トプコン(7732)企業分析レポート
株価(終値): 3,283円(2025-11-14)
時価総額: 3,560億円
市場区分: 東証プライム(上場廃止予定:2025-12-02、TOB成立に伴う)
セクター/業種: Technology / 精密機器
1. 企業情報
- 概要: 測量・GNSS/3Dスキャナ/ICT建機・農機の自動化を中核とする「ポジショニング事業」と、眼底撮像・OCT等の「アイケア事業」の2本柱。光学・オプトエレクトロニクスとソフトウェア(施工管理、3D点群、眼科向け画像/EMR)が強み。
- 事業構成(連結、2025年3月期実績の目安)
- ポジショニング: 売上構成約61%、収益牽引
- アイケア: 売上構成約39%、北米比率高め
- 海外売上比率: 約84%(2025/3)と高いグローバル企業
- 最近の動向: TK(KKR系)による公開買付が成立し、2025-12-02に上場廃止予定。中期・通期予想は未開示。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジショニング事業: ICT施工・精密農業の自動化で世界首位級のポジション。競合はTrimble、Hexagon(Leica Geosystems)など。ハード+ソフトの統合でスイッチングコストを形成。
- アイケア事業: 眼科検査機器(OCT、眼底カメラ、オートレフ等)でグローバル展開。競合はZEISS、Heidelberg、NIDEK、Canon系等。データ連携・遠隔/スクリーニング領域が差別化ポイント。
- 課題:
- アイケアの大口契約の期ずれや一部地域の需要変動で収益ブレが生じやすい
- 欧米の建設・資本財サイクルに連動しやすい
- 高インフレ・金利・通商政策などマクロ要因の影響
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン: 「医・食・住の課題をDXソリューションで解決」
- 重点分野:
- スマートインフラ/ICT施工、精密農業の自動化・デジタル化(センサー+ソフトの統合)
- 眼科領域の画像・診断データ連携(EMR/画像管理)とスクリーニング拡大
- 直近の施策・トピック(短信等より):
- 販管費抑制でポジショニングの採算改善
- アイケアは契約変更に伴う売上期ずれで短期的に減益
- M&A・無形資産の積み増し(のれん増加)
- 上場廃止(非公開化): 構造改革や投資の機動性を高める狙いが示唆される一方、外部株主への定期的な数値開示は限定的になる見込み
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: ハードウェア+ソフトウェア(施工管理/3D点群/眼科画像・EMR)で継続収益化の余地。機器販売に加え保守・アップデート・プラットフォーム料の積み上げが鍵。
- 構造的追い風:
- 建設の人手不足・安全性向上ニーズによるICT施工普及
- 精密農業による省力化・収量最適化需要
- 高齢化・眼疾患増加に伴う検査・スクリーニングの拡大
- リスク・適応力:
- マクロ減速時の設備投資サイクル逆風
- 大口契約/販社構造の変更時の売上期ずれ
- ソフト・サービス比率の引上げが安定化に寄与
5. 技術革新と主力製品
- ポジショニング: トータルステーション、GNSS受信機、3Dレーザースキャナ、ICT建機/農機ソリューション、3D点群処理ソフト。センサー融合とクラウド連携が強み。
- アイケア: 3D-OCT、眼底カメラ、オートレフ/ケラト、スリットランプ、眼科用レーザー、レンズメータ、眼科画像/EMRソフト。院内ワークフロー最適化と遠隔診療連携に注力。
- 直近の動向: のれん・無形資産の増加から、ソフト/サービスや補完的M&A投資を継続していることが示唆。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価: 3,283円
- BPS(実績): 920.73円 → PBR実績約3.57倍(業界平均1.8倍)
- EPS(会社予想): 非開示(LTMは赤字)
- PER: 算出不可(赤字)
- EV/Sales(概算): EV ≒ 3,560億 +(有利子負債1,087億 − 現金192億)≒ 4,456億円、売上高LTM ≒ 2,111億円 → 約2.1倍
- コメント: 予想EPS非開示・TOB成立に伴う上場廃止予定のため、相対比較は限定的。PBRは業界平均比で高水準。TOB条件により市場価格が固定化されている可能性。
7. テクニカル分析
- 直近価格帯: 3,281〜3,285円で極端に狭いレンジ
- 50日移動平均: 3,282.7円、200日移動平均: 3,180円
- 年初来高値/安値: 3,300円 / 2,688円(52週高値3,300円、ロー1,467.5円)
- モメンタム: 52週高値圏で横ばい推移。出来高はTOB/上場廃止予定に伴い特異(流動性・裁定取引の影響)。テクニカルシグナルの有効性は低下。
