1. 企業情報
KYORITSUは、日本を拠点に印刷事業を展開する総合印刷会社です。商業印刷(チラシ、パンフレット、カタログなど)と出版印刷(書籍、雑誌など)の双方を手掛けており、特に情報誌印刷に強みを持っています。近年は、情報デジタル事業(ダイレクトメール、デジタル印刷、ウェブ広告等)、環境事業(生分解性プラスチックフィルムの製造・販売、プラスチックリサイクル)、BPO事業(倉庫保管・発送)といった新規事業の育成にも注力し、事業ポートフォリオの多角化を進めています。
2025年3月期の連結事業構成比は、プリントメディア事業が73%と最大の売上を占めています。その他、情報デジタル事業が22%、環境事業が4%、BPO事業が1%です。
本社は東京都板橋区にあり、1981年5月1日に設立されました。東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、情報通信・サービスその他に分類されます。
2. 業界のポジションと市場シェア
KYORITSUは印刷業界の中堅企業として位置付けられています。主力のプリントメディア事業は、デジタル化の進展や情報媒体の変化に伴い、市場全体が縮小傾向にあります。このような環境下で、同社は内製化と生産性向上によって収益基盤の維持を図っています。
一方、情報デジタル事業はデジタル広告やデータ活用によるダイレクトマーケティングの需要を取り込み、成長分野として位置付けられています。また、環境事業における生分解性プラスチックやプラスチックリサイクル技術は、SDGsへの意識の高まりや循環型経済への移行を背景に、将来的な成長が期待される分野です。
決算短信では、環境事業において地域ネットワークの拡大をM&Aにより推進していることが示されており、業界内での競争力を強化しようとする姿勢が見られます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、利益率の高い情報デジタル事業と環境事業へ積極的な設備投資とM&Aを行うことで、事業構造の転換を図る方針を掲げています。具体的には、情報デジタル事業ではグループ内の広告制作会社等の統合を通じて一括提案体制を整備し、プリントメディア事業では内製化推進によるコスト削減と収益基盤の維持を目指しています。環境事業では、地域ネットワークの拡大を目的としたM&A(有限会社丸正北海総業の子会社化)を実施し、BPO事業では既存倉庫を活用した受注拡大を進めています。
これらの戦略は、市場が縮小傾向にある印刷事業への依存度を下げ、成長が見込まれる分野へ経営資源をシフトすることで、持続的な成長を実現することを狙っています。
4. 事業モデルの持続可能性
KYORITSUの事業モデルは、主力のプリントメディア事業が市場縮小という外部環境の変化に直面しており、その持続性には課題があります。しかし、同社は情報デジタル事業、環境事業、BPO事業といった成長分野への経営資源の再配分と育成を進めることで、収益モデルの変革を試みています。
特に情報デジタル事業はデジタル広告市場の拡大、環境事業はSDGsやリサイクル需要の高まりといった市場ニーズの変化に対応しており、これらの事業の成長が全体としての持続性を高める鍵となります。M&Aや技術投資を通じて、市場ニーズへの適応力を強化する取り組みが見られます。
5. 技術革新と主力製品
KYORITSUは、デジタル印刷技術の活用や、ウェブ広告関連会社のグループ化などにより、情報デジタル事業での技術革新を進めています。
環境事業においては、生分解性プラスチックフィルムの製造・販売や、使用済みプラスチックを固形燃料(RPF)や再生材として再利用するプラスチックリサイクル技術を展開しており、独自の技術力を有しています。
現在の収益構造を見ると、プリントメディア事業が依然として売上高の大部分を占めていますが、情報デジタル事業や環境事業は増収増益または増収減益ながらも今後の成長ドライバーとしての役割が期待されています。特に生分解性プラスチック関連製品は、環境意識の高まりを受けて需要が増加する可能性があります。
6. 株価の評価
現在の株価195.0円に対し、会社予想EPS25.52円に基づくPERは7.64倍です。これは業界平均PER10.0倍と比較して割安な水準にあります。
また、実績BPS411.66円に基づくPBRは0.47倍であり、業界平均PBR0.5倍と比較しても割安感が認められます。
これらの指標から見ると、現在の株価は類似企業や業界平均と比較して評価が低い状況であると考えられます。
7. テクニカル分析
現在の株価195.0円は、年初来高値213円と年初来安値133円のほぼ中央やや安値圏に位置しています。
直近10日間の株価推移を見ると、192円から198円の範囲で推移しており、大きな方向感は見られませんが、やや足元の価格は軟調です。
50日移動平均線が200.26円、200日移動平均線が178.82円であることから、現在の株価は50日移動平均線を下回っていますが、200日移動平均線を上回っており、中期的な上昇トレンドの範囲内で短期的な調整局面にあると見ることができます。出来高は直近で平均を下回る日が多く、投資家の強い買い意欲や売り圧力は限定的のようです。
