東急(9005)企業分析レポート
株価: 1,731円(2025-11-17終値)
市場: 東証プライム/33業種:陸運業(東急グループ中核、沿線再開発を推進)
1. 企業情報
- 事業概要
- 交通事業:鉄道・バス・空港運営、車両関連保守・更新
- 不動産事業:賃貸・分譲・開発・仲介、PM/BM
- 生活サービス事業:百貨店・小売、SC、CATV、電力・インターネット、広告 ほか
- ホテル・リゾート事業:ホテル運営、ゴルフ場等
- 特徴
- 民鉄最大の輸送人員を持つ首都圏私鉄の中核企業
- 渋谷・南町田など沿線の大規模再開発(TOD:Transit Oriented Development)に注力
- 事業構成(2026/3期の想定構成比・営業利益率はQ2ベースの目安)
- 交通21%(利益率約17%)
- 不動産19%(利益率約24%)
- 生活サービス48%(利益率約4〜5%)
- ホテル・リゾート12%(利益率約9%)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:首都圏私鉄グループ中核、沿線人口基盤と都心結節点(渋谷)を擁する強み
- 競争優位性
- 沿線価値向上を起点とした「交通×不動産×生活サービス×ホテル」の一体運営
- 都心ターミナル(渋谷)での再開発蓄積とテナント集積力
- 課題
- リモートワーク定着による通勤需要の伸び悩み
- 金利上昇局面での不動産セグメントの資金コスト上昇リスク
- エネルギー・人件費上昇による収益圧迫
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方向性(開示・短信等の文脈から)
- 沿線・結節点の再開発を通じたエリア価値最大化と非運輸収益の拡大
- 生活サービスの収益性改善(小売・流通の構造最適化、顧客接点のデジタル化)
- ホテル・リゾートの需要回復(インバウンド・MICE等)を取り込み
- 資本効率の維持・向上(ROE約10%水準)
- 直近の注目事項
- 東急リアル・エステート投資法人の投資口取得に伴う負ののれん(66.5億円)を持分法利益で計上(非経常)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 安定性:定期・通勤、賃貸不動産のストック型収益
- 変動要素:百貨店・小売、ホテル等の景気・観光需要連動部分
- 適応力
- TODでの複合開発により、運輸以外の収益源を多層化
- デジタル(MaaS、需要予測、保守DX)や省エネ投資でコスト最適化の余地
- 留意点
- 高水準の有利子負債と継続的な投資需要(再開発・保守)により、金利感応度は相対的に高い
5. 技術革新と主力製品・サービス
- 技術・運用面
- 鉄道保守・更新、電気・通信設備、運行・混雑マネジメントの高度化
- 小売・SC運営でのデータ活用、キャッシュレス・会員基盤の強化
- 収益牽引領域(Q2セグメント利益貢献)
- 不動産が約38%、交通が約32%と高採算セグメントが牽引
- 生活サービスは売上規模最大だが利益率が低く、改善が鍵
- ホテルは回復基調で利益率改善
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 指標(会社予想・実績ベース)
- 株価: 1,731円
- EPS(予想): 146.59円 → PER: 11.81倍
- BPS(実績): 1,507.86円 → PBR: 1.15倍
- 予想配当: 28円 → 配当利回り: 約1.62%、配当性向: 約18〜19%
- 業界平均との比較(参考)
- 業界平均PER: 13.9倍 → PERは平均を下回る(ディスカウント)
- 業界平均PBR: 1.0倍 → PBRは小幅プレミアム
- 解釈
- 資産規模・都市再開発パイプラインに対するプレミアムと、負債水準・低流動比率へのディスカウントが拮抗
7. テクニカル分析
- 位置関係
- 50日移動平均: 1,791.4円、200日: 1,755.8円
- 現在値は50日・200日をいずれも下回り、短期は弱含み
- レンジ
- 52週高値: 1,997円/安値: 1,631円 → 現在値はレンジ下半分
- 直近値動き
- 11/12の戻り高値後に調整継続、出来高は平均並み〜やや高め
- 抵抗帯: 1,755〜1,790円(200日・50日)/サポート: 1,700円前後、1,631円(年初来安値)
8. 財務諸表分析
- 損益(連結、単位:百万円)
