協和キリン(4151)企業分析レポート
東京証券取引所プライム市場に上場する協和キリン(4151)について、個人投資家向けに企業分析を行います。
1. 企業情報
協和キリン株式会社は、キリンホールディングス傘下の医薬品会社です。医薬品の研究開発、製造、輸入、輸出、販売をグローバルに展開しており、事業内容は「医薬」が連結売上高の100%を占めています。特にバイオ医薬、独自の抗体高活性化技術を用いた抗体医薬、遺伝子治療薬の開発に注力しています。主力製品には、X連鎖性低リン血症治療薬「Crysvita」、皮膚T細胞リンパ腫治療薬「POTELIGEO」、パーキンソン病治療薬「Nouriast/Nourianz」などがあります。
2. 業界のポジションと市場シェア
医薬品業界に属し、特に希少疾患やがん領域でのスペシャリティファーマとして、独自の抗体技術を基盤とした強みを持っています。グローバルに事業を展開し、海外売上比率は72%に及びます。特定の疾患領域において世界的なプレゼンスを確立しており、技術的な競争優位性を有しています。ただし、医薬品業界は研究開発競争が激しく、新薬開発の成功率や上市後の競合状況が常に課題となります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は「One Kyowa Kirin」としてグローバル経営体制を推進し、医薬事業と新薬開発に集中する戦略を掲げています。2021-2025中期経営計画では、「売上高CAGR(対2020年)10%以上」「研究開発費率18-20%」「コア営業利益率25%以上」「ROE10%以上」といった具体的な目標を設定しています。研究開発への積極的な投資が特徴で、アトピー性皮膚炎、急性骨髄性白血病(AML)、軟骨無形成症、ムコ多糖症などの疾患に対する豊富な開発パイプラインを抱えています。
4. 事業モデルの持続可能性
独自の抗体技術と豊富な開発パイプラインが、中長期的な成長を支える基盤となっています。新薬開発には成功・承認のリスクが伴いますが、承認されれば高い収益性と安定したキャッシュフローが期待できます。また、地域的に分散された売上構成(海外売上比率7割超)は、特定地域のリスクを低減し、事業の安定性に寄与しています。高齢化社会における医薬品ニーズは高く、事業環境は比較的安定していると考えられます。ライセンスやマイルストン収入などの技術収入も収益の一部を占めています。
5. 技術革新と主力製品
協和キリンは、独自の抗体高活性化技術「POTELLIGENT®」など、抗体医薬における技術革新に強みを持っています。
主力製品:
- Crysvita(クリースビータ): X連鎖性低リン血症治療薬。グローバルで売上を牽引する主要製品です。
- POTELIGEO(ポテリジオ): 皮膚T細胞リンパ腫治療薬。
- Libmeldy/Lenmeldy: 異染性白質ジストロフィー治療薬。遺伝子治療の領域への進出を示しています。
- Nouriast/Nourianz(ノウリアスト/ノウリアンツ): パーキンソン病治療薬。
これらの製品に加え、多様な領域で画期的な新薬の開発を進めており、今後のパイプラインの進展が期待されます。
6. 株価の評価
現在の株価は2,567.5円です。
– PER(会社予想): 23.58倍
– 業界平均PER: 27.8倍
– PBR(実績): 1.59倍
– 業界平均PBR: 1.4倍
PERでは業界平均と比較してやや割安感があり、PBRではやや割高感があります。EPS(会社予想108.89円)に基づく評価ではPERは割安圏にありますが、BPS(実績1,616.31円)に基づく評価ではPBRは平均より高めです。
7. テクニカル分析
直近の株価は2,567.5円で、年初来高値2,706円に迫る水準にあります。過去10日間を見ると、概ね2,400円台後半から2,500円台半ばで推移し、直近2025年11月21日には2,569.5円の高値を付けています。50日移動平均(2,380.20円)および200日移動平均(2,346.05円)を上回っており、短期・中期的に上昇トレンドにあることが示唆されます。現在の株価は、年初来高値圏に近い高値水準にあると言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上収益: 過去数年間にわたり順調に成長しており、2021年から2024年予想にかけては二桁成長が続いています。過去12か月(LTM)の売上は4,932億円。
