1. 企業情報

株式会社INPEXは、日本を代表する資源開発企業です。日本および国際的に石油、天然ガス、その他の鉱物資源の探査、開発、生産、販売を主力事業としています。特にオーストラリアでの大規模LNG(液化天然ガス)プロジェクト「イクシス」を操業しており、これが収益の大きな柱の一つです。また、天然ガスの輸送、ガスパイプラインの運営・管理、ガス・熱・電力供給事業、地熱発電プロジェクトの開発・管理、不動産事業など多岐にわたる事業を展開しています。政府が黄金株を保有する、国策的な重要性を持つ企業でもあります。事業の海外比率は約68%(2024年12月期予想)と高く、国際的なエネルギー市場の動向が業績に大きく影響します。

2. 業界のポジションと市場シェア

INPEXは原油・ガス開発において国内最大手であり、その技術力と資金力を背景に業界内で強力な競争優位性を確立しています。特にオーストラリアのイクシスLNGプロジェクトは世界でも有数の規模であり、長期的な収益基盤となっています。政府が黄金株を保有していることは、国家的なエネルギー安全保障における重要性と、特定の条件下での安定性を支持するものです。
課題としては、原油・天然ガス価格の変動、地政学的リスク、環境規制の強化などが挙げられます。これらの外部要因は収益に直接的な影響を与え、プロジェクトのリスク要因となる可能性があります。

3. 経営戦略と重点分野

INPEXは、持続可能なエネルギー移行の潮流に対応し、既存の石油・天然ガス事業の効率的かつ安定的な運営に加え、再生可能エネルギー、電力関連事業、CCS(CO2回収・貯留)・水素といった次世代エネルギー分野への取り組みを強化しています。決算短信のセグメント情報にある「その他」事業にこれらの分野が含まれており、これらが今後の成長に向けた重点分野であるとみられます。短期的な経営においては、原油価格や為替レートの変動に柔軟に対応しながら、安定した収益確保を目指す戦略が伺えます。

4. 事業モデルの持続可能性

INPEXの主要な収益モデルは、原油・天然ガスの生産と販売であり、特にLNGプロジェクトは長期契約に基づく安定収入が見込まれます。このモデルは、世界のエネルギー需要に支えられていますが、地政学的リスクや原油・天然ガス価格の変動に強く影響されます。
持続可能性を高めるため、同社は再生可能エネルギー(地熱発電など)、CCS・水素といった脱炭素技術への投資を加速しています。これにより、将来的なエネルギー転換期において、収益源の多様化と新たな成長機会の創出を図っていると考えられます。

5. 技術革新と主力製品

主力製品は「原油」と「天然ガス」、特に「LNG(液化天然ガス)」です。同社は長年にわたる資源探査・開発の経験とノウハウを蓄積しており、大規模かつ複雑なプロジェクトを推進する技術力を持っています。具体的な技術革新に関する公開情報には限りがありますが、資源開発においては高度な探査技術、掘削技術、生産最適化技術などが収益性を左右します。再生可能エネルギー分野では、地熱発電技術の開発・運用も進めており、脱炭素技術への取り組みを強化していると見られます。

6. 株価の評価

現在の株価(3,130.0円)と各種指標を基に評価します。
会社予想EPS 326.14円、実績BPS 3,782.01円に対し、PER(会社予想)9.61倍、PBR(実績)0.83倍です。
* PER(会社予想)に基づくと、業界平均PER 9.5倍に近い水準にあります。
* PER基準の理論株価: 326.14円 (EPS) × 9.5倍 (業界平均PER) = 3,098.33円
* 現在の株価 3,130.0円は、PER基準ではほぼ同水準と言えます。
* PBR(実績)に基づくと、業界平均PBR 0.6倍を上回っています。
* PBR基準の理論株価: 3,782.01円 (BPS) × 0.6倍 (業界平均PBR) = 2,269.21円
* 現在の株価 3,130.0円は、PBR基準では割高な水準にあると言えます。

総合的に見ると、PER基準では適正水準に近い一方、PBR基準ではやや割高と評価することができます。

7. テクニカル分析

直近10日間の株価推移を見ると、3,100円前後での攻防が見られますが、年初来安値1,651円、52週安値1,651円に対して、年初来高値3,212円、52週高値3,212円に迫る水準にあります。
50日移動平均線(2,772.73円)および200日移動平均線(2,208.28円)を大きく上回って推移しており、現在の株価は比較的「高値圏」にあると判断できます。直近は堅調な上昇トレンドにあるものと見られます。

8. 財務諸表分析

売上:

過去数年間のTotal Revenueは、2021年が1兆2,443億円、2022年が2兆3,246億円、2023年が2兆1,645億円、2024年(予想)が2兆2,658億円、そして過去12か月が2兆1,238億円と推移しています。2021年から2022年にかけて大きく増加しましたが、その後は外部環境(原油・天然ガス価格、為替)により変動があるものの、高水準を維持しています。直近の2025年12月期第3四半期累計の売上収益は1兆5,206億円で、前年同期比13.0%減となっています。これは主に原油・天然ガス販売価格の下落と円高による影響が要因とされています。

