東邦レマック (7422) 企業分析レポート
個人投資家向けに、東邦レマックの企業情報をわかりやすく分析し、現在の状況と今後の見通しについて整理します。
1. 企業情報
東邦レマックは、東京都文京区に本社を置く、1958年設立の靴卸売大手企業です。主に量販店向けに婦人靴、紳士靴、ゴム・スニーカーなどのシューズ製品を企画・販売しています。特にケミカルシューズに強みを持ち、アジアからの開発輸入を強化しています。近年、事業構成の見直しを行い、2025年12月期第1四半期より、「シューズ事業」と「不動産事業」の2つのセグメントに区分しています。現在の売上高の大部分はシューズ事業が占めていますが、不動産賃貸収入や再販(販売用不動産)を含む不動産事業も新たな収益の柱として位置付けられています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は「靴の卸売大手」として、特に量販店向けの強固な販路を持つ点で業界内での存在感があります。ケミカルシューズにおける強みやアジアからの開発輸入は、コスト競争力や商品ラインナップの多様化に貢献しています。しかし、現在の靴流通業界は、円安や資材価格高騰による商品価格の上昇、消費者の節約志向の強まりにより、厳しい環境に直面しています。同社のシューズ事業も、婦人靴の一部ライセンスブランドの不振やスニーカー系・子供靴の一部受注減など、マクロ経済の影響を受けています。具体的な市場シェアデータは不明ですが、厳しい市場環境下での競争に晒されている状況と見られます。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、既存のシューズ事業における収益体質の改善と、新たな収益源の確立を経営戦略の重点としています。具体的には、「選択と集中」および「企業価値向上」の方針に基づき、不採算事業の撤退を進め、資産評価の見直しを実施しています。これにより一時的な損失を計上することがありますが、中長期的な収益基盤の強化を目指しています。また、不動産事業を明確化し、宅地建物取引業免許の取得および仕入再販業務を開始することで、賃貸収入だけでなく再販による収益拡大も図っています。これは、事業ポートフォリオの多角化と安定収益の確保を目指すものです。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、主力であるシューズ卸売業が市場環境の変化(消費者の節約志向、為替変動、原材料高騰など)に影響を受けやすい特性を持っています。しかし、「ケミカル靴に強み」や「アジアからの開発輸入強化」は、多様なニーズへの対応とコスト効率の向上を図るものであり、持続可能性を高める施策です。さらに、新たに本格化した不動産事業は、安定した賃貸収入と再販益による収益基盤の多様化を促進し、シューズ事業の変動リスクを補完する可能性があります。これにより、企業全体の収益モデルの持続可能性を高めることを目指しています。
5. 技術革新と主力製品
同社の事業内容から、靴の「企画販売」に力を入れていることが伺えますが、具体的な技術革新に関する直接的な言及は提供情報にはありません。「ケミカル靴に強み」という記述は、特定の素材加工技術や製造プロセスにおけるノウハウの蓄積を示唆している可能性があります。主力製品は婦人靴、紳士靴、ゴム・スニーカーなど多岐にわたりますが、直近では婦人靴の一部が不振である一方、紳士靴は販売足数増により増収と堅調に推移しています。不動産事業においては、賃貸物件増加が収益に貢献しています。
6. 株価の評価
現在の株価は539.0円です。
* PER(会社予想): 21.10倍
* EPS(会社予想): 25.55円
* PBR(実績): 0.60倍
* BPS(実績): 895.01円
業界平均と比較すると、
* 業界平均PER: 10.1倍
* 業界平均PBR: 0.7倍
現在のPERは、会社予想EPSに基づくと業界平均を大きく上回っており、収益性から見ると割高感があります。一方で、PBRは業界平均0.7倍に対して0.60倍と実績PBRは割安感を示しています。
BPS(1株あたり純資産)895.01円を基準にした場合、現在の株価539円は企業の資産価値に対して割安に評価されていると言えます。ただし、最近の財務状況(純損失)を考慮すると、会社予想EPSの達成度には注意が必要です。
7. テクニカル分析
現在の株価539円は、年初来高値954円からは大きく下落しており、年初来安値342円からは上昇しています。
直近の株価推移を見ると、50日移動平均線(567.94円)を下回っており、短期的な下降トレンドにある可能性があります。一方で、200日移動平均線(485.29円)よりは上に位置しており、中期的なサポートラインは維持している状況です。ここ10日間の出来高は数千株から数万株とばらつきがあるものの総じて低調であり、活発な取引は見られません。全体的には、高値圏からは離れているものの、明確な安値圏とも言えない中間の位置にあると評価できます。
8. 財務諸表分析
