1. 企業情報

アルコニックスは、日商岩井(現・双日)の非鉄金属部門が分離独立して設立された総合商社兼製造企業です。非鉄金属製品の輸入・輸出・販売を多角的に手掛けており、商社機能だけでなく、積極的なM&Aを通じて製造業としても事業を展開しています。

主力製品・サービスの特徴:

同社は主に4つのセグメントで事業を展開しています。
* 電子機能材事業: 電子材料・部品向け素材、マイナーメタル、レアアース原料、バッテリー関連部品・材料の取引。現代社会に不可欠な電子機器や次世代エネルギー関連に貢献しています。
* アルミ銅事業: アルミ・銅製品の取引。幅広い産業分野で使用される基礎金属材料の供給を担っています。
* 装置材料事業: 検査・測定関連装置・材料、自動車・半導体向け材料、電子デバイス、半導体・バスバー向けメッキ材料の製造。高付加価値製品を提供しています。
* 金属加工事業: 通信機器・半導体製造装置向け精密機械加工部品、自動車・産業機械向け精密研削加工部品、自動車向け精密プレス金型・プレス部品、空調機器・自動車部品向け金属加工品、リチウムイオン電池・HDD部品向けプレス・切削加工品など、多岐にわたる精密金属加工技術を提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

アルコニックスは、非鉄金属の専門商社としてその歴史を持ちつつ、製造機能を取り込むことで単なるトレーディングに留まらない競争優位性を構築しています。M&Aに積極的であることから、事業領域の拡大や技術力の獲得を通じて、特定のニッチ市場で強みを発揮している可能性があります。
競争優位性: 商社機能と製造業を融合したビジネスモデルにより、顧客の多様なニーズに対応できるサプライチェーンを構築している点が強みです。原料調達から加工、販売までを一貫して手掛けることで、品質管理の徹底やコスト競争力の向上に繋がります。
市場動向と企業の対応状況: 決算短信によると、中国経済の停滞、レアメタル・レアアースの輸出規制、為替相場の不安定な動向など、外部環境は不確実性が高い状況です。一方で、米国を中心としたAI関連需要の増加により半導体市場は好調を維持しており、同社の半導体関連事業はその恩恵を受けています。非鉄金属相場は、アルミと銅が上昇する一方でニッケルは低迷しており、事業ポートフォリオのバランスが収益に影響を与えています。同社は、中期経営計画に基づきM&Aを通じて事業領域を拡大し、市場の変化に対応しようとしています。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣が掲げるビジョンや戦略:

「長期経営計画2030」に基づき、既存事業の収益力強化に加え、成長のための新規投資、グループ間のシナジー追求、M&A投資を推進しています。持続的な事業成長と企業価値向上を目指しています。

中期経営計画の具体的な施策や重点分野:

決算短信では具体的な数値目標やセグメントごとの詳細な施策は言及されていませんが、M&Aによる事業ポートフォリオの強化と既存事業の収益性改善が重点であると推測されます。

新製品・新サービスの展開状況:

決算短信には新製品・新サービスに関する具体的な記述は見られませんでしたが、半導体製造装置関連金属加工品やメッキ材料の取引増加、カーボンブラシの収益率改善などが言及されており、これらの分野での技術開発や市場ニーズへの対応が進んでいると見られます。

4. 事業モデルの持続可能性

商社機能と製造業機能を併せ持つハイブリッド型事業モデルは、市場の変動リスクを分散し、安定的な収益確保に寄与する可能性があります。原料の調達から加工・販売までを一貫して担うことで、サプライチェーン全体での付加価値を高め、市場ニーズの変化への適応力も高いと考えられます。特に、半導体やバッテリー関連といった成長分野に注力している点は、将来の持続可能性を高める要因と言えるでしょう。

売上計上時期の偏りとその影響:

決算短信や提供データからは、売上計上時期に特段の大きな偏りがあるという記述は見られません。

5. 技術革新と主力製品

技術開発の動向や独自性:

決算短信には具体的な技術開発の独自性に関する記述はありません。しかし、半導体製造装置関連の精密金属加工品や、メッキ材料を手掛けていることから、高精度な加工技術や材料開発に力を入れていることが推測されます。

