三井海洋開発(6269)企業分析レポート
株価:10,125円(2025-11-05終値)/市場:東証プライム/業種:機械(エネルギー・オフショアEPCI)
1. 企業情報
- 概要:MODEC(三井海洋開発)は、浮体式石油・ガス生産貯蔵設備(FPSO/FSO)を中心に、設計・調達・建造・据付(EPCI)から、リース・運転・保守(O&M)まで一貫して手掛けるグローバル専業大手。超大水深・大型案件に強み。主な展開地域はブラジル、ガイアナ、西アフリカ、メキシコなど。
- 事業:FPSO/FSOの新造・改造、O&M・リース事業、関連のデジタル・アナリティクス、サプライヤー管理サービス等。
- 顧客・案件特性:国際石油会社や国営石油会社向けの長期プロジェクトが中心。プロジェクトは大型で長期、進捗基準で売上認識。O&Mやリースは中長期の安定収益源。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:FPSO分野の世界大手の一角。超大水深・大型FPSOの実績とO&M運用力で高い参入障壁。
- 競争環境:同業は欧州系・アジア系の専業各社(例:FPSO専業大手)との寡占的競争。選定要素は実績、工期・コスト管理、運転稼働率、資金調達能力、HSE(安全・環境)など。
- 競争優位:
- 大型・難易度の高い案件の設計・建造・運用ノウハウ
- ブラジルなど主要海域でのO&M実績と長期契約による可視性
- 供給網の活用力(外部建造の活用含む)と標準化の進展
- 課題:
- プロジェクト遂行(遅延・コスト超過)リスク
- 地域・顧客の集中度(ブラジル依存)による分散の課題
- エネルギー転換・脱炭素の流れによる長期的需要変動
(注)具体的な市場シェア数値の開示はなし。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方向性(開示資料の要旨):
- 超大水深・大型FPSO需要への対応を継続
- 新規受注と受注残(バックログ)の拡大による将来稼働の確保
- O&M・リースなど安定収益の強化、デジタル活用
- 直近トピック:
- Shell Brasil向け「Gato do Mato」FPSOのEPCIおよびO&Mを新規受注
- 2025年中間 受注高:5,042.8百万USD(前年比+1327%)、受注残:16,578百万USD(前期末比+28.1%)
- 中期経営計画:
- 定量目標の記載は本資料では未確認
- 方針面では「選別受注」「大型案件のリスク管理」「標準化・モジュール化」「O&Mの拡充」等が示唆される
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:
- EPCI:進捗基準で売上計上、受注残が将来売上の源泉
- リース・O&M:長期契約に基づく安定収益(可用性連動型など契約条件に依存)
- 持続性評価の観点:
- 受注残の厚み(16.6bn USD規模)は中期の収益可視性を高める要素
- 一方で工期・コスト管理、原材料・人件費、為替、地政学など外部要因に対する耐性が必要
- エネルギー転換の中でも深海油ガス田は当面の需要が見込まれるとの会社見解
5. 技術革新と主力製品
- 主力:FPSO/FSO(大型・超大水深)、TLP、セミサブ、FLNG等
- 技術・運用の特徴:
- 大型トップサイドの設計・統合、稼働率を重視した運用・保守のノウハウ
- デジタル・アナリティクスの活用(監視・保全最適化等)
- 収益牽引:
- FPSOのEPCI進捗と、就航後のO&M・リース収入が二本柱
- ブラジル案件を中心とした大型プロジェクトが収益に寄与
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 会社予想EPS:625.02円、BPS(実績):2,716.36円
- 現在株価:10,125円
- 指標比較:
- PER(予想):16.20倍(業界平均16.6倍に近い水準)
- PBR(実績):3.73倍(業界平均1.4倍を上回る水準)
- 単純感応度(参考計算):
- 業界平均PER適用の理論株価 ≈ 625.02円 × 16.6 ≈ 10,375円
- 業界平均PBR適用の理論株価 ≈ 2,716.36円 × 1.4 ≈ 3,803円
- 補足:高ROE(21.29%)・資本効率の高さはPBRプレミアムの根拠になりやすい一方、資本構成やプロジェクトリスクも考慮が必要。
7. テクニカル分析
- トレンド:
- 50日移動平均:8,208円、200日移動平均:5,693円 → 株価は両線を大きく上回る上昇トレンド