- 営業利益: 2023年までは増加傾向でしたが、2024年予想および過去12か月(LTM)では減少の見込みです。過去12か月営業利益は842億円。
- 純利益: 2023年に大きく伸びましたが、2024年の会社予想および過去12か月(LTM)は、大幅な減少傾向を示しています。過去12か月純利益は384億円。
- 粗利率: 70%台後半で推移しており高い水準を維持していますが、やや低下傾向にあります。
- 営業利益率: LTMで17.1%であり、中期経営計画の目標25%には届いていません。
- ROE: 過去12か月で4.35%と、中期経営計画の目標10%以上を下回っています。
- 自己資本比率: 79.7%と極めて高く、非常に強固な財務基盤を誇ります。
- 流動比率: 2.65と短期的な支払い能力に問題はありません。
- 総負債/自己資本比率: 2.71%と負債が非常に少なく、健全性が高いです。
- 営業キャッシュフロー: 過去12か月で679億円と潤沢ですが、積極的な研究開発や設備投資により、レバードフリーキャッシュフローは-26億円となっています。
直近の利益減少は、一時的な要因やM&A、研究開発費の増加、為替影響などが複合的に影響している可能性があります。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の年間配当は60.00円であり、配当利回りは2.34%です。会社は「コアEPSに対する配当性向目処40%」を株主還元の方針として掲げています。LTMのEPS(73.43円)に対する配当性向は81.7%と高めですが、2024年度の会社予想EPS(108.89円)に対する配当性向は55.1%で、目標値の40%をやや上回る水準です。これは、安定的な配当維持への意欲と、今後の利益回復への期待が反映されている可能性があります。自社株買いなどの明確な追加還元策の発表は今回の情報からは確認できません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
過去10日間の株価は上昇傾向にあり、50日移動平均線、200日移動平均線をともに上回って推移しています。直近の高値圏での出来高も比較的大きく、投資家の関心は高い状態です。信用買残は信用売残より多いものの、買残が減少傾向、売残が増加傾向にあり、信用需給は大きく偏っていません。今後の株価は、主力製品の販売動向、新たな開発パイプラインの進展、為替変動、そして直近の利益減少からの回復見込みなどによって変動する可能性があります。
11. 総評
協和キリンは、バイオ医薬と独自の抗体技術を強みとし、グローバルに事業を拡大している医薬品メーカーです。売上は堅調に推移しているものの、直近の利益面では一時的な減少が見られます。非常に強固な財務基盤と、将来の成長を支える豊富な開発パイプラインが魅力です。株価は直近で上昇し、高値圏にありますが、PERで見ると業界平均に対してやや割安感も存在します。中長期的な視点では、パイプラインの成功と利益率の改善が、企業価値向上に向けた重要な要素となるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性:B
- LTM売上成長率(YoY)はデータから直接算出が困難ですが、Total Revenueの過去数年間の推移は堅調な伸びを示し、通期予想も増収です。第3四半期累計の売上は前年同期比マイナスでしたが、中期的には成長を維持していると評価できます。
- 収益性:B
- 粗利率は高い水準にありますが、LTM営業利益率(17.1%)は中期経営計画の目標25%に未達です。また、過去12か月間の純利益は大幅に減少しており、直近の収益性には課題が見られます。
- 財務健全性:S
- 自己資本比率79.7%、流動比率2.65、総負債/自己資本比率2.71%と、全ての指標で極めて優れており、非常に強固な財務基盤を持っています。
- 株価バリュエーション:B
- PER(会社予想23.58倍)は業界平均(27.8倍)と比較して割安です。PBR(実績1.59倍)は業界平均(1.4倍)と比較してやや割高な水準です。全体で見ると、平均的な評価となります。
企業情報
| 銘柄コード | 4151 |
| 企業名 | 協和キリン |
| URL | https://www.kyowakirin.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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