1. 企業情報
JSPは1962年設立の発泡樹脂大手企業です。押出事業とビーズ事業の2つのセグメントで事業を展開しており、特に発泡ポリプロピレン(ARPRO®)などの高機能材を主力としています。これらの製品は自動車部品(バンパーなど)、住宅断熱材、食品容器、産業資材、建築・土木資材など幅広い用途で国内外に提供されています。世界的に事業を展開しており、海外売上比率も高く、連結事業の海外比率が50%(2025.3期)となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
JSPは発泡樹脂業界において大手の一角を占めています。特に、発泡ポリプロピレン(ARPRO®)など、自動車部材や高機能材の分野で強みを持っていることが特徴です。同社の製品は衝撃エネルギー管理材、断熱材、軽量化材料として多様な産業で利用されており、特定の技術を要する高付加価値製品において競争優位性を持つと考えられます。
決算短信によると、国内市場では食品トレー向け需要の減少など厳しい状況が見られる一方、一般包材や建築・土木向けの付加価値製品は好調な推移を見せています。また、ビーズ事業における高機能材は、自動車分野の需要低下の影響を受ける地域がある一方で、非自動車分野や特定の地域で需要増加が見られるなど、市場ニーズの変化への適応力が課題となる可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
JSPは新中期経営計画「Change for Growth 2026」を掲げており、これは現在2年目を推進中です。この計画の基本コンセプトは、グループ全体の収益力強化、発泡樹脂製品による社会貢献、および経営基盤の強化です。
具体的な重点分野としては、資本収益性の向上、成長分野への資源集中、環境対応型製品の開発、資源循環への取り組みなどが挙げられます。押出事業では付加価値製品の強化、ビーズ事業では非自動車分野や特定地域での成長機会を追求している状況です。
4. 事業モデルの持続可能性
JSPの事業モデルは、多岐にわたる産業分野(自動車、建設、食品、包装材など)に発泡樹脂製品を供給することで、特定市場の変動リスクを分散しています。特に、ARPRO®に代表される高機能材は、軽量化、衝撃吸収、断熱性といった特性により、環境負荷低減や高機能化ニーズに応えるものであり、持続可能な社会への貢献を通じて長期的な需要が見込まれます。
収益モデルは製品の技術優位性と幅広い用途への展開に支えられていますが、原材料価格やエネルギーコストの変動、国内外の需要変化(特に自動車や食品トレー向け)は経営に影響を与える可能性があります。中期経営計画での「環境対応型製品」や「資源循環」への言及は、市場ニーズの変化や環境規制への適応を目指す同社の姿勢を示しており、事業モデルの持続可能性を高める要素と考えられます。
5. 技術革新と主力製品
JSPは発泡樹脂技術を中核とする企業であり、その技術開発力は製品ラインナップに表れています。主力製品としては以下のものが挙げられます。
* ARPRO®: 発泡ポリプロピレンを中心とした高機能材で、自動車部品(バンパーコア、吸音材など)、多用途輸送用包装材、空調機器ハウジングなどに利用される衝撃エネルギー管理材料です。軽量で高い衝撃吸収性を持つ点が特徴です。
* STYRODIA®: 消費者向け電子機器の包装材、温冷食品容器、建築用断熱材など広範囲で利用される発泡ポリスチレン製品です。
* その他**: 熱可塑性エラストマービーズフォームのARGILIX®、既製バスルームや自動車部品に使われるFOAMCORE®など、独自性の高い製品を多数展開しています。
シート・ボード製品では、MIRAMAT、CAPLON、P-BOARD、STYRENE PAPER、MIRABOARD、MIRAFOAMなどのブランドで、広告用ボード、建設、食品包装、工業用包装市場に提供しています。これらの製品は、軽量性、断熱性、加工性などの特性を活かし、様々な分野で活用されています。
6. 株価の評価
現在の株価2,116.0円に対し、以下の指標が示されています。
* PER(会社予想): 11.55倍
* EPS(会社予想): 183.16円
* PBR(実績): 0.55倍
* BPS(実績): 3,836.15円
* 業界平均PER: 20.4倍
* 業界平均PBR: 1.1倍
JSPのPER(11.55倍)は業界平均PER(20.4倍)と比較して低く、またPBR(0.55倍)も業界平均PBR(1.1倍)よりも大幅に低い水準にあります。これは、現在の株価が収益性や資産価値に対して比較的割安に評価されている可能性を示唆しています。株価が1株当たり純資産(BPS)の半分程度の水準で取引されている状況です。
7. テクニカル分析
直近の株価推移を見ると、約10日間の間で株価は1900円台前半から2100円台へと上昇傾向を示しています。特に2025年11月12日には1949円から2161円まで大きく上昇し、出来高も大幅に増加しました。その後、株価は高値圏で推移し、2025年11月17日の終値は2116円となっています。
年初来高値が2,198円、年初来安値が1,627円であるため、現在の2,116円は年初来高値に近づく高値圏に位置しています。
また、50日移動平均線(1945.02円)と200日移動平均線(1939.53円)を大きく上回って推移しており、直近で上昇トレンドが形成されていることが示唆されます。
この急激な上昇は、何らかの好材料や市場の注目が集まった結果である可能性があります。
8. 財務諸表分析
売上高:
過去数年の連結売上高は一貫して増加傾向にあります。
* 2022年3月期: 114,125百万円
* 2023年3月期: 131,714百万円
* 2024年3月期: 135,051百万円
* LTM / 2025年3月期予想: 142,250百万円
直近の通期予想も伸長しており、長期的な事業規模の拡大を示しています。ただし、2026年3月期第2四半期(中間期)の売上高は前年同期比で微減(△1.5%)しており、地域やセグメントによっては需要の変動が見られます。
利益:
* 売上総利益: 売上高の増加に伴い、売上総利益も増加傾向にありますが、原材料費などのコスト変動により粗利率が変動する時期も見られます。
* 営業利益: 2023年3月期は2,957百万円と落ち込みましたが、2024年3月期には7,565百万円と回復しています。LTMおよび2025年3月期予想は6,889百万円で、前年比では減少を見込んでいます。2026年3月期中間期も人件費増等で前年同期比△4.0%の減益となっています。