利益:

売上総利益は過去12か月で1兆2,501億円、営業利益は1兆964億円、純利益は4,382億円と非常に高い水準を維持しています。2025年12月期第3四半期累計では、売上収益の減少に伴い営業利益も減少(前年同期比14.3%減)しましたが、税負担の減少などにより親会社所有者に帰属する四半期利益は前年同期比1.4%増の2,934億円となっています。これは、同社のコストコントロール能力と税務上の工夫の結果と見られます。

キャッシュフロー:

提供データには第3四半期累計のキャッシュフロー計算書の要約は含まれていませんが、2025年9月30日時点の現金及び現金同等物は2,400億円であり、十分な内部資金を有しているものと見られます。

収益性指標:

  • ROE(実績)は9.46%、過去12か月では9.53%と、平均的な水準を上回っている可能性があります。第3四半期累計の簡易計算では約6.5%でした。
  • ROA(過去12か月)は9.08%、第3四半期累計の簡易計算では約4.4%でした。
  • 売上高営業利益率(過去12か月)は50.03%と非常に高く、効率的な事業運営を示唆しています。
  • EBITDAは過去12か月で1兆3,700億円と規模が大きく、高いキャッシュ創出力を持つ企業であることが伺えます。

財務健全性:

  • 自己資本比率(実績)は65.3%、第3四半期末時点でも62.3%と非常に高く、強固な財務基盤を有しています。
  • 流動比率(直近四半期)は1.49倍であり、短期的な支払い能力に問題はないと評価できます。
  • 総負債対自己資本比率(Total Debt/Equity)は24.58%と低く、負債依存度が非常に低い健全な状態です。

全体として、INPEXは、外部環境による売上の変動はあるものの、高い収益性と非常に強固な財務健全性を維持していることが分かります。

9. 株主還元と配当方針

会社予想の年間配当は100.00円であり、現在の株価に基づく配当利回りは3.19%です。
配当性向は25.66%と比較的低く、利益成長に伴う増配余地があると考えられます。また、配当の安定性も期待できる水準です。自社株買いに関する具体的な情報はこの分析データには含まれていませんが、配当による株主還元を重視していることが伺えます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は上昇基調にあり、特に2025年11月13日以降、2,900円台から3,100円台へと値を上げています。直近の出来高は300万株から800万株程度で推移しており、売買代金も100億円前後と、投資家の関心は高い状態が続いていると見られます。
信用倍率は3.08倍であり、買い残が高水準にあるものの、直近の信用買残は減少傾向にあります。
株価への影響を与える要因としては、原油・天然ガスの国際価格動向、為替レート(特に円ドル相場)、地政学的なリスク、および同社の主要プロジェクト(イクシス等)の操業状況や探鉱活動の進捗が挙げられます。

11. 総評

INPEXは、国内最大の原油・天然ガス開発企業として、安定した収益基盤と極めて強固な財務健全性を持つ企業です。主要な収益源はエネルギー資源の価格変動と為替レートに大きく左右される性質がありますが、再生可能エネルギーやCCS・水素といった新分野への投資を通じて、事業モデルの多様化と長期的な持続可能性を追求しています。
株価は年初来高値圏に位置しており、テクニカル的には堅調な推移を示しています。バリュエーションについては、PER基準では業界平均並みですが、PBR基準ではやや割高感があるものの、その高い収益性と財務の安定性が評価されていると見られます。株主還元は配当利回り3%超、配当性向25%台とバランスが取れており、今後の増配余地も期待されます。

12. 企業スコア

  • 成長性: C

    LTM売上成長率(YoY)は-15.30%、直近の四半期売上も減少しています。過去数年の売上は変動が大きいものの、原油価格と為替の外部要因に大きく左右され、短期的な売上成長は停滞傾向にあります。
    * 収益性: S

    過去12か月の実績で、粗利率約58.8%、営業利益率50.03%、EBITDA率約67.1%と、非常に高い水準を誇ります。これは業界平均と比較しても優位性があると考えられ、非常に効率的な事業運営がなされていると評価できます。
    * 財務健全性: S

    自己資本比率65.3%(実績)、流動比率1.49倍、D/Eレシオ24.58%と、すべての指標が極めて健全な水準にあります。強固な財務基盤を有しており、安定性が非常に高いと評価できます。
    * 株価バリュエーション: C

    PER(会社予想)9.61倍は業界平均9.5倍とほぼ同水準です。PBR(実績)0.83倍は業界平均0.6倍と比較して割高感があります。現在の株価が年初来高値圏にあることも考慮すると、バリュエーションは平均水準からやや割高と評価できます。


企業情報

銘柄コード 1605
企業名 INPEX
URL https://www.inpex.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 エネルギー資源 – 鉱業

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By ジニー

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