ファルコホールディングス(4671)企業分析レポート
東京証券取引所スタンダード市場に上場するファルコホールディングス(4671)について、個人投資家向けに企業分析を行います。
1. 企業情報
ファルコホールディングスは、1962年創業の医療サービス企業です。主に「臨床検査事業」「調剤薬局事業」「ICT事業」の3つの事業を展開しています。
* 臨床検査事業: 医療機関などから臨床検体の検査を受託し、検査結果を提供する事業(連結売上構成比61%)。遺伝子検査受託大手として、生化学、血液、病理、免疫、微生物といった幅広い分野の検査に対応しています。
* 調剤薬局事業: 医療機関の処方箋に基づき、調剤薬局を運営する事業(同36%)。地域医療連携を重視しています。
* ICT事業: 診療所向けクラウドサービス「レセスタ」や、中小規模病院向けクラウド型電子カルテシステム「HAYATE/NEO」、無床クリニック向け電子カルテシステム「@home Dr.」の開発・販売・保守サービスを提供しています(同3%)。遺伝子検査技術を活かした診断薬・試薬の販売も手掛けています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は臨床検査受託において大手の一角を占めています。
* 競争優位性: 遺伝子検査を含む幅広い検査項目への対応力と、クラウド型医療ITサービスの提供による医療DXへの貢献が挙げられます。特にICT事業は、医療機関の業務効率化や情報連携を支援するサービスとして成長が見込まれます。
* 市場動向と企業の対応:
* 受託臨床検査市場: コロナ禍からの回復基調にあり、同社は受託数の増加や大都市圏への展開、集荷体制の強化、検査業務の効率化を進めています。
* ゲノム医療: 遺伝学的検査の重要性が高まる中で、同社の遺伝子検査技術は将来の成長ドライバーとなる可能性があります。診断薬育成にも注力しています。
* 調剤薬局市場: 薬価改定や店舗の再編など、厳しい事業環境が続いています。同社は地域医療連携の強化やICT活用による効率化で対応しています。
* 医療DX: デジタル技術活用による新たなビジネスやサービスの創出が求められており、同社のICT事業はこれに積極的に対応しています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は長期ビジョン「FALCO VISION 2030」を策定し、中期経営計画「FALCO INNOVATION 2026」を進めています。
* ビジョン・戦略: 医療を取り巻く環境変化に対応し、臨床検査、ゲノム、ICTを融合した新たな価値創造を目指しています。
* 中期経営計画(FALCO INNOVATION 2026):
* 目標: 自己資本利益率(ROE)8%以上、営業利益28億円、当期純利益20億円を目指しています。
* 具体的施策:
* 臨床検査事業: 大都市圏への展開、集荷体制強化、検査プロセス効率化によるコスト構造改善。
* 調剤薬局事業: 地域医療との連携強化、処方箋応需拡大、ICT活用による業務効率化。
* ICT事業: 診療所向けクラウドサービス「レセスタ」や「HAYATE/NEO」の導入数増加、新たな機能開発。
* 新製品・新サービスの展開: ICT事業におけるクラウド型医療システム(レセスタ、HAYATE/NEO)の導入数増加が売上に貢献しています。遺伝子検査技術を活かした診断薬・試薬の育成にも注力しています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、安定的なニーズのある医療サービスを基盤としています。
* 収益モデル: 臨床検査受託による検査料、調剤薬局での調剤報酬、ICTサービスの利用料や保守料が主な収益源です。医療機関や企業のニーズ変化に合わせて、遺伝子検査や医療DX関連サービスに注力することで適応を図っています。
* 市場ニーズの変化への適応力: 少子高齢化に伴う医療需要の増加、ゲノム医療の進展、医療DXの加速といった市場変化に対し、遺伝子検査やICT事業の強化で対応しており、中長期的な持続可能性が見込まれます。
* 売上計上時期の偏り: データなし
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性: 従来型の臨床検査に加え、遺伝子検査技術に強みを持ち、ゲノム医療の進展に対応しています。また、医療分野におけるクラウド技術を活用したICTサービス開発に注力しています。
- 収益を牽引している製品やサービス: 現状では、臨床検査事業と調剤薬局事業が収益の大部分を占めていますが、ICT事業の「レセスタ」や「HAYATE/NEO」が新たな成長ドライバーとして期待されています。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 2,578.0円
- PER(会社予想): 13.30倍(現在の株価2,578.0円 / 会社予想EPS193.87円 = 13.30倍)
- PBR(実績): 1.02倍(現在の株価2,578.0円 / 実績BPS2,524.60円 = 1.02倍)
- 業界平均との比較: 業界平均PER15.0倍、業界平均PBR1.2倍と比較して、現在のPERおよびPBRは業界平均を下回っており、割安感があります。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移: 直近10日間の株価は2,529円~2,578円のレンジで推移しており、本日は2,578円とレンジの上限付近で終えています。
- 年初来高値・安値との位置関係: 年初来高値2,668円、年初来安値2,065円に対し、現在の株価2,578円は高値圏に位置しています。52週高値2,668.00円、52週安値2,065.00円に対しても同様です。
