ヒビノ (2469) 企業分析レポート
東京証券取引所スタンダード市場に上場しているヒビノ (2469) について、個人投資家向けに企業分析レポートを作成します。
1. 企業情報
ヒビノ株式会社は、映像・音響機器の提供サービスを主力とする企業です。コンサートやイベント向けの音響・映像システムの企画・運営・レンタル、放送局や商業施設向けの設備設計・販売・施工、スタジオやホール向けの建築音響施工、さらに欧米ブランド機器の輸入販売も手掛けています。自社で製造設備を持たないファブレスメーカーとして事業を展開しており、多岐にわたる専門サービスを提供しています。
連結事業構成(2025年3月期予想):
- 販売施工: 51% (利益率7%) – 業務用映像(LED等)・音響機器の輸入販売および施工、放送局・商業施設・アリーナ等向け設備施工
- 建築音響施工: 18% (利益率9%) – スタジオ・ホール・音響実験室等の設計・施工、騒音対策等
- コンサート・イベントサービス: 29% (利益率14%) – コンサート/イベント向け音響・映像サービス、映像制作等
- その他: 2% (利益率-2%)
2. 業界のポジションと市場シェア
ヒビノは、プロフェッショナル向け音響・映像業界において、欧米ブランド機器の輸入販売から、コンサート・イベントの大規模システム構築、建築音響設計施工までを一貫して手掛ける強みを持っています。
提供された情報では、業界内での具体的な市場シェアデータはありませんが、コンサート・イベント市場の活況や放送局・商業施設等の設備投資の堅調さ、さらには大阪・関西万博といった大型イベントが追い風となっていることが示されており、これらの成長市場で重要な役割を担っていると考えられます。M&Aによる海外子会社の拡大(アジア・オセアニア地域)も進めており、グローバル展開を強化しています。
3. 経営戦略と重点分野
ヒビノは、中期経営計画「ビジョン2025」(2023年~2026年)を推進しており、「持続的成長を可能とする経営体質構築」と「健全経営の確立」を基本方針としています。具体的には、「ハニカム型経営」「イノベーション」「M&Aによる新領域開拓」を掲げ、以下の分野に注力しています。
* M&Aを活用した事業領域の拡大: 国内外での新規M&Aを通じて、連結事業の範囲拡大と成長加速を図っています。直近では、シンガポールのSpectrum Audio Visual Pte. Ltd.や、国内の株式会社デランシー、株式会社RECO、株式会社CHAMELEONなどを新規連結しています。
* 海外事業展開の強化: 特にアジア・オセアニア地域での事業拡大を目指し、グローバルでの競争力強化に取り組んでいます。
* 高採算案件の獲得と販売価格の適正化: 各事業セグメントにおいて、利益率の高い案件に注力し、適正な価格設定を通じて収益性の向上を図っています。
* 大規模イベントへの対応: 大阪・関西万博などの大型イベント向けサービス提供を通じて、収益の拡大を図っています。
4. 事業モデルの持続可能性
ヒビノの事業モデルは、多角的なサービスポートフォリオと、市場ニーズへの柔軟な適応力によって持続可能性を追求しています。
* 収益モデル: 「販売施工」「建築音響施工」「コンサート・イベントサービス」の3つの柱があり、それぞれ異なる市場と顧客基盤を持つことでリスク分散を図っています。特にコンサート・イベントサービスは、大規模イベントの増加に伴い需要が高まっています。
* 市場ニーズへの適応力: 国内のイベント市場の活況、放送局や商業施設の設備投資の堅調さといった外部環境の変化に合わせた事業展開を行っています。LEDディスプレイなどの最新技術を活用した製品・サービスの提供や、M&Aによる新技術・新市場への参入も積極的に進めています。
* ファブレス体制: 製造設備を持たないことで、設備投資リスクを抑えつつ、多様なブランドや最新技術を取り入れやすい柔軟な体制を構築しています。
5. 技術革新と主力製品
提供された情報には、具体的な技術開発の動向に関する詳細な記述はありませんが、業務用映像(LED等)や音響機器といった専門性の高い領域において、市場のトレンドに対応した製品・サービスを提供しています。
主力製品・サービスは以下の通りです。
* LEDディスプレイ: 販売施工事業における業務用映像の中核をなす製品であり、イベントや商業施設、放送局などで活用されています。
