8020 兼松(Kanematsu Corporation)企業分析レポート
株価(終値): 3,199円(2025-11-18)
市場: 東証プライム/卸売業(商社・卸売)
時価総額: 約2,703億円
1. 企業情報
- 老舗の商社。総合商社から「選択と集中」により専門商社志向へシフト。資源権益投資には踏み込まず、電子・IT、食料、鉄鋼・素材・プラント、車両・航空を柱に堅実経営。
- セグメント
- ICTソリューション:ストレージ/サーバー、ネットワーク、セキュリティ、サービス等
- 電子・デバイス:半導体・電子部材、モバイル関連、産業エレクトロニクス等
- 食料:加工食品、農産物、畜産、飼料、油糧種子等
- 鉄鋼・素材・プラント:鋼材・鋼管、エネルギー、プラント、機械工具等
- 車両・航空:自動車・部品、工作機械・産業機械、航空機・エンジン部品等
- その他:物流、保険代理店、倉庫・セルフストレージ等
- 海外売上比率:16%(2026/3期会社資料)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:大手総合商社群より規模は小さい中堅〜準大手の「機能特化型商社」。資源市況の振れを抑え、ICTやモバイル等の成長分野で付加価値を狙う構図。
- 競争優位
- ICT/モバイル領域の案件組成力(ベンダー連携、SI・セキュリティのサービス収益)
- 取引先との長期関係に基づく商流・与信・物流の運用力
- ポートフォリオ再編(国内鉄鋼子会社の売却など)による資本効率志向
- 課題
- 商社特有の低利益率構造(価格交渉力・在庫リスク・市況感応度)
- 食料・鉄鋼・工作機械など景気循環の影響
- 海外比率の相対的低さ(グローバル成長取り込み余地と裏腹)
3. 経営戦略と重点分野
- 方針:総合から専門へ。資源権益に依存せず、安定性と資本効率の両立を志向。
- 重点
- ICT/電子:データセンター、セキュリティ、SaaS、モバイル関連の拡大
- フードバリューチェーンの高度化(市況影響の平準化、加工・機能性領域)
- ポートフォリオ最適化(不採算・市況依存度高い領域の見直し)
- 財務規律:ネットDER管理(会社開示:0.59倍)、ROE中位二桁の維持
- 2026/3期通期計画(会社予想・据え置き)
- 収益 1.1兆円、営業利益 500億円、親会社帰属利益 300億円、EPS 359.26円
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:物販に加え、ICT領域でサービス・保守・セキュリティ等の継続収益の比重が上昇。フードは安定、鉄鋼・機械は景気循環の影響。
- 適応力:ポートフォリオ再編(鉄鋼子会社売却等)で変動幅を抑制。ICT・電子の構成比を高めることで利益率改善余地。
- リスク管理:為替・市況、在庫・信用、地政学の管理体制が鍵。海外比率が低めでグローバル分散は課題と機会の両面。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向:データ/AI、セキュリティ、クラウド/ストレージ、半導体・電子材料の需要を取り込み。自社保有技術よりも、仕入先・顧客を束ねる統合力が強み。
- 収益牽引
- 当中間期(2025/4-9):ICTソリューションと電子・デバイスが増益寄与。モバイル関連堅調。
- 食料は畜産市況の逆風、鉄鋼・エネルギー・機械は軟調。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 予想PER:8.87倍(業界平均 12.1倍)→ 相対的に低水準
- 実績PBR:1.40倍(業界平均 1.0倍)→ 相対的に高水準
- EV/S(概算):約0.37~0.39倍
- EV ≒ 時価総額2,703億 + 純有利子負債約1,370億 = 約4,073億円
- 売上高 ≒ 1.05~1.10兆円
- 業界平均PER×会社予想EPS(360.83円): 約4,370円相当
- 業界平均PBR×BPS(2,286円): 約2,286円相当
- 配当利回り(会社予想):3.59%(年115円、配当性向 約32%)
7. テクニカル分析
- トレンド:終値3,199円は
- 50日移動平均(3,133円)上、200日(2,769円)上
- 52週高値(3,288円)まで約-2.7%の位置=高値圏寄り
- 直近の値動き:10日で3,122円→3,199円(約+2.5%)。前日比は反落(-2.2%)で短期調整気配。
- 出来高:本日28.6万株は3カ月平均(約29.5万株)並み。
- 需給:信用買残は前週比減(-1.5万株)、信用売残は増(+1.1万株)、信用倍率2.28倍。短期は戻り売りと利益確定の交錯。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(IFRS、百万円)
