川岸工業(5921)企業分析レポート
個人投資家の皆様へ、川岸工業(5921)に関する企業分析レポートをお届けします。
1. 企業情報
川岸工業は、1947年に設立され、東京都港区に本社を置く鉄骨大手企業です。主に鉄骨の製造・加工・据付を事業の柱とし、超高層ビルや大規模構造物向けに豊富な実績を持っています。また、近年はプレキャストコンクリート(PC)製品の製造・販売も手掛けています。事業構成は、鉄骨事業が全体の93%、プレキャストコンクリート事業が7%を占めています(2024年9月期)。民間プロジェクトに強みを持つ点が特徴です。
2. 業界のポジションと市場シェア
市場区分は東証スタンダードに上場しており、17業種区分では「建設・資材」、33業種区分では「金属製品」に分類されます。国内の鉄骨業界において長年の実績と技術力を持ち、特に超高層ビル向けでの確固たる地位を築いています。主要顧客には鹿島建設、清水建設、大成建設、戸田建設といった大手総合建設会社が名を連ねています。
業界全体としては、首都圏での大型案件は底堅いものの、資材価格の高止まり、物流費・人件費の上昇、人手不足による工期遅延やコスト増といった課題に直面しています。鉄骨需要も減少傾向にあり、競争環境は厳しいものと推測されます。
3. 経営戦略と重点分野
川岸工業は、第1次中期経営計画(2024年9月期~2026年9月期)を推進しており、「成長基盤の基礎固め」と「資本コスト・株価を意識した経営」を目的としています。
具体的な施策としては、厳しい市場環境下で受注確保を最優先とし、採算性の良い工事の選定に注力しています。また、積極的な株主還元も経営重点課題としています。
最終年度である2026年9月期には、完成工事高22,000百万円、営業利益1,000百万円、当期純利益800百万円を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の収益モデルは、主に鉄骨加工・据付およびプレキャストコンクリート製品の提供によるものです。超高層ビルや大規模構造物など、高度な技術と品質が求められる分野での実績は、同社の競争優位性となっています。
しかし、外部環境として、原材料価格の高騰、物流費や人件費の上昇、人手不足は継続的なリスクです。また、大型案件の予算不足や発注延期・工期見直しも事業活動に影響を与える可能性があります。
これらの市場ニーズや事業環境の変化に対し、安定した受注残高を確保し、採算性を維持・向上させることが持続可能性の鍵となります。2025年9月期末の受注残高は32,473百万円と前期比26.6%増となっており、一定の事業基盤は確保されています。
5. 技術革新と主力製品
川岸工業の主力製品は、高層建築物や大規模空間・構造物に使用される鉄骨製品です。長年の経験と技術開発により、これらの高度な要求に応えられる技術力と実績を積み上げています。近年はプレキャストコンクリート製品も事業領域に加えています。具体的な技術革新に関する詳細な記述は提供されていませんが、大手ゼネコンからの継続的な受注実績は、同社の技術力と品質への信頼を示唆しています。
6. 株価の評価
現在の株価4,200.0円に対し、以下の指標が示されています。
* PER(会社予想):14.46倍
* PBR(実績):0.40倍
* EPS(会社予想):291.58円
* BPS(実績):10,553.96円
会社予想EPSに基づくPERは14.46倍であり、業界平均PER11.3倍と比較するとやや割高な水準です。
一方、実績BPSに基づくPBRは0.40倍であり、業界平均PBR0.5倍を下回っており、純資産に対して株価が低く評価されている状態です。PBR1倍未満の企業として、解散価値よりも株価が低いと見ることができます。
7. テクニカル分析
直近の株価推移を見ると、本日終値は4,200円でした。年初来高値は4,590円、年初来安値は3,175円です。
過去10日間の株価は4,200円から4,460円の範囲で推移しており、直近数日は下降傾向にあります。
50日移動平均線が4,464.40円、200日移動平均線が3,985.52円であることを考慮すると、現在の株価は50日移動平均線を下回り、200日移動平均線よりは高い位置にあります。年初来高値圏からはやや離れており、高値圏ではないと考えられますが、直近の下げにより短期的な調整局面にある可能性があります。
売上高
- 2021年9月期: 18,873百万円
- 2022年9月期: 22,049百万円
- 2023年9月期: 25,998百万円
- 2024年9月期: 27,566百万円
- 2025年9月期: 24,219百万円 (前年比 △12.1%)
売上高は2021年9月期から2024年9月期にかけて増加傾向にありましたが、2025年9月期は大型案件の予算不足や工程遅れにより前年比で減少しました。しかし、受注高と受注残高は大きく増加しており、今後の売上につながる可能性があります。
利益
- 2025年9月期 営業利益: 1,873百万円 (前年比 +12.2%)
- 営業利益率: 7.73% (前期6.05%から改善)
- 当期純利益: 1,447百万円 (前年比 △1.5%)
