1. 企業情報
松井証券は1918年創業(設立1931年3月20日)の日本の大手ネット証券会社です。個人投資家向けにオンライン証券仲介サービスを提供しており、株式、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引(FX)を主力としています。特に信用取引に強みを持つとされ、これが主な収益源となっています。近年では投資信託や米国株取引にも注力し、サービスの拡充を図っています。本社は東京都千代田区麹町に位置し、松井家が大株主として名を連ねています。
直近の収益構成(2025年3月期見込み)は、受入手数料が51%、金融収益が39%、トレーディング損益が10%となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
松井証券は日本のネット証券大手の一角を占めています。信用取引における強み、長年の実績とブランド認知度は業界内での競争優位性となっています。近年は手数料無料化の動きや、多様な金融サービスの提供において他社との競争が激化しており、顧客利便性の向上や新たな商品・サービスの提供が課題となっています。同社はFXや米国株取引、投資信託の強化を通じて顧客基盤の拡大と収益源の多様化を図っています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、個人投資家が安心して取引できる環境と、投資を継続的に学べるコンテンツの提供に重点を置いています。具体的な施策としては以下の点が挙げられます。
* ブランド認知度の向上と顧客獲得: CMへの俳優起用やYouTube等の投資教育コンテンツの強化を通じて、新規顧客の獲得と既存顧客の活性化を図っています。YouTubeチャンネルの登録者数は50万人を超え、総再生回数も1.4億回以上と、高いプレゼンスを示しています。
* サービス・業務基盤の拡充: アプリやPC用の分析機能の強化、FXスプレッドの恒久的な縮小、米国株のプレマーケット取引対応、投資情報ツールの提供など、利便性と取引環境の改善を継続的に行っています。
* 収益源の多様化: 信用取引貸付が主要収益源である一方、FXトレーディング益や預託金による金融収益、投資信託、米国株といった多様な収益源の育成に努めています。
中期経営計画に関する具体的な数値目標は開示されていませんが、相場環境に左右されやすい業績特性から、月次主要業務数値の開示を通じて事業状況を透明化する方針です。
4. 事業モデルの持続可能性
松井証券の事業モデルは、個人投資家の委託売買手数料、信用取引貸付金利、FX等のトレーディング収益、預託金運用による金融収益が主要な柱です。国内株式市場の活況や個人投資家の取引意欲の高まりが収益に直結する構造となっています。
市場ニーズの変化に対しては、手数料競争に対応しつつ、豊富な投資情報提供、ツールの利便性向上、米国株やFXといった多様な商品ラインナップ拡充で顧客ニーズに応えようとしています。一方で、不正アクセスによる顧客補償費用などの特別損失の発生は、サイバーセキュリティリスクへの継続的な対応が不可欠であることを示唆しており、事業継続性における重要な課題となります。
5. 技術革新と主力製品
同社はオンライン専業証券として、金融テクノロジーを活用した高機能な取引ツールや分析機能を提供しています。特に、アプリやPC取引ツールにおける分析機能強化、FXスプレッドの恒久的な縮小、米国株プレマーケット対応などが挙げられます。これらの技術開発とサービス改善は、個人投資家にとっての利便性向上に繋がり、顧客満足度や取引量の増加に寄与しています。
現在の主力収益源は、依然として信用取引貸付を中心とした受入手数料や金融収益ですが、FXトレーディング益の増加も顕著であり、収益の柱として成長しています。
6. 株価の評価
現在の株価は804.0円です。
* BPS(1株あたり純資産): 307.92円(実績)
* PBR(株価純資産倍率): 2.61倍(実績)
* 業界平均PBR (1.0倍) と比較すると、現在のPBRは割高な水準にあります。
* EPS(1株あたり利益): 42.40円(過去12か月Diluted EPS)
* PER(株価収益率): 18.96倍(株価804.0円 / EPS 42.40円)
* 業界平均PER (13.3倍) と比較すると、現在のPERは割高な水準にあります。
提供データには会社予想PER/EPSの記載がないため、過去12か月実績に基づく計算となります。PBR、PERともに業界平均を上回っており、現在の株価には割高感が見られます。
7. テクニカル分析
現在の株価804.0円は、年初来高値843円に比較的近い水準にあります。年初来安値は660円です。
* 50日移動平均: 781.24円
* 200日移動平均: 753.54円
直近10日間の株価推移を見ると、760円台から800円台へと上昇傾向にあり、現在の株価は50日移動平均線、200日移動平均線を上回っています。これは短期・中期的にも上昇トレンドにあることを示唆しています。出来高は直近で変動が見られるものの、活発な取引が継続しています。
売上・利益の推移
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Total Revenue(営業収益):
- 2022年3月期: 32,099百万円
- 2023年3月期: 28,463百万円
- 2024年3月期: 35,307百万円
- 2025年3月期: 37,161百万円(過去12か月同額)
- 直近四半期のQuarterly Revenue Growth (前年比): 17.10%
- 直近中間期(2025年4月~9月)の営業収益は23,839百万円で、前年同期比+17.5%と大幅な増収を達成しています。
