イチカワ(証券コード: 3513)企業分析レポート

東京証券取引所スタンダード市場に上場しているイチカワ(証券コード: 3513)について、提供されたデータに基づき以下の通り分析します。

1. 企業情報

イチカワは、1918年創業の老舗企業で、主に抄紙用具関連製品と工業用製品の製造・販売を行っています。特に抄紙用フェルトにおいては、国内市場で「日本フエルト」と並ぶ二強の一角を占めています。売上の大半(97%)を抄紙用具関連事業が占めており、新聞用紙・印刷情報用紙向けから、板紙や衛生用紙向けまで幅広い製品を提供しています。また、工業用フェルトなどの工業用製品も手掛けています。海外売上比率が61%と高く、グローバルに事業を展開しています。本社は東京都文京区に位置し、従業員数は652人です。

2. 業界のポジションと市場シェア

イチカワは、国内の抄紙用フェルト市場において、日本フエルトとシェアを二分するトップクラスの企業であり、この分野での競争優位性を確立しています。同社は抄紙用フェルトだけでなく、抄紙用ベルト製品も併営しており、欧米など海外での販売比率が高いことが特徴です。
しかし、業界全体としては課題も抱えています。国内市場では新聞用紙・印刷情報用紙の需要が縮小傾向にあり、板紙も減少傾向が見られます。アジア地域ではeコマース市場の拡大により板紙や衛生用紙の需要はあるものの、依然として新聞・印刷用紙は減少が続く見込みです。このような市場環境の中で、海外比率の高さや製品用途の多様化が重要となります。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は、市場環境の変化に対応し、持続的な成長を目指す戦略を掲げています。
主な重点分野としては、以下の項目が挙げられます。
* 生産能力の増強と最適化: 抄紙用ベルトの生産体制を見直し、増産を図る方針です。当年度中には新たなベルト生産設備の稼働を開始し、生産能力向上を目指しています。
* 海外販売網の強化: 高い海外比率をさらに活かすため、グローバルな販売網を継続的に強化することで市場シェアの拡大を目指します。
* コスト競争力の強化: 生産体制の最適化を通じてコスト競争力を高め、収益性の向上を図ります。
* 製品開発と市場開拓: 需要が拡大している衛生用紙向けベルトの積極的な販促に注力しています。

4. 事業モデルの持続可能性

イチカワの事業モデルは、主力である抄紙用具関連事業が売上高の大部分を占めるため、紙・パルプ産業全体の動向に大きく影響を受けやすい構造です。国内市場で新聞用紙や印刷情報用紙の需要が減少傾向にある点は、事業の持続性に対する潜在的な課題となり得ます。
しかし、同社は海外比率が61%と高く、グローバルな市場で展開しているため、特定の地域市場の変動リスクを分散しています。また、衛生用紙向けベルトなど、成長が見込まれる分野への注力や、抄紙用ベルトの生産能力増強といった施策は、市場ニーズの変化への適応と収益源の多様化を図るものと見られます。工業用事業の売上比率は現時点では3%と小さいですが、今後の成長によっては事業ポートフォリオの安定化に寄与する可能性を秘めています。

5. 技術革新と主力製品

イチカワの主力製品は「抄紙用フェルト」と「抄紙用ベルト」です。これらは製紙工程において不可欠な消耗品であり、高い技術力と品質が要求されます。現在のところ、具体的な技術革新に関する詳細な情報は提供されていませんが、決算短信には抄紙用ベルトの生産体制見直しと増産、設備稼働による生産能力向上といった記述があり、生産技術や製品改良への投資が進められていることが示唆されます。これにより、製品の競争力維持・強化を図っていると考えられます。

6. 株価の評価

現在の株価2,129.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 10.08倍
* PBR(実績): 0.41倍
* EPS(会社予想): 211.27円
* BPS(実績): 5,227.24円

同業他社の市場平均と比較すると、提示された業界平均PERが12.6倍、業界平均PBRが0.5倍であるのに対し、イチカワのPERは10.08倍、PBRは0.41倍といずれも業界平均を下回っています。このことから、現在の株価は業界平均と比較して割安感がある状態であると評価できます。

7. テクニカル分析

直近の株価は、本日(2025年11月14日)2,129.0円で終了し、年初来高値2,295円に比較的近い水準にあります。直近10日間の株価は2,082円から2,295円の間を推移しており、本日は前日比で下落していますが、50日移動平均線(2,044.36円)および200日移動平均線(1,852.09円)を上回っています。この状況から、株価は年初来高値圏に近いながらも、直近の上昇トレンドラインの上にあると見ることができます。

8. 財務諸表分析

過去数年間の連結損益計算書と直近の財務指標を評価します。

損益計算書(年度別比較):

