川口化学工業 (4361) 企業分析レポート
個人投資家の皆様へ
本レポートは、川口化学工業(証券コード: 4361)に関する客観的な情報分析を提供することを目的としています。投資判断はご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。
1. 企業情報
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事業内容などのわかりやすい説明
川口化学工業は、主に化学工業薬品の製造・販売を手掛ける化学メーカーです。タイヤや自動車部品に用いられるゴム薬品を主力としており、この分野では大手企業として知られています。また、ゴム薬品以外にも樹脂薬品、医農薬中間体、染料顔料中間体、写真薬品、潤滑油添加剤、防錆剤などを幅広く展開しています。東京都千代田区に本社を置き、1935年に設立された歴史ある企業です。
* 主力製品・サービスの特徴主力は加硫促進剤、老化防止剤、硬化剤といった有機ゴム薬品で、タイヤメーカーなど自動車関連業界に供給されています。近年では、非自動車分野向けや、樹脂薬品、医農薬中間体事業の拡充にも注力しており、事業の多様化を進めています。直近の決算短信では、化学工業薬品事業において特殊添加剤が好調であると報告されています。連結事業構成比は化学工業薬品が100%、不動産賃貸が0%となっていますが、収益寄与度は不動産賃貸が80%と記載されており、不動産賃貸事業が利益面で一定の貢献をしていることが示唆されます(ただし、売上比率の記載としては化学工業薬品が100%のため、この情報の整合性は要確認)。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
同社は日本のゴム薬品市場における中堅企業として、長く培ってきた技術と顧客基盤を有しています。特にタイヤや自動車部品向けの製品実績は競争優位性の一つと考えられます。一方で、主要顧客が海外市場の動向や自動車産業の景気変動に影響を受けやすいという課題があります。また、原材料価格の変動も収益に影響を与える要因です。医農薬中間体などの多角化を進めることで、これらのリスクを分散させる取り組みが見られます。
* 市場動向と企業の対応状況現在の市場は、中国における不動産不況、EU圏の不安定な政治情勢、米国新政権の政策による不確実性といった外部要因に直面しています。日本経済は、インバウンド需要の回復と個人消費に支えられ景気回復が継続しているものの、自動車産業においては米国新政権の関税政策の影響が懸念されています。同社は、化学工業薬品事業において国内向けゴム薬品は低迷しているものの、タイヤ向けは回復の兆しを見せていると認識しています。樹脂薬品や中間体は市場低迷の影響を受けていますが、特殊添加剤が好調に推移しています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
同社は2022年を起点とする5ヵ年中期経営計画「ACCEL2026-革新を強力に推進し、成長を加速する」を掲げており、現在はその4期目にあたります。
* 中期経営計画の具体的な施策や重点分野中期経営計画の具体的な施策については、決算短信には詳細な記載はありません。しかし、企業概要から、非自動車向け分野、特に樹脂や医農薬中間体の拡充が重点分野であることが示唆されます。
* 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)決算短信に新製品・新サービスの具体的な展開状況についての記載はありません。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の収益モデルは、ゴム薬品を中心とした化学工業薬品の製造・販売です。主な顧客がタイヤ・自動車部品メーカーであるため、自動車産業の動向が事業に大きく影響します。市場ニーズの変化への適応としては、従来のゴム薬品に加え、樹脂薬品や医農薬中間体など、比較的景気変動を受けにくい分野や成長分野への事業領域の拡大を図ることで、持続可能な成長を目指していると考えられます。
* 売上計上時期の偏りとその影響データなし。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
データなし。
* 収益を牽引している製品やサービス連結事業の売上の大半を占める化学工業薬品事業が収益を牽引しています。特に、タイヤ等の自動車部品に用いられるゴム薬品が主力です。直近の第1四半期決算では、特殊添加剤が好調であったと報告されています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 株価: 1,668.0円
- 1株当たり会社予想EPS (連結): 180.71円
- 1株当たり実績BPS (連結): 2,433.08円
- 会社予想PER (連結): 9.24倍 (1,668円 ÷ 180.71円)
- 実績PBR (連結): 0.69倍 (1,668円 ÷ 2,433.08円)
- 業界平均PER/PBRとの比較
- 同社のPER 9.24倍は、業界平均PER 15.9倍と比較して割安な水準にあります。
- 同社のPBR 0.69倍は、業界平均PBR 0.7倍と比較してほぼ同等か、わずかに割安な水準にあります。
7. テクニカル分析
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直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は、11月12日の終値1,579円から11月26日の終値1,668円まで上昇傾向にあります。11月25日には1,695円の高値を記録しており、現在の株価は短期的には高値圏に位置していると言えます。
* 年初来高値・安値との位置関係年初来高値は1,695円、年初来安値は1,001円です。現在の株価1,668円は年初来高値の1,695円に非常に近く、年間レンジの中で高値圏にあります。
* 出来高・売買代金から見る市場関心度本日の出来高は12,000株、売買代金は19,945千円でした。過去3ヶ月の平均出来高4,350株、過去10日間の平均出来高10,030株と比較すると、本日の出来高は平均を上回っています。ただし、11月25日には46,600株の出来高があり、その日の高値更新を示唆する動きが見られました。総じて、市場全体の注目度が極めて高いとは言えないものの、直近で関心が高まった局面も見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去数年間で8,000百万円台後半で推移し、微増傾向にあります。
