住友ベークライト(4203)企業分析レポート

株価:5,220円(2025-11-13終値)/市場:東証プライム/業種:化学(Specialty Chemicals)

1. 企業情報

  • 概要と事業内容
    • 1932年創業の総合樹脂加工メーカー。フェノール樹脂(ベークライト)に端を発し、現在は半導体関連材料、高機能プラスチック、QOL関連製品(医療・フィルム・産業機能材等)をグローバルに展開。
    • 半導体封止材(エポキシ樹脂成形材料)で世界トップクラス。感光性材料、ボンディングペースト、基板材料(LαZなど)も展開。
    • 高機能プラスチックは工業用樹脂、成形品、積層板、航空機内装部材など。QOL分野では医療機器・医薬、診断薬・バイオ、鮮度保持フィルム、防水シート等。
    • 事業構成(直近期の外部売上概算比率):半導体関連材料32〜33%、高機能プラスチック約33%、QOL関連約34%。海外売上比率は約64%。
  • 本社:東京都品川区東品川2-5-8
  • 代表者:決算短信記載 代表取締役社長 鍜治屋 伸一(2025/11/4時点)

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション
    • 半導体封止材で世界首位クラス。高耐熱・低応力・低吸湿などの材料技術に強み。
    • 事業ポートフォリオは、景気循環性の高い半導体と、比較的ディフェンシブな医療・フィルム等がバランス。
  • 競争優位性
    • 長年の材料設計・量産ノウハウ、品質信頼性(顧客認証)と広い顧客基盤。
    • 先端パッケージ・高周波対応材料、銅張積層板などで高付加価値品の比率を高めている点。
  • 課題
    • 半導体・自動車などの需要変動の影響を受けやすい。
    • 原材料価格・物流費、為替の変動感応度が高い。
    • 高機能プラスチックの一部で北米自動車市況の弱さや不採算品整理の影響。

3. 経営戦略と重点分野

  • 方針(決算短信・会社方針より)
    • 収益構造の改善:高付加価値製品シフト、販売価格改定、構造改革(不採算製品の整理)。
    • 成長分野集中:AI・データセンター向けを含む半導体先端パッケージ材料、基板材料(LαZ等)、医療・産業機能材。
    • グローバル展開強化:中国・東南アジア・北米等の需要地での供給体制最適化。
  • 重点施策(中期)
    • 設備投資は選択と集中(有形固定資産取得は継続、CF範囲内で実施)。
    • 製品ミックス改善と減価償却・コスト構造の最適化。
    • ガバナンス・資本効率の改善(ROEの段階的引き上げ)。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益源
    • 半導体サイクルの回復局面では封止材・感光性材料・基板材料等が収益牽引。
    • QOL(医療・フィルム・防水シート等)がポートフォリオの安定化に寄与。
  • 適応力
    • 高付加価値領域へのシフトと価格改定でマージン改善を図る方針。
    • 海外売上比率が高く、為替影響はある一方、地域分散により特定地域の需給変動リスクを緩和。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の方向性
    • 先端パッケージ向け封止材(低ワーページ、低吸湿、熱・信頼性特性)、高周波対応の低誘電材料、感光性樹脂、銅張積層板(LαZ)など。
    • 医療・診断分野での材料・デバイス技術、産業用機能フィルム・シートの高機能化。
  • 主力・牽引製品
    • 半導体封止材・感光性材料・ボンディングペースト、基板材料が直近成長。
    • QOLでは医療機器・フィルム、防水シート等が収益基盤。

6. 株価の評価(バリュエーションの目安)

  • 前提
    • 株価:5,220円、EPS(会社予想):268.13円、BPS(実績):3,519.5円
    • PER:19.47倍、PBR:1.48倍(提示データ)
    • 業界平均:PER 20.4倍、PBR 1.1倍
  • 相対比較
    • PERは業界平均比でやや低位(≒小幅ディスカウント)。
    • PBRは業界平均比で高位(≒プレミアム)。
  • 参考レンジ計算
    • 業界平均PER適用価格 ≒ 268.13×20.4 = 約5,472円(現株価比 +約4.8%)
    • 業界平均PBR適用価格 ≒ 3,519.5×1.1 = 約3,871円(現株価比 −約26%)
    • EV/EBITDA(TTM)≒ 9.5倍(EV≈4,092億円、EBITDA≈429億円)
  • 補足
    • ネットキャッシュ基調(現金等約1,120億円、総有利子負債約318億円)で財務余力がある点はバリュエーションの下支え要因になり得る。

(本節は相対比較の事実整理であり、投資判断を示すものではありません)

7. テクニカル分析(短期)

