1. 企業情報
株式会社いつもは、主に国内のブランドメーカーに対し、EC(電子商取引)事業を多角的に支援するサービスを提供しています。事業内容は、ECサイトの構築・運営、デジタルマーケティング、顧客獲得、物流・バックヤード業務、戦略立案、フルフィルメント、さらには海外販売支援まで一貫してサポートしており、D2C(Direct-to-Consumer)およびECブランドのM&A・成長支援、EC人材育成、SNSプロモーションなども手掛けています。化粧品、食品、家電、アパレルなど多岐にわたる業界のナショナルメーカーや中小企業、地方自治体を顧客としています。
連結子会社の主要事業セグメントは以下の通りです。(2025年3月期時点の比率)
* Oneコマースサービス (20%): データ・テクノロジー・メソッドを活用したEC支援サービス。
* 協業ブランドパートナーサービス (67%): ブランド・メーカーとの協業によるEC支援。
* 共創・自創バリューアップサービス (12%): 自社でのブランド共創や独占販売、グループ外小売り展開。
* ECプラットフォームサービス (1%): ライブコマースプラットフォーム「Peace you LIVE」等の手数料収入。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、拡大基調にあるEC(物販)市場において、ブランド・メーカーが直面するマーケティングの高度化・複雑化、競争激化といった課題に対応するEC支援プロフェッショナルとして事業を展開しています。富士経済の調査によると、国内EC市場は2024年に14.6兆円、2026年には15.4兆円規模への成長が見込まれており、同社はこの成長市場の恩恵を受ける立場にあります。
競争優位性としては、EC事業の構築から運営、マーケティング、物流、人材育成まで一気通貫で支援できる総合力に加え、特にソーシャルコマース領域への注力が見られます。TikTok Shopの3つの公式パートナー認定を受けており、新しい販売チャネルへの対応力は強みと考えられます。特定の市場シェアデータは提供されていませんが、EC支援の専門性と多様なサービス提供を通じて、市場内での存在感を確立しようとしています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、中長期的な成長ドライバーとして以下の分野に注力しています。
* ソーシャルコマース領域の強化: TikTok Shopへの対応を重視し、広告運用、店舗構築、フルフィルメント、ライブ支援までを一気通貫で提供する体制構築を進めています。クリエイター支援にも力を入れています。
* Oneコマースによる生産性向上: データとテクノロジーを駆使したEC支援サービスの生産性向上とサービス強化。
* プラットフォーム事業の拡大: ライブコマースプラットフォーム「Peace you LIVE」などの拡大。
これらの戦略的投資は、当中間期においても継続されており、将来的な収益拡大を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、成長市場であるEC分野における多様なニーズに対応する、ストック型とプロジェクト型の収益構造を組み合わせています。協業ブランドパートナーサービスが売上全体の約7割を占め、ブランドメーカーのEC事業成長に貢献することで共に成長するモデルです。市場ニーズの変化への適応力として、ソーシャルコマースのような新しい販売チャネルの開拓に積極的に取り組む姿勢は、持続可能性を高める要素です。
一方で、継続的な先行投資による販管費の増加が足元の収益を圧迫しており、営業損失や純損失が続いている点は課題です。当面のキャッシュ・フローもマイナスとなっており、新規投資とその成果の早期実現が事業モデルの持続性にとって重要となります。
5. 技術革新と主力製品
同社は「データ×テクノロジー×メソッド」を強みとしたEC支援サービスを提供しており、これが技術的な独自性の源泉と考えられます。具体的な技術革新として個別の特許技術などの情報はありませんが、デジタルマーケティングやECサイト運営のノウハウ、データ分析能力がサービスの質を支えています。
収益を牽引する主力製品・サービスは、ECサイトの構築から運営、マーケティング、物流、カスタマーサポートまでを一貫して提供する「Oneコマースサービス」と、ブランドメーカーとの協業を通じて売上を拡大する「協業ブランドパートナーサービス」です。特に、最近ではソーシャルコマース、特にTikTok Shop向けのサービス提供体制強化に注力している点が注目されます。
6. 株価の評価
現在の株価は650.0円です。
* 会社予想EPS(25.62円)に基づいた予想PERは25.37倍です。これを現在の株価に照らし合わせると、理論株価は約650円となります(25.62円 × 25.37倍)。
* 実績BPS(381.57円)に基づいた実績PBRは1.70倍です。これを現在の株価に照らし合わせると、理論株価は約649円となります(381.57円 × 1.70倍)。
現在の株価は、会社予想PERおよび実績PBRに基づく計算値とほぼ同水準にあります。
業界平均PERが27.5倍、業界平均PBRが2.8倍であることと比較すると、同社のPER、PBRは業界平均を下回っており、相対的には割安感がある水準と言えるでしょう。ただし、直近の収益性や財務健全性の課題も考慮する必要があります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、800円台半ばから急落し、本日終値は650円となっています。前日終値700円から本日650円まで下落しており、強い下降トレンドを示しています。
年初来高値が1,444円、年初来安値が302円であるのに対し、現在の株価650円は年初来高値の半値以下であり、年初来安値からは上昇したものの、52週高値から見ると安値圏に位置しています。
