オリエントコーポレーション(8585)企業分析レポート
東京証券取引所プライム市場に上場するオリエントコーポレーション(8585)について、個人投資家の皆様向けにわかりやすく、かつ正確な企業分析レポートを作成しました。
1. 企業情報
株式会社オリエントコーポレーションは、みずほフィナンシャルグループを主要株主とする日本の信販会社です。オートローンで業界首位を誇るほか、クレジットカード、ショッピングクレジット、各種保証業務(家賃決済保証、銀行保証など)、個人ローンなどを幅広く手掛けています。伊藤忠商事との提携も行っています。
主力製品・サービスの特徴:
- オートローン: 新車・中古車の購入時に利用されるローンで、同社の主要収益源の一つであり、業界最大手としての地位を確立しています。
- クレジットカード: カードショッピングやキャッシングサービスを提供し、顧客の多様なニーズに対応しています。特に大型提携先での利用が好調です。
- 保証業務: 提携金融機関向けの個人ローン保証や、家賃決済保証、売掛金決済保証など、幅広い分野で保証サービスを提供し、安定的な収益基盤となっています。
- 個品割賦: オートローンに加え、ショッピングクレジットなどの割賦販売サービスも展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
オリエントコーポレーションは、信販業界の主要プレイヤーであり、特にオートローンにおいては業界首位の地位を確立しています。
業界内での競争優位性や課題:
- 競争優位性: 長年の事業実績と全国的なネットワーク、みずほグループとの連携による資金調達力の高さ、またオートローンにおける圧倒的な市場シェアが強みです。近年はデジタル化推進による顧客利便性向上(電子申込など)にも注力しています。
- 課題: 金利上昇や物価高騰が個人消費に与える影響、与信残高の伸び悩み、貸倒費用増加のリスクなどが挙げられます。海外事業では、与信厳格化による取扱高減少が課題となっています。
市場動向と企業の対応状況:
マクロ経済としては、雇用・所得環境の改善により景気は緩やかに回復基調にありますが、物価上昇の継続や国内外の経済政策の不確実性が個人消費に影響を与える可能性があります。
同社は、決済・保証セグメントにおいて家賃決済保証の取扱高が増加しており、単身世帯の増加といった市場動向を捉えています。また、電子申込導入による利便性向上で市場ニーズに適応しています。海外事業では与信厳格化、貸倒関係費の抑制、ガバナンス強化を進める対応を取っています。カード・融資セグメントでは大型提携先のカードショッピングが好調な一方で、融資残高は新規取扱い減により減少傾向にあり、事業構造改革を進めています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣が掲げるビジョンや戦略:
同社は、新たに5か年の中期経営計画をスタートしており、「10年後のめざす社会・めざす姿」を再定義し、最終年度には「オリコならではの金融モデルの確立」を目指しています。
中期経営計画の具体的な施策や重点分野:
2026年3月期は中期経営計画の初年度として、以下の点を重視しています。
* 事業構造改革: 環境変化に対応するためのビジネスモデルの見直し。
* 成長領域への資源振替: 将来の成長が見込まれる分野への重点的な投資。
* 事業基盤の強化: デジタル化推進、リスク管理体制の強化など。
決算短信では、家賃決済保証や売掛金決済保証の取扱高増加、電子申込導入による利便性向上がこれらの施策の一環として挙げられています。
新製品・新サービスの展開状況:
決算短信からは具体的な新製品・新サービスの発表は確認できませんが、決済・保証セグメントにおける「電子申込等の利便性向上」といった取り組みが、サービス品質の向上に寄与していると見られます。
4. 事業モデルの持続可能性
オリエントコーポレーションの事業モデルは、個人向け・法人向けの多岐にわたる金融サービス(ローン、クレジット、保証)を基盤としています。オートローンでの強固な基盤に加え、決済・保証事業の拡大、みずほグループとの連携による安定した顧客基盤と資金調達力が持続可能性を支えています。
収益モデルや市場ニーズの変化への適応力:
同社の収益は、金利収益、役務収益、保証料収入などが主です。家賃決済保証や売掛金決済保証といったストック型収益の拡大は、収益モデルの安定化に寄与します。また、電子申込などのデジタル化投資は、顧客ニーズの変化(利便性向上)への適応と効率化を両立させる取り組みとして評価できます。ただし、金利上昇局面における資金調達コストの増加は収益性を圧迫する可能性があり、その適応力が問われます。
売上計上時期の偏りとその影響:
データなし
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向や独自性:
決算短信のセグメントコメントから、「電子申込等の利便性向上」への言及があり、デジタル技術を積極的に活用し、顧客体験の改善や業務効率化を図っていることがうかがえます。これは、金融サービスにおける競争力維持・強化のための重要な取り組みです。