- 売上高(LTM):1,045,858(前年比+6.1%)
- 営業利益(LTM):41,961(営業利益率 ≈4.0%)
- 親会社帰属純利益(LTM):28,471(純利益率 ≈2.7%)
- 2022/3→2025/3(LTM)売上推移:7,679,63 → 9,114,08 → 9,859,93 → 10,458,58(3年CAGR ≈+10.8%)
- 収益性
- 粗利率(LTM):約15.4%
- 営業利益率:おおむね4%台(中間期は約4.9%)
- ROE(実績):16.48%/ROA(参考データ):10.71%
- キャッシュフロー・負債
- 営業CF(LTM):約444億円(純利益比で良好な転換)
- EBITDA/利払い ≈ 11倍(EBITDA 604.7億、支払利息 53.2億)
- 総有利子負債:約1,908億円、現金同等物:約538億円、ネット有利子負債:約1,370億円
- 流動比率:1.46倍、自己資本比率:25.2%(会社資料ベースでは28.3%)
- 傾向
- 売上・利益は緩やかに拡大、利益率は4%前後で安定。ポートフォリオ再編で資本効率改善の兆し。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2026/3期予想 年115円(中間57.5円・期末57.5円)、配当性向 約32%
- 5年平均配当利回り:4.15%(現在は株価上昇で低下)
- 自己株式:期中自己株式数の増加が確認できる期間あり(詳細は適時開示要確認)
- 基本スタンス:安定配当に加え、資本効率を意識した還元(自社株の実施有無は都度開示依存)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週騰落 +20.3%、年初来高値圏に接近。短期は上昇一服の調整を挟みつつ上向き基調。
- ボラティリティ:β 0.19(相場全体に対して低感応)
- 投資家構成:機関投資家保有比率 約40%、インサイダー 約2%
- 注目材料
- ICT/モバイルの堅調、食料(畜産市況)・鉄鋼/機械の回復度合い
- 為替・関税・資源/エネルギー価格の変動
- ポートフォリオ再編や資本政策(自己株・配当)動向
- 通期業績見通しの進捗(営業利益5,000億円計画の達成度)
11. 総評
- 事業面:ICT・電子の伸長で構造的に利益率改善余地。食料や鉄鋼・機械の市況影響は残るが、非資源志向とポートフォリオ再編でボラティリティを抑制。
- 財務面:ROE中位二桁、営業CF安定、ネットDERは管理可能な水準。自己資本比率は25%台で過度なレバレッジではないが、40%基準には届かず。
- バリュエーション:予想PERは業界平均比で低水準、PBRは平均超。配当は増配基調で利回りは適度。総じて指標は「割安・割高」要素が混在。
- 株価:移動平均線上で推移し、年初来高値圏に近い。短期は材料待ちのもみ合いと利益確定のバランスに留意。
(注)本資料は公開情報に基づく定量・定性分析の整理であり、投資勧誘・投資助言を目的とするものではありません。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上+6.1%、3年CAGR約+10.8%。ICT/電子が牽引。
- 収益性:B
- 根拠:粗利率約15%台、営業利益率約4%台。商社平均レンジ内で安定。
- 財務健全性:B
- 根拠:自己資本比率25%台、流動比率1.46倍、ネットDER約0.59。おおむね普通水準。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは業界平均下、PBRは平均上、EV/S低位。総合すると中立寄り。
【主要数値(抜粋)】
– EPS(会社予想):360.83円、BPS:2,286.37円、ROE:16.48%、自己資本比率:25.2%
– 予想PER:8.87倍、PBR:1.40倍、配当利回り:3.59%(年115円)
– 売上高(LTM):約1.046兆円、営業利益:419.6億円、純利益:284.7億円
– OCF(LTM):約444億円、総有利子負債:約1,908億円、現金等:約538億円
不明点や期間差による数値差は原資料の注記・最新IRで必ずご確認ください。
企業情報
| 銘柄コード | 8020 |
| 企業名 | 兼松 |
| URL | http://www.kanematsu.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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