投資家の皆様へ
東京鐵鋼（証券コード: 5445）の企業分析レポートを以下の通りご報告いたします。
1. 企業情報
東京鐵鋼株式会社は1939年設立の電炉メーカーです。主に建築用の鋼材、特にネジ節棒鋼やその継ぎ手の製造・販売を手掛けています。連結事業の99%を鉄鋼事業が占めており、貨物運送や設備メンテナンス等のその他事業が1%を構成しています。主力製品である建築用棒鋼のうち、圧接不要のネジ節棒鋼と継ぎ手においては国内で過半のシェアを持つ電炉中堅企業です。東京証券取引所プライム市場に上場しており、東京都千代田区に本社を置いています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は国内の電炉業界において中堅の地位を確立しており、特にネジ節棒鋼およびその継ぎ手といった高付加価値品で国内シェア過半を占める強みを持っています。これにより、特定の製品分野では高い競争優位性を有しています。一方、決算短信には「国内の鉄筋用小棒の需要縮小」が明記されており、市場全体の需要動向が事業に与える影響は課題として認識されています。
3. 経営戦略と重点分野
同社の経営戦略として、企業概要に「高付加価値品を強化」および「販売提携推進」が挙げられています。これは、国内市場の需要変動に対応し、技術力と製品優位性を活かして収益性を高める方針を示唆していると考えられます。中期経営計画の詳細についての具体的な記述はありませんが、主力である鉄鋼事業における製品戦略と販路拡大に注力していると推測されます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、電炉メーカーとして鉄スクラップを主原料とすることで、環境負荷の低い生産体制を構築している点で持続可能性を持ちます。また、高張力ネジ節異形棒鋼や各種機械式継手といった独自性の高い高付加価値品を主力とすることで、一般的な汎用製品との差別化を図っています。しかしながら、「国内の鉄筋用小棒の需要縮小」という市場ニーズの変化に直面しており、これに対する生産体制の最適化や新市場開拓、M&Aなども含めた適応力が今後の持続可能性を左右する重要な要素となります。
5. 技術革新と主力製品
同社は、圧接不要な高張力ネジ節異形棒鋼や、ねじふし鉄筋用機械式継手などの独自の製品群を開発・提供しています。これらの製品は、施工効率の向上や品質の安定化に貢献し、国内市場で高いシェアを獲得しています。主力製品としては、鉄筋コンクリート用棒鋼、機械式継手、メカニカルアンカー、鉄筋加工製品、SMART-BASE・SCREW-BASE工法製品、EPOXY鉄筋・継手などが挙げられます。こうした技術開発により、建設現場のニーズに応じた多様なソリューションを提供し、収益を牽引しています。
6. 株価の評価
現在の株価は5,460.0円です。
* EPS（会社予想）: 982.99円
* BPS（実績）: 7,165.99円
* PER（会社予想）: 5.55倍
* PBR（実績）: 0.76倍
業界平均PER8.0倍と比較すると、同社のPER5.55倍は割安な水準にあります。
一方、業界平均PBR0.6倍と比較すると、同社のPBR0.76倍はやや割高に見えます。ただし、BPSが株価を上回っており、解散価値としての簿価に対しては割安感も存在します。PERが業界平均を下回っていることから、現在の株価には一定の割安感があると考えられます。
7. テクニカル分析
現在の株価5,460円は、年初来高値6,710円（52週高値6,750円）から約18.6%低い水準にあります。年初来安値4,695円からは約16.3%高い水準です。
直近10日間の株価は5,410円から5,580円の範囲で推移しており、やや下落傾向が見られます。50日移動平均線（5,792.20円）および200日移動平均線（5,723.10円）を両方とも下回っていることから、短期・中期的に調整局面にあるか、やや安値圏に近い位置にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
（データは主に過去12か月および2025年3月期、2026年3月期中間期決算に基づきます。）
* 売上高:
* 2022年3月期: 66,089百万円
* 2023年3月期: 79,229百万円 (+19.9% YoY)
* 2024年3月期: 79,617百万円 (+0.5% YoY)
* 過去12か月: 82,593百万円 (+4.8% YoY)
* 2026年3月期中間期: 36,741百万円 (前中間期比△13.3%)
* 堅調な成長を続けてきましたが、直近の中間期決算では売上高が減少しており、通期予想も下方修正されています。
* 営業利益:
* 2022年3月期: △188百万円（赤字）
* 2023年3月期: 4,359百万円（黒字転換）
* 2024年3月期: 10,629百万円（大幅増益）
* 過去12か月: 14,679百万円（大幅増益）
* 2026年3月期中間期: 6,678百万円 (前中間期比△3.5%)
* 2022年3月期を底に、急速な利益回復と成長を遂げています。しかし、中間期では減益となっています。
