1. 企業情報

インスペックは、半導体やIT関連デバイスの外観検査装置を開発・製造・販売する企業です。具体的には、半導体パッケージ基板やプリント基板のパターン検査装置(AOI)および最終外観検査装置(AVI)を主力としています。高精細化が進む現代の電子デバイス製造において、品質管理に不可欠な精密検査技術を提供しています。海外市場の開拓も強化しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

インスペックは、半導体パッケージ基板の検査装置という専門分野において事業を展開しています。景気変動や設備投資動向の影響を受けやすい特性を持つ半導体製造装置業界において、独自の検査技術と製品開発力が競争力の源泉となります。特に、昨今の生成AIやデータセンター向けの半導体需要の拡大に伴うパッケージ基板の高精細・高密度化は、同社の高精度検査装置の重要性を高める市場環境と言えます。決算短信によると、新製品の投入や大型受注の獲得に成功しており、特定のニッチ市場での存在感を示していると考えられますが、全体の市場シェアに関する具体的なデータは提供されていません。

3. 経営戦略と重点分野

同社は2026年4月期から2028年4月期までの中期経営計画をスタートさせています。
戦略の重点分野としては以下の点が挙げられます。
* 新製品の開発・投入: 次世代半導体パッケージ基板検査装置「SX7000」シリーズを開発完了し、受注を開始しています。また、レーザーリペア装置「LX7000」もリリースし、検査からリペアまでの一貫したソリューション提供を目指しています。
* 受注基盤の強化: 第1四半期において大型受注を獲得し、受注残高を大幅に増加させています。これは、先行投資として今後の売上につながるものと期待されます。
* 市場ニーズへの対応: 生成AIやデータセンター向けの半導体需要、チップレットやインターポーザーといった高精細・高密度化技術の進展に対応する高機能製品を提供することで、市場の成長機会を捉えることを目指しています。

4. 事業モデルの持続可能性

インスペックの事業モデルは、半導体製造工程における品質保証に不可欠な検査装置の提供です。半導体市場は景気変動の影響を受けやすいものの、長期的な視点で見れば、IoT、AI、5G/6Gといった技術トレンドが半導体需要を牽引し続けると予想されます。特に、半導体の微細化・高密度化は今後も進むため、より高度な検査技術へのニーズは持続すると考えられます。同社の新製品開発は、このような市場の変化に対応しようとするものであり、事業モデルの持続可能性を高める取り組みと言えます。ただし、受注から売上計上までのタイムラグが大きく、業績が四半期ごとに変動しやすい構造も持っています。

5. 技術革新と主力製品

同社の技術開発は、高精細・高密度化する半導体基板の検査ニーズに応えることに注力しています。
* 主力製品:
* 次世代半導体パッケージ基板検査装置「SX7000」シリーズ: 長年のAOI技術と経験を結集し、高密度基板の検査に対応する高精度検査装置として開発されました。
* レーザーリペア装置「LX7000」: 検査で見つかった不具合を修正するリペア機能を組み合わせることで、検査から修正までの一貫したソリューション提供を可能にします。

これらの製品群が、今後の収益を牽引する主力製品となることが期待されます。

6. 株価の評価

現在の株価583.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想2026年4月期EPS14.97円に基づく): 約39.00倍 (計算: 583円 ÷ 14.95円 = 38.99)
* PBR(実績2025年4月期BPS150.03円に基づく): 約3.89倍 (計算: 583円 ÷ 150.03円 = 3.885)
* EPS(会社予想2026年4月期): 14.97円
* BPS(実績2025年4月期): 150.03円

業界平均と比較すると、PERは12.9倍、PBRは0.8倍です。インスペックのPER39.00倍、PBR3.89倍は、業界平均と比較して高い水準にあります。これは将来の成長期待や、過去の赤字計上による実績PERの参考にしにくさなどが影響している可能性があります。2025年4月期は営業利益が黒字化を見込むものの、過去には営業損失を計上した期もあり、利益の安定性には課題が見られます。

7. テクニカル分析

直近10日間の株価推移を見ると、11月17日の635円(一時高値670円)から11月21日には583円へと下落傾向にあり、短期的な調整局面にあるように見受けられます。
年初来高値は930円、年初来安値は407円であり、現在の株価583円は年初来高値から約37%低い水準にあたります。
また、50日移動平均線(627.40円)を下回り、200日移動平均線(670.70円)も下回っている状況です。これらMAの位置関係から見ると、現在の株価は比較的安値圏に位置し、下落トレンドの中にいると判断することもできます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高:

    • 2022年4月期: 1,762百万円
    • 2023年4月期: 2,290百万円(増加)
    • 2024年4月期: 1,668百万円(減少)
    • 2025年4月期(会社予想): 2,237百万円(増加見込み)
    • 2026年4月期(会社予想): 2,300百万円(微増見込み)

