東洋建設(1890)企業分析レポート
注記:本資料は提供データに基づく客観的整理であり、投資助言ではありません。将来予測は不確実性を含みます。
1. 企業情報
- 概要:海上土木に強みを持つ総合建設。港湾・空港・浚渫・埋立から、国内建築、海外(主にフィリピン)まで展開。洋上風力では海底ケーブル敷設・埋設分野に注力。
- セグメント:国内土木、国内建築、海外建設、洋上風力建設、不動産・その他
- 事業構成(参考):国内土木54%、国内建築36%、海外建設10%(2025/3期・海外売上比率約10%)
- トピック:大成建設による公開買付け(TOB)を経て、2025/9/30付で大成建設の連結子会社化。決算短信記載の予定では、2025/12/16に上場廃止見込み(臨時株主総会承認等が前提)。
- 人員・属性:従業員1,817人、平均年齢43.1歳、平均年収約838万円
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:海上土木の専業系大手。港湾・浚渫・埋立などの専門性で差別化。都市部建築や海外(フィリピン)にも強み。
- 競争優位性:
- 海上土木の専門機材・施工ノウハウ(浚渫・埋設、海底ケーブル等)
- 洋上風力に向けた設備投資(自航式ケーブル敷設船)
- 大成建設グループ入りによる案件獲得・信用力の補強が想定される
- 課題:
- 海外(新興国)案件の収益変動リスク
- 資材・人件費の上昇、工期・工程管理、JV案件の収支管理
- 洋上風力の本格市場立上がり(政策・制度・促進区域)のタイムラグ
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方針(中計テーマ):守りから攻めへ(資本効率、サステナビリティ、ガバナンス強化)
- 重点:
- 洋上風力:海底ケーブル敷設・埋設のトップシェア獲得を目指す。自航式ケーブル敷設船に投資(2026年6月末引渡し予定)
- 国内:社会インフラ更新、国土強靭化、防災・減災に対応。民間建築(生産・物流施設等)の収益性改善
- 海外:フィリピンを中心に民間案件の拡大と人材育成
- 受注動向(2026/3期上期):受注高262,027百万円(前年比+22.7%)、受注残82,323百万円(+25.7%)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:受注産業としての工事収益。海上土木の専門工事と民間建築の組合せでポートフォリオを構成。
- 需要環境:国土強靭化・老朽インフラ更新、防災・減災需要は継続。洋上風力は促進区域の具体化とともに中期的に施工本格化(会社見通しでは2027年度以降)。
- 適応力:
- 専門船・機材投資による高付加価値領域への対応
- グループ化による大型案件・総合提案力の強化余地
- リスク対応:コスト上昇・工程遅延・為替等の管理強化が前提。営業CFのブレ(前受・出来高・JV清算等)は建設業の構造的特徴。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性:浚渫・埋設・海底ケーブル等の海上施工技術。自航式ケーブル敷設船の建造で洋上風力EPCIの競争力強化を狙う。
- 収益牽引:
- 国内建築の利益率改善が直近上期の営業増益に寄与
- 海外建築も民間案件を中心に利益率改善
- 海外土木は当期上期は赤字(固定費吸収不足)
6. 株価の評価(バリュエーションの機械的比較)
- 前提(提供データ)
- 株価:1,740円
- 予想EPS:90.47円、実績BPS:784.48円
- 予想PER:19.23倍、実績PBR:2.22倍
- EV概算:時価総額164,206百万円 + 純有利子負債約6,650百万円 ≒ 170,856百万円
- 売上高(LTM):約172,605百万円 → EV/S ≒ 0.99倍
- 業界平均:PER 14倍、PBR 1.1倍
- 機械的比較(参考)
- PER基準(業界平均14倍×EPS 90.47円)=約1,267円
- PBR基準(業界平均1.1倍×BPS 784.48円)=約863円
- 補足:足元はTOB・上場廃止予定に伴う特殊要因で株価が安定推移しており、通常の相対比較は平時と解釈が異なる可能性。
7. テクニカル分析(短期)
- 直近推移:10/28以降ほぼ1,740〜1,741円の極小レンジで推移。出来高は10/30に急増、その後は落ち着く。
- 位置関係:50日移動平均1,741.8円近辺、200日1,513.9円を上回る。年初来高値1,821円に対しやや下。
- 評価:イベントドリブン(TOB・上場廃止予定)によりボラティリティが抑制された状態。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(連結、百万円)
- 2022/3:売上152,524、営利9,616、純利5,863
