な水準にあり、将来の成長期待が先行している可能性があります。
今後の焦点は、中期経営計画を着実に実行し、赤字からの早期の業績回復と収益性の改善、そしてブランド力と多角的な事業からの安定したキャッシュフロー創出にあります。
12. 企業スコア
| 評価項目 | スコア | コメント |
|---|---|---|
| 成長性 | C | 直近の売上高は前期比△1.8%の減収(2025年6月期)。過去数年の売上もほぼ横ばいから微減傾向であり、明確な成長は見られません。 |
| 収益性 | D | 2025年6月期は営業利益が△9,709千円(営業利益率約-0.5%)と赤字に転落し、親会社株主に帰属する当期純利益も△17,621千円の損失を計上しました。ROE、ROAもマイナスであり、収益性は低いと評価されます。 |
| 財務健全性 | B | 自己資本比率は28.4%と一般的に健全とされる水準を下回っていますが、有利子負債が自己資本に対して低い(Total Debt/Equity 25.15%)ため、有利子負債によるリスクは限定的です。流動比率も1.33と標準的な水準です。 |
| 株価バリュエーション | D | 会社予想EPSに基づくPERは171.54倍、実績PBRは5.11倍であり、業界平均PER15.0倍、PBR1.2倍と比較して非常に割高な水準にあります。直近の実績が赤字であることを踏まえると、現状の株価は過度に評価されている可能性が高いです。 |
企業情報
| 銘柄コード | 9439 |
| 企業名 | エム・エイチ・グループ |
| URL | http://mhgroup.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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