株式分析レポート:栄研化学(4549)

株価:2,373円(プライム)/時価総額:914.6億円/配当利回り(会社予想):2.44%
業種:医薬品(診断薬・Medical Devices)/決算期:3月末/直近四半期:2025/9/30

1. 企業情報

  • 概要:臨床検査薬の専業大手。主力は大腸がん検診で用いられる便潜血検査(FIT)試薬・機器で国内高シェア(約7割)。このほか、微生物検査、尿検査、免疫・血清検査、生化学検査、食品・環境検査向け培地、核酸増幅法を用いた遺伝子関連製品、各種自動分析装置を展開。
  • 事業構成(2026年3月期中間):免疫血清検査用試薬が売上の約57.5%と主力。海外売上比率は約26%(2025.3)。
  • 本社:東京都千代田区/設立:1939年/従業員:702人。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション:国内臨床検査薬の中堅〜大手。特にFIT分野で強固な地位。尿検査や微生物・免疫系試薬もラインアップが厚い。
  • 競争優位性:
    • FITでの高シェアと検診市場での継続需要(自治体・健保検診)が安定収益を支える。
    • 試薬×機器の一体提供、核酸増幅技術(例:等温増幅法など)により検査時間短縮や運用容易性を訴求。
  • 課題:
    • 診療報酬・薬価(価格)改定の影響、原材料・物流コスト上昇。
    • 海外規制・各国医療政策への適応、グローバル競合との価格競争。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン/中計:経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」/スローガン「Challenges to Innovation」。
  • 重点分野:

1) がん予防・治療(FITのグローバル展開、関連検査の拡充)
2) 感染症撲滅・感染制御(微生物・免疫・遺伝子検査の強化)
3) ヘルスケア製品・サービス提供(検査周辺ソリューション)
– 施策の進捗(開示ベース):
– 海外販売拡大(中間期:海外売上+11.3%)。
– 生産・販売体制の見直し(中国子会社持分譲渡=特別利益計上、国内生産集約、本社移転、新生産棟建設など)。
– 資本政策:自己株式の取得・消却(4,000,000株の消却決議、消却予定日2025/11/14)。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:設置機器に紐づく試薬の継続販売が基盤。検診・スクリーニング用途(FIT)の継続性が高く、消耗品収益が安定化要因。
  • 需要動向:高齢化や予防医療の進展、自治体検診の実施、海外での大腸がんスクリーニング導入拡大が追い風。一方で価格改定やコスト上昇がマージン圧迫要因。
  • 適応力:海外比率の引き上げ、製造集約・効率化、製品ポートフォリオの更新(免疫・遺伝子領域強化)で収益性改善を志向。

5. 技術革新と主力製品

  • 主力:便潜血検査(FIT)用試薬・分析装置、免疫血清検査用試薬(売上構成比最大)、尿検査・微生物検査関連、食品・環境検査培地。
  • 技術の独自性:核酸増幅法を含む分子診断技術、迅速性・操作性に配慮した検査ソリューション。
  • 収益ドライバー:海外のFIT需要拡大、免疫血清分野の安定需要、装置設置に伴う試薬消耗収益。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 前提:株価2,373円、会社予想EPS 114.41円、実績BPS 1,330.05円。
  • PER(会社予想):約20.74倍(業界平均27.8倍より低い)。
  • PBR(実績):約1.78倍(2,373÷1,330.05)(業界平均1.4倍より高い)。
  • 配当利回り(会社予想):2.44%、配当性向:約47.9%(提供指標。定義差により数値は前提で変動)。
  • 参考:EPS/BPS≒8.6%でROE水準と整合(LTM ROE 8.63%)。一過性益(関係会社株式譲渡益)は成長・収益性評価から除外留意。

7. テクニカル分析

  • トレンド位置:株価2,373円は50日移動平均2,390円付近のやや下、200日移動平均2,241円の上。52週高値2,510円(約-5.5%)、52週安値1,972円(約+20.3%)。
  • 値動き:直近10日、2,320〜2,385円程度でのレンジ推移・出来高は7万〜12万株程度。低ベータ(0.23)でボラティリティは相対的に低い。
  • 信用動向:信用倍率1.01倍、買い残・売り残とも減少傾向でニュートラル。

