以下に、巴川コーポレーションの企業分析レポートをまとめます。
1. 企業情報
巴川コーポレーションは、1914年創業の歴史を持つ素材・化学メーカーです。主要事業として、半導体実装テープや電子部品材料、高機能性シートなどの先進的な製品を手がけています。また、コピー機やプリンタに使用されるトナー製品では世界トップクラスのシェアを持ち、ICカードやETCカードなどのセキュリティメディア事業、さらに将来を見据えた新規開発事業も展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性: トナー専業で世界トップという高い市場シェアを維持している点が強みとされます。半導体・ディスプレイ関連事業では、半導体実装用テープなどの高付加価値製品が伸長しており、特定のニッチ市場で技術的優位性を持っている可能性があります。機能性シート事業も構造改革を進めながら成長分野となっています。
- 課題: トナー事業は、市況の低迷や円高の影響を受けて売上・利益が減少しています。市場ニーズの変化への継続的な適応が求められる状況です。また、新規開発事業は先行投資段階にあり、現時点では損失が拡大しています。
3. 経営戦略と重点分野
提供データからは具体的な中期経営計画の全体像は明示されていませんが、決算短信からは以下の戦略と重点分野が読み取れます。
* 構造改革の推進: 機能性シート事業において、不要になった抄紙機の停機を含む製紙ユニットの構造改革を進め、収益性の改善を目指しています。関連する営業権の譲渡も決定し、事業効率化を図る方針です。
* 成長分野への注力: 半導体・ディスプレイ関連事業における高利益率製品の伸長や、機能性不織布製品の成長をさらに追求し、経営資源を配分しています。
* 新規事業の開発: 「iCas」「GREEN CHIP関連製品」「セルロースマイクロファイバー混合樹脂」など、環境対応や新素材分野での技術開発と事業化に積極的に投資し、将来の成長ドライバー育成を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
巴川コーポレーションの事業モデルは、トナー、半導体・ディスプレイ関連、機能性シート、セキュリティメディア、新規開発といった多角的なセグメントに分散しており、特定の市場依存リスクを低減しています。半導体実装用テープや機能性シートなどの高付加価値製品と、トナーやセキュリティメディアといった安定した需要を持つ製品を組み合わせることで、バランスの取れた収益構造を目指しています。市場ニーズの変化への適応としては、成長分野への経営資源のシフトや、新規開発事業への投資を通じて対応を図っています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向と独自性: 熱・電気・電磁波制御関連製品、高絶縁・高熱伝導・高耐熱粘着シート、低誘電正接粘着シートなど、高性能な機能性材料の開発に注力しています。また、半導体実装用テープや光学粘着剤、光制御フィルムといった先端製品も提供しています。新規開発事業では、環境技術や新素材に関する研究開発を進め、将来の収益源となる製品の創出を目指しています。
- 収益を牽引する製品: 半導体実装用テープや電子部品材料、高機能性シートは、比較的高収益性を示しており、今後の成長を牽引する可能性があります。トナー事業は世界トップの地位にあるものの、市場環境の変化への対応が課題となっています。
6. 株価の評価
現在の株価754.0円に対し、以下の指標が示されています。
* PER(会社予想): 10.14倍
* PBR(実績): 0.50倍
* 業界平均PER: 15.9倍
* 業界平均PBR: 0.7倍
会社予想EPS 74.39円に基づくPER 10.14倍は、業界平均の15.9倍と比較して低い水準にあります。また、実績BPS 1,512.81円に基づくPBR 0.50倍も、業界平均の0.7倍を下回っています。これらの指標から判断すると、現在の株価は業界平均と比較して割安な水準にあると評価できます。
7. テクニカル分析
- 現在の株価: 754.0円
- 年初来高値: 850円
- 年初来安値: 558円
- 50日移動平均線: 771.42円
- 200日移動平均線: 714.52円
現在の株価754.0円は、年初来高値(850円)からは下落していますが、年初来安値(558円)よりは高い水準です。直近10日の株価推移を見ると、770円台から810円台で推移した後、本日(2025年11月7日)は754円まで下落しており、短期的には下降傾向が見られます。50日移動平均線(771.42円)を下回っており、短期的な下降圧力が示唆されます。しかし、200日移動平均線(714.52円)よりは高い位置にあり、中長期的な上昇トレンドは維持されている可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去5年間の売上高は327億円~344億円で推移し、直近12ヶ月(LTM)は344.3億円と微増傾向にあります。2026年3月期の会社予想では360億円と増収を見込んでいます。
- 粗利益: 過去5年間で67億円~79億円で推移し、直近12ヶ月は79.8億円。粗利率は約23%前後で大きな変動は見られません。