売上高が減少する中で、採算性の良い工事の前倒し完成などが寄与し、営業利益は増益となりました。しかし、当期純利益はほぼ横ばいでした。利益率は業界平均に関する情報はありませんが、健実な水準にあると考えられます。
キャッシュフロー
- 営業活動によるCF: +3,243百万円 (大幅な増加)
- 投資活動によるCF: △206百万円
- 財務活動によるCF: △1,130百万円 (自己株式取得や配当金支払いなど)
営業キャッシュフローが大きく増加し、潤沢な現金を確保しています。これは、売上債権の減少などが主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは、自己株式取得や配当金支払いを積極的に行っているためマイナスとなっています。
収益性指標
- ROE(実績):5.06%
- ROA(過去12か月):3.39%
ROEは5.06%と、資本を効率的に活用しているとは言えない水準です。しかし、自己資本比率が非常に高いことから、低いROEは必ずしも悪い指標とは言い切れない場合もあります。
財務健全性
- 自己資本比率(実績):82.8%
- 流動比率(直近四半期):4.74倍
- 総負債/自己資本当期純利益率(直近四半期):0.00%
自己資本比率は82.8%と非常に高く、実質無借金経営に近い状態であり、極めて高い財務健全性を示しています。流動比率も4.74倍と高く、短期的な支払い能力も非常に優れています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想):3.32%
- 1株配当(会社予想):140.00円
- 配当性向(2025年9月期実績):30.7%
- 配当性向(2026年9月期予想):48.1%
川岸工業は安定した配当を実施しており、2025年9月期は年間160円の実績でした。2026年9月期は、普通配当90円に加え、記念配当50円を含む年間140円を予想しています。予想配当性向は48.1%と、利益に対する株主還元意欲が高いことが伺えます。
また、当期には自己株式取得を行うなど、自社株買いによる株主還元も実施しており、資本効率を意識した経営姿勢が見られます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価推移は、4,200円から4,460円の間で推移し、徐々に下落傾向にあります。出来高も少なく、市場の関心は低下している可能性があります。
信用倍率は1,095.50倍と非常に高く、信用買い残が大幅に積み上がっている一方で、信用売り残が極めて少ない状態です。これは、株価が大きく下落するリスクがある場合の需給悪化要因となり得ます。
今後の株価に影響を与える要因としては、国内建設市場の動向、原材料価格や人件費の変動、新規受注の進捗、そして会社が見込んでいる2026年9月期の業績予想が達成できるかどうかが挙げられます。特に、来期の減収減益予想が株価を圧迫する可能性がありますが、受注残高の増加は将来への期待材料となります。
11. 総評
川岸工業は、国内の鉄骨大手として、超高層ビル向けの高い技術力と実績を誇ります。財務基盤は自己資本比率82.8%、D/Eレシオ0.00%と極めて健全であり、潤沢な現預金と高い流動性を有しています。
売上高は直近で減少しましたが、採算性改善により営業利益は増加しました。豊富な受注残高は今後の売上を支える基盤となります。
株価評価では、PBRが0.40倍と業界平均および1倍を大きく下回っており、割安感があります。一方でPERは業界平均より高めです。
株主還元にも積極的で、安定した配当と自己株式取得を実施しています。
中期経営計画では成長基盤の構築を目指していますが、来期の業績予想が減収減益を見込んでいる点や、信用買い残の高止まりなど、投資家としては注視すべき点も存在します。
12. 企業スコア
- 成長性:C
- LTM売上成長率は-12.14%と減少傾向を示しており、来期も減収予想です。3年CAGRでは微増ですが、短期的な成長モメンタムは弱いです。
- 収益性:B
- 粗利率11.94%、営業利益率7.73%、EBITDA率9.87%です。過去数年の変動はあるものの、直近では採算性改善により営業利益率が向上しており、建設業としては堅調な水準と評価されます。
- 財務健全性:S
- 自己資本比率82.8%、流動比率4.74倍、D/Eレシオ0.00%と、極めて高い財務健全性を誇ります。
- 株価バリュエーション:A
- PBR0.40倍は業界平均0.5倍を下回り、純資産に対して著しく割安な水準です。PERは業界平均を上回りますが、PBRの割安感が非常に強いと評価できます。
企業情報
| 銘柄コード | 5921 |
| 企業名 | 川岸工業 |
| URL | http://www.kawagishi.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 金属製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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