- 出来高・売買代金から見る市場関心度: 本日の出来高は7,800株、売買代金は20,055千円と、売買は比較的低調であり、市場の関心度はあまり高くない可能性があります。3ヶ月平均出来高14.43千株、10日平均出来高10.39千株と比較しても本日の出来高は平均を下回っています。
8. 財務諸表分析
- 売上高:
- 2022年3月期: 50,007百万円 → 2023年3月期: 46,913百万円 → 2024年3月期: 43,007百万円 → 2025年3月期予想: 43,313百万円(過去12か月: 43,577百万円)
- 売上高はコロナ禍の特需剥落等により減少傾向でしたが、2025年3月期以降は下げ止まり、微増に転じる見込みです。
- 利益:
- 営業利益も売上高と同様に減少傾向にありましたが、2025年3月期は2,335百万円(前年比8.5%増)と回復し、2026年3月期も増益予想です。当期純利益も2025年3月期は1,920百万円(前年比15.2%増)と大きく改善しています。
- ROE(実績): 7.51%(過去12か月: 7.54%)
- ROA(実績): 4.20%(過去12か月: 4.20%)
- 四半期決算の進捗状況: 2025年3月期決算が発表済みで、2026年3月期の通期業績予想が発表されています。直近四半期(9/30/2025)の具体的な実績値の記載がないため、通期予想に対する進捗状況の評価はできません。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率(実績): 69.9% (2025年3月期)
- 非常に高い水準であり、財務基盤が極めて強固であることを示しています。
- 流動比率(直近四半期): 2.30
- 200%を超えており、短期的な支払い能力に全く問題がないことを示しています。
- 負債比率(直近四半期、Total Debt/Equity): 4.59%
- 負債が自己資本に対して非常に少なく、財務的な安全性が高いことを示しています。
- 借入金の動向と金利負担: 総負債は1.16Bと非常に少なく、金利負担も小さいと推測されます。
10. 収益性分析
- ROE(過去12か月): 7.54%
- ROA(過去12か月): 4.20%
- 各種利益率:
- 売上総利益率(過去12か月): 13,706百万円 / 43,577百万円 = 31.45%
- 営業利益率(過去12か月): 5.81%
- 純利益率(過去12か月): 4.43%
- 一般的なベンチマークとの比較:
- ROEは7.54%で、一般的な目安とされる10%には届いていません。
- ROAは4.20%で、目安とされる5%には届いていません。
- 収益性の推移と改善余地: 過去数年間は利益が減少傾向にありましたが、2025年3月期からは回復基調にあります。中期経営計画での収益性目標達成に向け、効率化や成長分野への投資が今後の改善余地となります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値(5Y Monthly): 0.29
- ベータ値が1.0を下回るため、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示しています。市場全体が変動する局面では、比較的安定的な値動きが期待できます。
- 52週高値・安値のレンジと現在位置: 52週高値2,668.00円、52週安値2,065.00円。現在の株価2,578.0円は、52週高値に近い水準にあります。
- 決算短信に記載のリスク要因:
- 米国の通商政策、物価上昇、金融資本市場の変動といった外部環境要因が、経済状況や消費者の動向に影響を与え、事業に影響を及ぼす可能性があります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較:
- PER(会社予想)13.30倍は、業界平均PER15.0倍と比較して割安です。
- PBR(実績)1.02倍は、業界平均PBR1.2倍と比較して割安です。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
- 業界平均PERを適用した場合: 会社予想EPS193.87円 × 業界平均PER15.0倍 = 2,908.05円
- 業界平均PBRを適用した場合: 実績BPS2,524.60円 × 業界平均PBR1.2倍 = 3,029.52円
- 割安・割高の総合判断: 業界平均と比較すると、現在の株価は割安な水準にあると判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況:
- 信用買残: 60,600株
- 信用売残: 400株
- 信用倍率: 151.50倍
- 信用買残が信用売残を大幅に上回っており、信用倍率も非常に高いことから、需給は買いに偏っている状態です。これは今後の株価上昇の重石となる可能性があります。
- 株主構成:
- インサイダー保有比率: 28.65%
- 機関投資家保有比率: 17.01%
- 日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、ビー・エム・エルといった大口の安定株主が上位に名を連ねています。自社(自己株口)も5%以上保有しており、経営陣による安定性が高いと言えます。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 4.85%
- 高い配当利回りは、株主にとって魅力的な水準です。
- 1株配当(会社予想): 125.00円 (2026年3月期予想)
