日本光電工業 (6849) 企業分析レポート
個人投資家の皆様へ
1. 企業情報
日本光電工業株式会社は、医用電子機器の総合メーカーです。医療現場で使用される様々な機器の研究開発、製造、販売、修理、保守を手掛けています。
* 主力製品・サービスの特徴:
* 脳波計、AED(自動体外式除細動器): 国内トップシェアを誇り、高いブランド認知度と市場競争力を持っています。
* 生体情報モニター: 病院向けの生体情報モニターが主力製品であり、患者の状態を継続的に監視する上で不可欠な機器を提供しています。特に海外市場への注力を進めています。
* その他: 生体計測機器、治療機器、検体検査機器など多岐にわたる医療機器と、それらに付随する消耗品、保守サービスを提供しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
日本光電工業は医用電子機器業界において、特に脳波計やAEDで国内トップの地位を確立しています。
* 業界内での競争優位性や課題について:
* 競争優位性: 長年の経験と技術力に裏打ちされた製品開発力、充実したサポート体制が強みです。国内市場での高いシェアは安定した収益基盤となります。
* 課題: 海外市場、特に北米市場での収益性改善が課題として挙げられています(2025年3月期決算では北米セグメントで損失を計上)。
* 市場動向と企業の対応状況:
* 国内市場: 医師の働き方改革、診療報酬改定、物価・賃金上昇による厳しい病院経営環境があります。これに対し、企業は急性期病院、中小病院、診療所といった市場別の取り組みを強化しています。
* 海外市場: 米国では検査・手術件数の増加により病院経営に改善傾向が見られます。
* 全体動向: 医療の質向上と効率化が世界的に急務であり、データヘルス、遠隔医療、AI、ICTの活用といった医療DXが推進されています。日本光電工業は、これらの市場ニーズの変化に対応し、長期的な成長を目指しています。
3. 経営戦略と重点分野
日本光電工業は、3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」を推進しています。
* 経営陣が掲げるビジョンや戦略:
* 「成長性」「収益性」「資本効率性」の3つの指標達成を目標に掲げています。
* 中期経営計画の具体的な施策や重点分野:
* 製品競争力の強化
* 北米事業の成長に注力
* 全社収益改革の実行
* その他、計6つの重要施策に取り組むことで、2030年を見据えた持続的成長を目指しています。
* 新製品・新サービスの展開状況:
* 決算短信において具体的な新製品・新サービスの展開に関する記載はありませんでした。
4. 事業モデルの持続可能性
医用電子機器の提供と保守サービスを主軸とする事業モデルは、医療機関の継続的なニーズに支えられており、安定した収益基盤を持ちます。
* 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力:
* 売上は生体計測機器、生体情報モニタ、治療機器などが中心で、医療の進化とともに需要が拡大する傾向にあります。
* 医療DXの推進(データヘルス、遠隔医療、AI、ICT活用)に対し、研究開発や製品・サービスの拡充を通じて適応しようとしています。
* 売上計上時期の偏りとその影響:
* データなし
5. 技術革新と主力製品
日本光電工業は、医用電子機器専門メーカーとして、高度な技術開発力を持っています。
* 技術開発の動向や独自性:
* データなし(ただし、脳波計やAEDの国内トップシェアという実績から、高い技術力と研究開発力を有していることが推測されます)。
* 収益を牽引している製品やサービス:
* 生体情報モニタ、脳波計、AEDなどの診断・治療用機器が主力であり、これらが収益の大部分を占めています。
6. 株価の評価
現在の株価と各種指標を比較します。
* EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較:
* 現在の株価: 1,550.0円
* EPS(会社予想): 76.65円
* BPS(実績): 1,065.64円
* PER(会社予想): 1,550.0円 ÷ 76.65円 = 20.22倍
* PBR(実績): 1,550.0円 ÷ 1,065.64円 = 1.45倍
* 業界平均PER/PBRとの比較:
* 業界平均PER: 24.2倍
* 業界平均PBR: 1.6倍
* 日本光電工業のPER(20.22倍)は業界平均PER(24.2倍)を下回っており、PBR(1.45倍)も業界平均PBR(1.6倍)を下回っています。この数値だけを見ると、業界平均と比較して割安感があると言えます。
7. テクニカル分析
直近の株価推移と市場の動向を確認します。
* 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か:
* 本日終値1,550.0円は、直近10日間の株価推移を見ると、1,494円~1,742.5円のレンジの下限に近い水準であり、比較的安値圏に位置しています。
* 年初来高値・安値との位置関係:
* 年初来高値:2,465円
* 年初来安値:1,494円
* 現在の株価1,550.0円は、年初来安値(1,494円)に近く、年初来高値(2,465円)からは大きく下落した水準にあります。
* 出来高・売買代金から見る市場関心度:
* 本日出来高:784,700株
* 本日売買代金:1,212,012千円
* 直近10日間の出来高は大きい日で1,603,300株、少ない日で532,700株であり、本日の出来高は平均的な水準です。
* Avg Vol (3 month) 616.3k株、Avg Vol (10 day) 957.35k株と比較すると、平均的な市場関心度を維持していると見られます。ただし、前日比で出来高は減少しています。
8. 財務諸表分析
損益計算書から企業の収益状況を評価します。
* 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価:
* 売上高(過去12か月): 230,760百万円
* 営業利益(過去12か月): 22,340百万円
* 親会社株主に帰属する当期純利益(過去12か月): 18,159百万円
* ROE(過去12か月): 10.40%
* ROA(過去12か月): 6.01%
* 過去数年分の傾向を比較:
* 売上高: 2022年3月期から継続して増加傾向にあります。(205,129M -> 206,603M -> 221,986M -> 225,424M -> 230,760M (過去12ヶ月))
* 営業利益: 2022年3月期(30,992百万円)をピークに、2025年3月期(20,713百万円)は減少しましたが、過去12ヶ月では22,340百万円とやや回復傾向にあります。
* 純利益: 2022年3月期(23,435百万円)をピークに、2025年3月期(14,098百万円)は減少しましたが、過去12ヶ月では18,159百万円とやや回復傾向にあります。
* ROE/ROA: 近傍で概ね安定した水準を維持しており、良好な収益性を示しています。
* 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):
* 2025年3月期の実績は、売上高225,424百万円、営業利益20,713百万円、純利益14,098百万円でした。
* 2026年3月期の通期予想は、売上高240,000百万円、営業利益24,000百万円、純利益15,000百万円です。
* 過去12ヶ月の数値(売上高230,760百万円、営業利益22,340百万円、純利益18,159百万円)は、2026年3月期通期予想に対し、売上高で約96%、営業利益で約93%、純利益で約121%の水準です。純利益は予想を上回って推移しているものの、営業利益はまだ予想に達していません。
9. 財務健全性分析
企業の財務の安全性について評価します。
* 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価:
* 自己資本比率(実績): 69.5%(非常に高い水準であり、財務基盤が強固であることを示します。)
* 流動比率(直近四半期): 2.54(200%以上が健全とされる中で、高い水準であり短期的な支払い能力に優れています。)
* Total Debt/Equity(直近四半期): 14.77%(負債が自己資本に対して非常に低いことを示し、財務安全性が高いです。)
* 財務安全性と資金繰りの状況:
* 自己資本比率、流動比率、負債比率のいずれも非常に良好な水準であり、財務健全性は非常に高いと評価できます。手元現金も潤沢(Total Cash 49.84B円)であり、資金繰りにも問題は見られません。
* 借入金の動向と金利負担:
* Total Debt(直近四半期)は25.67B円で、Total Debt/Equityが低いことから、借入金は抑制されており金利負担も小さいと推測されます。
10. 収益性分析
収益の効率性を評価します。
* ROE、ROA、各種利益率の評価:
* ROE(過去12か月): 10.40%
* ROA(過去12か月): 6.01%
* Profit Margin: 7.87%
* Operating Margin(過去12か月): 9.19%
* 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較:
* ROE 10.40%はベンチマークの10%を上回っており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していると言えます。
* ROA 6.01%もベンチマークの5%を上回っており、総資産を効率的に活用していると評価できます。
* 収益性の推移と改善余地:
