日本スキー場開発株式会社(6040)企業分析レポート
個人投資家の皆様へ
1. 企業情報
日本スキー場開発株式会社は、長野県白馬エリアを中心に、国内の有名スキー場を再生・運営している企業です。親会社は日本駐車場開発株式会社(2353)で、その子会社としてスキー場事業を中核に展開しています。主な事業内容は、スキー場運営におけるリフト券の販売、料飲施設の運営、レンタル事業です。近年は、スキーシーズンだけでなく、夏場のグリーンシーズンにも注力し、通年型の滞在型リゾート事業を強化しています。2025年7月期の連結事業割合は、スキー場・リフト券が59%、料飲15%、レンタル8%、その他18%となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、白馬八方尾根など国内有数のスキーリゾートを複数運営しており、国内スキー場業界において主要なプレーヤーの一つです。特に、インバウンド(訪日外国人)観光客の誘致に成功しており、国際的な認知度が高いエリアでの事業展開により、競争優位性を確立しています。グリーンシーズン事業への注力も、単なるスキー場運営にとどまらない総合リゾート企業としての地位向上に寄与しています。
一方で、課題としては以下の点が挙げられます。
* 天候リスク: 暖冬や少雪は、スキー場の来場者数および収益に直接的な影響を及ぼします。
* 地域インフラの制約: スキーリゾート地域における宿泊施設や交通インフラの不足が、さらなる来場者数増加の足かせとなる可能性があります。
* 人件費・運営コストの増加: サービス業であるため、人件費の上昇や資材・エネルギーコストの変動が収益性を圧迫する可能性があります。
市場シェアに関する具体的な数値データは提供されていませんが、運営するスキー場のブランド力と集客力から、業界内で一定のプレゼンスを確保していると考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、スキー場事業を核としつつ、地域創生に貢献する事業展開を目指しています。主な経営戦略と重点分野は以下の通りです。
* ウィンターシーズンの強化: インバウンド需要の積極的な取り込み、リフト券の値上げ、S-Classといった高付加価値サービスの提供により、客単価の向上と売上最大化を図っています。人工降雪機の増設やゴンドラリニューアルなど、継続的な設備投資によって、安定した積雪環境と利用者の満足度向上を目指しています。
* グリーンシーズン事業の拡大: スキーシーズン以外の期間も収益を確保するため、登山、トレッキング、マウンテンバイクなど、多様なアクティビティを提供し、通年型リゾートとしての魅力を高めています。
* 不動産事業の本格化: 2025年7月期より、白馬エリアでの宿泊施設(シャレー等)の自社開発・販売を本格化させ、新たな収益源の確立を目指しています。
* M&A・アライアンスの推進: NSDキッズプログラムやNSDアライアンスを通じて、国内スキー人口の創出や他スキー場運営への支援を行い、業界全体の活性化と自社の事業拡大に繋げる戦略です。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、ウィンターシーズンとグリーンシーズンという二つの柱を持つことで、通年での収益確保を目指しています。これは、従来のスキー場が抱える季節性の課題を克服し、事業の持続可能性を高める上で重要な戦略です。
* 収益の多角化: リフト券収入だけでなく、料飲、レンタル、さらには近年本格化した不動産事業によって収益源を多角化しています。
* 市場ニーズへの適応: インバウンド需要の回復と高付加価値サービスへの需要に応えることで、市場の変化への適応力を示しています。
* 設備投資による競争力維持: 人工降雪機や索道(リフト・ゴンドラ)などの設備投資は、顧客満足度を高め、競合に対する優位性を維持するために不可欠であり、将来的な集客力向上に貢献する可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
同社の事業はサービス業が中心であり、製造業のような「技術革新」とはやや性質が異なります。しかし、サービス品質向上や顧客体験の最適化に向けた取り組みは以下の通りです。
* 施設・設備の最適化: 人工降雪機の導入・増強、ゴンドラのリニューアル、メンテナンス技術の向上などは、より良い滑走環境を提供する上で不可欠です。
* 高付加価値サービスの提供: 「S-Class」のような特別なリフトパスやサービスは、顧客体験の向上と客単価の上昇に寄与しています。
* 主力サービス: スキー場のリフト券、スキー・スノーボード用品のレンタル、料飲施設での飲食提供が主要な収益源です。特に、白馬エリアなどでのインバウンド観光客向けサービスは、収益を牽引する重要な要素となっています。