- 2025年3月期の年間配当は122.50円(中間60円、期末62.5円)でした。
- 配当性向: 67.39%
- 利益に対する配当の割合が比較的高く、株主還元に積極的な姿勢が見られます。
- 株主還元策: 連結純資産配当率(DOE)5%を目標としています。自社株買いに関する直近の発表は記載されていません。
- 株式報酬型ストックオプション等: データなし
15. 最近のトピックスと材料
- 中期経営計画「FALCO INNOVATION 2026」および長期ビジョン「FALCO VISION 2030」の策定: 成長戦略が明確化され、今後の事業展開の方向性が示されています。
- 臨床検査事業・ICT事業の好調: 2025年3月期は、臨床検査受託数の増加やコスト構造改善、ICT事業におけるクラウドサービス導入数増加が売上・利益増に貢献しました。これは、事業ポートフォリオ戦略が奏功していることを示唆します。
16. 総評
ファルコホールディングスは、臨床検査受託を主軸に、調剤薬局、ICT事業を展開する医療サービス企業です。
強み (Strengths)
- 強固な財務基盤: 自己資本比率69.9%、流動比率2.30と極めて高い財務健全性を誇ります。
- 安定した事業ポートフォリオ: 医療に不可欠なサービスを提供しており、安定的な収益が見込めます。
- 成長分野への注力: ゲノム医療の進展や医療DXへの対応として、遺伝子検査技術やICT事業を強化しており、将来的な成長機会を探っています。
- 高い株主還元意欲: 高い配当利回り(4.85%)と、DOE5%目標を掲げ、株主還元に積極的です。
弱み (Weaknesses)
- 収益性の伸び悩み: ROE、ROAともに業界平均やベンチマークを下回っており、収益性改善が課題です。
- 市場環境の影響: 調剤薬局事業における薬価改定や競争激化、臨床検査市場における価格競争など、外部環境からの圧力があります。
- 売上成長の鈍化: 過去数年間は売上が減少傾向にあり、回復基調にあるものの、大きな成長はまだ見られていません。
機会 (Opportunities)
- 医療DXの加速: 医療機関のIT化ニーズは高く、同社のクラウド型電子カルテや情報連携サービスは市場拡大の恩恵を受ける可能性があります。
- ゲノム医療の普及: 遺伝子検査の需要増加は同社の技術・サービスにとって大きな成長機会となります。
- 高齢化社会の進展: 医療サービスの需要は今後も増加が見込まれます。
脅威 (Threats)
- 政策変更リスク: 薬価改定や診療報酬改定など、政府の医療政策が直接的に業績に影響を与えます。
- 競争激化: 臨床検査や調剤薬局市場では競争が激しく、価格競争が収益を圧迫する可能性があります。
- 外部環境リスク: 物価上昇、金融市場の変動など、決算短信に記載されているマクロ経済要因が事業に影響を与える可能性があります。
- 財務健全性が非常に高く、経営リスクは低いと評価できます。
- 高い配当利回りは魅力的であり、安定配当を重視する投資家にとって魅力的な銘柄です。
- 足元の株価は年初来高値圏にありますが、PER/PBRで見たバリュエーションは業界平均と比較して割安感があります。
- 今後の業績は、ICT事業やゲノム事業といった成長分野への戦略的投資が実を結ぶかどうかにかかっています。中期経営計画の目標達成状況を注視する必要があります。
- 信用買い残が多く、需給面ではやや重い可能性があります。
17. 企業スコア
| 評価項目 | スコア | コメント |
|---|---|---|
| 成長性 | C | 売上高は減少傾向から横ばい・微増予想。ICT事業は成長も、全体を牽引するには至らず。 |
| 収益性 | B | ROE、ROAはベンチマーク未達だが、利益は回復基調。営業利益率は5.81%。 |
| 財務健全性 | S | 自己資本比率69.9%と非常に高く、流動比率も健全。圧倒的な財務安定性。 |
| 株価バリュエーション | A | PER13.30倍、PBR1.02倍で、業界平均より割安。 |
企業情報
| 銘柄コード | 4671 |
| 企業名 | ファルコホールディングス |
| URL | http://www.falco-hd.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 2,578円 |
| EPS(1株利益) | 193.87円 |
| 年間配当 | 4.85円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 3.0% |
| 5年後の想定PER | 13.3倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 224.75円 |
| 理論株価 | 2,989円 |
| 累計配当 | 27円 |
| トータル価値 | 3,016円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | 3.19% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,499円 | 750円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 1,711円 | 856円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 1,872円 | 936円 | × 算出価格を上回る |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。
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