* コンサート・イベント向け音響・映像サービス: 大規模なコンサートやイベントにおいて、音響・映像システムを企画・運営・レンタルするサービスは、同社の主要な収益源の一つであり、高い専門性とノウハウが求められます。
* 建築音響設計・施工: スタジオやホール、視聴覚施設の設計・施工において、音響特性を最適化する高度な技術を提供しています。
6. 株価の評価
現在の株価2473.0円に対して、以下の指標があります。
* PER(会社予想): 9.63倍
* PBR(実績): 1.97倍
* EPS(会社予想): 256.88円
* BPS(実績): 1254.54円
業界平均と比較すると、
* PER: 9.63倍は業界平均15.0倍を下回っており、割安感があります。
* PBR: 1.97倍は業界平均1.2倍を上回っており、割高感があります。
PERに基づく評価では割安ですが、PBRに基づく評価では割高です。しかし、PBRは企業の資産価値に対する評価であり、PERは企業の収益力に対する評価です。ヒビノの高いROE(15.76%)を考慮すると、PBRが業界平均より高くなる傾向は、収益性を評価されている可能性も考えられます。
7. テクニカル分析
現在の株価は2473.0円です。
* 年初来高値: 3,180円
* 年初来安値: 1,803円
* 50日移動平均: 2685.80円
* 200日移動平均: 2527.51円
現在の株価は、年初来高値から安値までのレンジの中間よりやや上方に位置していますが、直近では50日移動平均線および200日移動平均線を下回っています。直近10日間の株価推移を見ると、3000円台から一時下落し、2500円台で推移。本日2473.0円と、直近の下降トレンドにあることが伺えます。高値圏と比較すると調整局面にあると言えます。
8. 財務諸表分析
売上高・利益の推移(過去数年実績および予想):
| 年度 | 売上高 (百万円) | 売上総利益 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 純利益 (百万円) |
|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 42,426 | 13,485 | 1,339 | 1,074 |
| 2023年3月期 | 41,922 | 14,207 | 1,229 | 607 |
| 2024年3月期 | 50,491 | 17,559 | 2,814 | 1,627 |
| 過去12か月 (LTM) | 63,892 | 23,248 | 5,088 | 2,267 |
| 2025年3月期(予) | 59,473 | 21,181 | 4,171 | 1,722 |
| 2026年3月期(予) | 67,500 | — | 4,450 | 2,550 |
- 売上高: 2023年3月期に一時的な減収があったものの、2024年3月期以降は大きく回復し、成長傾向にあります。LTMの売上高は63,892百万円と堅調です。
- 利益: 営業利益、純利益ともに2023年3月期を底に大きく改善し、特にLTMでは過去最高水準を更新しています。これは、コンサート・イベント市場の回復や効率的な経営努力の結果と見られます。
収益性・効率性:
- 売上総利益率(過去12か月): (23,248 / 63,892) = 約36.4%
- 営業利益率(過去12か月): 8.96% (短信では中間期7.6%) – 良好な水準です。
- ROE(過去12か月): 19.41% – 非常に高い水準で、株主資本を効率的に活用して利益を上げていることを示します。
- ROA(過去12か月): 7.43% – 資産全体の効率性も良好です。
財務健全性:
- 自己資本比率(2025年9月30日中間期): 27.6% (2024年3月期実績25.9%) – 一般的に40%以上が健全とされる中、やや低い水準です。
- 流動比率(直近四半期): 1.38 – 100%を上回っており、短期債務の返済能力は確保されています。
- Total Debt/Equity (D/E比率)(直近四半期): 136.18% – 負債が自己資本に対してやや大きい状況です。M&Aや設備投資への資金需要が影響している可能性があります。
- 営業キャッシュフロー(過去12か月): 7.37B円 – 本業でしっかりとキャッシュを生み出しており、事業活動から安定した資金を得ています。
