日本発條(5991)企業分析レポート
株価:2,842円(2025-11-06終値)/ 市場区分:プライム / 業種:金属製品(Auto Parts)
1. 企業情報
- 概要:独立系の自動車部品メーカー。懸架ばね(サスペンションスプリング)で国内首位級。自動車シート、精密ばね・機構部品、HDD向けサスペンション(DDS)、半導体プロセス部品・金属基板などを手掛け、用途・顧客・地域の分散が進む。海外売上比率50%(2025.3)。
- 主な製品・サービス
- 自動車:コイル/リーフスプリング、スタビライザ、トーションバー、シート/シート機構部品、内装部品
- 精密・機構:ワイヤ/板ばね、ファスナー、モータコア、精密機械部品
- DDS:HDDサスペンション、半導体テスト用プローブ等
- 産業機器等:半導体プロセス部品、セラミック、配管支持、金属基板(DB系)、駐車装置・セキュリティ、スポーツ用品 等
- 連結セグメント構成(売上構成の目安):懸架ばね21%、シート38%、精密部品13%、DDS14%、産業機器他14%
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 懸架ばね:首位。長年の量産・品質・コスト競争力とグローバル供給網が強み。
- シート:主要サプライヤーの一角。車種構成の影響を受けやすい一方、機構部品での強みを持つ。
- DDS:データセンター向け高容量HDDの採用拡大を背景に存在感が上昇。
- 競争優位性
- 幅広い製品ポートフォリオと多地域展開によるサイクル分散
- ばね・精密加工・材料技術の積み上げ(品質・耐久性での信頼)
- 課題
- 自動車生産の地域偏在、為替・原材料価格変動による採算ブレ
- シート・ばねの価格競争、HDD需要のサイクル性・SSD代替リスク
3. 経営戦略と重点分野
- 戦略の方向性(短信・開示の示唆)
- 収益源の分散:自動車(懸架ばね・シート)の安定収益に加え、DDS・産業機器での成長取り込み
- 成長投資:半導体・DDS関連の需要増に対応した設備投資(償却増を伴う)
- グローバル最適生産:インド子会社の連結化等でコスト・供給網を強化
- 財務健全性重視と株主還元の両立(自己株式取得の実施、配当の継続)
- 2026年3月期通期見通し(会社計画)
- 売上高 8,000億円、営業利益 470億円、純利益 400億円、EPS約196円(予想据え置き)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:自動車向けの継続需要に加え、データセンター/HDDや半導体プロセス部品など、景気・投資循環の異なる分野を組み合わせることで景気感応度を低減。
- 構造的変化への適応
- EV化:サスペンション・シートの基礎需要は維持。軽量化・快適性向上などで技術進化余地。
- データ需要:AI/クラウドで近年HDD(Nearline)需要が堅調。中長期のストレージ構成変化は注視が必要。
- リスク対応:為替や原材料高に対する価格転嫁・生産最適化、需要変動に備えた設備投資ペース管理が鍵。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向・独自性
- ばね・スタビライザの材料/熱処理/加工技術、軽量・高耐久設計
- DDS(HDDサスペンション):微細・高精度加工。高容量HDD向けで要求精度が上昇
- 半導体プロセス部品・金属基板(DB系等):熱・電気特性を両立するモジュール化技術
- 収益牽引
- 2026年3月期1Q:DDSが営業利益の約57%を寄与。セグメントの高収益性が全社利益を牽引
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在株価:2,842円
- 会社予想EPS:197.13円 → PER:約14.42倍(業界平均PER:17.5)
- BPS(実績):1,962.97円 → PBR:約1.45倍(業界平均PBR:0.7)
- EV/S(概算):EV ≈ 6,566.9億 – 現金1,171.4億 + 有利子負債978億 ≈ 6,374億円、売上約8,017億円 → EV/S ≈ 0.80倍
- 参考指標:ROE(実績)11.85%
- コメント:PERは業界平均を下回る一方、ROEの水準を背景にPBRは平均を上回る構図。収益性・資本効率とセットで評価されている。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均:2,307円 / 200日移動平均:1,832円 → 明確な上昇トレンド
- 52週高値:2,977.5円、安値:1,298円。現状は高値圏に近い水準
- 需給
- 信用倍率:8.16倍(買い残優位、短期的な上値/下押しの振れに注意)
- 出来高:10日平均が3カ月平均を上回り、投資家関心は高い
- 価格帯
- 直近は2,900円台で上値試し後に2,800円台後半で推移。2,980円近辺に上値抵抗、2,750–2,800円帯に短期サポートの目安
8. 財務諸表分析
- 成長