  • トレンド
    • 50日移動平均:5,027円、200日:4,114円。株価は両MAを上回り上昇トレンドを維持。
    • 年初来高値:5,489円(2025-11-04)。現値は高値から約−4.9%の位置。
  • 需給・出来高
    • 3カ月平均出来高約30.2万株に対し、直近10日平均約52.8万株と増加(イベント後の関心高まり)。
    • 信用倍率3.03倍、信用買残の増加が確認でき、短期需給は買い寄りに傾斜。
  • 価格帯
    • サポート候補:5,000〜5,100円ゾーン(直近の押し目形成帯)。
    • レジスタンス候補:5,274円(直近高値)、5,489円(年初来高値)。

8. 財務諸表分析

  • 成長
    • 売上高(連結):2631億円(2022/3)→ 2849億円(2023/3)→ 2873億円(2024/3)→ 3,048億円(TTMベース、表データに基づく)。LTM成長率約+6%、3年CAGR約+5%。
  • 収益性(TTM目安)
    • 粗利率:約30.7%(935億/3,048億)
    • 営業利益率:約8.1%(248億/3,048億)
    • EBITDAマージン:約14.1%(429億/3,048億)
    • 親会社純利益率:約6.3%(193億/3,048億)
    • ROE:6.5%、ROA:4.5%(会社データ)
    • 半期(2025上期)は営業利益率約10.5%と改善傾向。
  • 安定性・効率
    • 自己資本比率:約69.6%、D/E(総負債/資本):約0.42、流動比率:約2.8倍。財務健全性は高い。
    • 営業CF(TTM):374億円、レバードFCF:192億円(プラス)。
    • インタレストカバレッジ(TTM)≒ 86倍と余裕。
  • セグメント動向(2025/4-9累計)
    • 半導体関連:売上+11%で牽引(AI/メモリ回復、中国需要など)。
    • 高機能プラスチック:−4%(北米自動車弱含み・構造改革の影響)。
    • QOL関連:+1%(医療・防水等堅調、一部診断薬・再生医療向け弱含み)。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当
    • 2025/3期:年間95円(期末に記念配5円含む)
    • 2026/3期(会社予想):年間105円(中間50円・期末55円)
    • 予想配当利回り:約2.01%(株価5,220円基準)、Payout Ratio約42%。
  • 自己株式
    • 期末自己株式比率:約6.5%(6,100,865株)。過去の取得蓄積が確認できるが、直近の新規取得方針は資料記載なし。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム
    • 52週騰落:約+29%。イベント(決算)通過後に出来高増を伴う推移。
    • ベータ0.54と相対的に低ボラティリティ。
  • 投資家属性
    • 機関投資家保有比率:約58%、インサイダー約13%、フロート約6,733万株。
    • 信用買いの積み上がり(信用買残+24.5千株/週)により短期の値動きは需給の影響を受けやすい可能性。
  • 予定イベント
    • 次回決算発表(予定):2026-02-02
    • 権利落ち(予想):2026-03-30

11. 総評

  • 事業面
    • 半導体材料の回復と高付加価値品シフトで収益性が改善。QOL分野が下支えし、ポートフォリオの安定性も一定。
  • 財務面
    • 強固なバランスシート(自己資本比率約70%、実質ネットキャッシュ)とプラスのFCFで投資・還元余力がある。
  • バリュエーション
    • PERは業界平均比で小幅ディスカウント、PBRはプレミアム。ネットキャッシュや先端材料の成長期待を織り込みつつ、書値基準では中立〜均衡的なレンジに位置。
  • リスク・留意点
    • 半導体サイクル変動、北米自動車市況、原材料・物流価格、為替、地域政治・貿易動向。セグメント間での成長・採算のばらつきにも留意。

(本レポートは公開情報に基づく客観的整理であり、投資助言を目的とするものではありません)

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:A
    • LTM売上成長率約+6%、3年CAGR約+5%。半導体関連の回復が寄与。
  • 収益性:B
    • 粗利率約31%、営業利益率8〜10%台。改善傾向だが業界平均比で中位圏。
  • 財務健全性:S
    • 自己資本比率約70%、D/E約10%(有利子負債ベース)、流動比率約2.8倍。ネットキャッシュで安全性高い。
  • 株価バリュエーション:B
    • PERは業界平均比でやや低位、PBRは高位。総合的に平均的な評価水準。

参考計算(抜粋)
– EV ≒ 時価総額4,894億 + 有利子負債318億 − 現金等1,120億 = 約4,092億円
– EV/売上高(TTM)≒ 1.34倍、EV/EBITDA(TTM)≒ 9.5倍
– FCF利回り(TTM)≒ 1,919億円 / 4,894億円 ≈ 3.9%

データ出所:ご提示の決算短信(2026年3月期第2四半期)、財務・株価指標、株主データ等。数値は四捨五入のため合算と一致しない場合があります。


企業情報

銘柄コード 4203
企業名 住友ベークライト
URL http://www.sumibe.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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