旭化成(3407)企業分析レポート

株価: 1,281円(2025-11-14終値)
市場: 東証プライム/化学(素材・化学)

1. 企業情報

  • 概要
    • 総合化学系コングロマリット。事業は大きく「マテリアル(化学・電子材料・繊維・包装など)」「住宅(ヘーベルハウス等のユニット住宅、建材・断熱材、リフォーム・不動産関連)」「ヘルスケア(医薬・医療機器・診断・血液浄化など)」の3領域。
    • 主な製品・技術例(抜粋)
    • 電子材料:Pimel(感光性ポリイミド/PBO前駆体)、Sunfort(ドライフィルムフォトレジスト)、Novacure(潜在性硬化剤)、ガラスファブリック、プラスチック光ファイバー
    • 電池関連:Hipore(ポリオレフィン微多孔膜セパレータ)、Celgard(LiBセパレータ)、Deramic(鉛蓄電池セパレータ)
    • 膜・プロセス:Microza(UF/MF膜)、Aciplex(電解膜・苛性ソーダ設備)
    • 消費材・包装:サランラップ、ジップロック、クックパー、フロッシュ、OPS・PVDC等
    • 繊維:ベンベルグ、ロイカ、Bemlieseほか
    • 住宅・建材:ヘーベル(ALC:軽量気泡コンクリート)など
    • ヘルスケア:処方薬(整形、集中治療、泌尿器、免疫・中枢系等)、酵素・診断、血液浄化・アフェレシス等
  • 連結事業構成(目安)

    • マテリアル45(6)、住宅34(9)、ヘルスケア20(10)、他1(5)

    (注)提供データ上の表記で、左は売上構成比(%)・括弧内は営業利益率の目安(%)と解されます。
    – 連結海外売上比率:約55%(2025/3期)
    – 従業員:49,255人、平均年齢41.8歳、平均年収約800万円
    – 本社:東京都千代田区有楽町1-1-2(⽇⽐⾕三井タワー)
    – 代表者:工藤 幸四郎

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション
    • 日本を代表する総合化学・素材企業の一角。住宅・ヘルスケアまで含むポートフォリオで景気敏感とディフェンシブを併せ持つ構造。
    • LiB(リチウムイオン電池)セパレータは主要プレイヤーの一角(Hipore・Celgard)。プリント基板向けドライフィルムや感光材、膜分離などでも存在感。
  • 競争優位性
    • 多角化による収益の分散・安定性、素材から最終用途までの広い顧客基盤、膜・分離・高分子化学などのコア技術蓄積。
  • 課題
    • 原材料・エネルギー価格の変動、為替、住宅着工動向、EV・エレクトロニクス需給のサイクル変動の影響。電池材料は競争激化(海外勢含む)と価格下押しが継続的な論点。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・方向性(要旨)
    • ポートフォリオの質的転換と資本効率の向上、成長領域(電池材料、エレクトロニクス材料、医療・医療機器)への重点投資、環境・ライフ分野での価値提供。
  • 最近の構造対応
    • 旭化成メディカルの連結範囲見直し(持分法化)など、事業ポートフォリオ再編を進捗。資本効率・柔軟性の改善を志向。
  • 通期見通し(短信開示)
    • 2026年3月期(通期)予想:売上高3,080,000百万円、営業利益221,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益140,000百万円、EPS予想103.15円。
  • 重点分野(示唆)
    • 電池セパレータの競争力強化・供給体制整備、膜・分離や半導体材料など高付加価値マテリアル拡大、住宅のリフォーム・ストック活用、医療・診断の高機能化。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル
    • マテリアルの景気・市況連動に対し、住宅(リフォームやアフター)・ヘルスケアが安定性を補完。セパレータ・電子材料など高付加価値領域の積み上げで中期的な利益質の向上余地。
  • ニーズ変化への適応
    • EV・蓄電・省エネ、デジタル化・半導体微細化、医療の高度化・高齢化対応などの構造需要に沿ったポートフォリオ。価格競争・技術進化に対しては研究開発・設備投資で対応。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術の独自性
    • 高分子微多孔膜、感光・フォトリソ材料、膜分離、特殊繊維・セルロース系素材などコア技術の層が厚い。
  • 収益牽引領域(例)
    • LiBセパレータ(Hipore/Celgard)、基板向けドライフィルム・感光材、住宅(ヘーベル関連)、医療・血液浄化・集中治療関連。需要サイクルの波はあるものの、中長期テーマに合致。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 現状指標
    • 株価: 1,281円、EPS予想: 103.08円、BPS実績: 1,398.35円
    • PER: 12.43倍、PBR: 0.92倍、配当利回り(予想): 3.12%、EV/EBITDA(LTM概算): 約6.1倍
  • 業界平均との比較(提供平均: PER 20.4倍、PBR 1.1倍)
    • PER・PBRともに業界平均を下回る水準。
  • 参考比較値(単純機械計算)
    • 業界平均PER適用: 103.08×20.4 ≒ 2,103円相当
    • 業界平均PBR適用: 1,398.35×1.1 ≒ 1,538円相当
    • 注)将来の株価を示すものではありません。単純な平均比較の参考値です。