全体として、売上・利益の成長トレンドは明確で、収益性・効率性も高いですが、自己資本比率やD/E比率からは財務基盤の強化が課題として挙げられる可能性があります。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 3.23% (現在の株価2473.0円、1株配当予想80.00円で計算)
- 1株配当(会社予想): 80.00円
- 中間配当:40.00円 (2025年9月30日中間期)
- 期末配当(予想):40.00円 (2026年3月期予想)
- 年間配当(予想):80.00円 (2026年3月期予想)
- 前年度(2025年3月期中間)は設立60周年記念配当10円を含んだ40円でした。記念配当を除いても配当は維持される見込みです。
- 配当性向(Payout Ratio): 30.65% – 利益の約3割を配当に回しており、比較的安定した配当方針と言えます。
- 自社株買い: 直近の中間期で自己株式の取得・処分があり、自己株式残高が増加しています。これは株主還元策の一環として評価できます。
ヒビノは、安定的な配当と自社株買いを通じて株主還元を実施していると考えられます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価を見ると、2700円台から2800円台で推移していましたが、本日は2473.0円と価格水準が直近高値から下落しています。出来高は21,800株と比較的低い水準です。
信用買い残は104,500株と増加傾向にあり、信用売り残は0株であることから、買い方の需給が偏っている状況です。信用倍率は0.00倍となっています。
株価モメンタムは直近では下降傾向にあります。
株価に影響を与える要因としては、コンサート・イベント市場の動向、M&A戦略の進捗と成果、大阪・関西万博といった大型イベント関連の受注状況、そして映像・音響機器の販売動向が挙げられます。業績は好調に推移しているものの、地合や市場全体のトレンド、信用需給などが影響している可能性があります。
11. 総評
ヒビノは、コンサートやイベント向けの音響・映像サービス、映像・音響機器の販売施工、建築音響施工を主軸とする企業です。M&Aを積極的に活用し、海外展開も強化する中期経営計画「ビジョン2025」を推進しており、直近の業績は売上・利益ともに好調に推移しています。特に、営業利益率やROEは高い水準にあります。一方で、自己資本比率は業界平均と比較してやや低く、財務健全性の強化が課題となる可能性があります。株価はPERで見て割安感があるものの、直近では下降トレンドにあり、50日・200日移動平均線を下回っています。配当利回りは3%を超えており、安定的な株主還元姿勢が見られます。
12. 企業スコア
- 成長性: S
- LTM売上成長率(YoY)は約26.5%と非常に高く、直近の四半期売上成長率も14.60%と堅調です。過去数年間の売上推移も成長トレンドにあり、中期経営計画でのM&Aや市場開拓が寄与しています。
- 収益性: A
- 過去12か月の営業利益率は8.96%と良好な水準です。ROEも19.41%と非常に高く、効率的な経営ができています。粗利率も約36.4%と比較的高い水準です。
- 財務健全性: C
- 自己資本比率(直近中間期27.6%)は一般的に健全とされる40%を下回っており、Total Debt/Equityも136.18%と負債比率が高い水準にあります。流動比率は1.38と短期的な健全性は保たれていますが、中長期的な財務基盤には改善の余地があると考えられます。
- 株価バリュエーション: A
- PER(会社予想)9.63倍は業界平均15.0倍と比較して大幅に割安です。PBR(実績)1.97倍は業界平均1.2倍より割高ですが、これはROEの高さが評価されている側面も考えられます。総合的に見ると、企業の収益力に対して株価は割安と評価できます。
企業情報
| 銘柄コード | 2469 |
| 企業名 | ヒビノ |
| URL | http://www.hibino.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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