エンシュウ(6218)企業分析レポート
東京証券取引所スタンダード市場に上場するエンシュウ(6218)について、各種データに基づき分析を行います。

1. 企業情報

エンシュウは1920年設立の歴史ある企業で、主に工作機械関連事業と部品加工関連事業を展開しています。部品加工では、ヤマハ発動機の二輪車エンジン部品、スノーモービル、ゴルフカート、バギーなどの部品製造・組立が主力です。工作機械では、マシニングセンタやNC加工機などの汎用機、フレキシブルトランスファーラインなどのシステム設備を提供しています。近年は、高出力レーザーダイオードやダイオードプラスチック溶接システムといったレーザー加工機にも注力しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

エンシュウは、主要顧客であるヤマハ発動機向けに二輪車部品加工を長年手掛けることで、安定的な事業基盤を築いています。工作機械事業においては、一般的なマシニングセンタから、フレキシブルな生産システムまで幅広く提供しており、自動車産業を中心に高い技術力を有しています。しかし、工作機械市場は景気変動や設備投資サイクルに影響を受けやすく、大型案件の受注タイミングによって業績が大きく変動する課題があります。特定の主力顧客に依存している点が安定性をもたらす一方で、その顧客の事業動向が業績に直接影響を与えるリスクも持ち合わせています。

3. 経営戦略と重点分野

エンシュウは、部品加工事業で堅実な収益を確保しつつ、工作機械事業の収益性改善に取り組んでいます。直近の決算短信からは、「構造改革(固定費削減等)」を通じて収益改善を図っていることが伺えます。また、高出力レーザーダイオードやダイオードプラスチック溶接システムといった「レーザー加工機」の技術開発と事業拡大は、新たな収益源の確立と市場ニーズへの対応を目指す重点分野と考えられます。自動化システムの強化も生産性向上と顧客ニーズへの対応を意識した戦略としています。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の事業モデルは、比較的安定した「部品加工関連事業」と、景気動向や大型案件の周期性に左右される「工作機械関連事業」の二本柱で構成されています。部品加工事業は中期的に安定的な収益源として位置付けられている一方、工作機械事業の不安定性が全体の収益性を押し下げる要因となることがあります。レーザー加工機や自動化システムの強化は、新たな技術や市場ニーズに適応し、事業ポートフォリオを多様化することで持続可能性を高める戦略と見られます。ただし、市場の変化への適応スピードや競合との差別化が今後の課題となります。

5. 技術革新と主力製品

エンシュウは、従来の切削加工機(マシニングセンタ、NC加工機)に加えて、近年生み出した高出力レーザーダイオードやダイオードプラスチック溶接システムといったレーザー加工機に注力しています。これは、先進的な加工技術へのニーズに応えるもので、新たな成長ドライバーとなる可能性を秘めています。主力製品としては、収益の約6割を占める「部品加工関連事業」における二輪車・船外機部品など、および残りの約4割を占める「工作機械関連事業」のマシニングセンタ、NC加工機、システム設備が挙げられます。

6. 株価の評価

  • 現在の株価: 514.0円
  • 1株当たり利益(EPS、会社予想): 15.86円
  • 1株当たり純資産(BPS、実績): 1,618.75円
  • PER(会社予想): 32.41倍
  • PBR(実績): 0.32倍

会社予想EPSに基づくと、PERは32.41倍となり、業界平均PER 10.7倍と比較して割高な水準にあります。一方で、PBRは0.32倍と、業界平均PBR 0.7倍を下回っており、純資産に対して株価が割安であると評価できます。ただし、実績ベースのROEがマイナスであるなど収益性が低迷しているため、PBRが低いだけでは一概に割安とは判断できない側面もあります。今後の収益改善とその持続性が株価評価に影響を与えると考えられます。

7. テクニカル分析

現在の株価514.0円は、年初来高値603円、年初来安値415円のレンジ内で推移しています。52週高値620円、52週安値415円と比較しても同様の傾向です。
50日移動平均線507.60円をやや上回っており、200日移動平均線476.93円も上回っていることから、中長期的な株価は上昇トレンドにあるか、または底堅い推移を示しているように見受けられます。直近10日間の株価推移を見ると、508円から514円の間で小幅な上下動を繰り返しており、大きな方向感は出ていません。出来高は非常に少なく、流動性は低い水準です。

8. 財務諸表分析

  • 売上高:

    • 2022年3月期 23,904百万円
    • 2023年3月期 24,813百万円
    • 2024年3月期 24,091百万円
    • 過去12か月(2025年3月期実績)21,886百万円
    • 2026年3月期 第1四半期 4,852百万円(前年同期比 -10.8%)
    • 通期予想(2026年3月期)20,000百万円