- 52週高値:10,350円、安値:3,070円 → 現在値は高値圏に接近
- モメンタム:
- 直近の出来高は3カ月平均(約95.8万株)を上回る(10日平均約152万株)
- 10/22以降、切り上げ基調で年初来高値圏に到達
8. 財務諸表分析(IFRS・連結)
- 成長:
- 売上(LTM):6,600.9億円
- 年度売上推移(同一基準データの範囲で概観):2022年→2024年で増収、LTMも増収基調
- 四半期売上成長(前年比):+2.7%
- 収益性:
- 粗利率(LTM):約8.9%(粗利5,847億円/売上6,600.9億円)
- 営業利益率(LTM):4.73%
- ROE(LTM):22.30%、ROA(LTM):2.15%
- キャッシュフロー:
- 営業CF(LTM):769.8億円、レバードFCF(LTM):451.7億円(いずれもプラス)
- 財政状態:
- 自己資本比率(実績):26.3%
- 流動比率(直近):0.90(契約負債や前受け等、EPCI特有のバランス構造の影響)
- 現金同等物:2,160.4億円、総有利子負債:607.5億円(ネットキャッシュの状態)
- 補足(中間期・USD表示参考):
- 受注残:16.6bn USD(前期末比+28.1%)
- 営業CFは大幅プラス、現金残高増加
9. 株主還元と配当方針
- 配当予想:年間120円(中間60円・期末60円)
- 予想配当利回り:1.19%
- 配当性向(予想):約20.8%(利益成長と内部留保の両立を志向)
- 自社株買い:開示ベースで目立った実施は確認できず(自己株式は極少量)
- 5年平均利回り:1.91%(現状は平均を下回る水準)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の勢い:52週騰落+190.1%と強い上昇トレンド。年初来高値圏で推移。
- 需給・関心:
- 信用買残:78.2万株、信用倍率:7.81倍(買い長)
- 信用買残は前週比▲11.8万株(短期のポジション整理の動き)
- 出来高は短期的に増加、ニュースフロー(受注・決算)への感応度高め
- 影響要因:
- 受注残の増勢、原油価格・開発投資動向、プロジェクトの進捗・稼働率
- 為替(USD機能通貨)、資材・人件費、地政学リスク
11. 総評
- 受注環境は堅調で、受注残の積み上がりにより中期の収益可視性が高まっている。一方、EPCI特有のプロジェクト遂行・コスト管理リスクや地域集中、流動比率・自己資本比率など財務面の留意点は残る。
- 収益性は改善し、ROEは高水準。営業・フリーCFも堅調で、ネットキャッシュを確保。
- バリュエーションはPERで業界並み、PBRは高位(資本効率の高さや受注残の質を織り込む一方、プレミアムの持続にはプロジェクト進捗の裏づけが重要)。
- テクニカル面では上昇トレンド継続で高値圏。短期は出来高増・信用買い長の影響でボラティリティに注意が必要。
(本資料は公開情報に基づく一般的な分析であり、投資判断を目的とするものではありません。)
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:B
- 根拠:LTM売上成長率+2.7%、3年CAGRは小幅。受注残は積み上がるが、定量データ基準では中立〜やや改善。
- 収益性:A
- 根拠:ROE 22.3%と高水準、営業利益率は中位だが改善傾向。EBITDA創出力も回復。
- 財務健全性:C
- 根拠:自己資本比率26.3%、流動比率0.90。ネットキャッシュだが、指標面はやや弱め。
- 株価バリュエーション:C
- 根拠:PERは業界並み、PBRは業界平均を大きく上回るプレミアム水準。
【参考データ抜粋】
– 株価データ:年初来高値10,350円/安値3,100円、50DMA 8,208円、200DMA 5,693円
– 予想指標:PER 16.20倍、PBR 3.73倍、配当利回り1.19%、EPS 625.02円、BPS 2,716.36円
– 財務:自己資本比率26.3%、ROE 21.29%(実績)、現金2,160億円・有利子負債607億円
– 受注:受注高5.04bn USD(中間)、受注残16.58bn USD(前期末比+28.1%)
企業情報
| 銘柄コード | 6269 |
| 企業名 | 三井海洋開発 |
| URL | http://www.modec.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。