  • 売上高: 2022年3月期 12,355百万円から、LTM(過去12か月)では13,947百万円へと緩やかな増加傾向にあります。
    • 2022年3月期: 12,355百万円
    • 2023年3月期: 13,344百万円 (+8.0%)
    • 2024年3月期: 13,603百万円 (+1.9%)
    • LTM (2025年3月期予想/実績): 13,947百万円 (+2.5%)
  • 売上総利益: 売上高の増加に伴い、6,015百万円(LTM)まで増加しています。粗利率はLTMで約43.1%(中間期で44.3%)と安定しています。
  • 営業利益: 2022年3月期の531百万円からLTMでは1,073百万円へとほぼ倍増しており、収益性が改善傾向にあります。
    • 2022年3月期: 531百万円
    • 2023年3月期: 800百万円 (+50.7%)
    • 2024年3月期: 1,116百万円 (+39.5%)
    • LTM (2025年3月期予想/実績): 1,073百万円 (-3.8%)
  • 親会社株主に帰属する純利益: 2022年3月期の523百万円から、LTMでは782百万円(2024年3月期は1,018百万円だが、税負担の影響)へと推移しています。直近の四半期決算では前年同期比74.0%増と大幅な増益を達成しました。

主要財務指標:

  • ROE(過去12か月): 3.97%
  • ROA(過去12か月): 2.40%
  • 自己資本比率(実績): 75.5% (直近四半期で75.8%) と非常に高く、財務基盤は強固です。
  • 流動比率(直近四半期): 4.11と非常に高く、短期的な支払い能力に優れています。
  • D/Eレシオ(直近四半期、Total Debt/Equity): 4.25%と低く、借入金への依存度が低いことを示しています。

キャッシュフロー(中間期):

  • 営業キャッシュフロー: 779百万円のプラスとなり、本業で安定して資金を稼ぎ出しています。
  • 投資キャッシュフロー: ▲779百万円と、主に有形固定資産(552百万円)と無形固定資産(228百万円)の取得による支出で、積極的な設備投資を行っていることが示唆されます。これは中期的な成長戦略に沿った動きと見られます。
  • 財務キャッシュフロー: ▲304百万円と、配当金支払い(175百万円)と短期借入金の純減(104百万円)が主な要因です。

全体として、売上高・利益は緩やかながらも成長傾向にあり、特に財務健全性は極めて高いレベルで維持されています。設備投資の実施は将来の成長を支える基盤となると考えられます。

9. 株主還元と配当方針

イチカワは安定した株主還元策を実施しています。
* 配当利回り(会社予想): 3.76%と比較的高い水準です。
* 1株配当(会社予想): 年間80.00円(中間配当40円、期末配当40円)を予定しており、安定配当を継続する方針です。
* 配当性向: 44.07%と、利益の約半分を配当に回しており、積極的な株主還元姿勢が見られます。
* 自社株買い: 提供データには直近の自社株買いに関する明確な情報はありませんが、「自社(自己株口)」が発行済株式の11.46%を保有していることから、過去に自社株買いを実施し、今後も株主還元策の一つとして検討される可能性があります。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は、2025年11月14日に2,129.0円で取引を終えましたが、直前までは2,191円から2,295円のレンジで推移していました。本日の出来高は14,500株と、過去3ヶ月平均(5.84k株)や過去10日平均(10.6k株)と比較して活発でした。年初来高値に迫る水準で推移していた後の下落であり、利益確定売りの動きがあった可能性も考えられます。
52週変化率は47.11%と、S&P 500の同時期の変化率14.77%を大きく上回っており、過去1年間で株価は良好なパフォーマンスを示しています。信用買残が102,900株と比較的多いものの、信用売残が0株であるため、信用倍率は0.00倍となっています。これは、今後の株価上昇を期待する買い方が多いことを示唆している可能性があります。投資家の関心は、安定した業績推移と財務健全性、そして積極的な設備投資による将来の成長期待に集まっていると見られます。

11. 総評

イチカワは、国内の抄紙用具市場において強固な地位を確立し、高い海外売上比率を持つ老舗企業です。市場全体の需要減退リスクに対し、衛生用紙向け製品への注力や抄紙用ベルトの生産能力増強といった戦略で適応を図っています。財務状況は自己資本比率75.5%、流動比率4.11と極めて健全であり、安定した経営基盤を誇ります。収益面では、売上高・利益ともに緩やかながらも増加傾向にあり、堅実な成長を見せています。株価指標は業界平均と比較して割安感を示しており、配当利回りも魅力的な水準にあります。直近の株価は年初来高値圏で推移し、比較的高い投資家関心を集めています。設備投資による将来の生産能力向上が、今後の成長ドライバーとして注目されます。

12. 企業スコア

評価項目 スコア 評価理由
成長性 A LTM売上成長率約2.5%、過去数年の売上高も増加傾向。第2四半期売上高は前年同期比+4.8%。緩やかながら継続的な成長が見られる。
収益性 B LTM営業利益率7.69%(中間営業利益率11.0%)。粗利率も高い水準を維持。素材・化学業界における平均値との比較がないためB(中立)。
財務健全性 S 自己資本比率75.5%、流動比率4.11、D/E(Total Debt/Equity)4.25%と、極めて健全な財務状態である。
株価バリュエーション A PER(会社予想)10.08倍、PBR(実績)0.41倍は、業界平均PER12.6倍、PBR0.5倍と比較して割安である。

企業情報

銘柄コード 3513
企業名 イチカワ
URL http://www.ik-felt.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – 繊維製品

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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