1. 企業情報
粧美堂は、化粧品、化粧雑貨、服飾雑貨、コンタクトレンズ関連商品などを企画・製造・販売するファブレスメーカーです。ファブレス形態をとることで、企画開発に特化し、生産は外部委託しています。特にキャラクター商品に強みを持つほか、自社企画商品の開発・販売に注力しています。中国市場への展開も積極的に行っています。連結事業セグメントの内訳(2024.9期)は、化粧品39%、化粧雑貨33%、服飾雑貨11%、コンタクトレンズ関連12%、その他5%となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
粧美堂は、化粧・服飾雑貨業界においてファブレスメーカーとしての地位を確立しています。自社企画商品やキャラクター品の展開は、競合他社との差別化につながる競争優位性であると考えられます。特にキャラクター品においては、多様な版権元との提携を通じて幅広い商品ラインナップを展開している可能性があり、特定のニッチ市場で強いポジションを築いていることが推測されます。
一方で、市場シェアに関する具体的なデータは提供されていません。ファブレスモデルは在庫リスクを抑制できる反面、製造能力の確保や品質管理において外部パートナーへの依存度が高いという課題も持ち合わせています。また、中国市場に注力していることは成長機会となりますが、為替変動リスクや現地の経済情勢、競合環境の変化に影響を受けやすい側面もあります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、自社の強みを活かした戦略を推進しています。決算短信によると、「Only 粧美堂」を掲げたナショナルブランド(NB)商品の強化とプライベートブランド(PB)商品の両輪運営を重点分野としています。
具体的な施策としては以下の点が挙げられます。
* 商品企画力強化と粗利率向上: 自社企画NB商品の好調や販売単価上昇により、粗利率の改善を目指しています。
* 販売チャネルの拡大と効率化: EC販売(約40%成長)を強化し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することで、データ分析に基づく在庫最適化など、販売拡大と業務効率化を図っています。
* グループ会社再編: 資本効率を意識した経営体制を構築するため、グループ会社の再編を実施しています。2025年9月期には株式会社ピコモンテ・ジャパンを子会社化し、ビューティードア株式会社の全株式を譲渡しています。
これらの戦略は、中長期的な収益体質の強化に貢献すると見られます。
4. 事業モデルの持続可能性
粧美堂の事業モデルは、企画・販売に特化したファブレス形態により、市場のトレンド変化に柔軟に対応できる持続可能性を持っています。自社企画やキャラクター品といった独自性の高い商品展開は、ブランドロイヤルティの構築に寄与し、収益の安定化につながります。ECチャネルの積極的な活用は、消費者ニーズの変化への適応力を高め、新たな成長ドライバーとなっています。
一方で、化粧品・雑貨市場は流行の移り変わりが早く、常に新しい魅力的な商品を投入し続ける企画力が求められます。また、原材料価格や物流コストの変動、為替リスク、国際情勢(特に中国市場)は、収益に影響を与える可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
粧美堂の事業においては、直接的な製造技術よりも、市場トレンドを捉えた商品企画力やデザイン力、マーケティング力が重要な「技術革新」の要素となります。キャラクターコラボレーションやフェースマスクなどのNB化粧品、PB服飾雑貨は、収益を牽引している主力製品として決算短信で言及されています。
特に、化粧品セグメントにおいては、NB商品(キャラクターコラボ、フェースマスク等)が好調であり、子会社化したピコモンテ・ジャパンの寄与も加わっています。服飾雑貨もPB商品を中心に増収となっており、これらが収益に大きく貢献しています。一方、コンタクトレンズ関連は中国EC撤退の影響で大幅減となっています。
6. 株価の評価
現在の株価873.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想2026年9月期EPS 70.40円):12.39倍
* PBR(実績2025年9月期BPS 561.58円):1.55倍
業界平均と比較すると、業界平均PER10.0倍に対し12.39倍、業界平均PBR0.5倍に対し1.55倍といずれも上回っており、現在の株価は業界平均と比較して割高感があると言えます。ただし、比較対象の業界平均が広範なカテゴリであるため、あくまで参考として捉える必要があります。
7. テクニカル分析
現在の株価873.0円は、年初来高値1,026円から約15%下落しており、年初来安値480円からは大きく上昇しています。直近10日間の株価推移を見ると、本日高値893円、本日安値861円と、800円台後半で推移しており、前日終値893円からはやや下落しています。
200日移動平均線686.45円を大きく上回っていることから、中長期的な上昇トレンドは継続していると見られます。一方で、50日移動平均線895.90円を下回っており、直近は高値からの調整局面にあると言えます。短期的には上値が重い展開となる可能性もありますが、長期的な視点では比較的高い水準にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
粧美堂の過去数年間の財務状況は以下の通りです。(単位:百万円)
| 指標 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 (実績) | 過去12ヶ月 (LTM) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 14,125 | 17,280 | 20,443 | 20,919 | 22,122 | 21,550 |
| 売上総利益 | 4,098 | 4,804 | 5,369 | 5,504 | 7,055 (※) | 6,490 |
| 営業利益 | 355 | 635 | 869 | 1,010 | 1,469 | 1,098 |
