1. 企業情報
コロワイドは、日本国内外でレストランや居酒屋などの外食事業を幅広く展開する大手企業です。多角的なブランド展開を特徴とし、直営店運営に加えフランチャイズ(FC)事業も手掛けています。
* 主力製品・サービスの特徴: 傘下に「牛角」で知られるレインズインターナショナル、「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイト、「ステーキ宮」のアトム、そして「大戸屋ごはん処」の大戸屋ホールディングスといった大手外食チェーンを多数擁しています。居酒屋業態も展開していますが、事業内容の比率ではレストラン事業が91%、居酒屋事業が9%と、レストラン業態が中核を担っています。食材の調達・加工・物流を自社で行うマーチャンダイジング事業も展開しており、多様なブランドと業態を支える強固なサプライチェーンを構築しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
外食産業において多ブランド戦略を展開する大手企業として確固たる地位を築いています。
* 業界内での競争優位性や課題: 多数の有名ブランドを傘下に持つことで、幅広い顧客層のニーズに対応できる点が競争優位性です。また、自社で食材の調達から製造、物流までを一貫して行う「(株)コロワイドMD」の存在は、品質管理とコスト効率化に貢献しています。
課題としては、食材価格の高騰や人件費の上昇、為替変動が収益を圧迫する点が挙げられます。特に外食産業全体では、消費者の節約志向が継続しており、高付加価値化と効率的な運営が求められています。
- 市場動向と企業の対応状況: 足元の外食市場は、インバウンド需要の高まりや価格改定によって業績が持ち直しの動きを見せています。しかし、エネルギーや食料品価格の上昇、社会保険料の負担増などにより、消費マインドの回復は鈍い状況です。これに対しコロワイドは、付加価値を高めつつ、効率的な店舗運営を進めることで対応を図っています。
3. 経営戦略と重点分野
コロワイドは、「COLOWIDE Vision 2030」という中期経営計画を掲げ、2030年3月期までに連結売上収益5,000億円の達成を目指しています。
* 中期経営計画の具体的な施策や重点分野: 傘下各社の事業展開(アトムのカラオケ事業譲渡によるレストラン事業への集中など)や、M&A(日本銘菓総本舗、ソシオフードサービスのグループ化)を積極的に実行することで、事業ポートフォリオの最適化と拡大を図っています。また、M&A待機資金の調達も実施しており、今後の事業拡大への意欲が見られます。
* 新製品・新サービスの展開状況: データなし
4. 事業モデルの持続可能性
多様なブランドと業態、そして独自のサプライチェーンを持つことで、市場の変動リスクを分散し、事業の持続可能性を高めています。
* 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力: 居酒屋からファミリーレストラン、寿司、定食屋、カフェと幅広い業態をカバーすることで、消費者の多様なニーズに対応できる収益モデルです。消費者の節約志向や選別志向の高まりに対しては、効率的な運営と付加価値向上で対応する方針を示しています。M&Aや事業譲渡を通じて、変化する市場環境に適応しようとする姿勢が見られます。
* 売上計上時期の偏りとその影響: データなし
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性: データなし
- 収益を牽引している製品やサービス: 「牛角」を中心とした焼肉業態、「かっぱ寿司」の回転寿司業態、「ステーキ宮」のステーキ・ハンバーグ、「大戸屋ごはん処」の定食といった各種レストラン業態が収益を牽引しています。連結事業の大部分を占めるレストラン事業(91%)が主力です。
6. 株価の評価
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EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較: 現在の株価は1,736.0円です。
予想EPS(連)20.03円に基づく予想PERは86.67倍です。提供データにあるPER(会社予想)86.60倍とほぼ一致します。
実績BPS(連)585.19円に基づく実績PBRは2.96倍です。提供データにあるPBR(実績)2.96倍と一致します。
* 業界平均PER/PBRとの比較: 当社の予想PER86.60倍は業界平均PER21.3倍と比較して大幅に割高です。当社の実績PBR2.96倍は業界平均PBR1.8倍と比較して割高です。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か: 直近10日間の株価は1,702円~1,747円の間で推移しており、現在の株価1,736円は、このレンジの中央からやや高めの水準にあります。
- 年初来高値・安値との位置関係: 年初来高値が2,042円、年初来安値が1,602円であり、現在の株価1,736円は年初来安値から比較的近い位置にあります。52週高値(2,042.00円)と52週安値(1,601.50円)のレンジから見ても、現在の位置は安値圏に近いと言えます。
- 出来高・売買代金から見る市場関心度: 本日時点で出来高113,100株、売買代金196,456千円です。3ヶ月平均出来高551.99k株、10日平均出来高432.71k株と比較すると、本日の出来高は平均を下回っており、市場の関心度は低い状態です。
8. 財務諸表分析
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売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価: 過去数年の売上収益は継続して増加傾向にあります。2025年3月期は2,691億56百万円と前年比で伸びています。