    売上高は年によって変動が大きく、安定成長というよりは、大型受注の有無に影響される傾向が見られます。2024年4月期は減収でしたが、2025年4月期以降は回復基調が予想されています。
    * 営業利益・純利益:
    * 2022年4月期: 営業利益18百万円、純利益155百万円
    * 2023年4月期: 営業利益106百万円、純利益78百万円
    * 2024年4月期: 営業損失△233百万円、純損失△353百万円(大幅赤字)
    * 2025年4月期(会社予想): 営業利益108百万円、純損失△142百万円(純損失は継続)
    * 2026年4月期(会社予想): 営業利益120百万円、純利益60百万円(黒字転換予想)

    営業利益は2024年4月期に大幅な赤字を計上しましたが、2025年4月期には黒字回復が見込まれ、2026年4月期には純利益の黒字転換も予想されています。ただし、第1四半期(2026年4月期)は営業損失・純損失を計上しており、通期予想の下期偏重計画通りに進むかが注目されます。
    * ROE(実績2025年4月期): -17.40%。直近実績が赤字のためマイナスとなっています。
    * 自己資本比率(2025年7月31日): 19.6%。前事業年度末の24.9%からさらに低下しており、健全性には課題があります。
    * 流動比率(短信の貸借対照表から推測): 流動資産(現金、売掛金、仕掛品など)が約1,940百万円、流動負債(短期借入金、買掛金など)が約1,600百万円のため、流動比率は約121%となり、短期的な支払い能力は確保されているように見えますが、現金が減少、短期借入金が増加している点は注意が必要です。
    * DEレシオ(2025年7月31日): 総負債(約2,260百万円)/純資産(約814百万円) = 約2.78倍。高い水準であり、財務レバレッジが高い状態です。

9. 株主還元と配当方針

同社は、2025年4月期の実績および2026年4月期の会社予想において、1株配当を0.00円としており、現時点では無配当方針です。配当利回りも0.00%となっています。自社株買いなどの株主還元策に関する情報は提供されていません。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近10日間の株価は下落傾向にあり、モメンタムは弱い状態です。出来高は9,500株から85,700株と変動がありますが、平均的には低水準に留まっています。
信用取引においては、信用買残が246,200株と発行済株式数(4,012,800株)に対して一定の割合を占め、信用倍率が14.65倍と高い水準にあります。信用買い残が多いことは、将来的な需給悪化(買い方が売りに転じる可能性)要因となることがあります。
株価への影響を与える要因としては、半導体市場全体の動向、特にAI・データセンター向け需要の継続性、新製品「SX7000」「LX7000」の受注状況とその後の業績貢献、為替変動、そして同社の財務体質の改善状況などが挙げられます。

11. 総評

インスペックは、半導体パッケージ基板の検査装置という専門性の高い分野で事業を展開しており、AI・データセンター向けの半導体需要を背景とした高精細化ニーズを追い風に、新製品の投入や大型受注の獲得に成功しています。2024年4月期には大幅な赤字を計上しましたが、2025年4月期は営業黒字、2026年4月期には純利益の黒字転換を会社は予想しており、業績の回復基調が見込まれています。
一方で、年ごとの業績変動が大きく、直近の自己資本比率は19.6%と低く、D/Eレシオも高いなど、財務健全性には課題が見られます。そのため、今後の収益の安定化と財務体質の改善が重要な課題となります。株価は直近で下落傾向にあり、移動平均線を下回るなどテクニカル的には弱含みです。業界平均と比較するとPER・PBRは割高な水準にあり、無配であることも考慮すると、株価の本格的な上昇には、予想通りの業績推移と財務体質の改善が投資家に認識される必要があると考えられます。

12. 企業スコア

  • 成長性:B
    • 2024年4月期は売上減収でしたが、2025年4月期予想では回復し、2026年4月期には前期比+2.8%の微増収を予想。過去数年の売上高は変動が大きく、安定的な高成長というよりは、景気回復と新製品に期待される状況。長期的な売上CAGRを見るデータはないため、現状と合わせて中立的な評価としました。
  • 収益性:C
    • 2024年4月期は純損失を計上しており、ROEもマイナス。過去の営業利益も変動が大きく、安定した高収益性を示しているとは言えません。2026年4月期に純利益の黒字転換を予想していますが、第1四半期時点では損失計上しており、業績の推移を注視する必要があります。
  • 財務健全性:D
    • 自己資本比率(2025年7月31日)19.6%は低い水準です。D/Eレシオ(約2.78倍)も高い水準にあり、財務レバレッジが高いと評価できます。
  • 株価バリュエーション:D
    • PER(会社予想)約39.00倍、PBR(実績)約3.89倍は、業界平均PER12.9倍、PBR0.8倍と比較して、大幅に割高な水準です。これは、現在の業績と財務状況から見て、株価が妥当な水準を上回っている可能性を示唆しています。

企業情報

銘柄コード 6656
企業名 インスペック
URL http://www.inspec21.com/
市場区分 スタンダード市場
業種 電機・精密 – 電気機器

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 583円
EPS(1株利益) 14.95円
年間配当 0.00円

予測の前提条件

予想EPS成長率 8.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

予想EPS 21.97円
理論株価 329円
累計配当 0円
トータル価値 329円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) -10.79% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 164円 82円 × 算出価格を上回る
12% 187円 93円 × 算出価格を上回る
10% 205円 102円 × 算出価格を上回る

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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