INPEX(1605)企業分析レポート
株価:3,130円(2025-11-20終値)/時価総額:約3.95兆円
1. 企業情報
- 概要:国内最大の独立系資源開発会社。原油・天然ガスの探鉱・開発・生産(E&P)から販売、国内ガスパイプライン運営、LNGバリューチェーン、電力・熱供給、地熱、CCS・水素などを展開。豪州「イクシスLNG」など海外比率が高い。政府が黄金株を保有。
- 収益構成(連結):原油76%、天然ガス23%、他1%(海外売上比率68%、2024年12月期)
- 従業員:3,679名、平均年齢39.4歳、平均年収1,167万円
- 主な拠点・プロジェクト:国内油ガス田、豪州イクシスLNG等
- 今後のイベント
- 権利落ち日(予定):2025-12-29
- 決算公表(予定):2026-02-12
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内E&Pの最大手。グローバルではメジャーに比べ中堅規模だが、オペレーター権益や長期LNG案件を保有。
- 競争優位性
- 国内最大の資産基盤と政府の黄金株による戦略的重要性
- 豪州イクシスLNGなど長期契約主体のLNGプロジェクトがキャッシュ創出源
- 財務基盤が厚く、価格サイクルへの耐性
- 課題
- コモディティ価格・為替に対する感応度が高い
- エネルギー転換の中で、脱炭素要請・規制強化への対応
- 海外案件の開発・操業リスク、長期投資回収リスク
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン:コアの油ガス事業の競争力強化と、2050年ネットゼロに向けた移行を両立。
- 重点分野(短信・開示ベースの方向性)
- コア:主要油ガス資産の安定稼働・コスト効率化(イクシス等)
- トランジション:CCS・水素/アンモニア・再生可能エネルギー(現状は収益貢献小、将来投資段階)
- ポートフォリオ最適化と資本効率の向上(配当と自己株取得の併用)
- 2025年通期見通し(修正後、IFRS連結)
- 売上収益2.0兆円、営業利益1.12兆円、親会社利益3,900億円、EPS予想327.97円
- 前提:ブレント平均67.5$/bbl、為替148.6円/US$
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:原油・ガス価格×販売数量が収益ドライバー。LNGは長期オフテイクで価格変動を一部平準化。
- 適応力:高い自己資本比率と低D/Eで投資余力を確保。再エネ・CCS・水素は将来オプションだが現状は収益寄与限定的(その他セグメントは赤字)。
- リスク耐性:原燃料価格下落時の減益感応は残る一方、長期案件と円安環境は円建て収益の下支え要因。
5. 技術革新と主力製品
- 主力:原油、LNG(イクシス)、コンデンセート、LPG、国内ガス販売等。
- 技術・独自性:LNG上流・液化・輸送の統合運営、深海・オフショア開発、CO2回収・貯留(CCS)や水素関連の実証等。
- セグメント収益(2025年1-9月、IFRS)
- 海外O&G(イクシス):売上2,425億円、セグ利益1,811億円(収益牽引)
- 海外O&G(その他):売上1.12兆円、セグ利益974億円
- 国内O&G:売上1,470億円、セグ利益217億円
- その他(再エネ等):売上128億円、セグ損失-60億円
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 指標(会社予想ベース)
- PER:9.61倍(業界平均9.5倍と同程度)
- PBR:0.83倍(業界平均0.6倍より高め)
- BPS:3,782円 → PBR=1倍の水準は理論上3,782円
- EPS:326.14円(予想)、LTM EPS:約362.5円 → 予想PERはLTMより割高化
- 簡易比較
- 業界平均PER(9.5倍)× EPS予想(326.1円)= 約3,098円 → 現在株価3,130円はPER基準で概ね整合
- 業界平均PBR(0.6倍)× BPS(3,782円)= 約2,269円 → PBR基準では業界平均よりプレミアム
- 配当:予想配当100円、配当利回り約3.19%(5年平均3.84%をやや下回る)。配当性向25.7%。
(注)上記は提供データに基づく単純比較であり、将来キャッシュフローやリスク差を織り込んだ評価ではない。
7. テクニカル分析
