1. 企業情報
株式会社タウンニュース社は、神奈川県および東京・多摩地域において、無料の地域情報紙「タウンニュース」の発行を主軸とする企業です。地域密着型メディアとして、広告枠販売を主要な収益源としています。紙媒体事業に加えて、はがきや名刺、店舗メニューなどの各種印刷物の企画・制作・印刷、記念誌やガイドブックの出版、さらには神奈川県内の政治家データベースサイト「Political village」や地域イベント情報サイト「Rare A」といったウェブサイトの企画・運営も手掛けています。
2. 業界のポジションと市場シェア
タウンニュース社は、地域特化型の無料情報紙を主要事業としており、その地域における情報流通において一定のプレゼンスを有していると推察されます。競合環境については具体的なデータで触れられていませんが、デジタル化の進展や情報消費の変化に対応するため、紙媒体からの事業モデル転換を進めていることが示されています。「地域情報紙を発行する会社」から「地域情報紙も発行する総合情報企業へ」というビジョンは、従来のビジネスモデルの持続可能性を高め、新たな価値提供を目指す姿勢を表しています。課題としては、紙媒体の広告収益への依存から脱却し、デジタルおよび非紙面事業をいかに成長させるかが挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、第2次中期経営計画（2024年度～2026年度）を策定しており、基本ビジョンとして「地域情報紙を発行する会社」から「地域情報紙も発行する総合情報企業へ」の転換を掲げています。このビジョン達成のため、以下の分野に注力しています。
* 紙面関連事業の充実: 無料地域情報紙「タウンニュース」の継続的な内容強化。
* デジタル関連事業の強化: ウェブサイト運営に加え、Web/メール/LINE配信などを通じた情報提供の多様化。
* 非紙面事業の拡大: 商業印刷、出版、販促グッズの企画・販売、PPP（公民連携）事業の推進。
これらの施策を通じて、収益源の多角化と事業構造の変革を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
タウンニュース社の主たる収益モデルは、地域情報紙への広告掲載料です。このモデルは地域経済の動向や広告市場の変化に左右される特性を持っています。しかし、同社はデジタルメディアを活用した情報配信や、商業印刷、出版、販促グッズ、PPP（公民連携）といった非紙面事業の拡充を進めており、収益源の多様化を図っています。これにより、紙媒体への依存度を低減し、市場ニーズの変化への適応力と事業モデルの持続可能性を高める戦略を取っているといえます。
5. 技術革新と主力製品
主力製品は無料地域情報紙「タウンニュース」であり、地域に特化した情報を提供し、そこから広告収益を得ています。技術革新の点では、Web/メール/LINE配信といったデジタルプラットフォームを活用することで、情報の多角的な発信と広告媒体の多様化を進めています。具体的な製品開発というよりは、メディアとしての機能拡張とデジタルシフトが主な取り組みです。
6. 株価の評価
現在の株価は683.0円です。
* PER（会社予想）：10.53倍
* PBR（実績）：0.73倍
これらの指標を業界平均と比較すると、業界平均PER15.0倍、業界平均PBR1.2倍に対して、同社のPERおよびPBRはいずれも下回っています。特にPBRが1倍を下回っていることは、純資産と比べて株価が割安であると評価できる水準を示唆しています。このことから、現在の株価は業界水準と比較して割安であると考えられます。
7. テクニカル分析
現在の株価は683.0円です。年初来高値829円、年初来安値643円に対し、安値圏に近い水準で推移しています。50日移動平均線（685.74円）および200日移動平均線（707.63円）を下回っており、短期から中長期にわたって下降傾向を示しています。直近10日間の株価推移も、この範囲内で軟調な動きが見られます。
8. 財務諸表分析
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売上高:
- 2022年6月期: 3,248百万円
- 2023年6月期: 3,692百万円 (+13.66%)
- 2024年6月期: 3,736百万円 (+1.18%)
- 過去12ヶ月(LTM): 3,677百万円 (2024年比 -1.58%)
- 2026年6月期 第1四半期: 916百万円 (前年同期比 +7.6%)
- 2026年6月期 通期予想: 4,117百万円 (2025年予想比 +12.0%)