8. 財務諸表分析

  • 売上高推移(百万円):2022/3 43,004 → 2023/3 43,271 → 2024/3 40,052 → 2025/3 40,539 → LTM 41,240。
    • LTM YoYは+約3%、3年では横ばい〜微減域。
  • 収益性:
    • 粗利率:LTM 約40%(16,676/41,240)。2022年比で低下(コスト上昇・製品ミックス影響)。
    • 営業利益:LTM 3,162百万円。営業利益率(参考)約7.7〜9%(提供指標:過去12か月9.07%)。
    • EBITDA:LTM 約54.2億円(マージン約13%)。
    • 特別利益(中国子会社持分譲渡益)計上により純利益は一時的に押し上げ。
  • ROE/ROA:LTM ROE 8.63%、ROA 3.14%(一過性要因を除くとやや低位〜中位)。
  • キャッシュフロー:営業CF 40.1億円、レバードFCF 19億円と正。運転資本増(棚卸増)と設備投資(新生産棟等)を進めつつも資金繰りは安定。
  • 財政状態:自己資本比率69.3%、D/E 6.8%、流動比率2.16倍で保守的なバランスシート。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当:通期予想58円(中間29円・期末29円)、予想利回り2.44%。配当性向は約48%(提供指標)。
  • 自社株:当中間期に自己株式78.28万株を取得。自己株消却4,000,000株を決議(消却予定日2025/11/14)。自己株保有比率14.46%。株式数の圧縮は1株指標の改善要因。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 52週騰落:+11.69%。機関投資家保有比率約57%、インサイダー約12.6%。
  • モメンタム:200日線上での保ち合い色が強く、50日線近傍での攻防。自社株買い・消却の資本政策は需給面の支え要因。
  • 需給:信用需給は中立。出来高は3カ月平均約7.3万株、直近10日平均約8.5万株。

11. 総評

  • 便潜血検査(FIT)を核にした国内強みと、海外展開の進展で売上は持ち直し基調。一方、粗利率・営業利益率は過去ピーク比で低下しており、コスト環境と価格改定の影響が残る。
  • 生産集約・販路見直しなどの構造対応を進めつつ、免疫・遺伝子領域の拡充で中期的な収益改善を志向。バランスシートは堅健で、安定配当と自己株式政策が継続。
  • バリュエーションはPERで業界平均を下回る一方、PBRは上回る水準。業績には一過性益の影響が含まれるため、実力ベースの利益成長の確認が重要。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:B
    • 根拠:LTM売上は前年比+約3%と増加、一方で3年では横ばい〜微減。
  • 収益性:C
    • 根拠:営業利益率・EBITDA率は同業上位と比べて低め。一過性損益は除外。
  • 財務健全性:A
    • 根拠:自己資本比率69%、流動比率2.16倍、D/E 6.8%と保守的。
  • 株価バリュエーション:B
    • 根拠:PERは業界平均より低いが、PBRは平均を上回るため総合的に中立。

参考データ(抜粋)
– 株価:Open 2,350/High 2,378/Low 2,349/Close 2,373(出来高 77,700株)
– 50日移動平均:2,390円/200日移動平均:2,241円/Beta(5Y):0.23
– 会社予想(2026/3):売上高 4,220億円、営業利益 32.5億円、EPS 114.34円(修正なし)
– 重要留意点:中間期は関係会社出資金譲渡益(特別利益)2,004百万円を計上。一過性。

本資料は公開情報に基づく客観的整理であり、投資助言を目的とするものではありません。記載の数値は提供データに依存し、一部に端数処理・定義差があります。最新の開示・IR資料をご確認ください。


企業情報

銘柄コード 4549
企業名 栄研化学
URL http://www.eiken.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 医薬品 – 医薬品

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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