1. 企業情報
株式会社田中化学研究所は、福井県に本社を置く、住友化学の子会社です。主にリチウムイオン電池とニッケル水素電池向けの正極材料の開発、製造、販売を手掛けています。特に車載電池向けに注力しており、事業は二次電池関連製品が単一セグメントを構成しています。売上構成比ではリチウムイオン電池向け製品が78%、ニッケル水素電池向け製品が14%を占めています(2025年3月期データ)。
2. 業界のポジションと市場シェア
二次電池の正極材料という専門性の高い市場に特化しています。親会社である住友化学との連携は、技術開発やサプライチェーンの安定性において競争上の強みとなる可能性があります。電気自動車(BEV)市場の成長は同社にとって大きな機会ですが、市場全体での伸び悩みや主要顧客の生産計画の遅延は事業に直接的な影響を与える課題となっています。国際的な原材料相場の変動によるコスト影響も受けやすい特性があります。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信からは、市場環境の変化に対応するためのコスト削減、顧客対応の強化、製品および顧客構成の変化に合わせた販売戦略の見直しを継続的に実施していることが推察されます。特に車載電池市場への注力は、中期的な成長戦略の一環と見られます。ただし、中期経営計画における具体的な数値目標や進捗に関する詳細は、提供資料からは限定的です。
4. 事業モデルの持続可能性
二次電池市場は、電気自動車(EV)化の進展に伴い中長期的には成長が見込まれる分野であり、同社の主要事業は持続的な需要の恩恵を受ける可能性があります。しかし、短期的にはBEV需要の伸び悩みや各国の補助金・政策変更、原材料価格の変動といった外部環境の変化に業績が左右されやすい、変動性の高い事業モデルです。住友化学の子会社である点は、経営の安定性に寄与していると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
同社はリチウムイオン電池およびニッケル水素電池の「正極材料」という基幹部品の製造を専門としています。正極材料は電池の性能を左右する重要な要素であり、技術革新が求められる分野です。現在の収益を牽引しているのはリチウムイオン電池向け製品(売上構成比78%)です。提供資料からは具体的な技術開発動向や独自性についての詳細な記述は見られません。
6. 株価の評価
現在の株価は413.0円です。
2026年3月期通期の会社予想EPSは-30.74円と赤字予想であるため、PERは算出できません。
実績PBRは株価413.0円に対し、直近四半期のBPSが548.45円であることから、約0.75倍となります。業界平均PBRが0.7倍であるため、現在のPBRは業界平均と同水準かやや高めです。業績が赤字である点を考慮すると、現在の株価が割安であるとは言い切れません。
7. テクニカル分析
現在の株価413.0円は、52週高値668円からは大きく下落した水準(約38%安)にあります。一方で、52週安値352円からは回復しています(約17%高)。
直近10日間の株価は413円から417円の範囲で推移しており、大きな変動は見られません。50日移動平均線(403.56円)は上回っていますが、200日移動平均線(428.23円)は下回っており、方向感に乏しい状況です。全体としては、直近の安値圏からは持ち直しているものの、高値圏からは距離がある中立からやや安値寄りのレンジにあると評価できます。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 過去12か月 | 2025/3 (予想/LTM) | 2024/3 (実績) | 2023/3 (実績) | 2022/3 (実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 (百万円) | 36,497 | 36,000 (予想通期) | 47,987 | 57,672 | 40,531 |
| 売上成長率 (YoY) | △23.94% | △4.1% (予想) | △16.8% | 42.3% | — |
| 営業利益 (百万円) | △334 | △800 (予想通期) | 2,774 | 1,775 | 828 |
| 営業利益率 | △0.92% | △2.2% (予想) | 5.78% | 3.08% | 2.04% |