    売上高は過去数年でやや減少傾向にあり、直近の過去12か月(2025年3月期実績)は前年比で減少、第1四半期も前年同期比で減収となりました。2026年3月期の通期予想も20,000百万円と、2025年3月期実績からさらに減少を見込んでいます。
    利益:
    売上総利益: 過去12か月で2,684百万円、2024年3月期の3,996百万円から減少しています。第1四半期は738百万円(売上総利益率15.2%)と、前年同期の534百万円から改善しています。
    営業利益: 過去12か月で-705百万円と赤字でしたが、2026年3月期 第1四半期は29百万円と黒字転換しました(営業利益率0.6%)。これは、売上総利益率の改善と販管費の削減(構造改革の効果)によるものです。
    純利益: 過去12か月で-2,261百万円と大幅な赤字でしたが、第1四半期は106百万円と黒字転換しました。過去12か月の赤字には、非経常的な損失(Total Unusual Items -1,413百万円)が大きく影響しています。
    キャッシュフロー: 第1四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていませんが、現金及び預金は前期末から減少しています。
    ROE(実績): (連)-20.38% (過去12か月 -16.79%)。純損失が出ているためマイナスとなっています。
    ROA(実績): (過去12か月) -0.77%。こちらも純損失が出ているためマイナスです。
    自己資本比率(実績): (連)34.8%。第1四半期末時点では35.4%と若干改善しましたが、一般的な目安とされる40%を下回っており、財務基盤の強化が望まれます。
    流動比率(直近四半期): 1.65倍(165%)。流動負債に対する流動資産の比率は比較的健全な水準です。
    総負債/純資産比率(Total Debt/Equity、直近四半期): 89.31%。有利子負債は有利子負債÷純資産で約0.89倍となり、極端に高い水準ではありませんが、自己資本比率の低さと合わせて考慮すると、財務レバレッジはやや高いと言えます。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 1.95%
  • 1株配当(会社予想): 10.00円
  • 配当性向: 会社予想EPS 15.86円に対して1株配当10.00円とすると、配当性向は約63.05%となります。LTMの純利益は赤字のため、実質的な配当性向は算出できませんが、会社は黒字転換を見込み、安定配当を維持する方針と見られます。過去5年平均配当利回りは2.04%であり、ほぼ同水準を維持しています。自社株買いなどの株主還元策に関する明確な記載は確認できませんでした。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近10日間の株価推移は小動きで、出来高も非常に少ないため、現在の投資家からの注目度は限定的と見られます。52週変化率は-16.96%と、市場平均(S&P 500の同時期の変化率+12.12%)を大きく下回っており、株価モメンタムは弱い状況です。信用取引の状況を見ると、信用買残が信用売残を大きく上回っており(信用倍率53.64倍)、今後株価が上昇した場合、信用買いの解消売りが上値を抑える要因となる可能性も考えられます。

11. 総評

エンシュウは、安定した部品加工事業と、変動の大きい工作機械事業を擁する企業です。2025年3月期は大幅な純損失を計上しましたが、2026年3月期第1四半期では構造改革による販管費削減と売上総利益率の改善により、営業利益・純利益ともに黒字を確保しました。しかし、売上高は依然として減少傾向にあり、通期予想も厳しい見通しです。自己資本比率も低く、財務健全性には課題が見られます。一方で、レーザー加工機といった新技術への注力は、将来の成長への期待材料です。株価は、PBRが業界平均を下回り割安感があるものの、PERは高く、収益性の低迷が株価評価の重荷となっています。現状、企業の事業環境と財務状況は厳しいものの、構造改革や新分野への投資による収益改善の兆しが見られる点が今後の注目点となります。

12. 企業スコア

  • 成長性: D
    • 過去数年間の売上は横ばい〜微減傾向にあり、直近の過去12か月および第1四半期の売上高も前年同期比で減少。2026年3月期の通期予想も売上減少を見込んでいるため、成長性は低いと評価します。
  • 収益性: D
    • 過去12か月の営業利益率が0.60%、純利益率が-8.59%と低く、純損失を計上しています。第1四半期は黒字転換したものの、営業利益率0.6%は依然として低い水準であり、業界平均を大きく下回ると考えられます。
  • 財務健全性: C
    • 自己資本比率が35.4%と目安の40%を下回っています。流動比率は1.65倍で比較的健全ですが、総負債/純資産比率が約0.89倍とやや高いことも考慮すると、財務健全性はやや弱いと評価します。
  • 株価バリュエーション: C
    • PER(会社予想)32.41倍は業界平均(10.7倍)と比較して割高です。PBR(実績)0.32倍は業界平均(0.7倍)と比較して割安感がありますが、低いROEや収益性低迷を考慮すると、PBRの低さだけで割安と判断することは難しいと判断し、中立寄りの評価とします。

企業情報

銘柄コード 6218
企業名 エンシュウ
URL http://www.enshu.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 機械 – 機械

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。

投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。

なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。

企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。