トリニティ工業(6382)企業分析レポート
個人投資家の皆様へ
1. 企業情報
トリニティ工業は、塗装設備大手であり、自動車部品も手掛ける企業です。自動車、鉄鋼部品、アルミ部品、樹脂部品、住宅部品、航空機部品など幅広い分野向けに、塗装設備の企画、設計、製造、据付、そしてアフターサービスまでを一貫して提供しています。また、自動車部品の企画、設計、成形、組立も行っており、特にトヨタグループを主力顧客としています。
事業は大きく2つの部門に分かれています。
*   設備部門(売上比率74%): 主に塗装設備や関連機械、工業設備の提供。
*   自動車部品部門(売上比率26%): 主に自動車の内装部品や外装部品の製造・販売。
海外売上比率は2025年3月期で20%を見込んでいます。
2. 業界のポジションと市場シェア
トリニティ工業は「塗装設備大手」とされており、特にトヨタグループを主力顧客とすることで、国内自動車産業分野において強固な事業基盤を築いています。塗装設備の設計からプラント建設までをワンストップで提供できる体制は、同社の競争優位性と考えられます。
しかし、提供データに市場シェアなどの具体的な情報はないため、業界全体における正確な市場ポジションを把握することは困難です。自動車産業の動向、特に電動化(EVシフト)は、同社の主要事業である塗装設備や自動車部品に影響を与える可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
提供された情報には、経営陣が掲げる具体的なビジョンや中期経営計画の詳細、重点分野に関する記載は確認できませんでした。今後の事業展開においては、主要顧客である自動車産業の変革に対応するための技術開発や事業戦略が重要になると考えられます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、大型設備投資を伴う塗装設備事業と、安定的な供給が求められる自動車部品事業の二つの柱で構成されています。
*   収益モデルの多様性: 設備部門は自動車以外の多様な産業(鉄鋼、アルミ、樹脂、住宅、航空機)にも展開しており、特定の産業サイクルからの影響を緩和する可能性があります。
*   主要顧客との関係性: トヨタグループを主力とすることで安定した受注基盤がありますが、特定の顧客への依存度が高い側面もあります。
*   市場ニーズの変化への適応: 「Tri-D3ecoシステム」や「水転写」といった新技術や環境対応技術への取り組みが示されており、市場の環境規制強化や、デザイン性の向上といったニーズへの適応を図っていると見られます。
直近の決算では設備部門が好調である一方、自動車部品部門は販売減となっており、今後の動向が注目されます。
5. 技術革新と主力製品
トリニティ工業は、塗装システム、塗料供給設備、塗装設備、乾燥設備など、塗装に関する一貫した技術とノウハウを蓄積しています。特に、省エネルギーや環境負荷低減に貢献する「Tri-D3ecoシステム」や、多様なデザイン表現を可能にする「水転写」技術など、独自の技術開発に取り組んでいることが示唆されます。
収益を牽引しているのは設備部門であり、中でも自動車向けの塗装設備は、直近の中間決算においても増収増益の主要因となっています。自動車部品部門では、主に内装・外装部品を提供しています。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 1,173.0円
 - EPS(会社予想): 124.06円
 - BPS(実績): 2,027.75円
 - PER(会社予想): 9.46倍
 - PBR(実績): 0.58倍
 