* Operating Marginは過去12ヶ月で9.19%ですが、2022年3月期には15%を超える水準であったことを踏まえると、さらなる改善の余地があると考えられます。中期経営計画「全社収益改革の実行」という施策が、ここに繋がると考えられます。
11. 市場リスク評価
市場変動に対する企業の感応度とリスク要因を評価します。
* ベータ値による市場感応度の評価:
* ベータ値 (5Y Monthly): 0.26
* ベータ値が1.0を下回るため、市場全体の値動きに対して株価の変動が小さい(市場感応度が低い)と評価できます。景気変動の影響を受けにくいディフェンシブな特性を持つ可能性を示唆しています。
* 52週高値・安値のレンジと現在位置:
* 52週高値: 2,465.00円
* 52週安値: 1,494.00円
* 現在の株価1,550.0円は、52週安値に近い水準にあります。
* 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等):
* 米国の関税政策
* 地政学リスクの発生
* 物価や賃金の継続的な上昇
* 医療機関の経営悪化
* 医療機器に関する法規制・制度の変更
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較:
- PER(会社予想)20.22倍は業種平均PER 24.2倍より割安。
- PBR(実績)1.45倍は業種平均PBR 1.6倍より割安。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
- 目標株価(業種平均PER基準): 2,660円
- 目標株価(業種平均PBR基準): 1,705円
- 割安・割高の総合判断:
- 現在の株価1,550円は、業界平均を基準とした両目標株価を下回っており、割安と判断できます。特にPER基準では大幅な割安感があります。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス):
- 信用買残: 221,800株(前週比 +130,000株)
- 信用売残: 34,200株(前週比 -3,900株)
- 信用倍率: 6.49倍
- 信用買残が信用売残を大きく上回っており、需給は買い方に偏っています。信用倍率が高い状態は、将来の売り圧力となる可能性があります。
- 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況):
- 機関投資家持株比率: 58.58%(機関投資家による保有が多いです。)
- 経営陣持株比率: 0.81%
- 大株主には日本マスタートラスト信託銀行、日本カストディ銀行などの信託銀行や、ステート・ストリート・バンク、JPモルガン・チェース・バンク、シンガポール政府投資公社(GIC)などの海外機関投資家が名を連ねています。これら安定株主が多いことは株式の安定供給に寄与する可能性があります。
- 大株主の動向:
- データなし
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析:
- 配当利回り(会社予想): 2.06%
- 1株配当(会社予想): 32.00円
- 配当性向(Payout Ratio): 29.13%
- 配当性向は30%程度と控えめであり、企業の成長投資に資金を回す方針と見られます。一方で、配当利回りは2%を超え、安定した配当を提供しています。
- 2026年3月期の年間配当予想は32.00円と、2025年3月期の31.00円から増配予想となっています。
- 自社株買いなどの株主還元策:
- データなし(決算短信には自社株買いに関する記載はありませんでした)。
- 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策:
- 2024年12月3日開催の取締役会において、従業員向け株式給付信託を導入することを決議しています。これは従業員のエンゲージメント向上や株主価値向上への貢献を促すインセンティブ施策と考えられます。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等):
- 2025年5月20日に2025年3月期決算短信の一部訂正を発表しています(法人税および税効果の算定誤りに関する訂正であり、業績予想に大きな影響はないと判断されます)。
- 2024年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施しています。これにより、単元株あたりの投資金額が下がり、より多くの投資家が投資しやすくなった可能性があります。
- 2024年12月3日に従業員向け株式給付信託の導入を決議しています。
- これらが業績に与える影響の評価:
- 株式分割は短期的な流動性向上に寄与し、従業員向け株式給付信託は長期的な企業価値向上へのインセンティブとなります。決算訂正は過去の会計処理に関するものであり、今後の業績への直接的な影響は軽微と見られます。
16. 総評