収益を牽引している製品やサービス:
- 個品割賦事業: 特にオートローンは、グループ子会社の寄与もあり取扱高が堅調に伸長しており、収益の柱となっています。
- カード・融資事業: クレジットカードのショッピング取扱高が大型提携先の利用増により好調です。
- 決済・保証事業: 家賃決済保証や売掛金決済保証の取扱高が増加しており、安定的な収益源として成長しています。
- 銀行保証事業: 金融機関向けの保証残高が増加傾向にあり、収益に寄与しています。
6. 株価の評価
現在の株価1,001.0円に対し、以下の指標が示されています。
* PER(会社予想): 14.28倍
* PBR(実績): 0.72倍
* EPS(会社予想): 70.11円
* BPS(実績): 1,390.79円
現在の株価は、EPS(70.11円)に基づく理論値(PER14.28倍)から見ると、PERの水準がやや高めです。
一方、BPS(1,390.79円)に対してはPBRが0.72倍と、1倍を割り込んでおり、解散価値とされるBPSを下回る水準で推移しています。これは、純資産価値に比べて株価が割安である可能性を示唆しています。
業界平均PER/PBRとの比較:
- 業界平均PER: 10.3倍
- 業界平均PBR: 0.9倍
同社のPER(14.28倍)は業界平均(10.3倍)と比較して割高です。しかし、PBR(0.72倍)は業界平均(0.9倍)と比較して割安な水準にあります。この乖離は、収益性に対する期待と、純資産の評価との間で市場の判断が分かれていることを示唆している可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価は1,001.0円です。
* 年初来高値: 1,078円
* 年初来安値: 654円
* 52週高値: 1,078円
* 52週安値: 654円
直近の株価は1,001円であり、年初来高値(1,078円)には届いていないものの、年初来安値(654円)からは大きく上昇した水準にあります。52週レンジで見ると、現在の株価は高値圏に近い位置にあります。
直近10日間の株価推移を見ると、11月10日の1,024円から緩やかに下落し、11月21日には1,001円で引けています。一時的に1,018円まで上昇する局面もありましたが、全体としてはやや軟調な推移です。
50日移動平均線(1,003.50円)を下回っており、200日移動平均線(906.26円)を上回っています。短期的な下落トレンドにある可能性がありますが、中長期的には上昇基調を維持しています。
出来高・売買代金から見る市場関心度:
本日出来高は878,100株、売買代金は881,703千円です。
過去10日間の出来高は日によって変動が大きいですが、本日(878,100株)は直近10日間で見て最も高い水準にあります。平均出来高(3ヶ月平均533.76k株、10日平均343.15k株)と比較しても、足元での出来高は増加しており、市場の関心が一時的に高まった可能性があります。
8. 財務諸表分析
損益計算書(年度別比較):
過去数年間の総収益(Total Revenue)は2,200億円台で推移していましたが、過去12か月では2,466億円と増加傾向にあります。2025年3月期予想も2,452億円と増収を見込んでいます。
粗利益(Gross Profit)も概ね2,100億円台を維持しています。
一方、営業利益(Operating Income)は2022年3月期の289億円から、2023年3月期230億円、2024年3月期161億円、過去12か月123億円と減少傾向にあります。将来の成長投資やリスク費用増加などが影響している可能性があります。
最終利益(Net Income Common Stockholders)も2022年3月期の194億円から、2023年3月期190億円、2024年3月期125億円と減少していましたが、過去12か月は164億円と回復基調にあります。これは、Pretax Incomeの増加とTax Provisionの変動が影響していると考えられます。
ROE、ROAなどの指標:
- ROE(実績、過去12か月): 6.50%
- ROA(実績、過去12か月): 0.27%
ROEは6.50%と、一般的な企業の目標とされる10%を下回っています。ROAは0.27%と、総資産に対する利益率が低い水準にあります。金融業という特性上、総資産が大きくなる傾向があるため、ROAが低くなる傾向があることは考慮が必要です。
四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):
2026年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は以下の通りです。
* 営業収益: 124,877百万円(通期予想250,000百万円に対し49.95%)
* 営業利益: 7,203百万円(通期予想12,000百万円に対し60.03%)
* 親会社株主に帰属する中間純利益: 6,235百万円(通期予想12,000百万円に対し51.96%)
* 中間1株当たり純利益(EPS): 36.43円(通期予想70.11円に対し51.96%)