- 営業利益・経常利益・純利益: 過去数年間で変動が見られますが、2024年11月期は前年比で増益となりました。
- ROE (実績): 12.17% (2023年11月期)、8.35% (過去12か月)。
- ROA (実績): 2.38% (過去12か月)。
- 過去数年分の傾向を比較
過去5年間の売上高は着実に増加傾向にあります。利益面では変動がありますが、2024年11月期は大幅な増益を達成しました。2025年11月期の第1四半期も増益でスタートしています。収益性を示すROEはベンチマークには達していませんが比較的良い水準、ROAはやや低い水準にあります。
* 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)2025年11月期 第1四半期の連結業績は、売上高1,990百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益82百万円(同21.6%増)、経常利益76百万円(同14.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益56百万円(同14.5%増)でした。
通期連結業績予想(売上高9,000百万円、営業利益320百万円、経常利益320百万円、親会社株主に帰属する当期純利益220百万円)に対する進捗率は、売上高が約22%、営業利益が約26%、純利益が約25%となっており、堅調な滑り出しと言えます。9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率: 33.8% (2024年11月期末)、34.4% (2025年11月期第1四半期末)。一般的に健全とされる40%を下回っており、やや低い水準にあります。
- 流動比率: 1.45倍 (直近四半期)。100%を大きく上回っており、短期的な支払い能力に問題はないと評価できます。
- 負債比率 (D/E Ratio): 122.82% (直近四半期)。自己資本の2.2倍を超える負債を抱えており、自己資本比率の低さと合わせて財務レバレッジが高い状態です。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率は改善傾向にありますが、依然として一般的な目安を下回っています。しかし、流動比率は高く、当面の資金繰りに懸念は見られません。キャッシュは1.38B円と保有しています。
* 借入金の動向と金利負担2025年3月19日に設備改修資金として100百万円の借入を実行しています。過去の損益計算書を見ると、支払利息は増加傾向にあり、金利負担が増える可能性も考慮が必要です。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE: 8.35% (過去12か月)。一般的なベンチマークである10%には届きませんが、比較的良好な水準です。
- ROA: 2.38% (過去12か月)。一般的なベンチマークである5%を下回っており、資産効率には改善の余地があると言えます。
- 売上総利益率 (粗利率): (過去12か月) 1,636,480千円 / 8,986,531千円 ≈ 18.2%。
- 営業利益率: (過去12か月) 374,670千円 / 8,986,531千円 ≈ 4.2%。
- 純利益率: (過去12か月) 277,995千円 / 8,986,531千円 ≈ 3.1%。
全体的に利益率は高いとは言えず、特にROAの低さは改善が必要な点です。
* 収益性の推移と改善余地2024年11月期および2025年第1四半期は、売上原価の減少により営業利益が増加しており、コスト管理の改善が見られます。ROAの改善には、総資産の効率的な活用や、さらなる利益率向上が鍵となります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.01 (5Y Monthly) と非常に低い数値を示しています。これは市場全体の変動に対して、同社の株価がほとんど感応しないことを示唆しています。ただし、この数値が極端に低い場合は、データの解析方法や特殊な要因が影響している可能性も考えられます。
* 52週高値・安値のレンジと現在位置52週高値は1,695.00円、52週安値は1,001.00円です。現在の株価1,668.0円は、52週レンジの上限付近にあり、高値圏に位置しています。
* 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)決算短信に記載されている主なリスク要因は、以下の通りです。
* 中国における不動産不況
* EU圏の不安定な政治情勢
* 米国新政権の政策による不確実性
* 自動車産業における関税政策の影響
* 原材料価格の変動
* 為替変動
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- 同社のPER (会社予想) 9.24倍は、業界平均PER 15.9倍と比較して約42%割安です。
- 同社のPBR (実績) 0.69倍は、業界平均PBR 0.7倍と比較してほぼ同等か、わずかに割安な水準です。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 業界平均PER基準の目標株価: 3,631円 (過去12か月のEPS 228.39円 × 業界平均PER 15.9倍)
- 業界平均PBR基準の目標株価: 1,703円 (実績BPS 2,433.08円 × 業界平均PBR 0.7倍)
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割安・割高の総合判断
PER基準では割安感が強いと判断できます。PBR基準ではほぼフェアバリューか、わずかに割安な水準です。両指標を総合的に見ると、現在の株価は割安感があると言えるでしょう。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は34,500株あり、前週比で1,300株減少しています。信用売残は0株であるため、信用倍率は計算不能です。売残がないことから、買い方に偏った需給バランスである可能性があります。買残が減少していることは、短期的な需給改善を示す可能性があります。
* 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)インサイダー保有比率は42.25%と高く、経営陣や関係者による安定した株式保有が見られます。大株主には「山田化成」「正喜商事」「いずも産業」「山田史郎」といった企業や個人名が挙がっており、特定の大株主による安定株主が多い構造であると推測されます。機関投資家による保有比率は0.00%と非常に低いのが特徴です。