収益を牽引している製品やサービス:

2025年3月期の売上高増加には、アルミ・銅原料、半導体製造装置関連金属加工品、メッキ材料などの取引が寄与しており、これらが現在の収益を牽引する主力製品群と言えます。カーボンブラシの収益率改善も利益に貢献しています。

6. 株価の評価

現在の株価2,237.0円に対し、以下の指標が示されています。
* PER(会社予想): (連)12.42倍
* PBR(実績): (連)0.96倍
* EPS(会社予想): (連)180.18円
* BPS(実績): (連)2,322.11円

業界平均との比較では、
* 業界平均PER: 12.1倍
* 業界平均PBR: 1.0倍

アルコニックスのPER12.42倍は業界平均12.1倍とほぼ同水準からやや割高、PBR0.96倍は業界平均1.0倍よりやや割安という評価になります。実績BPS2,322.11円に対し株価2,237.0円は、PBRが1倍を割れているため、解散価値的に割安感があるとも言えます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移: 本日終値2,237.0円は、本日高値2,245円付近であり、本日中に買われた局面が見られます。
  • 年初来高値・安値との位置関係: 年初来高値2,248円、年初来安値1,339円に対して、現在の株価2,237.0円は年初来高値に非常に近い水準にあります。直近で大きく上昇したと推測されます。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度: 本日の出来高は113,300株、売買代金は252,213千円です。3ヶ月平均出来高101.64k株、10日平均出来高83.31k株と比較すると、本日の出来高は平均を上回っており、市場の関心が高まっている状態と考えられます。特に年初来高値付近での出来高増加は、買い意欲の強さを示唆している可能性があります。

8. 財務諸表分析

Breakdown 過去12か月 2025/3/31 2024/3/31 2023/3/31 2022/3/31
Total Revenue 203,399 197,004 174,901 178,333 156,286
Operating Income 7,882 6,919 5,464 8,223 11,021
Net Income 4,717 4,805 1,598 5,488 7,507
ROE (過去12か月/実績) 6.74% 7.10%
ROA (過去12か月) 2.50%

売上、利益の評価:

2025年3月期は、売上高が197,004百万円(前年同期比+12.6%)、営業利益が6,919百万円(同+26.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,805百万円(同+200.7%)と大幅な増収増益を達成しました。特に純利益の伸びが顕著です。過去数年で見ると、2022年3月期をピークに2024年3月期まで利益が減少傾向にありましたが、2025年3月期は回復基調にあります。過去12カ月(現時点2025年11月からの12カ月間)の売上高は203,399百万円と伸長しており、通期予想の215,000百万円に向けて順調な進捗と言えるでしょう。

ROE、ROAなどの指標:

ROE(実績)7.10%、ROA(過去12ヶ月)2.50%であり、一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)に達していません。ただし、2025年3月期の業績回復により、収益性は改善傾向にあります。

四半期決算の進捗状況:

提供データには直近の四半期決算の損益計算書がありませんが、過去12ヶ月の数値は通期予想に対して営業利益、純利益ともに一定の進捗を示していると見られます。四半期売上高成長率(前年比)は-0.50%、四半期利益成長率(前年比)は-4.80%とマイナス成長であり、直近の四半期では減収減益となっています。これは一過性のものか、あるいは通期の好調が特定の時期に集中しているためか、注意が必要です。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率(実績): 35.4%
  • 流動比率(直近四半期): 1.35
  • Total Debt/Equity (負債比率、直近四半期): 79.96%
  • Total Cash(直近四半期): 22,250百万円
  • Total Debt(直近四半期): 56,250百万円
  • Net Non Operating Interest Income Expense: -842百万円(過去12ヶ月)

自己資本比率35.4%は、安定性を示す目安とされる40%には届いていませんが、30%は確保しています。しかし、流動比率1.35は、短期的な支払い能力を示す200%(2倍)という目標値から見ると低い水準です。Total Debt/Equity(負債比率)が79.96%とやや高い点も考慮すると、財務の安全性には改善の余地があります。借入金は56,250百万円と多く、金利負担も年間8億円程度発生しています。Piotroski F-Scoreの財務健全性スコアが0/3であることも、財務健全性に対する懸念を示しています。

