新家工業(7305)企業分析レポート
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1. 企業情報
新家工業は1919年設立(創業は1903年)の歴史ある企業で、主に「鋼管関連事業」「自転車関連事業」「不動産等賃貸事業」の3つのセグメントで事業を展開しています。売上の大部分(約98%)を占めるのは鋼管関連事業で、普通鋼の溶接鋼管や各種加工品を製造販売しており、建材やスチール家具用の小径パイプを主力としています。また、自転車用リムの製造においても高いシェアを有しています。その他、不動産の賃貸収入や、ディスクホイル、機械設備、福祉機器の製造販売なども行っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
主力の鋼管関連事業では、建材・スチール家具用小径パイプが主力であり、自転車用リムでも高シェアを誇っています。
しかし、現在の国内鉄鋼市況においては、価格下落、国内需要の低迷、輸入材の流入が継続するという課題に直面しています。建設分野の需要落ち込みも顕著であり、ステンレス製品分野でも半導体や新エネルギー向けの案件が期待通りに進まず、安価な輸入材の流入が価格下落を招いています。自転車関連事業については、事業採算性確保が困難と判断し、2025年12月末で輸入完成車販売事業から撤退する方針が示されており、事業ポートフォリオの見直しを進めています。
3. 経営戦略と重点分野
会社の説明によると、中長期の重点戦略として「採算性改善」「製販連携や技術開発強化」「新規分野展開」「工場間の生産品種分担によるコスト削減」を掲げています。直近の中間期決算では、売上高が減少したものの、採算性確保を優先した価格政策の見直しやコスト削減の実行により、営業利益・経常利益は前年同期を上回る成果を上げており、採算性改善の取り組みに進捗が見られます。
4. 事業モデルの持続可能性
新家工業の事業モデルは、売上高の大部分を占める鋼管関連事業に大きく依存しており、鉄鋼市況や国内需要の動向に収益が左右されやすい構造です。自転車関連事業からの撤退方針は、事業構造の選択と集中を進め、採算性の低い分野を整理する動きと見られます。一方、不動産等賃貸事業は比較的安定した収益源となっており、収益の多様性にも寄与しています。国内鉄鋼需要の低迷が課題となる中で、会社が注力する採算性改善やコスト削減、新たな付加価値創造への取り組みが、将来的な持続可能性を左右する鍵となります。省力化、脱炭素、デジタル関連の設備投資需要は底堅いと見ており、これらの分野で需要を取り込めるかが注目されます。
5. 技術革新と主力製品
新家工業の主力製品は、普通鋼の溶接鋼管、各種加工品、建材・スチール家具用小径パイプ、そして自転車用リムなどです。長年の製造ノウハウと技術がこれらの製品の品質を支えています。決算短信には具体的な技術革新に関する詳細な記述はありませんが、会社は「技術開発強化」を重点分野としており、製品競争力の維持・向上に努めていると考えられます。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 4,950.0円
- PER(会社予想): 11.24倍
- PBR(実績): 0.77倍
- EPS(会社予想): 314.65円
- BPS(実績): 6,688.62円
業界平均と比較すると、鉄鋼・非鉄業界の平均PERが8.7倍、PBRが0.5倍であるのに対し、新家工業のPERは11.24倍、PBRは0.77倍と、業界平均を上回っています。このことから、現在の株価は業界平均と比較して割安感は薄いと評価できます。ただし、PBRが1倍を下回っていることから、純資産価値から見ると割安な水準にあります。
7. テクニカル分析
現在の株価4,950円は、年初来高値5,460円からは下落していますが、年初来安値3,945円からは上昇しており、中間の位置にあります。
直近10日間の株価は5,000円前後から緩やかに下落し、現在は4,950円で推移しています。50日移動平均線(5,059.00円)を下回っている一方で、200日移動平均線(4,855.65円)は上回っています。この動きから、短期的にはやや軟調な相場ですが、中長期的には上昇トレンドを維持している可能性があります。
8. 財務諸表分析
売上・利益
- 売上高:2023年3月期 46,426百万円、2024年3月期 44,556百万円、2025年3月期(予想) 40,000百万円と、過去数年にわたり減少傾向が続いています。