8. 財務諸表分析
売上高: 過去数年間は400億円前後で推移する横ばい傾向でしたが、過去12ヶ月の連結売上高は422億3千万円と微増しています。直近の中間期売上高は200億2千5百万円で、前年同期比10.4%増を達成しており、四半期ベースでは成長が見られます。
利益:
* 売上総利益率はLTMで約11.2%です。
* 営業利益は、2023年3月期13億3千万円、2024年3月期16億4千万円と改善傾向にありましたが、過去12ヶ月では12億4千万円と減少しています。しかし、直近中間期の営業利益は5億7千4百万円で前年同期比3.1%増と増益を確保しています。
* 親会社株主に帰属する純利益は2023年3月期4億5千6百万円から2024年3月期9億7百万円に改善し、直近中間期では7億3千9百万円で前年同期比168.6%増と大幅な増益を記録しています。特別利益(投資有価証券売却益)の計上が大きく寄与しています。
キャッシュフロー: 詳細なキャッシュフロー計算書は提供されていませんが、直近四半期の現金及び預金は119億9千7百万円と前期末から増加しており、流動性は確保されています。
資本効率・健全性:
* ROEは実績で4.13%、過去12ヶ月では6.80%と改善傾向にあります。
* ROAは過去12ヶ月で1.87%です。
* 自己資本比率は実績で41.7%、直近四半期で40.9%と、財務の健全性を示す一般的な目安である40%を上回っています。
* 流動比率は直近四半期で1.52と、短期的な支払い能力に問題はない水準です。
* D/Eレシオは90.53%と、負債過多ではない健全な範囲内です。
総じて、売上高は横ばいながらも、戦略転換の進捗により一部セグメントで成長が見られ、利益面では変動があるものの直近中間期は大幅増益となりました。財務健全性は比較的良好な状態を維持しています。
9. 株主還元と配当方針
KYORITSUは、1株配当(会社予想)8.00円を計画しており、現在の株価195.0円に対する配当利回りは4.10%と高い水準にあります。
配当性向は会社予想で45.82%であり、安定的な株主還元を目指す姿勢がうかがえます。
また、従業員向けの株式給付信託(J-ESOP)の導入を決議しており、市場からの株式取得を通じて、間接的ではありますが株価を下支えする効果も期待されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
過去52週間の株価変動率は+34.48%とS&P500の+14.26%を大きく上回っており、相対的に良好なパフォーマンスを示しています。しかし、現在の株価は直近の年初来高値213円から調整局面に入っています。
直近10日間の出来高は平均7.37万株(3ヶ月平均15.51万株)を下回る日が多く、投資家の関心は一時的に低下している可能性があります。
信用取引残高を見ると、信用買残が信用売残の約22倍と買い残が多く、需給面では将来的な株価上昇の重しとなる可能性も考えられます。
直近では中間決算において、親会社株主に帰属する中間純利益が大幅に増加したことが発表されており、今後の通期業績の達成度合いや、中期経営戦略の進捗が株価に影響を与える要因として注目されます。
11. 総評
KYORITSUは、競争の厳しい印刷業界において、情報デジタル、環境といった成長分野への事業転換を進めており、直近ではM&Aも積極的に行っております。財務基盤は自己資本比率や流動比率、D/Eレシオから見て健全性を維持しています。株価は業界平均と比較してPER、PBRともに割安感があり、配当利回りも高い水準にあります。直近の中間決算では大幅な増益を達成しており、今後の通期業績への期待が高まります。一方で、主力事業の市場縮小や、収益性の変動、信用買残の水準などは課題として挙げられます。
12. 企業スコア
- 成長性:B
- LTM売上高は微増、直近中間期売上高は前年同期比10.4%増。ただし、過去数年の売上高は横ばい傾向。新規事業の成長の兆しはあるものの、全体を牽引するほどの勢いには至っていない状況。
- 収益性:B
- LTM営業利益率は3.49%、直近中間期の営業利益率は約2.9%。大幅な増益を記録した中間純利益は特別要因の影響が大きい。利益率は特別に高い水準ではないが、堅調に推移している。
- 財務健全性:A
- 自己資本比率は40%を超え、流動比率も1.52と良好。D/Eレシオも90.53%と健全な範囲内であり、財務は安定していると評価できます。
- 株価バリュエーション:A
- PER(会社予想)7.64倍は業界平均10.0倍を下回り、PBR(実績)0.47倍は業界平均0.5倍を下回っており、割安感が高いと評価できます。
企業情報
| 銘柄コード | 7795 |
| 企業名 | KYORITSU |
| URL | https://www.kyoritsu-hd.co.jp |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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