7. テクニカル分析

  • トレンド
    • 50日移動平均: 約1,208円、200日移動平均: 約1,075円。株価は両移動平均を上回り、上昇トレンド。
    • 52週高値: 1,297円、現値は高値圏(直近高値まで約+1%)。
  • 需給・出来高
    • 3カ月平均出来高 4.32百万株に対し、直近10日 5.76百万株と回転増。信用倍率 6.01倍は買い残優位で短期の過熱には注意が必要な局面も。
  • 水準感
    • 直近は年初来高値圏で上値抵抗(1,290円前後)が意識されやすい一方、1,250〜1,270円帯が短期的なサポート候補。

8. 財務諸表分析(LTM中心)

  • 成長
    • 売上高: 3.03兆円(FY2024: 2.78兆円)で概ね+8〜9%増。3年CAGRもおおむね+7%程度。直近期の四半期YoYは-0.8%と小幅減速。
  • 収益性
    • 粗利率: 約32%、営業利益率: 7.19%、EBITDAマージン: 約13%。純利益率: 4.65%。
    • ROE: 7.80%、ROA: 3.38%。
  • キャッシュフロー・効率
    • 営業CF(LTM): 2,851億円、EBITDA: 約4,035億円。営業CF/純利益 ≒ 2.0倍でキャッシュ創出は堅調。
    • 利払能力: EBIT約2,053億円/利息費用約112億円 ≒ 18倍。
  • 財務健全性
    • 自己資本比率: 46.3%(短信では直近47.5%に改善)、流動比率: 220%、D/E(簿価): 約0.55。現金3,775億円、総有利子負債1.08兆円でネットDEは許容的。
  • 損益の特記事項
    • 過年に一過性損益の振れ(2023/3期)はあるが、Normalizedベースでは安定化傾向。連結範囲変更(メディカル等持分法化)により対前年比較には留意。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当
    • 年間配当予想: 40円、配当利回り: 約3.12%、配当性向: 約39%。
    • 5年平均配当利回り: 3.36%(提供値)。増配基調を維持(前年合計38円→40円)。
  • 自社株買い等
    • 直近資料で新規の自己株取得は確認できず(期末自己株式 748万株)。還元は安定配当重視の姿勢。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム
    • 50日・200日線とも上回る上昇トレンド。52週で+16.3%。低ベータ(0.41)で市場連動性は低め。
  • 投資家動向
    • 機関投資家保有比率 約49.6%。直近出来高は平常より増加。信用買い優位(倍率6.01倍)。
  • 近々のイベント
    • 2026-02-05: 決算発表予定(Earnings Date)
    • 2026-03-30: 権利落ち日(予定)

→ 短期的な材料として注目されやすいスケジュール。

11. 総評

  • 多角的な事業ポートフォリオにより、景気変動耐性と成長投資の両立を図る構造。電池セパレータ・電子材料・膜分離といったコア技術領域に強みがあり、住宅・ヘルスケアが安定性を補完。
  • 収益性は業界平均並み〜やや上程度、財務は健全。LTMでは売上・利益とも改善、キャッシュ創出も良好。
  • バリュエーションはPER/PBRとも業界平均を下回り、EV/EBITDAも国際同業のレンジ感でみて中位〜やや低位水準。株価は年初来高値圏でモメンタムは良好。
  • 外部環境(原料・為替・EV/半導体サイクル・住宅着工)による変動リスクには引き続き留意が必要。連結範囲変更の影響も年比較での解釈に注意。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:A
    • LTM売上+約9%、3年CAGR約+7%。短期YoYは小幅減だが、中期では拡大基調。
  • 収益性:B
    • 営業利益率約7.2%、EBITDAマージン約13%、ROE約7.8%。業界平均並みの水準。
  • 財務健全性:A
    • 自己資本比率46〜48%、流動比率220%、D/E約0.55、利払能力良好。
  • 株価バリュエーション:A
    • PER12.4倍・PBR0.92倍で業界平均(PER20.4倍、PBR1.1倍)を下回る。EV/EBITDA約6.1倍も落ち着いた水準。

(注記)
– 本レポートは公開データに基づく情報整理であり、投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値は概算を含み、一過性損益は評価から除外・補正に努めています。最新の詳細は決算短信・有価証券報告書等の原資料をご確認ください。


企業情報

銘柄コード 3407
企業名 旭化成
URL http://www.asahi-kasei.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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