- トレンド:50日線2,773円・200日線2,208円を上回る上昇トレンド維持。年初来高値3,212円に接近(本日高値3,164円、終値3,130円)。
- 位置づけ:52週高値圏(約97%)での推移。短期では高値圏でのもみ合い。
- 需給:信用倍率3.08倍。信用買残が前週比減(-11.8万株)、売残は増(+4.6万株)で、短期はやや手仕舞い・戻り売りの交錯。直近出来高は10日・3カ月平均並み~やや下。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(IFRS、百万円)
- LTM売上:2,123,843、営業利益:1,096,449、当期純利益:438,285
- 利益率:粗利58.9%、営業51.6%、純利益20.6%、EBITDAマージン約79%(償却費負担大のE&P特性)
- 成長トレンド
- 売上推移:2021年1.24兆 → 2022年2.32兆 → 2023年2.16兆 → 2024年2.27兆 → LTM約2.12兆
- 直近は価格下落の影響で減収(3Q累計 売上▲13.0%、販売数量は原油増・ガス減、為替はやや円高方向)
- 効率・資本収益
- ROE:9.46%、ROA:9.08%(LTM)
- 総資産回転率(3Q累計):約0.21回
- 財務安全性
- 自己資本比率:65.3%、D/E(総債務/自己資本):約24.6%、流動比率:1.49倍
- 現金等:2,401億円、総有利子負債:1.16兆円(ネット有利子負債は約9,200億円規模)
- キャッシュフロー:詳細は未開示(3Q短信は簡易CF非作成)。EBITDA水準から投資・株主還元原資は確保しやすい構造。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:年間100円(中間50円実施、期末50円予想)。配当性向約26%で余力あり。
- 自己株式:株主名簿ベースで自己株式比率4.82%(6,070万株)。3Q末自己株式は7,311万株と増加しており、自己株取得の進捗が示唆される(提供データ比較)。
- 総還元:配当+自己株買いの併用スタンスがうかがえる。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:直近10営業日で2,895円 → 3,130円へ上昇。年初来+55.3%(S&P500+11.2%)と相対的に強い。
- ボラティリティ:5年β0.08と低め(指数連動度は低い傾向)。
- 需給・関心:浮動株は約8.8億株、内国公的・内部保有が厚く、機関投資家比率35.8%。エネルギー価格・為替ニュースに感応。
11. 総評
- 収益力:LTMで営業利益率50%超と高収益。イクシスLNGを中心に海外資産が利益を牽引。
- 成長:2025年は価格下落・円高影響で減収傾向。一方、2021年比では高水準を維持。
- 財務:自己資本比率65%、D/E約25%と健全で、投資・還元の両立余地。
- バリュエーション:PERは業界平均並み、PBRは平均より高め(PBR<1倍)。配当利回りは3%台前半で自己株取得も進展。
- リスク/機会:原油・ガス価格、為替、プロジェクト進捗・規制が主要ドライバー。エネルギー転換関連投資は中長期オプションだが、現時点の損益寄与は限定的。
- テクニカル:52週高値圏での推移。短期は高値圏の調整リスクとトレンド継続の綱引き。
(本レポートは提供データに基づく客観的整理であり、投資判断を意図した助言ではありません。)
12. 企業スコア
- 成長性:B
- 理由:LTM売上は前年比マイナス(3Q累計▲13%)。一方、3年CAGRはプラスで水準は高位。
- 収益性:A
- 理由:営業利益率50%超、EBITDA率高水準。業界内でも高い収益性。
- 財務健全性:A
- 理由:自己資本比率65%、D/E約25%、流動比率1.49倍と健全。
- 株価バリュエーション:B
- 理由:PERは業界平均並み、PBRは平均より高め。配当利回りは中位。全体として中立評価。
企業情報
| 銘柄コード | 1605 |
| 企業名 | INPEX |
| URL | https://www.inpex.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | エネルギー資源 – 鉱業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。