発行日: 2025年11月5日
1. 企業情報
株式会社カネミツは、1947年に創業し、1984年に設立された兵庫県明石市に本社を置く自動車用部品メーカーです。特に、自動車のエンジン動力伝達に不可欠なプーリ(滑車)製品において国内首位の市場シェアを持ち、日本の全自動車メーカーと取引実績があります。主要な事業はプーリ事業(売上構成比43%)、トランスミッション事業(同28%)、その他事業(同29%)で構成されており、海外売上比率は約27%です。
2. 業界のポジションと市場シェア
カネミツは自動車用プーリ市場において国内首位の地位を確立しており、国内の全ての自動車メーカーと取引があることから、強固な顧客基盤と高い市場シェアを保有しています。これは、製品の品質と信頼性、長年の技術蓄積が評価されていることを示唆します。
一方で、事業の大部分を自動車産業に依存しているため、自動車市場全体の動向、特に電動化(EVシフト)の進展速度や、地政学的な要因(例:米国自動車関税)が今後の事業に大きな影響を与える可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信によると、カネミツは「プーリ、トランスミッション部品、xEV部品、モーターコア」の4本柱で事業を推進しています。これは、従来の主力製品に加えて、次世代自動車(xEV)関連部品やモーターコアといった電動化に対応する製品分野を重点領域と位置づけ、事業構造の転換を図る経営戦略を示唆しています。現時点では、中期経営計画における具体的な数値目標に関する開示は確認できません。
4. 事業モデルの持続可能性
カネミツの事業モデルは、長年にわたり培われた自動車部品製造の技術力と顧客ネットワークに支えられています。特にプーリ製品では国内で高い競争力を持っています。しかし、自動車産業が「100年に一度の変革期」と言われる電動化の波に直面している中、従来のガソリン車向け部品に加えて、xEV部品やモーターコアなどの新たな分野への適応が事業の持続可能性を左右します。同社は電動化のペースの鈍化にも言及しており、市場ニーズの変化への適応力が今後の課題となります。
5. 技術革新と主力製品
主力製品は自動車用プーリ(クランクシャフト、パワーステアリング、オルタネーター、ウォーターポンプなど)およびトランスミッション部品(ピストンドライブプーリなど)です。これらの製品は、自動車の安全性や燃費性能に寄与する重要な部品です。
技術革新としては、電動パワー・ステアリング(EPS)部品(インナーハブ、ハウジング、リング製品)、家電部品、モーターケース、エアバッグ部品など、自動車以外の分野や電動化に対応する新しい製品開発にも取り組んでいます。xEV部品やモーターコアは、今後の収益を牽引する可能性のある重点分野です。
6. 株価の評価
現在の株価996.0円に対し、会社予想EPSは131.03円であるため、PER(株価収益率)は7.60倍です。実績BPSは2,226.99円であるため、PBR(株価純資産倍率)は0.45倍となります。
業界平均PERが7.3倍であるのに対し、カネミツのPERは7.60倍とほぼ同水準か若干上回っています。一方、業界平均PBRが0.5倍であるのに対し、カネミツのPBRは0.45倍と下回っており、純資産に対しては割安感がある可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価996.0円は、年初来高値1,024円に近い水準にあります。52週高値も1,024円、52週安値は745円です。
50日移動平均線991.58円をわずかに上回り、200日移動平均線876.42円を大きく上回って推移していることから、株価は上昇トレンドにあり、比較的高い水準にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
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売上高:
- 2022年3月期 8,762百万円
- 2023年3月期 10,024百万円
- 2024年3月期 11,091百万円
- 2025年3月期 11,117百万円 (実績)
- 2026年3月期 Q1 2,757百万円(前年同期比+1.7%)
過去数年間は売上が緩やかに増加傾向にありましたが、直近の売上成長率は鈍化しています。
* 利益:
* 営業利益は2022年3月期の200百万円から、2025年3月期には755百万円へと大きく改善しています。
* 2026年3月期第1四半期の営業利益は253百万円と、前年同期比+131.8%と大幅な増益を達成しており、利益率の改善が進んでいます。
* 過去12ヶ月の営業利益率は9.18%と、製造業としては良好な水準です。
* ROE・ROA:
* 過去12ヶ月のROEは5.89%、ROAは3.52%であり、収益性は改善傾向にあります。
* 財務健全性:
* 自己資本比率は71.3%(2025年3月期実績)、直近四半期では72.2%と非常に高い水準を維持しています。
* 流動比率も2.55倍と高く、短期的な支払い能力に問題はありません。
* 総負債対自己資本比率(D/Eレシオ)は8.17%と非常に低く、実質的に無借金経営に近い健全な財務状況です。
* 現金及び預金も40.9億円と豊富に保有しています。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは3.66%であり、1株当たり配当は36.50円(年間)を予定しています。配当性向は28.38%と、利益の約3割を配当に回しており、比較的安定した株主還元を実施していると考えられます。過去5年間の平均配当利回りは3.57%であり、配当水準は堅調です。2025年3月期実績の年間配当30.00円に対し、2026年3月期は31.50円(Q1決算短信上の予想)と増配を継続しています。自社株買いに関する明確な記載は確認できません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近で年初来高値圏にあり、50日移動平均線および200日移動平均線を上回って推移していることから、上昇モメンタムが見られます。しかし、平均出来高(3ヶ月平均9.32千株、10日平均2.73千株)は非常に少なく、市場の流動性は低い状態です。信用買残は51,200株あるものの、信用売残は0株であり、信用倍率も0.00倍となっています。これは、投機的な売買が少なく、かつ売り圧力がほとんどない状況を示唆しますが、流動性の低さから、少額の売買でも株価が大きく変動するリスクがあることを意味します。機関投資家による保有割合は12.11%です。
11. 総評
カネミツは、国内プーリ市場でトップシェアを誇る老舗の自動車部品メーカーであり、安定した顧客基盤と高い技術力を持っています。売上は緩やかな成長を続けているものの、生産性改善により利益水準は大きく向上しており、特に直近の四半期では大幅な利益増を達成しました。財務体質は極めて健全で、豊富な自己資本と低い負債比率が特徴です。配当政策も安定しており、比較的高水準の配当利回りを提供しています。
株価は年初来高値圏で推移しており、テクニカル的には上昇モメンタムが見られますが、市場の流動性が低い点は留意が必要です。今後の成長ドライバーとして、自動車業界の電動化トレンドに対応したxEV部品やモーターコア事業の進展が注目されますが、自動車市場の不確実性(電動化ペースの鈍化、米国関税リスクなど)は事業運営上のリスク要因として認識されています。
12. 企業スコア
- 成長性: B
- 近年の売上は緩やかに増加しており、3年間の売上CAGRは約8.6%です。直近の四半期売上成長率も+1.7%と堅調ではあるものの、大幅な加速は見られません。
- 収益性: A
- 過去数年で営業利益率が継続的に改善し、過去12ヶ月では9.18%(直近Q1では9.21%)と、製造業としては良好な水準にあります。収益性改善の努力が評価されます。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率は70%を超え、流動比率も2.5倍以上、D/Eレシオも8%台と非常に低く、健全性は極めて高いです。潤沢な現預金も保有しています。
- 株価バリュエーション: A
- PERは業界平均とほぼ同水準である一方、PBRは業界平均0.5倍を下回る0.45倍であり、純資産に対して割安感がある状態です。
企業情報
| 銘柄コード | 7208 |
| 企業名 | カネミツ |
| URL | https://www.kanemitsu.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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