- 営業利益:2023年3月期 4,628百万円、2024年3月期 2,053百万円、2025年3月期(予想) 1,800百万円と減少傾向でしたが、直近の中間期決算では、採算性重視の取り組みにより前年同期比で増加しました。
- 親会社株主に帰属する当期純利益:2023年3月期 3,060百万円、2024年3月期 1,691百万円、2025年3月期(予想) 1,500百万円と減少傾向です。直近の中間期では、固定資産除却損などの特別損失の計上が純利益を押し下げました。
- 収益性指標:LTM営業利益率は5.91%(直近中間期4.4%)です。ROE(実績)は6.38%(LTM 6.53%)、ROA(LTM)は2.13%であり、資本効率は中程度と言えます。
キャッシュフロー
- 直近の中間期では、営業キャッシュフローは+455百万円(前年同期+1,901百万円)と減少しましたが、堅調にプラスを維持しています。投資キャッシュフローは△741百万円と、設備投資を継続しています。財務キャッシュフローは+275百万円で前年同期のマイナスから改善しました。
財務健全性
- 自己資本比率は59.8%(2024年3月期実績、直近四半期で58.9%)と高く、財務基盤は非常に安定しています。
- 流動比率は1.75(直近四半期)と、短期的な支払能力も十分にあります。
- D/Eレシオ(総負債自己資本比率)は23.00%と低く、借入依存度は低い状況です。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の年間配当は300円で、現在の株価4,950円に基づくと配当利回りは6.06%となります。提供された情報では、過去12か月の希薄化後EPS(Diluted EPS LTM)391.55円に基づく配当性向は76.59%とされています。一方、会社予想EPS 314.65円から計算すると配当性向は約95.3%となり、利益の多くの部分を配当に回す方針を示しています。前期と同額の配当を維持する計画です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は緩やかな下降傾向から横ばいに転じています。年初来では16.20%の上昇と、S&P 500の12.12%をアウトパフォームしています。
信用買残は89,200株と信用売残1,100株に対して多く、信用倍率は81.09倍となっています。これは将来の売り圧力となる可能性も示唆しています。国内鉄鋼市況の動向、会社が進める採算性改善策、自転車関連事業からの撤退といった事業ポートフォリオの見直しなどが、今後の株価に影響を与える要因として考えられます。
11. 総評
新家工業は、安定した財務基盤と高い配当利回りが魅力の企業です。主力の鋼管関連事業は国内鉄鋼需要の低迷という逆風に直面していますが、会社は徹底したコスト削減と採算性重視の戦略により、営業利益・経常利益の改善を目指しています。今後、自転車関連事業からの撤退による事業構造の最適化や、新規分野開拓の進捗が注目されます。現在の株価は純資産価値を下回る水準ですが、PERやPBRは業界平均を上回っており、割安感は薄いと評価できます。
12. 企業スコア
- 成長性:C
- LTM売上成長率は前年比で-5.30%と減少しており、過去数年の売上高も減少傾向が続いているため、成長性は低いと評価します。
- 収益性:C
- LTM営業利益率は5.91%(直近中間期4.4%)と、売上減少の中で利益率維持に努めていますが、業界平均が不明なため一般的な製造業として評価すると、特に高い水準ではありません。鉄鋼市況に左右されやすい構造です。
- 財務健全性:S
- 自己資本比率58.9%、流動比率1.75、D/Eレシオ23.00%と、非常に健全な財務体質を維持しており、高い評価に値します。
- 株価バリュエーション:C
- PER11.24倍(業界平均8.7倍)、PBR0.77倍(業界平均0.5倍)と、業界平均と比較すると割高感が否めません。純資産価値を下回る水準ではありますが、相対的な割安感は弱いと評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 7305 |
| 企業名 | 新家工業 |
| URL | http://www.araya-kk.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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