売上高: 過去数年間は減少傾向にあります(2021年6,338百万円台からLTMで4,738百万円台)。特に2023年以降は減収が続いています。
利益:
* 売上総利益: 売上高減少に伴い減少傾向でしたが、2024年にやや回復しました。
* 営業利益: 過去数年間は営業損失が続いていましたが、2024年に一時的に黒字転換しました。しかし、LTM(過去12ヶ月)および2025年12月期第3四半期累計では再び営業損失を計上しています。
* 経常利益・当期純利益: 営業利益同様に変動が大きく、過去数年間は純損失を計上していましたが、2024年には純利益を確保しました。しかし、2025年12月期第3四半期累計では純損失となっています。
財務健全性:
* 自己資本比率: 72.0%(2025/9/20実績)と非常に高く、極めて健全な財務基盤を持っています。
* 流動比率: 292%(2025/9/20実績)と高く、短期的な支払い能力に優れています。
* D/E比率(総負債/自己資本): 26.26%と低く、負債負担が小さいことが示されています。
ROE/ROA: LTMのROEは11.00%、ROAは3.26%と記載がありますが、直近の利益が変動しているため、安定的な収益性を示すには注意が必要です。
総じて、同社は非常に強固な財務体質を持つ一方で、売上高の減少と利益の不安定さが課題となっています。
9. 株主還元と配当方針
同社は1株配当(会社予想)11.40円を予定しており、株価539円に基づく配当利回りは2.12%です。ただし、会社予想EPS 25.55円に対する配当性向は92.83%と非常に高く、利益の大部分を配当に回す方針が見て取れます。2024年12月21日には1株を10株に分割する株式分割を実施しており、投資単位あたりの金額を引き下げ、より投資しやすくする姿勢も示しています。高い配当性向は株主還元への意欲の表れですが、業績の変動が激しい場合、今後の配当維持には慎重な見極めが必要です。自社株買いに関する直接の記述はありませんが、株主名簿に「自社(自己株口)」の記載があることから、過去に実施された可能性があります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価はやや軟調に推移しており、大きな上昇モメンタムは見られません。日々の出来高が少ない日が多く、投資家の関心は限定的である可能性があります。信用取引の状況を見ると、信用買残が61,300株に対し信用売残が0株であり、信用倍率0.00倍という状況は、買い方への一方的な傾きと流動性の低さを示唆しています。株価に影響を与える要因としては、靴市場全体の消費動向、円安や原材料価格高騰などのコスト要因、および同社が推進する事業構造改革(特に不動産事業の進捗やシューズ事業の収益改善)の成果が挙げられます。決算発表や業績見通しの修正は、今後の株価変動に大きな影響を与える可能性があります。
11. 総評
東邦レマックは、堅実な経営によって極めて良好な財務健全性を維持している老舗の靴卸売業者です。自己資本比率や流動比率は非常に高く、強固な経営基盤を持っています。しかし、主力であるシューズ事業は市場環境の厳しさから売上高が減少傾向にあり、利益水準も不安定で、直近では損失を計上しています。この課題に対し、同社は不採算事業からの撤退や、不動産事業の明確化・拡大といった事業構造改革に取り組んでいます。これらの改革が奏功し、新たな収益源が確立されれば、企業価値の向上に繋がる可能性があります。株価はPBRで見ると割安感があるものの、PERは業界平均より高く、今後の収益改善の進捗が市場評価に与える影響は大きいと考えられます。高い配当性向は魅力的ですが、業績の安定化が重要です。
12. 企業スコア
- 成長性:D
- LTM売上成長率は約-0.4%、3年CAGRでもマイナス成長であり、売上高は減少傾向にあります。
- 収益性:C
- 過去数年間営業損失が続いていましたが、2024年に一時黒字転換しました。しかし、LTMおよび直近の第3四半期累計では再び営業損失となっており、安定的な収益確保には至っていません。粗利率も変動しています。
- 財務健全性:S
- 自己資本比率72.0%、流動比率292%、D/E比率26.26%など、主要な財務指標は極めて健全な水準を維持しています。
- 株価バリュエーション:B
- PBRは0.60倍と業界平均(0.7倍)を下回り、資産価値からは割安感があります。一方で、PERは21.10倍と業界平均(10.1倍)を大きく上回っており、直近の業績不安を考慮すると収益性からの評価は高めです。これらのバランスを考慮し、中立的な評価としました。
企業情報
| 銘柄コード | 7422 |
| 企業名 | 東邦レマック |
| URL | http://www.toho-lamac.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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