営業利益は増加傾向ですが、親会社の所有者に帰属する当期利益は、2025年3月期に12億49百万円と前年(29億5百万円)から減少しました。これは原材料価格や人件費の上昇、為替差損が主な要因とされています。
ROE(実績)は2.04%、ROA(過去12か月)は2.40%と、一般的なベンチマークと比較して低い水準です。
* 過去数年分の傾向を比較: 売上収益は2022年3月期の1,756億円から2025年3月期の2,691億円まで順調に拡大しています。営業利益も53百万円(2023年3月期)から93億5百万円(2025年3月期)へと大幅に改善しています。しかし、純利益は2023年3月期に -68億1百万円の赤字を計上し、その後は黒字転換したものの、2025年3月期は減少しており、安定性に課題が見られます。
* 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較): 提供データは年度ごとの集計が主で、直近四半期(9/30/2025)の具体的な実績数値が通期予想(2026年3月期予想)と比較するには不十分です。
9. 財務健全性分析
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自己資本比率、流動比率、負債比率の評価: 自己資本比率(実績)は24.8%です。2024年3月期の17.0%からは改善していますが、一般的に望ましいとされる水準(40%以上)を下回っており、財務的な安定性には一定の懸念があります。
流動比率(直近四半期)は0.71(71%)と、短期債務を流動資産で賄う能力が低いことを示しており、短期的な財務安全性に懸念があります。
負債比率(Total Debt/Equity)は216.98%と高く、財務レバレッジが大きい状態です。
* 財務安全性と資金繰りの状況: 借入金はTotal Debt(直近四半期)が190,000百万円と多額です。Net Non Operating Interest Income Expenseがマイナスであることから、利息支払い負担が利息収入を上回っています。しかし、営業活動によるキャッシュ・フローは28,808百万円(2025年3月期)と堅調であり、フリーキャッシュフローも21,810百万円と十分に確保できており、資金繰りに直ちに問題がある状況ではありません。
* 借入金の動向と金利負担: インタレスト費用は過去数年30億円前後で推移しており、金利負担は継続して発生しています。
10. 収益性分析
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ROE、ROA、各種利益率の評価: ROE(実績)2.04%、ROA(過去12か月)2.40%は、一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)と比較して低い水準です。
粗利率は提供されていませんが、Cost of RevenueがTotal Revenueの約4割を占めています。
営業利益率(Operating Margin)は過去12か月で3.73%と、これも低い水準です。
* 収益性の推移と改善余地: 売上は伸びているものの、人件費や原材料費の増加、為替差損によって最終的な利益率が圧迫されています。特に2025年3月期の親会社所有者帰属当期利益の減少は、これらのコスト増を価格転嫁や効率化で吸収しきれていない現状を示唆しており、収益性改善は重要な課題です。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価: ベータ値(5Y Monthly)は-0.05と非常に低い値を示しており、市場全体の値動きに対する感応度が低い、あるいは逆の動きをする傾向があることを意味します。これは市場全体の変動による株価影響を受けにくい特性があると考えられます。
- 52週高値・安値のレンジと現在位置: 52週高値2,042.00円、52週安値1,601.50円に対し、現在の株価1,736.0円は安値圏に近い位置にあります。
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決算短信に記載のリスク要因: 決算短信では、以下のリスク要因が挙げられています。
- 米国新政権による高関税政策などの影響
- 中国経済の低迷
- 欧州や中東における地政学リスク
これらが世界的な景気悪化を招き、業績に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較: 当社の予想PER86.60倍は業種平均21.3倍に比べて約4倍と非常に高いです。
当社の実績PBR2.96倍も業種平均1.8倍より高くなっています。
* 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用): 業種平均PER基準で算出された目標株価は276円です。業種平均PBR基準で算出された目標株価は1,317円です。
* 割安・割高の総合判断: 現在の株価1,736.0円は、業界平均に基づく目標株価レンジ(276円~1,317円)を大きく上回っており、バリュエーションの観点からは割高と判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス): 信用買残29万6,200株に対し、信用売残は92万200株と、信用売残が大幅に上回る「売り長」の状態です。信用倍率は0.32倍であり、需給バランスは売り方が優勢で、将来的な買い戻しによる株価上昇の可能性(踏み上げ)もないとは言えませんが、現状は強い買い材料に欠ける状況です。
- 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況): 日本マスタートラスト信託銀行が筆頭株主であるほか、創業家とみられる蔵人(野尻)姓の「サンクロード」「蔵人良子」「蔵人賢樹」「蔵人金男」氏らが大株主として名を連ねており、安定株主が一定数存在します。経営陣による持株比率は個別のデータは示されていませんが、創業家が大株主であることから、経営の安定性はある程度確保されていると考えられます。