* 純利益 (Net Income Common Stockholders):
* 2022年3月期: △4,724百万円
* 2023年3月期: 3,657百万円
* 2024年3月期: 7,887百万円
* 過去12か月: 10,853百万円
* 営業利益同様、黒字転換後、利益は大きく伸びています。
* ROE（実績）: 19.24% (過去12か月: 17.70%)。非常に高い水準であり、株主資本を効率的に活用していることを示します。
* ROA（過去12か月）: 11.68%。高い水準であり、総資産を効率的に活用していることを示します。
* 自己資本比率: 73.5% (2024年3月末実績、2025年9月末中間期末76.4%)。極めて健全な財務体質です。
* 流動比率（直近四半期）: 3.01。短期的な支払い能力も高く、非常に安定しています。
* 有利子負債比率 (Total Debt/Equity, 直近四半期): 7.95%。負債が非常に少ない、健全性の高い財務状況です。
財務諸表まとめ: 過去数年間で売上高と利益は大きく成長し、ROE・ROAも高水準を維持しています。自己資本比率が高く、負債が少ないなど、非常に強固な財務体質を誇ります。ただし、直近の四半期および中間期の業績では、国内市場の需要縮小を背景に売上・利益の減少傾向が見られ、その動向を注視する必要があります。
9. 株主還元と配当方針
同社の配当利回り（会社予想）は5.49%と高く、投資家にとって魅力的な水準です。1株配当（会社予想）は300.00円で、配当性向は30.27%と、持続可能な範囲で利益を株主に還元する方針を示しています。2025年3月期の実績年間配当は375円でしたが、2026年3月期の年間予想は300円と減額されています。
また、2025年10月31日には自己株式取得（上限11万株・上限総額5億円）を決議しており、配当以外にも積極的な株主還元策を実施する意向が見られます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、50日移動平均線および200日移動平均線を下回って推移しており、短期・中期的な下落モメンタムが見られます。52週間の株価変化率が-14.24%と、S&P500の+12.77%と比較してパフォーマンスが劣後しています。
信用買残は前週比で減少したものの依然として高い水準にあり、信用売残は少ないため、信用倍率は37.49倍と高い状況です。直近の出来高は若干減少傾向にあり、投資家の関心は一時的に薄れている可能性があります。国内の鉄筋用小棒の需要縮小や出荷価格の下落といった事業環境の変化が、今後の株価に影響を与える要因として考えられます。
11. 総評
東京鐵鋼は、建築用ネジ節棒鋼や継ぎ手で高い国内シェアを持つ電炉中堅企業です。財務体質は極めて健全であり、高水準の自己資本比率、流動性、低い負債比率を誇ります。過去数年間は売上・利益ともに大きく伸長し、高い収益性を実現してきました。株主還元にも積極的で、高い配当利回りと自己株式取得を実施しています。
一方で、国内の鉄筋用小棒市場の需要縮小が事業環境の課題として顕在化しており、直近の中間期決算や通期業績予想では、売上および利益の減速が見られます。現在の株価はPERを基準として業界平均と比較すると割安感がありますが、テクニカル分析では調整局面を示唆しています。今後の国内建設需要の動向、高付加価値製品戦略の進展、そして販売提携強化が、期待される業績回復と株価への影響の鍵となるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: C
- 過去数年間は売上高が増加傾向にありましたが、直近の四半期および中間期決算では売上高成長率がマイナスに転じ、通期予想も下方修正されているため、成長の勢いは減速していると評価します。
- 収益性: S
- 過去12か月の営業利益率は17.8%と、電炉業界の一般的な水準と比較して非常に高く、極めて優位な収益構造を有しています。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率76.4%、流動比率3.01、負債比率7.95%と、全ての指標が非常に優れており、極めて健全な財務状況です。
- 株価バリュエーション: A
- PER（会社予想）5.55倍は業界平均8.0倍と比較して明確に割安な水準にあります。PBRは業界平均をやや上回りますが、PERの割安感を重視し、総合的に割安であると評価します。
本レポートは、提供された情報に基づき作成されたものであり、特定の有価証券の売買を勧誘するものではありません。また、掲載内容は筆者個人の見解であり、正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。
企業情報
| 銘柄コード | 5445 |
| 企業名 | 東京鐵鋼 |
| URL | http://www.tokyotekko.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。