- 営業利益: 2022年、2023年は約20億円前後でしたが、2024年は13.3億円、直近12ヶ月は12.8億円と減少傾向にあります。販管費の増加が利益を圧迫している要因の一つと考えられます。
- 純利益: 2022年16.5億円、2023年14.5億円から、2024年5.9億円、直近12ヶ月で7.49億円と大きく減少しました。2026年3月期の通期予想では7.5億円と回復を見込んでいます。
- ROE: 5.00%(実績)は、資本効率が比較的低い水準であることを示しています。
- ROA: 直近12ヶ月で1.76%と、総資産に対する利益効率も低い水準です。
- 自己資本比率: 実績33.1%、直近四半期で32.6%と、一般的に健全とされる水準(40%以上)と比較するとやや低めです。
- 流動比率: 直近四半期で1.22倍と、短期的な資金繰りに問題はない水準です。
- D/E比率: 直近四半期で71.77%と、負債が過度に自己資本を上回っているわけではありません。
全体として、売上高は緩やかな成長を見込む一方、利益率は近年低下傾向にあります。財務健全性に関しては、自己資本比率に改善の余地があるものの、短期流動性や総負債比率はおおむね許容範囲内です。
9. 株主還元と配当方針
- 予想年間配当: 15.00円
- 配当利回り(会社予想): 1.99%
- 配当性向: 20.53%
- 5年平均配当利回り: 2.72%
会社予想年間配当15.00円に基づく配当利回り1.99%は、現在の市場環境下で一定の魅力がある水準です。配当性向20.53%は比較的低い水準であり、企業が内部留保や成長投資を優先していることを示唆しています。自社株買いに関する情報は提供データには含まれていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、短期的には下降傾向が見られます。出来高は直近で減少傾向にあり、投資家関心は一時的に低下している可能性があります。信用買残が信用売残を大幅に上回る信用倍率36.05倍は、需給面で今後の株価上昇を抑制する要因となる可能性があります。インサイダー保有割合が52.24%と高いことは、経営陣が会社の長期的な成長に関与していることを示唆していると考えられます。株価への影響を与える主な要因としては、トナー事業の市場環境、半導体・ディスプレイ関連事業の成長性、機能性シート事業の構造改革の進捗、新規開発事業の成果、そして為替変動や原材料価格などの外部要因が挙げられます。
11. 総評
巴川コーポレーションは、特定の市場で高い競争力を持つトナー事業と、成長が見込まれる半導体・ディスプレイ関連事業および機能性シート事業を柱とする多角的な事業構成を持つ素材・化学メーカーです。機能性シート事業の構造改革や新規開発事業への投資を通じて、持続的な成長を目指しています。
財務面では、売上は緩やかに伸びる見込みですが、近年利益率は低下傾向にあります。自己資本比率は改善の余地があるものの、短期的流動性は確保されています。
株価はPER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にあります。短期的には下降モメンタムが見られるものの、中長期的には成長戦略の実行とその成果が株価に影響を与える可能性があります。特に、機能性シート事業の収益改善、新規開発事業の具体化、および主力事業における市場環境変化への対応力が今後の注目点となるでしょう。
12. 企業スコア
| 評価項目 | スコア | 評価の根拠 |
|---|---|---|
| 成長性 | B | LTM売上成長率(過去12ヶ vs 前期末)は2.2%と微増。直近四半期の売上成長率は0.4%(前年同期比)。2026年3月期の通期売上予想は前年比4.6%増と、緩やかな成長を見込んでいます。大きな爆発的成長というよりは、事業構造改革や新規開発による着実な成長を目指していると評価できます。 |
| 収益性 | C | 過去12ヶ月の営業利益率は4.34%で、直近四半期も4.3%とやや低水準です。新規開発事業の先行投資損失や、機能性シート事業の構造改革途上の赤字が影響しています。粗利率も約23%前後で推移しており、素材・化学業界全体で見ると、収益力には改善の余地があると考えられます。 |
| 財務健全性 | C | 自己資本比率は直近四半期で32.6%(前期末33.1%)と、一般的な健全性の目安とされる40%を下回っています。流動比率は1.22倍で短期的な支払能力は確保されていますが、D/E比率は71.77%と、有利子負債は一定水準あります。自己資本比率の低さが財務健全性における主な課題と考えられます。 |
| 株価バリュエーション | A | PER(会社予想)は10.14倍で業界平均15.9倍を下回っており、PBR(実績)も0.50倍で業界平均0.7倍を下回っています。これらの指標から、現在の株価は業界平均と比較して割安な水準にあると評価できます。 |
企業情報
| 銘柄コード | 3878 |
| 企業名 | 巴川コーポレーション |
| URL | https://www.tomoegawa.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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