- 大株主の動向: データなし
14. 株主還元と配当方針
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配当利回りや配当性向の分析: 配当利回り(会社予想)は0.29%と低水準です。
1株配当(会社予想)は5.00円です。
配当性向は38.43%です。利益水準から考えると、控えめな配当性向と言えます。
* 自社株買いなどの株主還元策: データなし
* 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策: データなし
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析:
- 2024年4月に(株)日本銘菓総本舗(現(株)NBaton Company)を、同年6月にはソシオフードサービス(株)をグループに迎えるM&Aを実施しています。これは事業ポートフォリオの拡大とシナジー創出を目的としたものです。
- (株)アトムがカラオケ事業を事業譲渡しました(2025年3月)。これは「レストラン事業」への経営資源集中を図るための選択と集中戦略の一環です。
- 2024年9月には新株発行によるM&A待機資金の調達も実施しており、今後も積極的な事業再編や拡大が予想されます。
- これらが業績に与える影響の評価: M&Aは、売上収益の拡大や新たな事業領域への進出に貢献する可能性があります。一方で、統合費用やのれん償却費などが発生し、短期的な利益を圧迫する可能性もあります。事業譲渡は、不採算事業の整理や中核事業への集中により、長期的な収益性改善に繋がると期待されます。M&A待機資金の調達は、成長戦略への強いコミットメントを示していますが、借入増加による財務負担も考慮する必要があります。
16. 総評
コロワイドは、多様なブランドと強固なサプライチェーンを持つ大手外食企業であり、積極的なM&Aを通じて事業規模の拡大と最適化を図る成長戦略を掲げています。売上収益は順調に成長しており、インバウンド需要の恩恵も受ける機会があります。
しかし、足元の収益性は依然として低く、原材料費や人件費、為替変動といった外部環境要因に利益が左右されやすい構造です。財務健全性にも課題があり、自己資本比率や流動比率は改善の余地が大きく、高い負債比率も懸念材料です。
株価バリュエーションは、業界平均と比較してかなり割高な水準にあり、現在の株価には将来の成長期待が織り込まれている可能性が高いと見られます。中期経営計画「COLOWIDE Vision 2030」の進捗と、M&A後のシナジー効果による収益性改善、さらなる財務健全性の向上に注目が集まります。
* 強み:
* 「牛角」「かっぱ寿司」「大戸屋」など多様なブランドポートフォリオ。
* 自社サプライチェーン(コロワイドMD)によるコストと品質管理。
* 積極的なM&Aによる事業領域の拡大。
* 安定的な営業キャッシュフロー創出力。
* 弱み:
* 低い収益性(ROE、ROA、各種利益率)。
* 自己資本比率や流動比率が低いなど、財務健全性に課題。
* 高い負債比率と金利負担。
* 原材料費、人件費、為替などの外部環境変動による利益圧迫。
* 機会:
* インバウンド需要の回復と、それによる外食消費の活性化。
* M&Aによる新たな事業領域への進出とシナジー効果の創出。
* 非効率事業の整理・統合による収益性改善。
* 脅威:
* 消費者の節約志向・選別志向の継続。
* 原材料価格、エネルギー価格、人件費のさらなる高騰。
* 世界経済の減速や地政学リスクによる消費マインドの低迷。
* 競合他社との価格競争激化。
17. 企業スコア
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成長性: A
(売上収益は堅調に拡大しており、中期経営計画での目標設定やM&Aを積極的に行う姿勢から、今後の成長への意欲は高いと評価。)
* 収益性: C(ROE 2.04%、ROA 2.40%、営業利益率 3.73% は一般的なベンチマークと比較して低く、親会社帰属当期利益も直近で減少しているため。)
* 財務健全性: D(自己資本比率 24.8%は30%未満、流動比率 0.71、D/Eレシオ 216.98%と、財務指標に懸念が見られるため。)
* 株価バリュエーション: D(予想PER 86.60倍、実績PBR 2.96倍は、業界平均PER 21.3倍、PBR 1.8倍と比較して大幅に割高と判断されるため。)
企業情報
| 銘柄コード | 7616 |
| 企業名 | コロワイド |
| URL | http://www.colowide.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 1,736円 |
| EPS(1株利益) | 20.03円 |
| 年間配当 | 0.29円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 8.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 29.43円 |
| 理論株価 | 441円 |
| 累計配当 | 2円 |
| トータル価値 | 443円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | -23.89% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 220円 | 110円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 252円 | 126円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 275円 | 138円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。
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