日本光電工業は、国内トップシェアを誇る製品を有し、安定した財務基盤を持つ医用電子機器メーカーです。
* 全体的な見解:
* 医療DXの進展や高齢化社会の到来により、医用電子機器の需要は国内外で持続的に拡大すると見られ、事業環境は良好です。
* 財務体質は非常に強固であり、安定感があります。
* 収益性もベンチマークを上回る水準ですが、過去の営業利益率水準から見ると改善の余地も残されています。
* 株価バリュエーションは業界平均と比較して割安感があり、配当も増配予想と、株主還元にも前向きな姿勢が見られます。
* 北米事業の収益改善と中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」の実行が今後の成長の鍵となるでしょう。
* 国内トップシェア製品の安定性と海外市場、特に北米市場での成長の可能性。
* 非常に高い財務健全性。
* 医療DXという追い風に乗った事業展開。
* 業界平均と比較した株価の割安感。
* 中長期的な収益性改善と成長戦略の進捗。
* 強み・弱み・機会・脅威の整理:
* 強み (Strengths):
* 脳波計、AEDの国内トップシェアという強い市場ポジション。
* 高い自己資本比率(69.5%)、良好な流動比率(2.54)など、極めて健全な財務体質。
* ROE10.40%、ROA6.01%と高い収益効率。
* 医療の高度化・効率化を背景とした安定的な需要。
* 弱み (Weaknesses):
* 北米事業のセグメント損失。
* 足元の営業利益率が過去最高水準から低下しており、改善余地がある点。
* 経常利益が為替差損の影響を受けやすい傾向。
* 機会 (Opportunities):
* 医療DX、データヘルス、遠隔医療、AI活用など、医療分野のイノベーション。
* 世界的な高齢化の進展による医療機器市場の拡大。
* 米国をはじめとする海外市場でのシェア拡大余地。
* 株式分割による流動性向上と投資家層の拡大。
* 脅威 (Threats):
* 米国の関税政策や地政学リスクなどの外部環境要因。
* 物価や賃金の上昇によるコスト増。
* 医療機関の経営悪化による設備投資抑制。
* 医療機器に関する法規制・制度の変更リスク。
17. 企業スコア
| 観点 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 成長性 | B | 売上高は増加傾向(前期比1.5%増、次期予想6.5%増)。北米事業の成長に注力する構えだが、現時点では損失計上。 |
| 収益性 | A | 粗利率約52.8%(過去12ヶ月)、営業利益率9.19%(過去12ヶ月)。ROE 10.40%はベンチマーククリア。ROA 6.01%も良好。 |
| 財務健全性 | S | 自己資本比率69.5%と非常に高水準。流動比率2.54、D/E比率14.77%も極めて良好。潤沢な現金保有。 |
| 株価バリュエーション | S | PER(会社予想)20.22倍は業界平均24.2倍より割安。PBR(実績)1.45倍は業界平均1.6倍より割安。目標株価レンジも割安を示唆。 |
本レポートは、提供された情報に基づいて作成されたものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。また、特定の有価証券の売買等の勧誘を目的としたものではなく、投資行動の最終決定はご自身の判断と責任において行ってください。
企業情報
| 銘柄コード | 6849 |
| 企業名 | 日本光電工業 |
| URL | http://www.nihonkohden.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 1,550円 |
| EPS(1株利益) | 76.65円 |
| 年間配当 | 2.06円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 5.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 97.83円 |
| 理論株価 | 1,467円 |
| 累計配当 | 12円 |
| トータル価値 | 1,479円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | -0.93% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 736円 | 368円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 839円 | 420円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 919円 | 459円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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