営業利益の進捗率は60%を超えており、通期予想に対して中間期で良好な進捗を示しています。一方で、親会社株主に帰属する純利益はほぼ計画通り(52%程度)です。中間期の純利益が前年同期比で+66.8%と大きく増加している点に注目が必要です。通期予想では純利益が前年比で△13.9%と減益を見込んでいるため、下期に費用の計上や税金負担の増加など、何らかの変動要因がある可能性も考慮しておく必要があります。
9. 財務健全性分析
自己資本比率、流動比率、負債比率の評価:
- 自己資本比率(実績、直近四半期): 8.3%(決算短信では8.4%)
- 流動比率(直近四半期): 1.73倍 (173%)
- Total Debt/Equity(負債比率、直近四半期): 858.26% (8.58倍)
自己資本比率は8.3%であり、30%を下回る非常に低い水準です。これは金融業の特性上、多額の負債(預金、借入金など)によって事業資金を賄うため、自己資本比率が低くなる傾向がありますが、それでも他業種と比較して財務基盤は脆弱と言えます。
流動比率は1.73倍(173%)と1倍を大きく上回っており、短期的な負債の支払い能力は十分と言えます。
Total Debt/Equityは858.26%と極めて高い水準であり、自己資本に対する負債の割合が非常に大きいことを示しています。これは、借入金に依存した経営構造であることを意味します。
財務安全性と資金繰りの状況:
自己資本比率の低さと高D/E比率は財務安全性を評価する上で大きな懸念材料です。しかし、流動比率が健全であること、また大株主にみずほ銀行がいること、コマーシャル・ペーパーや社債による直接金融も活用していることから、足元の資金繰りには問題ないと見られます。金融機関としての信用力や資金調達能力が事業継続の鍵となります。
借入金の動向と金利負担:
総負債は2.1兆円と非常に大きく、その内訳は短期借入金1,835億円、コマーシャル・ペーパー3,328億円、長期借入金8,331億円、社債1,950億円など、多岐にわたります。金利上昇局面においては、これらの借入金や社債にかかる金利負担が増加し、収益を圧迫するリスクがあります。決算短信でも金利上昇の影響がリスク要因として挙げられています。
10. 収益性分析
ROE、ROA、各種利益率の評価:
- ROE(過去12か月): 6.50%
- ROA(過去12か月): 0.27%
- Profit Margin(過去12か月): 6.66%
- Operating Margin(過去12か月): 16.30%
ROEは6.50%と、一般的なベンチマークとされる10%を下回っています。ROAも0.27%と、5%のベンチマークに対して非常に低い水準です。これは、多額の資産を抱える金融業の特性もありますが、効率的な資産運用による利益創出には改善の余地があることを示唆しています。
営業利益率(Operating Margin)は16.30%と比較的高い水準ですが、貸倒費用など金融業特有の費用が大きく、最終的な純利益率(Profit Margin)は6.66%にとどまっています。
収益性の推移と改善余地:
損益計算書を見ると、営業収益は微増傾向にあるものの、営業利益は過去数年間で減少傾向にありました。過去12か月で最終利益は回復していますが、これは主に税金費用の変動による部分も考えられます。
中期経営計画で事業構造改革や成長分野への資源振替を掲げていることから、今後は高収益事業の育成やコスト効率化を通じて、ROE・ROAの改善を目指すものと思われます。特に、高金利環境下での資金調達コスト管理が収益性向上の重要な課題となります。
11. 市場リスク評価
ベータ値による市場感応度の評価:
データなし
52週高値・安値のレンジと現在位置:
52週高値は1,078.00円、52週安値は654.00円です。現在の株価1,001.0円は、52週レンジの上限に近い位置にあります。過去1年間の変化率は20.17%と、S&P500の10.28%を上回るパフォーマンスです。
決算短信に記載のリスク要因:
決算短信では以下のリスク要因が挙げられています。
* 消費者マインドの下振れ、個人消費の悪化: 同社の事業は個人消費に強く連動しており、景気後退や消費者の節約志向が高まると、ローンやクレジットカードの利用が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
* 物価上昇・金利上昇の影響: 物価上昇は消費者の購買力を低下させ、金利上昇は同社の資金調達コストを増加させ、収益を圧迫する可能性があります。
* 為替、海外事業の信用リスク/回収リスク: 海外事業は与信厳格化を進めていますが、地政学リスクや経済情勢の変化により、貸倒発生や収益性の悪化のリスクがあります。
* 規制環境の変化や金融市場の変動: 金融規制の強化や貸金業法改正など、国の政策や金融市場の変動が事業環境に大きな影響を与える可能性があります。
12. バリュエーション分析
業種平均PER/PBRとの比較:
- PER(会社予想): 14.28倍(業界平均: 10.3倍) → 業界平均より割高