* 純利益: 営業利益と同様に2023年3月期は2,531百万円と低調でしたが、2024年3月期には6,391百万円に回復。LTMおよび2025年3月期予想は5,066百万円で、こちらも前年比減の見込みです。ただし、直近の中間期親会社株主に帰属する純利益は特別利益(退職給付制度改定益)の計上もあり、前年同期比+11.0%と増益を達成しました。
収益性指標:
* Profit Margin (過去12か月): 3.79%
* Operating Margin (過去12か月): 5.07%
* ROE(実績): 5.16%
* ROA(実績): 2.71%
これらの収益性指標は、素材・化学業界としては一般的な水準ですが、特段高いというわけではありません。ROEは資本効率改善の余地があることを示唆しています。
財務健全性:
* 自己資本比率(実績): 65.6%
* 流動比率(直近四半期): 2.24倍 (224%)
* Total Debt/Equity(直近四半期): 22.89%
自己資本比率が非常に高く、流動比率も200%を超えており、有利子負債も低い水準です。これは極めて堅固な財務基盤を有していることを示しており、外部環境の変化や投資への耐性が高いと言えます。
キャッシュフロー:
* 営業活動CF (過去12か月): +10,760百万円
* 投資活動CF (過去12か月): △3,809百万円
* レバードフリーキャッシュフロー (過去12か月): +2,010百万円
営業活動によるキャッシュフローは安定的にプラスで推移しており、事業で着実に現金を生み出しています。投資活動によるキャッシュフローは設備投資等でマイナスですが、事業拡大に向けた積極的な投資姿勢を示しています。フリーキャッシュフローもプラスを維持しており、健全なキャッシュマネジメントが見られます。
9. 株主還元と配当方針
JSPは株主還元に積極的な姿勢を示しています。
* 配当利回り(会社予想): 3.78%
* 1株配当(会社予想): 80.00円(中間40円、期末40円の通期予想)
* 配当性向: 39.19%
会社予想配当利回り3.78%は日本株全体で見ても比較的高水準であり、配当性向も約40%と無理のない範囲に留まっています。
大株主情報には「自社(自己株口)」が16.57%と記載されており、これは過去の自社株買いによるものと推測されます。自社株買いも株主還元策の一つであり、今後も市場環境に応じて実施される可能性があります。
今後のイベントとして、2026年3月30日に配当権利落ち日(Ex-Dividend Date)が予定されており、これに向けて投資家の関心が高まる可能性もあります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は、11月10日から11月11日にかけては横ばいでしたが、11月12日に大きく上昇しました。その後も高値圏で堅調に推移しており、上昇の勢い(モメンタム)が見られます。Avg Vol (10 day)が111.71kとAvg Vol (3 month)55.58kの約2倍に増加していることから、足元で投資家の関心が高まっていることが伺えます。
信用取引の残高を見ると、信用買残が74,200株に対して信用売残が17,900株であり、信用倍率は4.15倍となっています。先週比では信用買残が減少する一方で信用売残が増加しており、一部で警戒感や利益確定売りも出ている可能性がありますが、全体としては買いの興味が上回っている状況です。
株価上昇の背景には、財務の健全性やPBRの低さからくる市場再評価、あるいは特定の材料が発表された可能性が考えられます。
11. 総評
JSPは、発泡樹脂分野で高い技術力と多様な製品ラインナップを持つ大手企業です。特に高機能材で強みを持ち、自動車、建設、食品など幅広い用途に製品を提供することで事業リスクを分散させています。売上高は継続的に増加傾向にあり、今後も中期経営計画に基づき成長分野への投資と環境対応製品の開発を進める方針です。
財務基盤は非常に強固であり、高い自己資本比率と健全な流動性を誇ります。キャッシュフローも安定しており、安定した企業運営がされていると評価できます。収益性は業界平均レベルと見られますが、堅実な経営がなされています。
現在の株価は、PER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にあり、資産価値や収益性から見ると過小評価されている可能性があります。株主還元にも積極的で、高めの配当利回りと過去の自社株買いが確認できます。
直近の株価は上昇モメンタムが見られ、投資家の関心も高まっています。しかし、原材料価格や為替変動、特定用途(自動車、食品トレーなど)の需要変動リスクは継続的に注視する必要があります。
全体として、JSPは安定した事業基盤と堅実な財務、成長志向の経営戦略を持つ企業であり、現在の市場評価は割安感があると言えるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率(YoY)は約5.33%、3年CAGRは約7.6%と売上は堅調に伸びています。ただし、直近の中間期売上は微減(-1.5%)のため、Sには届かない評価とします。
- 収益性: B
- 過去12か月の営業利益率5.07%、粗利率25.68%。素材・化学業界において極めて高い水準ではありませんが、平均的な収益性を維持しています。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率65.6%、流動比率2.24倍、Total Debt/Equity 22.89%と、非常に健全な財務状態です。
- 株価バリュエーション: S
- PER(会社予想)11.55倍は業界平均20.4倍を下回っており、PBR(実績)0.55倍は業界平均1.1倍を大きく下回るため、明確に割安と評価できます。
企業情報
| 銘柄コード | 7942 |
| 企業名 | JSP |
| URL | https://www.co-jsp.co.jp |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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