神戸製鋼所（5406）企業分析レポート
個人投資家の皆様へ
1. 企業情報
神戸製鋼所は、1905年創業の歴史ある総合重工業メーカーです。その事業は多岐にわたり、大きく「素材系事業」「機械系事業」「電力事業」の3つを柱としています。主要な製品・サービスには、自動車向けの高張力鋼板をはじめとする鉄鋼製品、アルミニウム・銅などの非鉄金属、産業用機械、建設機械、さらには電力卸供給事業などが含まれます。特に自動車関連への供給比率が高く、幅広い産業分野に製品・サービスを提供することで複合的な経営を行っています。
* 主な事業分野（連結事業比率）:
* 鉄鋼アルミ: 42%
* 建設機械: 15%
* 電力: 10%
* 機械: 10%
* 素形材: 12%
* 溶接: 4%
* エンジニアリング: 7%
* その他: 0%
* 海外売上比率: 34% (2025年3月期)
2. 業界のポジションと市場シェア
神戸製鋼所は国内の鉄鋼メーカーとしては3位の事業規模を持ち、日本の主要な鉄鋼・非鉄金属素材メーカーの一角を占めています。鉄鋼事業にとどまらず、アルミニウム・銅、建設機械、産業機械、エンジニアリング、電力など多角的な事業ポートフォリオを持つ点が特徴です。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、事業の安定化を図っています。特に自動車産業への比率が高い点は強みであると同時に、自動車市場の動向に業績が左右される可能性も持ち合わせています。
3. 経営戦略と重点分野
提供された情報から、経営陣が掲げる具体的なビジョンや中期経営計画の詳細な施策は直接的に読み取ることはできません。しかし、多角的な事業構造を持つことから、各セグメントの競争力強化とシナジー創出を通じて総合力を発揮する戦略が推測されます。直近の決算短信では、機械セグメントや電力セグメントの利益貢献が大きいことが示されており、これらの高収益分野のさらなる強化が重点分野となり得ると考えられます。また、素材産業を取り巻く環境変化（脱炭素化、サプライチェーンの変化など）への対応も重要な経営課題として認識されていると推測されます。
4. 事業モデルの持続可能性
神戸製鋼所の事業モデルは、鉄鋼を基盤としつつ、非鉄金属、機械、電力といった多様な事業を組み合わせる「複合経営」に特徴があります。この多角化は、特定の産業セクターの景気変動リスクを分散し、安定的な収益確保に寄与します。例えば、鉄鋼需要が低迷する局面でも、建設機械や電力事業が業績を下支えする可能性があります。一方で、鉄鋼などの素材産業は、景気変動、原材料価格（鉄鉱石、エネルギーなど）の変動、為替変動の影響を受けやすい性質を持っています。脱炭素化に向けた技術開発投資や、高機能素材へのシフトなど、市場ニーズの変化への適応力が今後の持続可能性を左右すると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
神戸製鋼所は、各事業分野で高炉から最終製品まで一貫した技術開発を行っています。特に、自動車の軽量化に貢献する高張力鋼板やアルミニウム製品、溶接材料、産業プラント向け大型鍛造品などの素材技術に強みを持っています。
機械分野では、汎用コンプレッサーから先端技術を要するプラスチック加工機械、超高圧水素関連機器など、幅広い製品を手掛けています。また、電力事業においては、自社で発電所を保有・運営し、安定的な電力供給を行っています。これら多岐にわたる製品・サービスが収益を牽引しており、それぞれの分野での継続的な技術革新が事業競争力の源泉となっています。
6. 株価の評価
現在の株価1866.0円に対し、以下の指標が示されています。
* PER（会社予想）: 7.35倍
* 業界平均PER (8.0倍) と比較すると、やや割安な水準にあります。
* PBR（実績）: 0.62倍
* 業界平均PBR (0.6倍) と比較すると、ほぼ同水準にあります。
* EPS（会社予想）: 253.85円
* BPS（実績）: 3,003.54円
これらの指標から、現在の株価は収益面（PER）では業界平均と比較して割安感がある一方、資産面（PBR）では同水準と言えます。
7. テクニカル分析
直近の株価推移（2025年11月6日〜19日）を見ると、1817.5円から1866.0円の間で取引されており、一時1900円台を付ける場面もありました。
年初来高値が1,914円、年初来安値が1,446円であることから、現在の株価1866.0円は年初来高値に近い水準にあります。
50日移動平均線 (1806.04円) および200日移動平均線 (1717.35円) を上回って推移しており、短期・中期的に上昇トレンドを維持している状況と見ることができます。
8. 財務諸表分析
- 売上高:
- 2022年3月期 2兆0825億円 → 2023年3月期 2兆4725億円 → 2024年3月期 2兆5431億円 → 過去12か月 2兆4879億円。
- 過去数年間は増加傾向を示していましたが、過去12か月では前年比微減、2026年3月期通期予想では前年比3.5%減が見込まれています。直近の中間期売上高も前年同期比で5.4%減少しています。
- 営業利益:
- 2022年3月期 876億円 → 2023年3月期 863億円 → 2024年3月期 1866億円（大幅改善）→ 過去12か月 1435億円。
- 2024年3月期に大きく改善しましたが、その後は減少傾向にあり、2026年3月期通期予想では前年比18.1%減が見込まれています。
- 純利益:
- 2022年3月期 600億円 → 2023年3月期 725億円 → 2024年3月期 1095億円 → 過去12か月 1264億円。
- 経年的に増加傾向にあります。直近の中間期純利益は前年同期比で11.0%増加しましたが、これは投資有価証券売却益などの特別利益の寄与が大きいです。2026年3月期通期純利益予想は前年比16.8%減と見込まれています。
- キャッシュフロー:
- 過去12ヶ月の営業キャッシュフローは2881億円、レバードフリーキャッシュフローは898億円と、堅調な資金創出能力を示しています。
- 収益性指標:
- ROE（実績）: 10.84% (過去12か月: 10.46%)。日本の製造業の中では比較的良好な水準です。
- ROA（過去12か月）: 3.15%。
- 営業利益率（過去12か月）: 5.10%。
- 財務健全性:
- 自己資本比率（実績）: 40.2%。直近中間末では41.6%に改善しており、財務健全性は高い水準を維持しています。
- 流動比率（直近四半期）: 1.51（中間末151.6%）。短期的な支払能力に問題はありません。
- D/Eレシオ（直近四半期）: 63.98%。総負債に対する自己資本の比率も健全な水準です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 4.29%
- 1株配当（会社予想）: 80.00円
- 配当性向: 29.62%
2026年3月期の年間配当は80円（中間40円、期末40円）を予想しており、これは2025年3月期の100円から減配となる見込みです。しかし、会社予想EPSに対する配当性向は約30%と、利益水準に対して無理のない範囲に抑えられており、継続性への配慮がうかがえます。
また、決算短信において2025年5月12日の取締役会決議に基づく自己株式取得が実施されたことが記載されており、自社株買いによる株主還元も行われています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は、11月6日の1790円から11月19日の1866円へと緩やかな上昇傾向にあります。50日移動平均線および200日移動平均線を上回って推移しており、テクニカル的には短期・中期の上昇モメンタムが見られます。
出来高は日々140万株から390万株程度で推移しており、投資家からの一定の関心は継続していると考えられます。
信用倍率は3.27倍で、信用買い残が信用売り残を上回っています。
2025年11月10日に発表された中間決算では、通期業績予想の下方修正があったものの、中間純利益は増加しています（特別利益の影響）。市場は、複合経営による事業の多様性や財務健全性を評価している可能性があります。
11. 総評
神戸製鋼所は、鉄鋼を核に非鉄金属、機械、エンジニアリング、電力など多角的な事業を展開する総合重工業メーカーです。複合経営により事業リスクの分散を図り、比較的安定した収益基盤を持つ点が強みです。
財務面では、自己資本比率41.6%、流動比率151.6%と健全性が高く、営業キャッシュフローも安定しています。株価評価については、PERは業界平均よりやや割安であり、PBRは同水準です。配当利回りは4%を超え、自社株買いも実施しており、株主還元への意識が見られます。
一方、直近の業績見通しでは売上高、営業利益、純利益ともに減益予想であり、特に素材事業は市況や景気変動の影響を受けやすいという課題があります。しかし、電力事業や機械事業の収益貢献は高く、事業ポートフォリオのリバランスや高付加価値製品へのシフトが今後の成長ドライバーとなる可能性があります。株価は年初来高値圏にあり、テクニカルには上昇モメンタムがあります。
12. 企業スコア
- 成長性: C
- 過去12ヶ月の売上高は前年比微減、2026年3月期の通期売上高予想も前年比で減少が見込まれるため。
- 収益性: B
- 粗利率、営業利益率は市場環境の影響を受けやすいですが、機械や電力事業の高収益が全体を支える構造です。直近の営業利益率は前年見込みを下回る予想ですが、過去には改善傾向もあり、中立と評価。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率が40%を超え、流動比率も150%以上、D/Eレシオも低い水準で維持されており、非常に健全な財務体質です。
- 株価バリュエーション: A
- PERが業界平均より割安、PBRが業界平均と同水準であり、全体として割安感があるため。
企業情報
| 銘柄コード | 5406 |
| 企業名 | 神戸製鋼所 |
| URL | http://www.kobelco.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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