* 大株主の動向データなし。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想配当利回りは3.59%と高水準です。過去12か月の配当性向は26.27%であり、比較的健全な水準で、利益を内部留保にもバランス良く充てていると考えられます。
* 自社株買いなどの株主還元策データなし。
* 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策データなし。
* 配当実績と予想2024年11月期の年間配当は60.00円(会社予想)でしたが、2025年11月期の年間配当予想は50.00円と減配が予定されています。これは投資家にとって注意すべき点です。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2025年4月11日に発表された2025年11月期第1四半期決算短信によると、売上高は微減ながら、売上原価の減少により営業利益、経常利益、純利益が増加しました。特に化学工業薬品事業では、国内向けゴム薬品は低迷するもタイヤ向けは回復しており、特殊添加剤が好調であったことが報告されています。2025年3月19日には設備改修資金として100百万円の借入を実行しており、今後の事業展開に向けた投資を行っていることが伺えます。
* これらが業績に与える影響の評価第1四半期は増益で着地しましたが、通期の業績予想は据え置かれています。これは、外部環境の不確実性や今後の市場動向に対する慎重な見方を示している可能性があります。設備投資は将来の競争力強化や生産効率向上に繋がる可能性がありますが、短期的な業績への影響は未知数です。
16. 総評
川口化学工業は、ゴム薬品を主力とする中堅化学メーカーであり、自動車産業の動向に業績が左右されやすい特性を持ちます。近年は非自動車向け(樹脂、医農薬中間体など)への多角化を図り、事業ポートフォリオの改善を目指しています。
全体的な見解:
財務面では、自己資本比率がやや低い点が懸念されますが、流動比率は高く短期的な安全性は確保されています。収益性については、ROEは比較的良好ですが、ROAや利益率には改善の余地があります。株価は年初来高値圏にありますが、PERおよびPBRの水準からは割安感が見られます。配当利回りは高いものの、2025年度は減配が計画されている点には注意が必要です。第1四半期の業績は増益で順調なスタートを切ったものの、通期予想が据え置かれていることから、今後の動向を注視する必要があると言えます。
* 主力である自動車関連(特にタイヤ向け)の需要回復が期待されるか。
* 多角化戦略(医農薬中間体など)が今後の収益にどれだけ貢献するか。
* コスト削減努力や効率化がROA改善に繋がるか。
* 2025年度の減配予定をどう評価するか。
* 割安なバリュエーションを魅力と捉えるか。
強み:
- 安定した主力事業(ゴム薬品、特にタイヤ向け)。
- 実績ベースでの高い配当利回り(ただし、2025年度は減配予定)。
- PBRが業界平均並みかやや割安で、PERは業界平均と比較して割安。
- インサイダー保有比率が高く、安定株主が多い。
- 第1四半期は増益でスタートしており、収益性改善への取り組みが見られる。
弱み:
- 外部環境(中国経済、EU情勢、米国関税、原材料価格、為替)の影響を受けやすい事業構造。
- 自己資本比率が一般的目安を下回る。
- ROAが低く、利益率にも改善余地がある。
- 機関投資家比率が非常に低い。
- 2025年度は減配が予想されている。
機会:
- 医農薬中間体や特殊添加剤といった高付加価値分野の成長。
- コスト効率化や生産性向上による収益性改善の余地。
脅威:
- 世界経済の減速や地政学リスクによる需要低迷。
- 原材料価格の高騰や為替の不利な変動。
- 自動車産業の構造変化(EV化など)への適応。
17. 企業スコア
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成長性: B (中立)
売上高は微増傾向にあるものの、直近四半期は前年同期比微減。利益は回復基調ですが、通期予想は据え置きで、特段の成長ドライバーとなる新製品情報もありません。
* 収益性: C (やや低い)ROEは8.35%でベンチマーク10%に届かず、ROAは2.38%でベンチマーク5%を大きく下回っています。各種利益率も高いとは言えず、全体的に収益性は改善の余地が大きいと評価できます。
* 財務健全性: C (やや低い)自己資本比率が33.8%と、一般的に健全とされる40%を下回っています。負債比率も高く、財務レバレッジが高い状態です。流動負債の支払い能力に問題はないものの、長期的な安定性には注意が必要です。
* 株価バリュエーション: A (割安)PERは業界平均と比較して約42%割安であり、PBRも業界平均と同等かやや割安な水準にあります。このことから、現在の株価には割安感があると判断できます。
企業情報
| 銘柄コード | 4361 |
| 企業名 | 川口化学工業 |
| URL | http://www.kawachem.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 1,668円 |
| EPS(1株利益) | 180.71円 |
| 年間配当 | 3.59円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 3.0% |
| 5年後の想定PER | 9.2倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 209.49円 |
| 理論株価 | 1,936円 |
| 累計配当 | 20円 |
| トータル価値 | 1,955円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | 3.23% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 972円 | 486円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 1,110円 | 555円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 1,214円 | 607円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。