日東電工(6988)企業分析レポート

株価(終値): 3,774円(2025-11-21)
市場: 東証プライム/素材・化学(化学)
時価総額: 2兆5,612億円

1. 企業情報

  • 事業内容(わかりやすい説明)
    • テープ・フィルムを核とする総合材料メーカー。接合・保護などのインダストリアルテープ、光学フィルム・回路材料などのオプトロニクス、核酸受託製造(CDMO)や医療用粘着材、分離膜などのヒューマンライフを展開。
    • 液晶・半導体・電子部品・自動車・建材・医療・パーソナルケアなど幅広い産業に供給。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 光学フィルム(ディスプレイ向け)、FPC/回路材料、スマホ・半導体工程向け各種プロセス材料、両面テープ・表面保護フィルム、核酸医薬関連の受託製造・材料、分離膜(メンブレン)。ニッチ領域で高シェア製品が多数。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 競争優位性・課題
    • 強み:粘着・フィルム・膜技術の積層・複合化に強み。用途開発力と顧客密着の設計提案で高付加価値を確保。ニッチトップ製品が多い。
    • 課題:LCDスマホ向け光学フィルムからは戦略的撤退を進め、事業ポートフォリオの転換が進行中。為替やエレクトロニクス市況への感応度。
  • 市場動向と対応
    • 市場:ハイエンドスマホ・半導体工程材の需要は底堅い一方、自動車生産の変動やディスプレイ構成変化の影響あり。
    • 企業対応:LCDスマホ用途の合理化・撤退、ライフサイエンス・次世代半導体・環境ソリューションへの投資シフト。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・戦略
    • 高収益コア(光学・回路・工程材)の深化と、ライフサイエンス/環境/次世代半導体など成長領域への資源配分を加速。
  • 中計の主施策・重点分野(短信・開示より)
    • LCDスマホ向けの戦略的撤退・材料合理化
    • ライフサイエンス(核酸CDMO・材料)の商用化推進
    • 新規事業(次世代半導体、環境ソリューション、デジタルヘルス)への集中投資
  • 新製品・新サービス(決算短信参照)
    • 核酸受託製造で大型案件の生産開始(2025年上期)
    • パーソナルケア材料の新製品で増収

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル・適応力
    • 高付加価値の機能材料(光学・回路・工程材)で高い利益率。構造変化のあるLCD分野は縮小しつつ、成長性の高いライフサイエンス等へ転換を進行。
  • 売上計上時期の偏りと影響
    • 上期に光学フィルムの「前倒し生産」の記載あり。顧客の製品サイクルに伴う四半期偏重が生じうる。実績として上期進捗率は売上51.6%、営業利益54.6%、最終利益54.7%(通期予想比)。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向・独自性
    • 粘着・コーティング・微細加工・膜分離などのコア技術を横展開。次世代半導体プロセス材料、環境対応材料、デジタルヘルス領域に研究開発・投資。
  • 収益牽引製品
    • 光学フィルム・回路材料(オプトロニクス)、ハイエンドスマホ・半導体工程材(インダストリアルテープ)が収益牽引。ライフサイエンスは拡大途上で損益改善中。

6. 株価の評価(バリュエーション概観)

  • 現在値: 3,774円
  • EPS(予想): 185.21円 → PER(予想)約20.4倍(会社公表20.38倍)
  • BPS(実績): 1,555.76円 → PBR(実績)約2.43倍
  • 業界平均との比較
    • PER: 業界平均20.4倍と同水準
    • PBR: 業界平均1.1倍に対し高め
  • 参考計算
    • 業種平均PER×EPS(直近12カ月183.04円)= 約3,734円
    • 業種平均PER×EPS(会社予想185.21円)= 約3,778円
    • 業種平均PBR×BPS = 約1,711円

7. テクニカル分析

  • トレンド位置
    • 現在値3,774円は50日移動平均3,708円、200日移動平均3,057円を上回る。
    • 年初来高値4,068円に対し約7%下、年初来安値2,254.5円に対し約67%上。
  • 直近推移
    • 11/13の4,031円から一旦調整後、11/21に3,774円へ反発。ボラティリティやや高め。
  • 出来高・売買代金
    • 本日出来高660.6万株は3カ月平均約299万株の約2.2倍。売買代金約248.6億円で市場関心は高い。

8. 財務諸表分析

  • 通期(年次)トレンド
    • 売上高(億円):2022/3 8,534 → 2023/3 9,290 → 2024/3 9,151 → 過去12カ月 10,139(増収基調)
    • 営業利益(億円):1,323 → 1,472 → 1,391 → 1,857(改善)
    • 親会社株主利益(億円):971 → 1,092 → 1,027 → 1,372(改善)
  • 収益性(参考)
    • 過去12カ月 営業利益率 19.39%、純利益率 12.55%(提供指標)
  • 四半期進捗(2026/3期 上期、IFRS)
    • 売上5,135億円(通期予想9,950億円の51.6%)
    • 営業利益945億円(同54.6%)
    • 親会社帰属利益689億円(同54.7%)
  • セグメント(2026/3期上期)
    • インダストリアルテープ:売上1,792億円、営業利益237億円(OPM約13%)
    • オプトロニクス:売上2,699億円、営業利益771億円(OPM約29%)
    • ヒューマンライフ:売上696億円、営業損失16億円(損失幅縮小)

