帝人(3401)企業分析レポート
株価:1,339円(2025-11-04終値)/ 市場:東証プライム/ 業種:素材・化学(33業種:繊維製品)
1. 企業情報
- 概要:1918年創業の総合素材メーカー。アラミド・炭素繊維などの高機能素材、ポリカーボネート(PC)樹脂、複合成形材料のほか、ポリエステル繊維製品、医薬・医療機器、在宅医療サービスまで展開。炭素繊維は世界2位クラスの規模。
- セグメント構成(会社開示):マテリアル、繊維・製品、ヘルスケア、その他。海外売上比率:59%(2025/3期)
- 本社:大阪市北区中之島3-2-4/代表者:内川 哲茂/従業員:20,008人
- 事業比率(連結):マテリアル46%、繊維・製品35%、ヘルスケア14%、他6%(カッコ内は営業利益率の参考指標)
わかりやすい事業説明
– 高機能繊維:アラミド(Twaron/Technora等)、炭素繊維、ガラス繊維、複合材(自動車軽量化用途)
– 樹脂・フィルム:PC樹脂・板/フィルム、PPS樹脂、微多孔膜(セパレータ用途等)、多孔質PE素材
– 繊維・製品:ポリエステル、人工皮革、PTT、再生ポリエステル等
– ヘルスケア:医薬(運動器・呼吸器・循環代謝等)、在宅医療(酸素・NPPV・SAS関連)、一部埋込機器・再生医療(ポートフォリオ再編中)
– エンジニアリング/ソリューション:環境・エネルギー・人材不足等の課題解決向け
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:
- 炭素繊維:世界上位(2位クラス)。自動車・産業用途で存在感。
- アラミド繊維:デュポン(Kevlar)等と並ぶグローバルリーダーの一角。
- 在宅医療:国内で安定基盤。
- 競争優位性:
- 高機能素材の技術・品質、用途開発力、グローバル供給体制。
- ポートフォリオにヘルスケアを持つことで景気変動耐性を一部補完。
- 課題:
- 自動車向け複合材事業(TAT)での収益性低下と減損・再編対応。
- 原材料・エネルギー価格、為替の影響が大きい。
- コモディティ繊維の採算確保。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/方向性(会社方針の要旨):
- 高機能素材とヘルスケアの「選択と集中」、不採算事業の構造改革・資産リサイクル。
- 収益基盤の再構築とキャッシュ創出力の改善。
- 具体的施策(直近動向):
- 事業ポートフォリオ再編:帝人ナカシマメディカル株式譲渡完了(2025/6/16)。TAT株式譲渡(2025/7/1)に伴い2026年3月期2Qに約110億円の売却損計上予定。
- 減損対応:2026年3月期1Qに減損損失36.8億円(主に北米自動車向け複合材)。
- 通期見通し(2026/3期、会社予想):売上収益8.6千億円、事業利益350億円、営業利益200億円、当期純利益120億円、EPS 62.26円(据置)。
- 重点分野:
- アラミド・高機能樹脂・膜/分離材などの高付加価値領域。
- 在宅医療・医薬の安定収益化。
- 自動車向け複合材は規模・拠点の最適化と選別。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:
- マテリアルは用途多角化と高付加価値シフトでスプレッド回復を狙う一方、景気/自動車サイクルの影響を受けやすい。
- ヘルスケアは在宅医療サービス・一部医薬でストック性があり、キャッシュフロー安定化要因。
- 適応力:
- 売却・減損・リストラクチャリングを通じた資本効率改善に着手。
- 高機能素材の研究開発・用途開発力は中長期の競争力に資する。
5. 技術革新と主力製品
- 技術独自性:
- パラ系アラミド、PPS、PC、微多孔膜、炭素繊維/複合材などで材料設計・加工ノウハウを蓄積。
- 医療領域では在宅治療機器運用ノウハウ、医薬パイプライン運用。
- 収益牽引:
- 繊維・製品およびヘルスケアが直近の事業利益に寄与、マテリアルは一時的に弱含み(2026/3期1Q:事業利益 繊維4,087、ヘルスケア4,001、マテリアル1,064、その他1,503、単位:百万円)。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在値:1,339円
- 指標(連結、会社予想等)
- PER:21.51倍(EPS予想62.26円)
- PBR:0.60倍(BPS 2,240.63円)
- 配当利回り:3.73%(予想1株配当50円)
- 同業平均との比較(提供データ)
- 業界平均PER:21.7倍 → EPS×平均PER=約1,351円(62.26×21.7)。現在値はほぼ整合。
- 業界平均PBR:1.0倍 → 平均PBRに仮置きした場合の参考価格=約2,241円。現在のPBRは平均を下回る水準。
- EV/Sの概算
- EV ≒ 時価総額2,650億 + 有利子負債4,922億 − 現金2,156億 ≒ 約5,410億円