また、50日移動平均線(833.44円)と200日移動平均線(670.23円)をともに下回っており、短期、中期的に株価は下向きのトレンドにあると判断できます。特に200日移動平均線も割り込んできたことで、売り圧力の強さが示唆されます。直近の出来高も急増しており、需給バランスが悪化している可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上: 過去数年で売上高は増加傾向にあり、2022年3月期の116.5億円から2025年3月期予測の139.4億円まで伸長しています。直近の2026年3月期中間期の売上高も前年同期比+14.5%と堅調な伸びを示しています。
- 利益: 営業利益は2022年3月期の6.0億円から減少傾向にあり、過去12か月では7千4百万円に留まっています。経常利益および親会社株主に帰属する純利益は、2023年3月期と過去12か月で赤字を計上しており、収益性には課題が見られます。2026年3月期中間期も営業損失、経常損失、純損失を計上していますが、赤字幅は前年同期より縮小しています。通期では黒字転換を予想しています。
- キャッシュフロー: 直近の中間期では、営業活動によるキャッシュフローが△7億6千万円、投資活動によるキャッシュフローが△1億円、財務活動によるキャッシュフローが△6億2千万円といずれもマイナスであり、約14.9億円の現預金が減少しています。売上債権や棚卸資産の増加が営業CFの主要なマイナス要因となっています。
- ROE: 実績(過去12か月)で-5.83%とマイナスであり、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す力が低い状態です。
- 自己資本比率: 実績で27.4%(直近中間期25.9%)と40%を下回っており、財務基盤の健全性には注意が必要です。
- 流動比率: 直近四半期で1.79(直近中間期約1.69)と、短期的な支払い能力は一定程度確保されていますが、現預金の減少には留意が必要です。
- 負債比率(Total Debt/Equity): 直近四半期で167.81%(決算短信計算値約285%)と、借入金への依存度が高い財務構造となっています。
9. 株主還元と配当方針
同社は、1株配当(会社予想)が0.00円とされており、配当は実施していません。成長性投資を優先する方針であると考えられます。自社株買いなどの具体的な株主還元策に関する記述も提供情報には含まれていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は大きく下落しており、下降モメンタムが強い状況です。特に先週から今日にかけて、出来高を伴って急落しており、投資家の売り圧力が強まっていることが伺えます。
投資家関心は、先日発表された決算短信で、売上が堅調に成長している一方で、先行投資による利益水準の低さや、キャッシュフローの大幅なマイナス、自己資本比率の低下などが懸念材料として受け止められた可能性があります。信用買残の増加は、今後の株価上昇を期待する投資家がある程度いることを示しますが、現在の株価下落局面では重石になる可能性も考えられます。
11. 総評
株式会社いつもは、成長市場であるEC分野において多角的な支援サービスを提供し、売上規模を拡大しています。特にソーシャルコマース(TikTok Shopなど)への戦略的な投資は、今後の成長ドライバーとして期待される分野です。
一方で、積極的な先行投資が足元の収益性を圧迫し、営業利益および純利益が低調、または赤字を計上している状況にあります。それに伴い、キャッシュフローも大幅なマイナスとなり、自己資本比率も低下傾向にあるなど、財務健全性には課題が見られます。
株価は直近の決算発表後に大きく下落し、テクニカル的には下降トレンドが鮮明です。バリュエーション指標は業界平均と比べて割安感がありますが、これは低収益性や財務基盤への懸念が反映されている可能性もあります。
今後は、ソーシャルコマース領域などの戦略的投資がいつから本格的な収益貢献に繋がり、財務体質が改善されるかが投資家にとって重要な焦点となるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率(YoY): +0.57%
- 3年CAGR (売上): +6.27%
- 2026年3月期中間期売上高は前年同期比+14.5%、通期予想も+7.9%と堅調な成長が続いており、売上は伸びていると評価できます。
- 収益性: D
- 営業利益率(過去12か月): 約0.53%
- 営業利益率(直近中間期): 約△0.61%
- ROE(実績): △5.83%
- 直近の中間期で営業損失、純損失を計上しており、ROEもマイナスであることから、収益性は低いと評価します。
- 財務健全性: C
- 自己資本比率(直近中間期): 25.9% (健全とされる40%を下回る)
- 流動比率(直近中間期): 約169%
- Total Debt/Equity(直近四半期): 167.81% (借入依存度が高い)
- 自己資本比率が低く、借入依存度が高いことから、健全性には課題があると評価します。
- 株価バリュエーション: A
- PER(会社予想): 25.37倍 (業界平均27.5倍と比較して割安)
- PBR(実績): 1.70倍 (業界平均2.8倍と比較して割安)
- PER、PBRともに業界平均を下回っており、相対的な割安感があると評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 7694 |
| 企業名 | いつも |
| URL | https://itsumo365.co.jp/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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