松井証券(8628)企業分析レポート
株価: 804円(2025-11-14終値)/市場: 東証プライム/業種: 証券、商品先物取引業
1. 企業情報
- 概要: ネット専業大手のオンライン証券。個人投資家向けに、国内株・信用取引・先物・オプション、投資信託、FX、米国株などを提供。収益の柱は信用取引関連(信用取引貸付に伴う金融収益)と委託手数料。1918年創業、本社は東京・麹町。
- 収益構成(2025年3月期・単体)
- 受入手数料 51%
- 金融収益 39%(主に信用取引貸付金利・預託金運用)
- トレーディング損益 10%(主にFX)
- 特徴: 信用取引に強み。アプリや投資情報・教育コンテンツ(YouTube等)で個人投資家のエンゲージメントを高める施策を継続。松井家関連会社が大株主で持株比率が高い(インサイダー保有約58%)。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 位置づけ: ネット証券の主要プレイヤーの一角。信用取引収益の比率が高く、相場活況期に収益が伸びやすいモデル。
- 競争環境
- 競合: SBI、楽天、マネックス、auカブコム等。近年は「手数料無料化」や米国株・投信の品揃え、アプリ利便性で競争が激化。
- 優位性: 信用取引の顧客基盤、取引ツールの使い勝手、投資情報・教育コンテンツによるブランド認知。
- 課題: 手数料競争の長期化、NISA拡大で長期投資が増える一方、短期売買の相場環境次第で収益変動が大きい点。サイバーリスク対応の強化も重要。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/方向性(短信等からの要点)
- 個人向け取引環境の強化(アプリ・PCツールの機能拡充)
- 取引商品の拡充と利便性向上(米国株のプレマーケット対応、投資情報ツール)
- マーケティング強化(CM、YouTube等の投資教育コンテンツ拡充)
- FXスプレッド縮小の恒久化など、価格面の競争力確保
- 中期的施策(具体数値目標の開示は限定的)
- 収益源の多角化(手数料+信用・金利収益+FXトレーディング)
- システム・セキュリティ投資(不正アクセス補償の発生を踏まえた強化)
- 業績予想は非開示方針(市況依存度が高いため)。月次KPIで透明性を担保。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 委託手数料+信用金利等の金融収益+FX等のトレーディング益。金利環境・個人の売買代金・信用残高に影響を受ける。
- 適応力:
- 手数料競争への対応として、金利・スプレッド・付加価値情報で差別化。
- NISA拡大に伴う投信・米国株の強化で収益源の多角化を推進。
- サイバーリスク対応や運用・内部管理の強化が必須。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性: 個人投資家向けのUI/UX改善(分析機能の強化、アプリ高速化)、投資教育コンテンツ(登録者規模の大きい公式チャンネル)による集客・活性化。
- 収益牽引領域: 信用取引(貸付金利)、国内株の委託手数料、FXトレーディング益。米国株・投信分野の強化が進行。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提
- 株価: 804円
- LTM EPS: 42.40円 → 推定PER ≈ 18.9倍
- BPS(単体): 307.92円 → PBR ≈ 2.61倍(開示値と一致)
- 業界平均: PER 13.3倍、PBR 1.0倍
- 評価
- PER・PBRともに業界平均を上回るレンジ。相対的にはプレミアム圏。
- 参考: 配当利回り(直近実績)約5.35%(43円/株)。データ提供値ベースのフォワード利回りは約6.2%(50円/株)だが、会社の通期配当予想は未定。
※証券会社は貸借対照の性質上、EVの一般的指標は解釈が難しいため省略。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均: 約781円、200日移動平均: 約754円 → いずれも上回る上昇トレンド。
- 直近10日: 767円 → 804円と切り上がり、出来高も10日平均が3カ月平均をやや上回る。
- 位置づけ
- 年初来高値843円まで約+4.9%。高値圏に近いレンジで推移。
- 需給
- 信用倍率0.83倍(売り超過)で、上昇局面では買い戻し需要が発生しやすい構造。
8. 財務諸表分析(単体中心)
- 収益・利益
- 売上高(営業収益相当・LTM): 約400.9億円(前年比+17%の四半期ベース成長率)
