指月電機製作所（6994）企業分析レポート
個人投資家の皆様へ、指月電機製作所（証券コード: 6994）に関する企業分析レポートをお届けします。
1. 企業情報
指月電機製作所は、コンデンサ・モジュールと電力機器システムを製造・販売する電機メーカーです。特に、大型コンデンサに強みを持ち、車載用高耐熱フィルムコンデンサでは業界上位のシェアを有しています。三菱電機や村田製作所といった大手企業と密接な関係を築いています。小型・軽量化、高耐熱性、高機能化といった市場のニーズに応じた製品開発・展開を進めています。事業別の売上構成比は、コンデンサ・モジュール事業が66%、電力機器システム事業が34%です（2025年3月期）。海外売上比率は23%です。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、大型コンデンサ、特に車載用高耐熱フィルムコンデンサにおいて高い競争力を持つとされています。自動車の電動化（xEV）進展に伴い、高耐熱・高信頼性の車載用コンデンサの需要は高まっています。電力機器システム分野では、国内の設備投資需要を取り込み、売上を伸長させています。大手電機メーカーとの資本提携や取引関係は、技術開発や販路において有利に働く可能性があります。一方で、xEV市場での特定の採用モデルのピークアウトによる影響や、海外市場での競争圧力は課題となる可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信からは、生産性改善、価格適正化、資源配分の見直しを継続的な施策として推進していることが伺えます。中間期における営業利益の大幅な改善は、これらの施策の進展と、高採算の電力機器システムの売上伸長が主因と説明されています。具体的な中期経営計画の数値目標に関する記載は今回の資料にはありませんが、効率化と事業ポートフォリオの最適化を通じて収益性の向上を目指していると考えられます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、電力を安定供給・制御するコンデンサおよび関連システムを多岐にわたる産業に提供することで成り立っています。
* コンデンサ・モジュール事業: xEV市場の成長が一時的に鈍化する可能性はあるものの、パワエレソリューションの需要は今後も堅調に推移すると見込まれます。また、小型・軽量・高機能化への技術開発は、持続的な競争優位につながります。
* 電力機器システム事業: 国内の設備投資需要に支えられており、電力インフラの効率化や省エネルギー化の重要性が増す中で、安定的な収益基盤として機能しています。
市場ニーズの変化への適応力としては、自動車の電動化や産業機器の高度化といったトレンドに対応した製品開発が鍵となります。
5. 技術革新と主力製品
同社は、大型コンデンサ技術と高耐熱フィルムコンデンサ技術をコアとしています。主力製品は以下の通りです。
* 車載用高耐熱フィルムコンデンサ: xEV市場向けに、高い耐熱性と信頼性を誇る製品を提供しており、その技術力は業界内で評価されています。しかし、決算短信では特定モデルのピークアウトによる影響も指摘されており、次世代モデルへの採用拡大が課題です。
* 電力機器システム: 進相コンデンサや直列リアクトルなど、工場の力率改善や電力の品質向上に貢献する機器を提供しており、国内の設備投資需要を背景に売上を伸ばしています。
技術開発では、小型化・軽量化、高機能化、高耐熱化といった方向で進化を続けており、顧客の多様なニーズに対応しています。
6. 株価の評価
現在の株価は726.0円です。
* PER（会社予想）: 11.11倍
* 業界平均PER: 12.9倍
* 現在のPERは業界平均と比較して割安水準にあります。
* PBR（実績）: 0.76倍
* 業界平均PBR: 0.8倍
* 現在のPBRは業界平均と比較してやや割安水準にあります。
* EPS（会社予想）: 65.33円
現在の株価は、市場全体や業界平均と比較して、指標上は割安感があると言えるでしょう。
7. テクニカル分析
直近の株価は、年初来安値321円に対し、本日株価726円、年初来高値774円を記録しており、高値圏で推移しています。特に、決算発表があったとみられる直近10日間で株価は大幅に上昇し（10月24日の終値574円から11月6日の高値774円）、その後やや調整しています。50日移動平均線（539.50円）および200日移動平均線（438.56円）を大きく上回っており、短期から中期のトレンドは強い上昇基調にあることが示唆されます。しかし、短期間での急騰の後であるため、過熱感や調整のリスクも考慮する必要があります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年間は緩やかな成長を示しており、2022年3月期 23,874百万円からLTM（過去12か月）では27,346百万円と伸長しています。直近四半期の売上成長率は前年比7.40%と堅調です。2026年3月期の通期予想売上高も28,000百万円と前年比で増加を見込んでいます。