- 2023/3:売上168,351、営利8,996、純利5,656
- 2024/3:売上186,780、営利10,888、純利7,016
- 2025/3(LTM同値):売上172,605、営利11,651、純利8,311
- 傾向:2025/3は売上は前期比減少だが、営業・純利益は増加。粗利率は約13.9%、営業利益率約6.8%、純利益率約4.8%。
- 2026/3期 上期(会社公表)
- 売上94,590(+28.5%)、営業3,568(+28.7%)、営業利益率約3.8%
- セグメントでは国内建築・海外建築が利益改善。海外土木は赤字、洋上風力は先行費用で赤字。
- 効率・収益性
- ROE(実績):10.71%
- ROA(LTM):約5.3%(提供指標)
- 財政状態・安全性
- 自己資本比率:42.7%(実績)
- 流動比率:1.57(直近四半期)
- D/E:総有利子負債/自己資本 ≒ 27.3%
- キャッシュフロー(LTM)
- 営業CF:▲115.8億円、レバードFCF:▲234.3億円
- コメント:建設業特有の運転資本(前受・出来高・JV清算等)で期中の振れが大きい。上期も営業CFはマイナス。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績(2025/3期):年間88円(中間30円、期末58円)
- 今期予想(2026/3期):会社予想は年間0円(中間・期末とも0円)
- 配当性向(参考):トレーリングベース約61%(提供データ)
- 自己株式等:自己株式約0.05%。株式併合・自己株式消却(条件付)等の議案が提示。TOB・上場廃止過程に伴い、今後の配当・資本政策は親会社方針の影響を受ける見込み。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週騰落+33.0%。直近は1,740円に収れんし上昇・下降の勢いは限定的。
- 需給・関心:
- インサイダー保有比率約82%、親会社・戦略株主で大半を占め、フリーフロートが小さい
- 10/30に出来高急増(イベント関連とみられる)。以降は出来高縮小
- 影響要因:TOB・上場廃止スケジュール、受注動向、資材価格、洋上風力の進捗(船の引渡し等)
11. 総評
- 海上土木と建築の二本柱に、洋上風力(海底ケーブル)を成長ドライバーとして位置付け。上期は大幅増収、建築の収益性改善が確認できる一方、海外土木・洋上風力は先行費用・固定費吸収の課題が残る。
- 財務安全性は自己資本比率40%超・D/E30%弱と良好。営業CFは期中の振れが大きく、運転資本管理が引き続き重要。
- バリュエーションの機械比較では、業界平均PER・PBRに対し高めに見えるが、足元はTOB・上場廃止予定による特殊要因で価格形成が平時と異なる。短期のテクニカルは極小レンジでの推移。
- グループ入りにより中長期の事業機会(大型案件連携、資本力による設備投資推進)が想定される一方、少数株主の取扱いや流動性は上場廃止計画により大きく変化する見込み。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
注:定量指標を基準とした暫定評価。一過性損益は除外。欠損はBとする。
– 成長性:C
– 根拠:LTM売上は前期比減少(186,780→172,605百万円)。一方で上期は増収・受注残増。総合してC。
– 収益性:B
– 根拠:LTM営業利益率約6.8%、EBITDA率約8.1%、純利益率約4.8%。建設業平均と比較して中位~やや良好水準と整理。
– 財務健全性:A
– 根拠:自己資本比率42.7%、流動比率1.57、D/E約27%。総じて健全。
– 株価バリュエーション:C
– 根拠:PER19.2倍、PBR2.22倍は業界平均(PER14倍、PBR1.1倍)を上回る。EV/Sは約0.99倍。特殊要因(TOB・上場廃止予定)あり。
— 参考データ —
– 株価レンジ:年初来高値1,821円/安値1,137円
– 直近イベント(決算短信記載の予定):臨時株主総会11/13、最終売買日12/15、上場廃止12/16(予定)
– 次回決算予定:通期は会社公表どおり(修正なし)
免責:本資料は提供情報の要約・計算に基づく客観的整理です。正確性には留意していますが、最新の開示・原資料をご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
企業情報
| 銘柄コード | 1890 |
| 企業名 | 東洋建設 |
| URL | http://www.toyo-const.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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