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率(IFRS):79.0%
  • 流動比率:3.31倍
  • D/E・有利子負債
    • 総借入金:約5.15億円と極小、D/E約0.05%(提供指標)
    • 現金同等物:約3,032億円、ネットキャッシュ大幅超
  • 金利負担
    • 受取利息>支払利息に近い水準。純支払利息は僅少(TTMで約23億円の純支払)。

10. 収益性分析

  • ROE(TTM): 12.27%(ベンチマーク10%超)
  • ROA(TTM): 8.00%(ベンチマーク5%超)
  • 利益率
    • 営業利益率19.39%、純利益率12.55%(提供指標)
  • 推移・改善余地
    • 2024/3期からTTMで収益性は改善。ライフサイエンスの損益改善が継続すると全社の更なる底上げ余地。

11. 市場リスク評価

  • ベータ(5年・月次): 0.60(市場感応度は相対的に低い)
  • 52週レンジ: 2,254.5円 ~ 4,068円(現在はレンジ上位帯)
  • リスク要因(短信)
    • 為替変動(対ドル円高が営業利益にマイナス)
    • 関税・貿易政策の変動
    • 自動車・半導体など需要変動
    • ライフサイエンス大型案件の商用化進捗の不確実性
    • 原材料価格・供給制約・規制変化

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PERは業界平均並み、PBRは業界平均を上回る水準。
  • 目標株価レンジ(機械的試算)
    • PER基準(業界平均20.4倍)
    • 直近12カ月EPS 183.04円 → 約3,734円
    • 会社予想EPS 185.21円 → 約3,778円
    • PBR基準(業界平均1.1倍)
    • BPS 1,555.76円 → 約1,711円
  • 総合的な示唆
    • 現在株価はPER基準では概ね妥当圏、PBR基準ではプレミアム評価。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引
    • 信用買残 18.0万株(前週比 -3.64万株)、信用売残 14.4万株(+1.42万株)、信用倍率1.25倍
    • 需給はやや改善(買い残減・売り残増)で中立〜やや整理進展の印象。
  • 株主構成
    • 主要株主は信託銀行(マスタートラスト24.5%、カストディ9.8%)など安定的な機関保有が多い。
    • 自己株式比率4.68%。インサイダー保有0.77%、機関投資家保有71.03%。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当
    • 2026/3期予想: 年間60円(中間30円・期末30円)、配当利回り約1.59%、配当性向約31.7%
  • 自社株関連
    • 2025年に自己株取得を実施、2025/10/15に自己株式2,810万株を消却。
  • ストックオプション等

15. 最近のトピックスと材料

  • 2026/3期通期業績予想を上方修正(売上 +110億円、営業利益 +30億円、最終利益 +10億円)
  • 核酸受託製造で大型案件の生産開始(上期、ヒューマンライフの損失縮小に寄与)
  • LCDスマホ向け光学フィルムの戦略的撤退・材料合理化を継続
  • 自己株式消却(2025/10/15)

業績影響の評価
– 上方修正はIT機器・ハイエンドスマホ向け需要の増加が背景。ライフサイエンス拡大も中長期的な収益多角化に資する一方、オプトロニクスの短期収益性は低下(上期OPM低下)に留意。

16. 総評

  • まとめ
    • 高収益コアのオプトロニクスと工程材が収益を牽引。LCDスマホ用途の縮小を織り込み、ライフサイエンス・新規事業への転換を進行。上期進捗は通期計画比で順調。
    • 財務は極めて健全(自己資本比率79%、実質無借金)。収益性指標(ROE/ROA、OPM)も良好。
    • 需要トレンド:ハイエンドスマホ・半導体工程材が堅調か、オプトロニクスの収益性下振れが続くか
    • ライフサイエンス大型案件の継続性と収益転化時期
    • 為替・関税・原材料の外部環境
    • 自己株消却後の資本効率推移
  • SWOT
    • 強み:高付加価値材料の技術蓄積、ニッチトップ製品、強固な財務
    • 弱み:ディスプレイ構成変化の影響、製品サイクル依存
    • 機会:ライフサイエンス拡大、次世代半導体・環境材料の伸長
    • 脅威:為替・貿易政策の変動、需要サイクルの振れ

17. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:A
    • 直近12カ月で増収・増益、上方修正、新領域(核酸CDMO)拡大の進捗
  • 収益性:A
    • OPM約19%、ROE12%・ROA8%と良好
  • 財務健全性:S
    • 自己資本比率79%、流動比率3.31倍、実質無借金・潤沢な現金
  • 株価バリュエーション:C
    • PERは業界平均並み、PBRは業界平均を上回る水準

(注)本資料は提供データと公開短信の事実整理です。投資助言は行いません。データ未提供項目は「–」とし、推測は行っていません。


企業情報

銘柄コード 6988
企業名 日東電工
URL http://www.nitto.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 3,774円
EPS(1株利益) 185.21円
年間配当 1.59円

予測の前提条件

予想EPS成長率 5.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

予想EPS 236.38円
理論株価 3,546円
累計配当 9円
トータル価値 3,555円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) -1.19% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 1,767円 884円 × 算出価格を上回る
12% 2,017円 1,009円 × 算出価格を上回る
10% 2,207円 1,104円 × 算出価格を上回る

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.3)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

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By シャーロット

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