- 利益: 営業利益は2024年3月期で1,098百万円でしたが、LTMでは1,990百万円と大幅に改善しています。営業利益率もLTMで約11.40%と収益性が向上しています。中間期決算（2026年3月期第2四半期）では、営業利益が前年同期比98.9%増と大幅な増益を達成しており、通期予想も営業利益2,350百万円（前年比18.0%増）と大幅な上方修正を行っています。ただし、営業外収益に受取保険金117.6百万円の一時的な利益計上があった点には留意が必要です。
- キャッシュフロー（LTM）: 営業活動によるキャッシュフローは2.92B円とプラスを確保しており、事業による十分な資金創出能力があることを示しています。レバード・フリーキャッシュフローも444.38M円とプラスです。
- ROE（実績5.23%、LTM7.74%）: 収益改善によりLTMでは7.74%まで改善しており、効率的な株主資本活用が見られます。
- ROA（LTM4.19%）: 総資産に対する利益率も改善傾向にあります。
- 自己資本比率（実績61.0%、直近四半期62.0%）: 非常に高く、財務の安定性が極めて優れていることを示します。
- 流動比率（直近四半期4.01倍）: 短期的な支払い能力も極めて高く、財務健全性が良好です。
- D/E比率（直近四半期35.97%）: 総負債が自己資本に対して低い水準にあり、負債依存度が低いことを示しています。
9. 株主還元と配当方針
同社は株主還元に積極的な姿勢を示しています。
* 配当利回り（会社予想）: 2.75%（現在の株価726.0円、年間配当20.00円で計算）
* 1株配当（会社予想）: 20.00円（中間10.00円、期末10.00円）
* 配当性向（会社予想）: 29.60%
今期の通期配当予想は年間20円と、前回予想から増配されています。配当性向は約30%と、利益を内部留保と配当のバランスを考慮した水準にあります。また、筆頭株主が自社（自己株口）であり、発行済み株式に占める割合が23.61%であることから、過去に自社株買いによる株主還元も実施している可能性があり、今後の株主還元策にも注目が集まります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
決算発表を契機に株価は急伸しており、強い上昇モメンタムが見られます。直近10日間の出来高も大幅に増加しており（平均出来高（3ヶ月）153.3千株に対し、直近10日平均430.6千株）、投資家の関心が高まっていることが分かります。信用買い残が407.1千株、信用売り残が58.8千株、信用倍率が6.92倍となっており、買い残が売り残を大きく上回っています。株価への影響を与える要因としては、好調な決算内容と今後の業績見通し、増配発表が挙げられます。急騰後の調整局面ですが、上昇トレンドは維持されるか、更なる材料を待つ状態にあると言えます。
11. 総評
指月電機製作所は、コンデンサ・モジュールと電力機器システムを主軸に事業を展開する電機メーカーです。特に、大型コンデンサや車載用高耐熱フィルムコンデンサに強みを持ち、大手企業との関係も強固です。直近の決算では大幅な増益を達成し、通期業績予想及び配当予想を上方修正しました。これは、生産性改善努力と電力機器システム事業の好調が主な要因です。財務体質は自己資本比率62.0%、流動比率4.01倍と極めて健全であり、安定した経営基盤を築いています。株価は好決算を受けて急騰しましたが、PER、PBRともに業界平均と比較して割安感があります。一方で、xEV市場の一時的な減速や特定の採用モデルのピークアウトといった課題も抱えています。今後の見通しとしては、国内外の設備投資やxEV市場の動向が鍵となりますが、足元の業績改善と財務健全性は評価できる点です。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率（YoY）は7.40%、通期売上成長率（会社予想）は6.44%と堅調な伸びを見せています。爆発的な成長ではないものの、着実な増収が見込まれるため、A評価とします。
- 収益性: A
- 過去12か月の営業利益率は11.40%、EBITDA率は14.26%と、一般的に電機・精密業種としては高い水準にあり、決算短信の中間期営業利益率も8.4%に改善しています。生産性改善の進展が寄与しており、高い収益性を維持していると判断します。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率62.0%、流動比率4.01倍、D/E比率35.97%と、いずれの指標も非常に優れており、極めて健全な財務状況を示しています。
- 株価バリュエーション: A
- 会社予想PER11.11倍は業界平均12.9倍を下回り、PBR0.76倍も業界平均0.8倍を下回る、割安な水準にあります。直近の株価上昇を加味しても、依然として割安と判断できます。
企業情報
| 銘柄コード | 6994 |
| 企業名 | 指月電機製作所 |
| URL | http://www.shizuki.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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