1. 企業情報
株式会社リベルタは、美容商品、トイレタリー商品、機能衣料品、浄水器・医療機器、生活雑貨・家電などの多岐にわたるオリジナル商品の企画・販売を手掛ける企業です。自社で製造設備を持たないファブレス経営を特徴とし、企画開発とマーケティングに強みを持っています。国内外で事業を展開し、百貨店、量販店、ドラッグストア、ECサイトなど多様な販路を通じて製品を提供しています。M&A（合併・買収）にも積極的な姿勢を示しています。
現在の連結事業構成比は、コスメ47%、トイレタリー17%、機能衣料6%、浄水器・医療機器9%、生活雑貨・家電他21%となっています（2024.12期実績）。
2. 業界のポジションと市場シェア
特定の市場シェア情報はありませんが、リベルタはファブレス経営により、多様なカテゴリーで独自の商品を企画・販売することで市場での存在感を確立しています。独自の企画力とマーケティング戦略を競争優位性としており、市場ニーズの変化に対応した新商品投入や、M&Aによる事業領域の拡大を通じて競争力を維持しようとしています。特に「Baby Foot」などのヒット商品は一定のブランド認知度を確立しています。
課題としては、ブランド競争が激しい消費財市場において、継続的なヒット商品を生み出す企画力とマーケティング投資が求められます。また、物価高や円安といった外部環境が原材料費や仕入れコストに影響を及ぼすリスクも存在します。
3. 経営戦略と重点分野
リベルタは成長戦略として、独自性の高いオリジナル商品の企画・開発に注力するとともに、M&Aを通じて事業領域を拡大していく方針です。決算短信によると、BtoB販路やホームセンターなどの新たな流通経路の開拓、新ブランドの展開、既存ブランドのリニューアル、年末商戦に向けたプロモーション強化などを重点施策としています。第4四半期に主要ブランドの販売拡大施策を集中的に実施し、通期目標の達成を目指すとしています。中期経営計画の具体的な数値目標や進捗に関する詳細情報は開示資料からは不明です。
4. 事業モデルの持続可能性
リベルタの事業モデルは、ファブレス経営により、生産設備への投資を抑えつつ、市場のトレンドや消費者ニーズに合わせた柔軟な商品開発・販売を実現しています。多様な商品ジャンルと販路を持つことで、特定の市場や製品に依存しないリスク分散が図られています。M&Aによる事業ポートフォリオの強化も、持続的な成長に向けた戦略の一環です。
しかし、製品の競争力を維持するためには、常に新しい魅力的な商品を企画し、効果的なマーケティングを行う必要があります。また、物価高や為替変動によるコスト上昇は利益率に影響を与える可能性があり、これらの外部環境への適応力が持続可能性を左右する要因となります。
5. 技術革新と主力製品
リベルタの強みは、特定の基幹技術というよりも、市場ニーズを捉えた商品企画力と独自のブランド開発力にあります。主力製品としては、フットケア製品の「Baby Foot」、機能衣料の「FREEZE TECH」、歯磨き粉の「DENTISTE」などが知られています。直近では、機能衣料の「FREEZE TECH」がBtoB販路拡大などで増収に貢献し、トイレタリーでは新商品の投入や販路強化が売り上げを牽引しています。コスメ分野でも新ブランド展開や販路拡大が図られています。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 1,722.0円
- EPS（会社予想）: 26.87円
- PER（会社予想）: 63.68倍
- PBR（実績）: 7.62倍
- 業界平均PER: 15.9倍
- 業界平均PBR: 0.7倍
現在の株価評価は、会社予想PERが63.68倍、実績PBRが7.62倍であり、業界平均PERの15.9倍、業界平均PBRの0.7倍と比較して、大幅に割高な水準にあります。直近の業績が損失計上となっていることもあり、現在の株価は収益性や資産価値から見て高い評価を受けていると考えられます。
7. テクニカル分析
リベルタの株価は、年初来高値6,600円、年初来安値974円に対し、現在の株価1,722.0円は安値圏に近い水準にあります。直近10日間の株価推移を見ると、約2,200円〜2,100円台で推移していましたが、11月17日以降大きく下落し、1,700円台まで値下がりしています。
50日移動平均線（2,050.78円）と200日移動平均線（1,877.74円）をいずれも下回っており、短期から中期的には下降トレンドにあると判断されます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2021年50億円から2024年86億円へと順調に増加しており、過去12か月でも86.6億円と成長傾向が続いています。2025年12月期第3四半期累計の売上高も前年同期比8.5%増と堅調です。
- 売上総利益率: 過去12か月で41.0%、2025年12月期第3四半期累計で約40.5%と、前年同期の37.6%から改善しています。