| 親会社株主純利益 | 207 | 511 | 475 | 773 | 977 | 911 |
| 営業利益率(%) | 2.5 | 3.7 | 4.2 | 4.8 | 6.6 | 8.1 |
| ROE(%) | — | — | 13.96 | 12.78(LTM) | 14.0 | 12.78 |
| 自己資本比率(%) | — | — | 45.5 | 45.5 | 45.5 | — |
| 営業CF | — | — | 832 | — | 918 | — |
| 投資CF | — | — | △396 | — | +214 | — |
| 財務CF | — | — | △811 | — | △508 | — |
※ 2025年9月期の売上総利益は、売上高22,122百万円と売上総利益率31.9%から逆算した概算値。
* 売上高: 過去5年間で継続的に成長しており、着実な増収傾向にあります。2025年9月期は前年比+5.7%の22,122百万円を達成しました。
* 利益: 営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに大きく増加傾向にあります。特に2025年9月期は売上原価率の改善(粗利率31.9%へ大幅改善)と自社企画商品の好調により、営業利益が前年比+45.5%と大きく伸長しました。営業利益率は2021年の2.5%から2025年には6.6%(LTMでは8.10%)と大幅に改善しており、収益性向上が顕著です。
* ROE: 2025年9月期実績で14.0%、過去12ヶ月実績で12.78%と、高い水準を維持しており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していると言えます。
* 自己資本比率: 2025年9月期末で45.5%と、財務の健全性は高い水準にあります。
* キャッシュフロー: 営業キャッシュフローは着実にプラスで推移しており、本業で安定的な資金を創出しています。投資キャッシュフローは2025年9月期にプラスに転じており、ビューティードア社の株式譲渡益が影響しています。財務キャッシュフローは配当支払いなどにより継続的にマイナスとなっていますが、健全な範囲内です。
全体として、売上・利益ともに成長し、収益性も大きく改善している一方で、財務基盤も健全に保たれていると言えます。
9. 株主還元と配当方針
粧美堂は株主還元に積極的な姿勢を示しています。
* 配当: 2025年9月期の実績配当は年間28.00円(中間11.50円、期末16.50円)で、連結配当性向は37.8%でした。2026年9月期の年間配当予想は30.00円(中間15.00円、期末15.00円)であり、配当性向予想は42.6%と増配を見込んでいます。
* 配当利回り: 会社予想年間配当30.00円に基づく現在の配当利回りは3.44%であり、安定的なインカムゲインを期待できます。
* 自社株買い: 現在、自己株式として200,200株(発行済株式の1.49%)を保有しており、株主還元策の一つとして自社株買いも行われています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
粧美堂の株価モメンタムは、52週変化率が73.74%と、S&P500の15.09%を大きく上回っており、過去1年間で強い上昇トレンドを示しています。しかし、現在の株価は年初来高値1,026円から約15%下落した水準にあり、直近は調整局面に入っています。
投資家関心としては、信用買残が直近週で10,900株増加し、信用倍率が14.46倍であることから、個人投資家の買い意欲は一定程度存在するものの、信用買いの増加は将来的な売り圧力となる可能性もあり、需給面では注意が必要です。
株価への影響要因としては、好調な業績、特に収益性の大幅改善やEC販売の成長がポジティブな影響を与えています。また、今後の中国市場の動向や、原材料価格・物流費の変動、為替変動なども株価に影響を与える可能性があります。
11. 総評
粧美堂は、化粧品・雑貨の企画販売を手掛けるファブレスメーカーとして、過去数年間にわたり継続的な売上成長と顕著な収益性改善を実現してきました。特に自社企画NB商品の好調とEC販売の拡大、効率的なグループ再編が業績を牽引しています。財務健全性も高く、ROEも継続して高い水準を維持しており、堅実な経営がうかがえます。株主還元にも積極的で、安定配当と増配予想、自社株買いも実施しています。
株価は、業界平均PER・PBRと比較すると割高感が指摘されるものの、直近の業績向上と将来の成長期待が織り込まれている可能性があります。短期的な株価は高値からの調整局面にあるものの、中長期的には上昇トレンドにあり、52週変化率も市場平均を大きく上回っています。信用買い残の増加は今後の需給に影響を与える可能性があるため注視が必要です。全体のバランスとして、成長性、収益性、財務健全性ともに良好な企業と言えます。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上高成長率(前年比)9.90%、2025年9月期売上高成長率+5.7%、2026年9月期売上高予想成長率+4.0%と、着実な増収を継続しており、高い成長性を示しています。
- 収益性: A
- 2025年9月期売上高営業利益率6.6%(LTM 8.10%)、粗利率31.9%と、収益性が大幅に改善しています。株主資本利益率(ROE)も14.0%(2025年9月期実績)と高い水準であり、業界平均のデータはないものの、絶対値として非常に良好です。
- 財務健全性: A
- 自己資本比率45.5%(2025年9月期実績)、流動比率1.98(直近四半期)と、財務指標は非常に健全な水準にあります。
- 株価バリュエーション: D
- PER(会社予想)12.39倍は業界平均10.0倍を上回っており、PBR(実績)1.55倍も業界平均0.5倍と比較して割高感があります。現時点での評価は割高と判断されます。
企業情報
| 銘柄コード | 7819 |
| 企業名 | 粧美堂 |
| URL | https://www.shobido-corp.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。