- 過去推移(営業収益/百万円換算)
- 2022/3: 320.99億円
- 2023/3: 284.63億円
- 2024/3: 353.07億円
- 2025/3: 371.61億円
- LTM: 約400.9億円
- 利益率
- 営業利益率(LTM): 約48%
- 純利益率(LTM): 約27%
- ROE(実績・単体): 13.78%
- 収益性の質
- 金利上昇・個人売買増で金融収益・手数料が伸長。FXトレーディング益も寄与。
- 中間期に不正アクセス補償(特別損失)を計上(369百万円)。
- 財政状態・流動性
- 自己資本比率: 6.3〜6.8%(顧客預り金等を負債に計上する業態特性)
- 流動比率: 約1.05倍
- 総現金: 約8.94兆円、総負債: 約2.82兆円相当(業態特性上、顧客関連資金を含むため単純比較は注意)
- 信用取引貸付金は減少、短期借入金も減少傾向(資金構成の調整)
- トレンド評価
- 売上は2023/3を底に回復基調、LTMベースで伸長。EPSも回復傾向(30.42円→38.06円→LTM 42.4円)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 中間配当: 25円(2026年3月期中間)
- 通期配当予想: 未定(相場依存度を踏まえ非開示)
- 直近実績配当: 43円/株 → 実績利回り約5.35%(株価804円)
- データ提供値のフォワード配当: 50円/株(利回り約6.2%)。ただし会社予想は未定。
- 配当性向(LTMベース参考): 約101%(一時的要因の影響可能性に留意)
- 自社株買い: 開示情報では確認できず(自己株式比率0.66%)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム: 直近は移動平均上で推移し、出来高も増勢。年初来高値に接近。
- 関心材料
- 市場活況・金利水準・信用残動向(収益に直結)
- NISA拡大に伴う顧客基盤拡大効果
- 手数料競争の帰趨、米国株・投信・FXの伸長度合い
- サイバーリスク対応の進捗
- 需給面: インサイダー保有が高く(約58%)、フリーフロートは限定的。信用売り超過が短期の値動きに影響。
11. 総評
- 市況追随度の高い収益モデルだが、2025年は個人売買の活性化と金利環境を背景に、手数料・金融収益・FXがバランスよく伸長。LTMで売上・利益率ともに改善。
- バランスシート指標(自己資本比率・D/E)は証券業の特性で低く見えやすいが、業界横断の単純比較では慎重な解釈が必要。
- バリュエーションはPER・PBRとも業界平均を上回る水準。配当利回りは相対的に高い一方、配当予想は未定で変動余地あり。
- 短期的には高値圏での攻防。信用売り超過や出来高増加など、需給も価格形成に影響しやすい局面。
(注)本レポートは提供データに基づく事実整理と定量比較であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性: A
- 根拠: LTM売上約400.9億円、四半期ベースYoY +17.1%、3年CAGR約+5%と伸長。
- 収益性: A
- 根拠: 営業利益率約48%、純利益率約27%、ROE約13.8%と高い水準。
- 財務健全性: C
- 根拠: 自己資本比率6.3〜6.8%、流動比率約1.05、D/E高水準。業態特性を考慮しても定量指標は弱め。
- 株価バリュエーション: C
- 根拠: PER約18.9倍、PBR約2.61倍は業界平均(PER13.3倍、PBR1.0倍)を上回るレンジ。
【補足データ】
– 時価総額: 約2,084億円
– 発行済株式数: 259,264,702株
– 年初来高値/安値: 843円 / 660円
– 信用残: 買い残100.4万株(前週比-15.0万)、売り残120.6万株(前週比+10.7万)、信用倍率0.83倍
– 直近イベント: 権利落ち日 2025-09-29
– 次回予定: 決算発表予定 2026-01-29
不明または未開示の項目は記載を省略しています。
企業情報
| 銘柄コード | 8628 |
| 企業名 | 松井証券 |
| URL | http://www.matsui.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 金融(除く銀行) – 証券、商品先物取引業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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