- PBR(実績): 0.72倍(業界平均: 0.9倍) → 業界平均より割安
目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
- EPS(会社予想)70.11円 × 業界平均PER 10.3倍 = 722.13円
- BPS(実績)1,390.79円 × 業界平均PBR 0.9倍 = 1,251.71円
バリュエーション分析結果では、PER基準の目標株価は722円、PBR基準の目標株価は1,252円と大きく乖離しています。現在の株価1,001円は、PER基準では割高、PBR基準では割安と判断されます。
割安・割高の総合判断:
PER基準では割高感がある一方で、PBR基準では純資産価値に対し割安感が強い状態です。これは、収益成長への期待が比較的高い一方で、純資産の評価が低いという市場の判断を示している可能性があります。金融業の特性上、PERよりもPBRが重視される傾向もあるため、PBR基準で見れば割安と捉えることもできます。
13. 市場センチメント分析
信用取引の状況:
- 信用買残: 1,253,300株(前週比-50,500株)
- 信用売残: 64,200株(前週比-5,200株)
- 信用倍率: 19.52倍
信用買残は信用売残を大きく上回っており、信用倍率は19.52倍と依然として高い水準です。これは、将来の株価上昇を期待して買い建てている投資家が多いことを示しています。信用買残は前週比で減少していますが、依然として需給は買い方に偏っており、将来的に需給悪化による株価下落圧力となる可能性があります。
株主構成:
- みずほ銀行: 48.66%
- インタートラストT(ケイマン)ジャパンアップ: 5.50%
- 日本マスタートラスト信託銀行(信託口): 4.89%
- 伊藤忠商事: 4.55%
- 日本カストディ銀行(信託口): 2.79%
大株主上位には、筆頭株主のみずほ銀行が約48.66%を保有しており、安定株主として強力な基盤を形成しています。伊藤忠商事も4.55%を保有し、事業提携を通じた関係強化が見られます。機関投資家(信託銀行、ステート・ストリート・バンク等)の保有も厚く、安定した株主構成です。
大株主の動向:
データなし(直近の売買動向については提供情報に記載なし)
14. 株主還元と配当方針
配当利回りや配当性向の分析:
- 配当利回り(会社予想): 4.00%
- 1株配当(会社予想): 40.00円
- 配当性向(過去12か月): 41.65%
同社の配当利回りは4.00%と高く、現在の低金利環境下では魅力的な水準です。配当性向も41.65%と、利益の約4割を配当に回しており、比較的株主還元に積極的な姿勢が見られます。通期の配当予想40円は、中間期は無配で期末に一括で行われる予定です。
自社株買いなどの株主還元策:
株主リストに「自社(自己株口)」の記載が約0.01%存在しますが、直近の自社株買い発表やその具体的な計画についての情報は提供されていません。
株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策:
データなし
15. 最近のトピックスと材料
適時開示情報の分析:
2026年3月期第2四半期決算短信では、以下の点が報告されています。
* オートローンの伸長: グループ子会社の寄与により、個品割賦セグメントのオートローンが好調に推移しています。これは主要事業の強みを発揮しています。
* 決済・保証事業の拡大: 家賃決済保証や売掛金決済保証の取扱高が増加しており、特に電子申込導入による利便性向上が寄与しています。
* 中期経営計画の開始: 2026年3月期から新たな5か年計画がスタートし、事業構造改革と成長領域への投資、事業基盤強化を重点分野としています。
* 海外事業の与信厳格化: 海外子会社での与信業務の見直しと貸倒関係費の抑制を進めています。
これらが業績に与える影響の評価:
オートローンや決済・保証事業の拡大は、同社の主要収益源の安定的な成長を示しており、今後の業績にプラスに作用すると考えられます。中期経営計画による事業構造改革や成長投資は、長期的な企業価値向上に寄与する可能性があります。しかし、海外事業の与信厳格化は、足元では取扱高の減少につながり、短期的には収益への下押し圧力となる可能性があります。また、中間期経常利益が前年同期比でほぼ横ばい(+0.4%)である点は、楽観視できない状況を示唆しています。通期純利益予想は減益の見込みであり、中間期の好進捗が必ずしも通期に直結しないリスクも考慮に入れる必要があります。
16. 総評
オリエントコーポレーションは、オートローンを筆頭とする信販業界の老舗であり、みずほグループとの連携による強固な事業基盤を持つ企業です。
強み (Strengths):
- 市場での優位性: オートローンで業界首位の地位を確立。
- 多角的な事業展開: クレジットカード、保証業務など多岐にわたる金融サービスで収益源を分散。
- 安定した株主構成: みずほ銀行が筆頭株主であり、経営の安定性が高い。
- 高い配当利回り: 株主還元に積極的であり、投資魅力を高めている。
- デジタル化推進: 電子申込導入など、利便性向上に向けた取り組み。