- 売上(LTM)≒ 1.0兆円 → EV/S ≒ 0.54倍(参考値)
注:各データに差異があるため、会社予想(EPS 62.26円)と直近開示を重視。PERは黒字前提、PBRは簿価前提の参考比較。
7. テクニカル分析
- トレンド:株価は50日移動平均1,305円、200日1,256円を上回り、基調はやや上向き。
- レンジ:年初来高値1,404円、安値1,076円。現在値はレンジ上半分に位置。
- 直近10日:1,325〜1,396円の範囲での保ち合い傾向。出来高は10日平均(約113万株)が3カ月平均(約90万株)を上回り、短期の関心はやや上向き。
- 信用動向:信用倍率8.52倍(買い長)。ポジション整理の影響には留意。
8. 財務諸表分析
- 収益・利益(IFRS、百万円)
- 売上収益:1,005,471(2025/3期実績ベース)、1Q(2026/3期)243,117(前年比−4.8%)
- 事業利益:1Q 7,847(前年比−24.5%)
- 営業利益:LTMは赤字期が混在、1Qは2,295(率0.95%)
- 当期利益:会社予想(通期)120億円。1Qは▲7.4億円。
- 特記事項:減損損失36.8億円(1Q)、TAT売却損約110億円を2Q計上予定。
- キャッシュフロー(1Q累計)
- 営業CF:+166億円/投資CF:▲186億円/財務CF:+978億円(短期借入増)
- 期末現金:2,053億円
- 安全性・効率
- 自己資本比率:37.7%(1Q、前期末40.6%)
- 流動比率:163%
- D/E(総負債/資本の参考):有利子負債4,922億円、D/E約113%(提供データ)
- 収益性
- ROE/ROAは一過性損益の影響で変動が大きい(提供データに相違あり)。平常時の収益力回復が課題。
過去推移(売上規模)
– 2022/3:9,260億 → 2023/3:1兆187億 → 2024/3:9,604億 → 2025/3:1兆55億円
– 売上は1兆円前後で推移、利益は再編・減損影響で変動。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:年間50円(予想、2026/3期も据置方針)
- 予想配当性向の概算:50円 ÷ EPS予想62.26円 ≒ 約80%(会社資料の一部指標と差異あり)
- 自己株式:期末自己株式数約522万株(2.6%)。大規模な自社株買いの新規公表は確認できず(当レポート範囲)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:200日線上で推移、50日線も上回る。年初来高値(1,404円)に接近する場面あり。
- 出来高:直近増加傾向(10日平均が3カ月平均を上回る)。
- 注目材料:
- ポートフォリオ再編の進捗(TAT売却損の2Q反映、再編後の収益力)。
- 原材料・エネルギー、為替、金利動向(金融費用の増減)。
- 自動車・産業需要の回復度合い、ヘルスケアの安定性。
11. 総評
- 高機能素材×ヘルスケアの二本柱で、中長期の構造的な強みは維持。一方、複合材(特に北米自動車向け)の収益性低迷と再編費用が直近決算を圧迫。
- 2026/3期は通期黒字・事業利益回復計画を維持。1Qは進捗が弱く、2QにTAT売却損の計上予定があり、上期は変動的。
- バリュエーションはPERで業界平均近辺、PBRは平均を下回る。財務は自己資本比率が4割弱、流動性は良好だが有利子負債水準は高め。
- 今後は再編の完了とマテリアルの収益性回復、ヘルスケアの安定成長が焦点。
12. 企業スコア
- 成長性:B
- 根拠:売上は1兆円前後で横ばい〜緩やか、直近期は1Qで前年比−4.8%。3年CAGRは小幅。
- 収益性:C
- 根拠:営業利益率が低水準、減損・再編影響。事業利益率は通期計画で改善見込みだが、足元は弱い。
- 財務健全性:B
- 根拠:自己資本比率37.7〜40.6%、流動比率163%は良好。一方でD/E >100%と負債依存は高め。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PERは業界平均並みだが、PBR0.60倍、EV/S約0.54倍と簿価・売上対比で相対的に低水準。
参考データ
– 発行株式数:197,953,707株/時価総額:約2,650億円
– 主要イベント:決算発表(2025-11-05予定)、権利落ち日(2026-03-30予定)
– 大株主:マスタートラスト等の信託銀行主体、機関投資家保有比率約61%(提供データ)
企業情報
| 銘柄コード | 3401 |
| 企業名 | 帝人 |
| URL | http://www.teijin.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 繊維製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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