売上高は過去数年で増減を繰り返していますが、直近の第1四半期は前年同期比で増加し、2026年6月期の通期でも増収が予想されています。
* 粗利率: 過去12ヶ月で67.2%と高い水準を維持しており、2022年6月期の64.6%から上昇傾向にあります。
* 営業利益率: 過去12ヶ月で12.6%です。2023年6月期、2024年6月期には15%台を記録しており、高い収益性を維持しています。
* 純利益率: 過去12ヶ月で10.6%とこちらも高い水準にあります。
* ROE: 過去12ヶ月で8.03%（実績7.85%）と、株主資本の活用効率は適切な水準にあります。
* ROA: 過去12ヶ月で5.40%と、総資産の活用効率も良好です。
* 自己資本比率: 88.2%（直近四半期89.0%）と非常に高く、財務基盤は極めて安定しています。
* 流動比率: 直近四半期で5.18倍と、流動性も非常に高く、短期的な支払い能力に優れています。
* キャッシュフロー: 四半期キャッシュフロー計算書は開示されていませんが、現金及び預金は2,060百万円を保持しており潤沢です。直近四半期で現金預金は減少しましたが、十分な準備がある状態です。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の一株当たり配当金は20.00円であり、現在の株価に基づく配当利回りは2.93%です。配当性向は28.37%と比較的低い水準にあり、企業業績によっては将来的な増配の余地があると考えられます。自社株買いに関する具体的な発表は、提示されたデータからは確認できませんでした。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は年初来安値圏で推移しており、52週間で見ると-13.18%と市場平均を下回る動きを示しています。出来高は本日11,400株、直近3ヶ月平均5.89千株、直近10日平均2.63千株と、日によって変動があるものの、全体的に流動性は低い水準です。信用買残がある一方で信用売残がなく、信用倍率は0.00倍となっています。総じて、市場全体の関心は限定的で、株価には下降モメンタムが見られます。
11. 総評
タウンニュース社は、神奈川・町田・多摩地域に根差した無料地域情報紙を核に、紙媒体からデジタル・非紙面事業への転換を図ることで、地域に密着した総合情報企業を目指しています。財務状況は自己資本比率や流動比率が極めて高く、圧倒的な健全性を示しています。収益性も良好な水準を維持し、直近の業績予想では増収増益を見込んでいます。
株価の評価では、PER、PBRともに業界平均を下回っており、割安感があります。一方で、株価は年初来安値圏にあり、移動平均線を下回るなど軟調なモメンタムを示し、市場からの注目度は現状では限定的です。
今後の成長は、紙媒体からの事業構造転換をどれだけ加速させ、デジタルおよび非紙面事業で収益を拡大できるかにかかっています。株主還元は安定配当を行っており、配当性向も低いため、今後の業績次第ではさらなる還元余地がある可能性も考えられます。
12. 企業スコア
- 成長性: B
- 過去の売上高は変動がありますが、直近の第1四半期は前年同期比で増収を達成し、2026年6月期の通期でも12.0%の増収を予想しています。ただし、中長期的な成長軌道の安定性については、今後のデジタル・非紙面事業の進捗を見守る必要があり、横ばいと増加の中間に位置すると評価します。
- 収益性: A
- 過去12ヶ月の粗利率67.2%、営業利益率12.6%と、高い水準を維持しています。サービス業として良好な収益性を有していると評価できます。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率89.0%、流動比率5.18倍と、非常に健全な財務体質です。負債比率も低く、極めて高い安全性を誇ります。
- 株価バリュエーション: S
- PER（会社予想）10.53倍は業界平均15.0倍を下回り、PBR（実績）0.73倍は業界平均1.2倍および1倍を下回っています。これらの指標から、現在の株価は業界平均と比較して割安と評価できます。
企業情報
| 銘柄コード | 2481 |
| 企業名 | タウンニュース社 |
| URL | http://www.townnews.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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