弱み (Weaknesses):
- 財務健全性の低さ: 自己資本比率が低く、負債比率が高い。金融業の特性とはいえ、財務リスクは高い。
- 収益性の課題: ROAが低く、営業利益が過去数年減少傾向にあり、資産効率性や収益構造に改善の余地がある。
- 金利変動リスク: 多額の借入金を抱えるため、金利上昇が資金調達コストに直結する。
機会 (Opportunities):
- 中期経営計画による成長戦略: 事業構造改革と成長領域への資源投入により、新たな収益の柱を確立する可能性。
- デジタル化による事業拡大と効率化: 電子申込のようなテクノロジー活用で、顧客基盤の拡大とコスト削減が期待できる。
- 保証事業の市場拡大: 家賃決済保証などのニーズの高まりを捉えることで、安定収益の拡大が可能。
脅威 (Threats):
- マクロ経済の不確実性: 物価高騰、金利上昇、消費者マインドの悪化が個人消費を冷え込ませ、主要事業に悪影響を及ぼすリスク。
- 規制強化: 金融業界特有の法改正や規制強化が事業活動を制約する可能性。
- 競争激化: フィンテック企業の台頭など、金融業界の競争環境が変化するリスク。
- 高水準の配当利回りは魅力的であり、インカムゲインを重視する投資家には注目されるかもしれません。
- PBRが業界平均を下回り、純資産価値から見れば割安感があります。
- 中期経営計画の進捗と、今後の事業構造改革が、低下傾向にあった収益性をどこまで改善できるかが注目点です。特に、金利上昇環境下での資金調達コスト管理と高収益事業の育成が重要になります。
- 財務健全性については、金融業の性質上負債が多くなる傾向はありますが、自己資本比率の低さは継続的な課題として認識しておくべきです。
17. 企業スコア
以下の4観点でS, A, B, C, Dの5段階評価を行いました。欠損データは「B(中立)」とし、一過性損益は除外して評価しています。
* 成長性: B(中立)
* 売上成長率は過去12か月で+2.6%、中間期で+1.1%と微増傾向。オートローンや決済保証の取扱高は増加していますが、カード融資残高は減少しており、全体としては高い成長とは言えません。中期経営計画による今後の事業構造改革と成長投資の成果が期待されます。
* 収益性: C(やや懸念)
* 粗利率は良好ですが、営業利益は過去数年減少傾向にあり、過去12か月のROEは6.50%(ベンチマーク10%未満)、ROAは0.27%(ベンチマーク5%未満)と低水準です。金融業特有の事情を考慮しても、収益効率には改善の余地が大きいと評価されます。
* 財務健全性: D(重大な懸念)
* 自己資本比率は8.3%であり、40%以上でS~A、30%以上でB、未満でC~Dという基準に基づくと「D」評価です。D/E比率も858.26%と極めて高く、財務基盤は非常に脆弱です。流動比率は健全ですが、多額の負債を抱える経営体質は、特に金利上昇環境下でリスクとなります。
* 株価バリュエーション: B(中立)
* PER(14.28倍)は業界平均(10.3倍)より割高ですが、PBR(0.72倍)は業界平均(0.9倍)より割安です。PBRが純資産価値を下回っている点は評価できますが、PERの割高感と収益性の課題を総合的に判断し、中立と評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 8585 |
| 企業名 | オリエントコーポレーション |
| URL | http://www.orico.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 金融(除く銀行) – その他金融業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 1,001円 |
| EPS(1株利益) | 70.11円 |
| 年間配当 | 4.00円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 3.0% |
| 5年後の想定PER | 14.3倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 81.28円 |
| 理論株価 | 1,161円 |
| 累計配当 | 22円 |
| トータル価値 | 1,183円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | 3.39% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 588円 | 294円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 671円 | 335円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 734円 | 367円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。
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