| 純利益 (百万円) | △257 | △1,000 (予想通期) | 2,555 | 1,290 | 731 |
| ROE (実績) | △1.51% | — | 2.79% | 7.15% | 3.90% |
| ROA (LTM) | 1.29% | — | — | — | — |
| 自己資本比率 (実績) | 51.0% | 50.0% (中間期末) | 51.0% | 50.3% | 44.5% |
| 流動比率 (実績) | 0.97 | — | — | — | — |
売上と利益:
売上高は2023年3月期をピークに減少傾向にあり、過去12ヶ月では前年同期比約24%減となっています。2026年3月期の通期予想も減収を見込んでいます。利益面では、過去12ヶ月で営業利益、純利益ともに赤字に転落しており、2026年3月期の通期予想でも大幅な営業損失・当期損失を見込んでいます。売上総利益率および営業利益率も大きく落ち込み、収益性は悪化しています。
キャッシュフロー:
過去12ヶ月の営業活動によるキャッシュフローは2,740百万円のプラスであり、中間期においても4,719百万円と堅調です。これは、業績悪化の中でも本業で現金を創出できていることを示唆します。一方で、投資活動によるキャッシュフローは継続的にマイナスとなっており、設備投資などは継続していると見られます。
財務健全性:
自己資本比率は直近で50.0%と非常に高く、財務基盤は健全です。総負債/自己資本比率も33.15%と低水準で、負債への依存度が低いことを示しています。ただし、流動比率は0.97と100%を下回っており、短期的な支払い能力にはやや懸念があるものの、高い自己資本比率と良好な営業キャッシュフローで一定程度はカバーできると考えられます。
9. 株主還元と配当方針
同社は2026年3月期の配当予想を中間および期末ともに0.00円としており、無配当の方針です。業績の悪化を反映し、現在のところ株主還元策は実施しない見込みです。過去には配当実績がありましたが、現状では配当利回り、配当性向ともに0.00%となっています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近一年で約37%下落しており、強い下降モメンタムが働いています。直近10日間の株価は横ばいで、出来高も平均的な水準であり、特段の活発な動きは見られません。信用買残が多い一方で信用売残がなく、信用倍率も0.00倍となっているため、将来の株価上昇を期待する買い方が多い状況です。
業績悪化、特にBEV市場の伸び悩みや原材料価格変動、各国政策の変化といった主要因が、株価の重しとなっていると考えられます。これらの要因の改善が見られない限り、積極的な投資家関心は限られる可能性があります。
11. 総評
株式会社田中化学研究所は、住友化学の子会社として二次電池正極材料市場という成長分野に事業を展開していますが、足元の業績は厳しい状況にあります。世界的なBEV需要の減速や原材料価格の高騰が響き、直近では売上減少、大幅な赤字に転落しています。
財務健全性は高い自己資本比率によって良好ですが、現在の収益性は著しく低下しており、短期的な業績改善の兆しは見えにくい状況です。株価は高値からは大きく下落しており、赤字予想のためPER評価は不可能で、PBRも業界平均並みです。無配当となっており、株主還元は期待できません。
中長期的にはEV市場の再加速による恩恵が期待されますが、短期的には市場環境の変動と業績悪化への対応が課題となります。
12. 企業スコア
- 成長性: D
- LTM売上成長率は約△24%と大幅な減少。2026年3月期通期予想も減収を見込んでおり、売上が減少傾向にあるため低評価。
- 収益性: D
- LTM営業利益率が△0.92%と赤字に転落し、通期予想も営業損失であり、収益性は低いと判断されるため低評価。
- 財務健全性: A
- 自己資本比率が50.0%と非常に高く、D/E比率も健全な水準です。流動比率は1を若干下回りますが、自己資本の厚さから高く評価。
- 株価バリュエーション: C
- 赤字予想のためPERは評価不能。PBR約0.75倍は業界平均0.7倍と同水準です。現在の業績を考慮すると、積極的な割安感はないと判断。
企業情報
| 銘柄コード | 4080 |
| 企業名 | 田中化学研究所 |
| URL | http://www.tanaka-chem.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。