8. 財務諸表分析(連結)
- 売上高: LTM 2,111億円(前年比 -3.6%)、2024/3期 2,165億円、2023/3期 2,156億円、2022/3期 1,764億円
- 3年CAGR約+6%だが、直近LTMは減収
- 粗利: LTM 1,114億円(粗利率約52.8%)
- 営業利益: LTM 55億円(営業利益率約2.6%)
- 一過性損益除外ベースの目安:特別要因(合計約47億円の一時費用)を戻すと、実質営業率は約4〜5%程度に改善
- 当期純利益: LTM -96億円(繰延税金資産取崩し・特損影響)、2025/3期は黒字0.4億円
- ROE/ROA:
- ROE(実績 FY2025)0.39%、LTM -9.16%(税効果・一時費用影響)
- ROA(LTM)約1.37%
- キャッシュフロー(LTM):
- 営業CF +87億円、投資CFマイナス(設備投資・M&A)、レバードFCF -38億円
- 財政状態:
- 自己資本比率 41.5%(中間期は37.4%へ低下)
- D/E(総負債/自己資本)約110%
- 流動比率 約1.09倍
- コメント: レバレッジは相対的に高め、短期安全性指標はややタイト
セグメント(2026/3期中間)
– ポジショニング: 売上6,495億円(▲4.7%)、利益53.8億円(+32.5%)— 販管費抑制で改善
– アイケア: 売上3,488億円(▲6.0%)、損失13.5億円 — 大口契約期ずれが響く
– その他: 売上80億円、損失17.9億円
– 特記事項: TOB関連費用、送金詐欺損失、米子会社の繰延税金資産取崩し(約70億円の税効果)など一時要因が損益を悪化
9. 株主還元と配当方針
- 2025/3期: 年間20円(中間20円・期末0円)
- 2026/3期(会社予想): 0円(中間・期末とも)
- 自己株買い: データなし
- コメント: TOB/上場廃止予定により、上場後の一般株主向け配当政策は事実上終了見込み
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム: 直近はTOB価格近辺で膠着。ボラティリティ極小。
- 投資家関心の要因:
- 非公開化(TOB成立)に伴う裁定・受渡し関連
- 流通株比率の低下(インサイダー保有78%)、フリーフロート約2,077万株
- 成長領域(ICT施工・精密農業・眼科データ)への中長期期待はあるが、短期は上場廃止が主因
11. 総評
- 事業面: ポジショニングは構造的な省人化・自動化ニーズを背景に収益性を回復。アイケアは一時的な期ずれで減益も、データ連携によるストック化に可能性。海外売上比率が高く、為替・地域需要の影響は大。
- 財務面: 粗利率は高水準ながら、LTMで一時費用・税効果により純損失。レバレッジと流動性指標はややタイト。営業CFは黒字維持も、投資・M&AでFCFはマイナス。
- 株価面: 予想非開示・TOB成立に伴い、市場株価は事実上TOB条件で固定化。PBRは業界平均超。テクニカルやバリュエーション比較の有効性は限定的。
- 重要トピック: 2025-12-02上場廃止予定。以降は非公開下での事業再編・投資加速の可能性がある一方、公開市場での評価は終了。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
一過性損益を除外した傾向を重視。業界平均との差は入手可能データ範囲で評価。欠損はB(中立)。
– 成長性: B
– 根拠: 3年CAGR約+6%と中期は伸長。一方、LTMは前年比▲3.6%で鈍化。
– 収益性: B
– 根拠: 粗利率約53%は良好。LTMの報告営業率約2.6%だが、一時費用調整後は約4〜5%程度。業界平均との厳密比較データ欠損。
– 財務健全性: C
– 根拠: 自己資本比率37〜42%レンジ、D/E約110%、流動比率1.09倍。ややレバレッジ高め。
– 株価バリュエーション: C
– 根拠: PER算出不可(赤字)、PBR約3.57倍は業界平均1.8倍を上回る。EV/S約2.1倍(比較ベンチマーク不足)。
参考データ(抜粋)
– LTM売上高: 2,111億円、粗利: 1,114億円、営業利益: 55億円、純利益: ▲96億円
– EBITDA(正規化): 約2,078億円、営業CF: +87億円、FCF(レバード): ▲38億円
– ROE: FY2025 0.39% / LTM ▲9.16%
– 海外売上比率: 約81〜84%
– 上場廃止予定: 2025-12-02
企業情報
| 銘柄コード | 7732 |
| 企業名 | トプコン |
| URL | https://www.topcon.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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