業界平均PERが10.7倍、業界平均PBRが0.7倍であると比較すると、現在のトリニティ工業の株価はPER、PBRともに業界平均を下回っています。このことから、現在の株価は企業の収益力や純資産価値に対して、割安に評価されていると判断できます。
7. テクニカル分析
現在の株価1,173.0円は、年初来高値1,225円からはやや下回る水準にありますが、年初来安値925円からは大きく上昇しています。
*   50日間移動平均線: 1,181.10円
*   200日間移動平均線: 1,107.07円
現在の株価は50日移動平均線をわずかに下回っているものの、200日移動平均線は明確に上回っており、中長期的には上昇トレンドにあると考えられます。直近10日間の株価は1,160円~1,190円の範囲で推移しており、大きな変動は見られず安定した動きです。出来高は比較的少ない日が多く、流動性は限定的である可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2023年3月期には一時的に減少したものの、2024年3月期に36,992百万円と大幅に回復し、過去12か月間では40,217百万円と増加傾向にあります。直近の四半期成長率も前年比6.60%と堅調です。2026年3月期通期予想でも増収が見込まれています。
 - 利益: 営業利益は2023年3月期の965百万円から、2024年3月期は2,795百万円、過去12か月間では3,245百万円と大きく改善・成長しています。これに伴い、経常利益や純利益も回復基調にあります。過去12か月の営業利益率は8.30%であり、直近四半期の利益成長率も前年比10.40%と高く、収益性が向上していることが示されます。
 - ROE: 過去12か月で8.95%と、自己資本比率が高い傾向にある中で、効率性も改善傾向にあります。
 - 自己資本比率: 2024年3月期末で75.8%、直近中間期で79.4%と極めて高い水準を維持しており、財務健全性は非常に強固です。
 - 流動比率: 直近四半期で3.62倍と、短期的な支払能力も潤沢にあります。
 - キャッシュ: 現金及び預金は直近四半期で10,063百万円と豊富であり、財務基盤の安定性を示しています。
 
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 4.43%
 - 1株配当(会社予想): 52.00円(通期)
 - 配当性向: 40.21%
 
同社は、1株当たり52円の年間配当を予想しており、現在の株価に対する配当利回りは4%を超え、高い水準で株主への還元を行っています。配当性向も40%台と適切に設定されており、安定した株主還元策と言えます。「自社(自己株口)」保有が11.58%あることから、過去に自社株買いも実施している履歴があります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は高値圏で安定した動きを見せており、52週間の株価変化率は+21.09%と市場平均を上回るパフォーマンスです。しかし、50日移動平均線はわずかに下回っており、短期的には勢いがやや鈍化している可能性があります。
出来高は少ない傾向にあり、市場全体の注目度が高いとは言えません。信用買残が多い一方で信用売残がゼロであるため、需給面では買い圧力が潜在的にありますが、出来高の少なさは株価の急な上昇を抑制する可能性もあります。今後の株価は、主要顧客である自動車産業の動向、新たな技術開発の進捗、そしてグローバル経済の状況によって左右されると考えられます。
11. 総評
トリニティ工業は、塗装設備と自動車部品の事業を両輪とし、トヨタグループを主力顧客とする強力な事業基盤を持つ企業です。一時的な業績の落ち込みから完全に回復し、売上・利益ともに成長軌道に乗っており、収益性も向上しています。財務体質は自己資本比率が約80%と極めて健全であり、盤石な経営基盤を誇ります。
株価の評価面では、PER・PBRともに業界平均と比較して割安感があり、さらに4%を超える高い配当利回りを提供しています。中長期的な株価は上昇トレンドにありますが、短期的には調整局面に入っている可能性もあります。主要顧客である自動車産業の急速な変革に対応し、いかに独自の技術やサービスを強化・多角化していくかが、今後の持続的な成長に向けた重要な焦点となるでしょう。
12. 企業スコア (S, A, B, C, D の5段階評価)
- 成長性:A
- 直近四半期売上高成長率は前年同期比+4.7%、営業利益+29.0%、純利益+47.8%と高い伸びを示しています。過去数年の業績回復基調と、2026年3月期の会社予想による増収増益見通しを総合的に評価しました。
 
 - 収益性:A
- 過去12か月の営業利益率は8.30%と良好な水準です。直近中間決算でも営業利益率が改善しており、安定的な収益力を維持しています。
 
 - 財務健全性:S
- 自己資本比率は79.4%、流動比率は3.62倍と、いずれの指標も極めて高い水準にあります。財務体質は非常に強固であり、高い健全性を有していると評価します。
 
 - 株価バリュエーション:A
- PER(9.46倍)は業界平均(10.7倍)よりも約11.6%割安です。PBR(0.58倍)も業界平均(0.7倍)よりも約17.1%割安であり、これらの指標に基づくと株価は割安に評価されていると判断できます。
 
 
企業情報
| 銘柄コード | 6382 | 
| 企業名 | トリニティ工業 | 
| URL | http://www.trinityind.co.jp/ | 
| 市場区分 | スタンダード市場 | 
| 業種 | 機械 – 機械 | 
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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