国内株式相場の上昇と個人投資家の取引拡大を背景に、売上は2023年3月期を底に回復基調にあり、特に直近は成長が加速しています。
* Net Income Common Stockholders(純利益):
* 2022年3月期: 11,439百万円
* 2023年3月期: 7,823百万円
* 2024年3月期: 9,790百万円
* 2025年3月期: 10,501百万円(過去12か月同額)
* 直近中間期の純利益は6,535百万円で、前年同期比+7.2%と増益です。収益の増加に伴い、利益も堅調に推移しています。
* 営業利益率(過去12か月): 48.24%非常に高い収益性を維持しています。
* ROE(実績): 13.78% (単体)投資家の期待に応える高い自己資本利益率です。
* ROA(中間期): 0.52% (中間期ベース)総資産に対する利益率は、事業特性上、総資産が膨らみやすいため低くなりがちです。
財務健全性
- 自己資本比率(直近中間期): 6.3% (実績)
これは一般的には非常に低い水準ですが、証券会社は顧客の預り金などを負債として計上するビジネスモデルのため、他業種と比較して自己資本比率が低くなる傾向があります。
* 流動比率(直近四半期): 1.05流動負債に対する流動資産の比率であり、短期的な支払い能力の健全性を示します。ぎりぎり1を超えていますが、高い安全性とは言えません。
* Total Debt/Equity(直近四半期): 354.33%負債の自己資本に対する比率が非常に高いことを示しており、レバレッジが高い状態です。これも証券業のビジネスモデルに起因する側面があります。
キャッシュフロー
提供されたデータに詳細なキャッシュフロー計算書はありませんが、決算短信によると、主な資金調達は短期借入(コールマネー等)と顧客預り金によって行われています。複数の金融機関との当座貸越やコミットメントライン契約を結ぶことで、流動性の確保に努めています。
9. 株主還元と配当方針
- 年間配当(実績): 43.00円(Trailing Annual Dividend Rate)
- 配当利回り(実績): 5.35%(Trailing Annual Dividend Yield)
- 年間配当(予想): 50.00円(Forward Annual Dividend Rate)
- 配当利回り(予想): 6.23%(Forward Annual Dividend Yield)
- 配当性向: 101.44%(Payout Ratio)
配当性向が100%を超過しており、利益以上に株主還元を行っていることを示します。これは株主に対して積極的な姿勢と捉えられますが、継続可能性の観点からは注意が必要です。
* 中間配当(2026年3月期中間): 25.00円(前中間期より増配)会社は通期の配当予想を「未定」としていますが、中間配当を増額しており、年間配当は昨年実績を上回る可能性があります。自社株買いなどの具体的な株主還元策に関する新規の情報は提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近で上昇傾向にあり、50日および200日移動平均線を上回って推移しています。これは、株価にポジティブなモメンタムがあることを示しています。
信用取引残高を見ると、信用買残が減少している一方で信用売残が増加しており、信用倍率は0.83倍と需給が引き締まっています。これは、株価が上昇した場合に買い戻し需要に繋がりやすい状況であることを示唆しています。
投資家の関心は、国内株式市場の動向、FX市場の変動、同社の顧客数や取引量の変化、そして特に配当政策に影響を受けやすいと考えられます。11. 総評
松井証券は、ネット証券大手として個人投資家向けのサービスを主要な事業として展開しています。国内株式市場の活況を背景に、直近の業績は売上・利益ともに好調に推移しており、営業利益率も非常に高い水準を維持しています。顧客獲得やサービス拡充に向けた投資も積極的です。
一方で、証券会社特有のビジネスモデルから自己資本比率は低く、負債比率は高い傾向にあります。これは業界における一般的な傾向ではありますが、財務健全性という観点からは注意を要します。また、直近で不正アクセスによる顧客補償費用を特別損失として計上しており、サイバーセキュリティ対策の重要性が再認識されました。
株価は直近で上昇モメンタムがあり、年初来高値に近づいています。しかし、PER、PBRともに業界平均を上回っており、バリュエーション面では割高感がある状態です。配当性向が100%を超過する積極的な株主還元姿勢も特徴的です。12. 企業スコア
- 成長性: A
(LTM売上成長率約5.25%、直近中間期営業収益前年比+17.5%と成長加速。3年CAGRもプラス。)
* 収益性: S(過去12か月の営業利益率48.24%、非常に高い水準を維持。)
* 財務健全性: C(自己資本比率6.3%と極めて低い。流動比率1.05、D/E比率354.33%も財務の安全マージンが薄いことを示唆。ただし、証券業の特性に留意が必要。)
* 株価バリュエーション: C(PER 18.96倍、PBR 2.61倍ともに業界平均(PER 13.3倍、PBR 1.0倍)を上回っており、割高感がある。)
企業情報
| 銘柄コード | 8628 |
| 企業名 | 松井証券 |
| URL | http://www.matsui.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 金融(除く銀行) – 証券、商品先物取引業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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