- 売上高:2022 879,112 → 2023 931,293 → 2024 1,037,819 → 2025 1,054,981 → LTM 1,048,733
- 営業利益:2022 31,545 → 2023 44,605 → 2024 94,905 → 2025 103,487 → LTM 97,032
- 当期純利益:2022 8,782 → 2023 25,995 → 2024 63,935 → 2025 79,677 → LTM 86,447
- マージン・効率
- 粗利率(LTM): 約31.5%
- 営業利益率(LTM指標): 10.31%
- ROE(LTM): 約10.1%、ROA(LTM): 約2.25%
- 成長傾向
- LTM売上YoY: 約+2.2%、3年CAGR(22→25期): 約+6%
- 2026/3期Q2は売上微減、営業減益だが、経常・純利益は増加(持分法益や一過性の影響含む)
- キャッシュフロー・財政状態(2025/9末)
- 営業CF(LTM): +1,085億円、レバードFCF(LTM): ▲469億円(投資負担大)
- 現金同等物: 785億円、有利子負債: 約1.34兆円、D/E: 約148%
- 自己資本比率: 31.2%(実績30.7%)
- 流動比率: 約0.73と低位(鉄道・不動産モデルの特性も勘案)
- Q2の留意点
- 退職給付見積変更で営業利益+8.43億円の追い風
- 東急REIT投資口取得に伴う負ののれん66.5億円(営業外)→一過性
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 年間配当予想: 28円(中間14円・期末14円)、利回り約1.6%
- 5年平均利回り: 約1.1% → 現在は平均超
- 配当性向: 約18%(余力あり)
- 自社株
- 自己株式比率: 約8.0%(期末時点)→ 過去の自己株取得の痕跡
- 方針
- 一定の安定配当に加え、機動的な自己株活用の余地
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 直近10日:戻り売り優勢で下押し
- 52週変化率:▲8.68%(ベンチマーク比アンダーパフォーム)
- 投資家属性
- 機関保有約46%、インサイダー約4%
- 信用倍率2.66倍、買い残・売り残ともに減少(信用需給はやや中立)
- 需給
- 自己株保有の存在は流通株式数を圧縮しやすい一方、再開発ニュース等のイベントドリブンでボラティリティが出やすい
11. 総評
- 強み:都心結節点(渋谷)と沿線一体の再開発力、不動産・交通の高採算セグメント、ROE約10%の資本効率
- 課題:流動比率・自己資本比率の水準、有利子負債の多さ、生活サービスの利益率改善
- 収益見通し:通期は営業収益+2.8%、純利益+5.4%計画(会社予想)。一過性要因(負ののれん等)を除いたコアでの利益体質の維持が焦点
- バリュエーション:PERは業界平均比ディスカウント、PBRは小幅プレミアム。資産性と負債水準の綱引き
- テクニカル:短期は下方バイアス、年初来レンジ下半分。移動平均が上値抵抗帯に
(注)本資料は提供データに基づく分析であり、投資助言を目的とするものではありません。一過性損益は適宜言及のうえ評価から切り分けています。
12. 企業スコア
- 成長性:A
理由:LTM売上+2.2% YoY、3年CAGR約+6%で増収基調を維持
– 収益性:B
理由:営業利益率約10%・ROE約10%と堅調だが、生活サービスの低採算が全体を抑制
– 財務健全性:C
理由:自己資本比率約31%、D/E約1.48、流動比率0.73と保守的基準に比し弱め
– 株価バリュエーション:A
理由:PERが業界平均を下回るディスカウント、PBRは小幅プレミアムに留まる
【参考データ(主な指標)】
– 時価総額: 約1.08兆円/発行済株式数: 約6.25億株(期末ベース)
– EBITDA(LTM): 約1,840億円、営業CF(LTM): 約1,085億円
– 今後のイベント:決算発表 2026/2/12、権利落ち 2026/3/30(予定)
企業情報
| 銘柄コード | 9005 |
| 企業名 | 東急 |
| URL | https://www.tokyu.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 運輸・物流 – 陸運業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。