- 営業利益: 過去数年間減少傾向にあり、2024年度実績は71百万円と低水準でした。過去12か月および2025年12月期第3四半期累計では、一過性の貸倒引当金計上（約2.5億円）の影響が大きく、それぞれ営業損失△23百万円、△97百万円を計上しています。この一過性の損失がなければ、営業利益はプラスであった可能性がありますが、収益性の課題は継続しています。
- 純利益: 営業利益と同様に過去数年間は減少傾向にあり、過去12か月および2025年12月期第3四半期累計では純損失を計上しています。
- 自己資本比率: 2023年の24.3%から2025年9月末には19.6%と低下傾向にあります。財務の健全性は低い水準です。
- 流動比率: 2025年9月末で約118%であり、短期的な支払い能力は比較的低い状況です。
- 負債倍率（Total Debt/Equity）: 2025年9月末で約289%と、負債の水準が高い状況を示しています。
- キャッシュフロー: 過去12か月の営業キャッシュフローは289百万円とプラスであり、事業活動からのキャッシュ創出力は維持されています。フリーキャッシュフローもプラスです。
全体として、売上高は着実に成長しているものの、収益性が低く、特に直近の一過性損失が業績に大きく影響を与えています。また、自己資本比率の低下や負債水準の高さから、財務健全性には課題が見られます。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の1株配当は10.00円であり、現在の株価に基づく配当利回りは0.58%です。配当性向は48.05%となっています。直近で自社株買いなどの追加的な株主還元策に関する発表は見られません。株主構成では（株）モアが大株主であり、佐藤透代表者も個人で一定の株式を保有しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
リベルタの株価は、直近で大幅な下落を見せており、下降モメンタムが強い状況です。これは、2025年12月期第3四半期決算で一過性の貸倒引当金計上による損失が発表されたこと、通期業績予想は据え置かれているものの、その達成には第4四半期の回復が不可欠であることなどが投資家の懸念材料となっている可能性があります。
また、信用取引においては、信用買残が841,300株と非常に多い一方で信用売残が1,000株に留まり、信用倍率が841.30倍と極めて高くなっています。これは、株価上昇を期待する買い方が多く残っている一方で、下落圧力となる売り方が少ない状態を示しており、需給面でのアンバランスさが潜在的な株価変動要因となる可能性があります。
11. 総評
株式会社リベルタは、ファブレス経営と独自企画力を強みとして、美容商品、トイレタリー、機能衣料など多様な消費財市場で成長を遂げている企業です。売上高は直近数年間で順調に拡大しており、今後も販路拡大や新製品投入を通じて成長を目指す方針がうかがえます。
一方で、利益面においては課題を抱えています。特に直近では、一過性の貸倒引当金計上により営業損失および純損失を計上しており、通期業績予想の達成には第4四半期での挽回が求められます。収益性の低さに加え、自己資本比率の低下や負債水準の上昇といった財務健全性への懸念も存在します。
株価は年初来高値から大きく下落し、現状は安値圏に近い水準にありますが、業界平均との比較ではPER、PBRともに割高感が強まっています。直近の業績悪化と財務課題、信用需給の偏りなどが投資家心理に影響を与えていると考えられます。今後の株価は、第4四半期の業績回復と利益体質の改善、そして財務体質の強化に向けた具体的な進展にかかっていると言えるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性：A
- 過去数年間の売上高は一貫して増加傾向にあり、2025年12月期第3四半期累計売上高も前年同期比+8.5%と堅調です。通期売上高予想（+27.4%）も野心的な目標であり、売上成長性に関しては評価が高いと判断します。
- 収益性：C
- 過去数年の営業利益率は低水準で推移しており、直近12か月および2025年12月期第3四半期累計では一過性要因を含む営業損失を計上しています。一過性損失を除外しても、業界平均を上回る収益性を安定的に確保しているとは言えず、課題が残ります。
- 財務健全性：C
- 自己資本比率は2023年の24.3%から2025年12月期第3四半期には19.6%に低下しており、健全性の目安とされる水準を大きく下回っています。負債比率も高く、財務基盤は比較的脆弱であると評価します。
- 株価バリュエーション：D
- PER（会社予想）は63.68倍、PBR（実績）は7.62倍であり、業界平均（PER15.9倍、PBR0.7倍）と比較して著しく割高な水準にあります。現在の利益水準や財務状況を考慮すると、現在の株価は割高であると判断します。
企業情報
| 銘柄コード | 4935 |
| 企業名 | リベルタ |
| URL | https://liberta-j.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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