10. 収益性分析

  • ROE(実績): 7.10% (過去12か月: 6.74%)
  • ROA(過去12か月): 2.50%
  • Profit Margin (純利益率): 2.32%
  • Operating Margin (営業利益率): 3.97% (過去12か月: 3.97%)

ROE 7.10%は一般的なベンチマークである10%を下回っており、「普通」評価です。ROA 2.50%は一般的なベンチマークである5%を下回っており、「低い」評価です。営業利益率は3.97%と、商社・製造業としては平均的な水準かやや低い水準です。2025年3月期は大幅な増益を達成しており、収益性は改善傾向にありますが、まだベンチマークレベルには達していません。特に2024年3月期の純利益が大幅に落ち込んだことを考慮すると、収益の安定性や継続的な改善が今後の課題と言えるでしょう。Piotroski F-Scoreの収益性スコア1/3も、改善余地があることを示唆しています。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値(5Y Monthly): 0.20
    • ベータ値が0.20と非常に低いため、市場全体の変動に対する感応度が低い、すなわち景気変動の影響を受けにくい銘柄である可能性を示唆しています。これは安定志向の投資家にとっては魅力的な要素となり得ます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置:
    • 52週高値: 2,248.00円
    • 52週安値: 1,339.00円
    • 現在の株価2,237.0円は、52週高値に極めて近い水準にあり、高値圏にあると言えます。
  • 決算短信に記載のリスク要因:
    • 米国政府の関税政策をトリガーとした世界経済・市場の不確実性の高まり
    • 米中貿易対立激化の影響
    • 自動車や半導体、二次電池を中心とする次世代エネルギーの実需のまだら模様(需要の変動)

これらの外部環境リスクは、世界情勢や特定産業の動向に大きく左右されるため、同社の業績に影響を与える可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較:

    • PER:アルコニックス12.42倍 vs 業種平均12.1倍 (やや割高)
    • PBR:アルコニックス0.96倍 vs 業種平均1.0倍 (やや割安)

    業界平均と比較すると、PERはほぼ同水準からやや割高、PBRはやや割安と判断できます。
    * 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
    * 業種平均PER基準(EPS180.18円 × 12.1倍): 2,180円
    * 業種平均PBR基準(BPS2,322.11円 × 1.0倍): 2,323円

    これらの目標株価レンジ(2,180円~2,323円)に対し、現在の株価2,237.0円はレンジの中央付近に位置しています。
    * 割安・割高の総合判断:

    PBRが1倍を割っており、解散価値的には割安感があります。しかしPERは業界平均並みからやや割高水準にあり、年初来高値付近で推移している点を考慮すると、現在の株価は割安とは言い難く、適正水準かやや割高と判断されます。

    13. 市場センチメント分析

    • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 358,900株
    • 信用売残: 15,800株
    • 信用倍率: 22.72倍

    信用倍率が非常に高く、信用買残が信用売残を大幅に上回っています。これは将来の株価上昇を期待して買い建てている投資家が多いことを示しますが、一方で将来の売り圧力となる可能性も秘めており、需給バランスはやや悪化していると言えます。
    * 株主構成:
    * 機関投資家比率: 約26.66%
    * インサイダー(経営陣)持株比率: 7.63%

    特定の大株主として、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、日本カストディ銀行(信託口)といった信託銀行が上位に位置しており、機関投資家の保有が多いことが伺えます。これは市場からの信頼度や安定性を示す要素となります。
    * 大株主の動向:

    特に目立った大株主の売買動向については情報がありません。

    14. 株主還元と配当方針

    • 配当利回り(会社予想): 3.76%
    • 1株配当(会社予想): 84.00円
    • 配当性向: 53.53%
    • 5年平均配当利回り: 3.70%

予想配当利回り3.76%は、比較的高い水準であり、株主還元に積極的な姿勢が伺えます。配当性向53.53%も、利益の半分以上を配当に回す方針を示しており、安定した配当が期待できます。