- 売上高(連結):586,903百万円(2022)→ 693,246(2023)→ 766,934(2024)→ 801,698(LTM)
- LTM売上成長率(YoY):約+4.5%/3年CAGR:約+10.8%
- 収益性(LTMベース計算)
- 粗利率:113,055 / 801,698 ≈ 14.1%
- 営業利益率:52,161 / 801,698 ≈ 6.5%
- EBITDAマージン(正規化):89,182 / 801,698 ≈ 11.1%
- 当期純利益率:48,167 / 801,698 ≈ 6.0%
- ROE(実績):11.85% / ROA(LTM):4.58%
- 2026年3月期1Qのポイント
- 売上高+3.2%増、営業益▲9.2%、純益▲40.4%
- 円高影響・為替差損(約147億円)や償却増で利益が一時的に圧迫
- セグ利益:DDSが高水準、産業機器は投資先行で利益率低下
- 財務健全性・流動性
- 自己資本比率:58.5%(1Qベース56.7%)
- D/E(有利子負債資本比):約24%
- 流動比率:約2.0倍
- 現金預金:1,171億円 / 有利子負債:978億円(ネットキャッシュ近辺)
- キャッシュフロー
- 減価償却費(1Q):約70億円。設備投資先行局面(CF詳細は未開示)
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 会社予想:年間66円(中間33円・期末33円)→ 予想利回り約2.32%
- 予想配当性向(概算):66円 / EPS 197.13円 ≈ 約33.5%(参考:開示のPayout Ratio 28.0%は過去ベースの指標)
- 自社株
- 自己株式比率:約11.7%(期末)。2026年3月期1Q時点で自己株が28.49百万株へ増加(前期末26.94百万株)し、取得実行が示唆
- 方針
- 安定配当を継続しつつ、機動的な自己株取得で株主還元と資本効率の両立を図る姿勢
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落:+48.97%(S&P500 +13.78%)
- 出来高:直近10日平均が3カ月平均を上回る(関心上昇)
- 価格ドライバー
- ファンダメンタル:DDS(高容量HDD)・半導体プロセス部品の需要、為替、原材料価格
- イベント:決算(2025-11-12予定)、為替動向、AI投資・データセンター/HDD需給のニュースフロー
- リスク要因
- 地域別自動車生産の変動、円高、原材料価格、HDD/半導体投資のサイクル
11. 総評
- 事業面:懸架ばね首位の安定基盤に、DDS・産業機器等の成長分野が加わり、収益分散が進展。1Qは為替差損・償却増で利益が一時的に下押しも、DDSの収益力が全社を牽引。
- 財務面:自己資本比率約58%、流動性・D/Eの指標は良好。投資先行による償却増はあるが、ネットキャッシュ近辺で耐性あり。
- バリュエーション:PERは業界平均を下回る一方、ROE水準を背景にPBRは平均超。成長投資の成果と収益性の維持が評価のカギ。
- テクニカル:上昇トレンドかつ高値圏。信用買い残は高く、短期のボラティリティに留意。
(本レポートは公開データに基づく客観的整理であり、投資判断を勧誘・推奨するものではありません。)
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上YoY +約4.5%、3年CAGR +約10.8%。DDSの成長寄与。
- 収益性:B
- 根拠:営業利益率約6.5%、正規化EBITDAマージン約11%。業界標準レンジ並み。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率約58%、流動比率約2.0倍、D/E約24%。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは業界平均未満、PBRは平均超。総合で中立寄り。
参考データ抜粋
– 時価総額:約6,567億円、発行済株式数:2.31億株、自己資本比率:58.5%、ROE:11.85%
– 予想配当:66円(利回り約2.32%)、予想PER:14.42倍、実績PBR:1.45倍
– 1Q(2026/3期):売上1,999億円(+3.2%)、営業益110億円(▲9.2%)、純益90億円(▲40.4%)
– 52週高値:2,977.5円/安値:1,298円、50日線:2,307円、200日線:1,832円、信用倍率:8.16倍
企業情報
| 銘柄コード | 5991 |
| 企業名 | 日本発條 |
| URL | http://www.nhkspg.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 金属製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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