6. 株価の評価
現在の株価543.0円に対する各種指標の評価です。
* PER(会社予想): 10.04倍
* 業界平均PER 25.7倍と比較すると、相対的に割安感があります。
* PBR(実績): 3.02倍
* 業界平均PBR 2.5倍と比較すると、やや割高感があります。
* EPS(会社予想): 53.80円
* 株価543.0円 / EPS 53.80円 = PER 10.09倍となり、会社予想PER10.04倍と概ね一致します。
* BPS(実績): 178.67円
* 株価543.0円 / BPS 178.67円 = PBR 3.04倍となり、実績PBR3.02倍と概ね一致します。
PERからは割安に見えますが、PBRからはやや割高に見える状況です。今後の成長性や不動産事業の収益寄与が織り込まれている可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価543.0円は、直近10日間の推移を見ると509円〜553円の範囲で変動しており、比較的横ばいから微増の動きです。
* 年初来高値: 637.0円
* 年初来安値: 348.0円
* 50日移動平均線: 554.02円
* 200日移動平均線: 491.94円
現在の株価は、年初来高値と安値の中間よりやや高い位置にあり、50日移動平均線をやや下回る水準です。しかし、長期的な傾向を示す200日移動平均線よりは上に位置しており、中期的な上昇トレンドは維持していると考えられます。直近は50日移動平均線を上抜けられないでいる状態ですが、200日移動平均線がサポートとして機能する可能性があります。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 過去12か月数値 | 2025年7月期(実績) | 2024年7月期 | 2023年7月期 | 2022年7月期 | 2021年7月期 | 傾向(過去5期) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 9,284 | 10,461 | 8,245 | 6,898 | 5,569 | 4,546 | 継続的な増加 |
| 営業利益(百万円) | 1,932 | 2,246 | 1,552 | 1,036 | 254 | ▲428 | 大幅な改善と増加 |
| 経常利益(百万円) | 1,932 | 2,236 | 1,536 | 1,072 | 263 | ▲324 | 大幅な改善と増加 |
| 親会社株主純利益(百万円) | 1,379 | 1,586 | 1,093 | 952 | 32 | ▲480 | 大幅な改善と増加 |
| ROE(実績) | 21.98% | 21.32% | 21.32% | 20.91% | 1.07% | ▲ | 高水準で推移 |
| 自己資本比率(実績) | — | 61.2% | 61.2% | 59.8% | 58.7% | 52.8% | 着実に改善・高水準 |
| 流動比率(直近四半期) | — | 2.60 | — | — | — | — | 健全な水準 |
| EBITDA(百万円) | 2,787 | 3,270 | 2,284 | 1,685 | 875 | 265 | 急速な増加 |
| 営業活動CF(百万円) | 2,707 | 2,707 | — | — | — | — | 堅調(直近) |
| 投資活動CF(百万円) | ▲2,829 | ▲2,829 | — | — | — | — | 積極的な投資 |
| 財務活動CF(百万円) | 436 | 436 | — | — | — | — | 借入等(直近) |
同社の財務は過去数年で著しい改善を見せています。
* 売上・利益: COVID-19からの回復とインバウンド需要の増加、多角化戦略の成功により、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主純利益のいずれも2021年7月期の赤字からV字回復し、2025年7月期には過去最高を更新しています。特に営業利益率は約21.5%と高い水準です。
* 収益性: ROEは20%台を維持しており、効率的な資本活用ができていることを示しています。ROAも11.51%と良好です。
* 財務健全性: 自己資本比率は61.2%と非常に高く、流動比率も2.60と、財務基盤は強固です。一方で、積極的な設備投資のために長期借入金が増加している点も確認できますが、負債に対する自己資本の比率(Total Debt/Equity 39.14%)は健全な範囲にあります。
* キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは堅調にプラスを維持しており、本業で安定して資金を生み出せる構造です。投資活動によるキャッシュフローは、人工降雪機やゴンドラリニューアル、不動産開発など、将来の成長に向けた積極的な設備投資が行われているためマイナスとなっています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 0.93%
- 1株配当(会社予想): 5.00円(2026年7月期予想)
- 配当性向(実績): 10.13%(2025年7月期実績)
同社の2025年7月期の配当性向は10.1%と比較的低い水準です。これは、事業の成長段階にあり、積極的な設備投資や新たな事業展開に内部留保を優先する方針であると考えられます。2026年7月期は増配予想であり、成長投資と株主還元のバランスを取りながら、安定的な配当を目指す姿勢がうかがえます。
自社株買いに関する情報提供はありませんでした。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、小幅な変動を繰り返しており、明確な大局的なモメンタムは読み取りにくい状況です。日々の出来高は数万株程度であり、極端に大きな変動は見られません。
株価に影響を与える主な要因としては、以下が考えられます。
* インバウンド需要の動向: 訪日外国人観光客の増減は、スキー場の来場者数と収益に直結するため、非常に重要な要因です。
* 気候変動・天候: 暖冬や少雪の情報は、ネガティブな影響を与える可能性があります。
* 不動産事業の進捗: 新たな収益の柱として期待される不動産事業の成果や計画の発表は、投資家の関心を集める可能性があります。
* 設備投資の成果: 積極的な設備投資が来場者数増加や客単価向上に直結するかどうかが注目されます。
* 親会社(日本駐車場開発)の戦略: 親会社との連携や全体戦略も、間接的に株価に影響を与える可能性があります。
信用買残は732,600株と一定数ありますが、信用売残が0株であることから、買い方の需給が偏っている可能性があります。信用倍率0.00倍というのも、信用売残がないためです。
11. 総評
日本スキー場開発は、国内大手スキーリゾートを運営し、インバウンド需要を強力な追い風に成長しています。COVID-19からのV字回復は顕著で、売上・利益ともに過去最高水準を更新し続けています。ウィンターとグリーンシーズンの両輪による通年事業展開と不動産事業の本格化は、収益モデルの多角化と持続可能性を高める戦略として評価できます。
財務基盤は自己資本比率61.2%と非常に強固であり、高いROEを維持していることから、効率的な経営ができていると言えるでしょう。積極的な設備投資は成長への意欲を示すものであり、今後の収益に寄与することが期待されます。
株価バリュエーションについては、PERは業界平均と比較して割安感があるものの、PBRはやや割高感があります。これは、同社の高い成長性とインバウンド回復への期待が織り込まれている可能性を示唆しています。今後の成長戦略の実行状況、特に天候リスクへの対応や不動産事業の進捗、そしてそれに伴うキャッシュフローの創出が注目されます。
12. 企業スコア
以下の3観点でS, A, B, C, Dの5段階評価を行います。欠損データは「B(中立)」とし、一過性損益は除外します。
* 成長性:A
* 2025年7月期の売上成長率は前年比+26.9%、営業利益成長率は前年比+44.7%と非常に高い水準です。2026年7月期の会社予想売上成長率も+9.7%と堅調な伸びが見込まれるため、高評価とします。
* 収益性:A
* 2025年7月期の営業利益率は約21.5%とサービス業としては非常に高く、業界平均を上回る水準です。ROEも21.32%と高水準で推移しており、優れた収益性を示しています。
* 財務健全性:S
* 自己資本比率は61.2%と非常に高く、流動比率も2.60と短期的な支払い能力に問題はありません。Total Debt/Equityも39.14%と健全な水準であり、非常に強固な財務基盤を有しています。
* 株価バリュエーション:B
* PER(会社予想)10.04倍は業界平均25.7倍と比較すると割安感があります。しかし、PBR(実績)3.02倍は業界平均2.5倍を上回っており、資産価値に対してはやや割高感が出ています。全体として考えると、成長性・収益性の高さが評価されているため、平均並みのバリュエーション評価とします。
企業情報
| 銘柄コード | 6040 |
| 企業名 | 日本スキー場開発 |
| URL | http://www.nippon-ski.jp/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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