自社株買いなどの株主還元策:

決算短信には、自社株買いに関する具体的な発表はありませんが、期末自己株式数1,137,501株の記載があります。

株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策:

情報はありません。

15. 最近のトピックスと材料

2025年3月期決算短信では、売上高203,399百万円、営業利益7,882百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,717百万円と、特に純利益が大幅に増加したことが発表されました(過去12カ月)。通期予想でも増収増益を見込んでおり、業績は好調に推移していると評価できます。
今後の業績に与える影響としては、半導体関連や二次電池関連など、成長分野への注力が引き続き重要となるでしょう。また、M&A戦略が今後の成長ドライバーとなる可能性もあります。

16. 総評

アルコニックスは、非鉄金属の商社機能と製造機能を融合した独自のビジネスモデルを持つ企業です。M&Aを積極的に活用し、半導体関連やバッテリー関連といった成長分野に事業を拡大しています。2025年3月期は大幅な増収増益を達成し、業績は回復基調にあります。
株価は年初来高値圏にあり、市場からの関心も高まっているようです。配当利回りが高く、安定した株主還元策も魅力です。
一方で、財務健全性の面では、自己資本比率が40%に届かず、流動比率も低い水準にあるため、改善の余地があります。収益性指標(ROE、ROA)も一般的なベンチマークを下回っており、さらなる収益力向上が課題です。また、信用取引の買残が膨らんでおり、将来的な売り圧力が懸念されます。
* 強み: 商社機能と製造業の融合によるシナジー、M&Aによる事業拡大、成長分野(半導体、バッテリー関連)への注力、高水準の配当利回り。
* 弱み: 財務健全性(自己資本比率、流動比率)に改善の余地がある、収益性(ROE、ROA)がベンチマークを下回る、信用買残過多による需給面のリスク。
* 機会: AI関連需要など半導体市場の好調、長期経営計画「2030」に基づいたM&Aと事業再編による成長余地。
* 脅威: 世界経済の不確実性、米中貿易対立などの地政学リスク、為替相場の変動、非鉄金属相場の変動、特定産業における実需のまだら模様。

全体として、事業の成長性には期待が持てるものの、財務体質の強化と収益性のさらなる改善が今後の課題となるでしょう。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 売上高は過去12ヵ月で203,399百万円、2025年3月期も前年比+12.6%と高い成長。通期予想も+9.1%と堅調。四半期売上成長率はわずかにマイナスだが、全体としては高い伸びを維持しており、半導体関連などの成長分野への寄与も大きい。
  • 収益性: C
    • ROE 7.10%、ROA 2.50%はともにベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を下回る。営業利益率3.97%も平均的。決算短信では増益を達成しているものの、Piotroski F-Scoreの収益性スコア1/3が示すように、収益力はまだ強化の余地がある。
  • 財務健全性: C
    • 自己資本比率35.4%は30%以上だが40%未満。流動比率1.35は低く、Total Debt/Equity(負債比率)79.96%はやや高め。現金保有はあるものの、借入金もかなり大きく、財務健全性には懸念が残る。Piotroski F-Scoreの財務健全性スコア0/3もこれを裏付けている。
  • 株価バリュエーション: B
    • PER12.42倍は業界平均12.1倍とほぼ同水準からやや割高。PBR0.96倍は業界平均1.0倍よりやや割安。現在の株価は目標株価レンジの中央付近にあり、極端な割安感はないものの、PBRの観点からは割安と判断できる面もある。

企業情報

銘柄コード 3036
企業名 アルコニックス
URL http://www.alconix.com/
市場区分 プライム市場
業種 商社・卸売 – 卸売業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 2,237円
EPS(1株利益) 180.18円
年間配当 3.76円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 12.4倍

5年後の予測値

予想EPS 208.88円
理論株価 2,594円
累計配当 21円
トータル価値 2,615円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) 3.17% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 1,300円 650円 × 算出価格を上回る
12% 1,484円 742円 × 算出価格を上回る
10% 1,624円 812円 × 算出価格を上回る

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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