個人投資家の皆様へ
日本トランスシティ(証券コード:9310)の企業分析レポートをお届けします。本レポートは、提供された情報をもとに、客観的な事実に基づき作成されており、特定の銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。
1. 企業情報
日本トランスシティは、1895年に創業し、1942年12月に設立された総合物流企業です。三重県四日市を拠点に、倉庫業界で国内4位、中部地区最大手の規模を誇ります。主要事業は、倉庫、港湾運送、陸上運送、国際複合輸送など多岐にわたり、「総合物流事業」として国内外でサービスを展開しています。
主力製品・サービスの特徴:
同社の主力は、モノの保管から輸送までを一貫して手掛ける総合物流サービスです。特に四日市港を基盤とし、国際複合輸送に強みを持っています。近年では、三重朝日物流センターやタイ現地法人の新倉庫を稼働させ、医療・介護用食品専用センターの運営や半導体関連材料の取り扱いを拡大するなど、多様なニーズに対応できる体制を強化しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
日本トランスシティは倉庫業界で国内第4位、中部地区での最大手という確固たる地位を築いています。四日市港を起点とした港湾運送と国際複合輸送が強みであり、海外展開も積極的に進めています。
業界内での競争優位性や課題:
同社の競争優位性は、長年にわたる総合物流サービスの実績と、中部地区における強力な事業基盤にあります。特に国際複合輸送では順調な推移を見せています。
課題としては、物流業界全体が直面する「2024年問題」に伴う費用増加や、燃料費・資材費の高騰といった外部環境の変化への対応が挙げられます。
市場動向と企業の対応状況:
国内経済は設備投資を背景に緩やかな回復傾向にあり、物流業界も国際貨物の輸送取扱いは堅調に推移しています。同社は、このような市場環境において、料金適正化や効率的なオペレーションによる生産性向上、コスト最適化に取り組むことで収益力を強化しています。また、新拠点設置による取扱品目の多様化や海外展開も進めています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣が掲げるビジョンや戦略:
決算短信からは、中期経営計画に基づき「収益基盤の拡充」「TRANCYグループの経営基盤の強化」「ESG経営/サステナビリティの取り組み」を推進していく方針が示されています。
中期経営計画の具体的な施策や重点分野:
具体的な施策としては、三重朝日物流センター、医療・介護用食品専用センター、タイ現地法人の新倉庫などの設備投資を通じて、サービス提供能力と事業領域の拡大を図っています。また、料金適正化や効率的なオペレーションによるコスト最適化も継続的な重点施策です。
新製品・新サービスの展開状況:
決算短信では、「医療・介護用食品専用センター」の稼働や「タイ現地法人新倉庫」の稼働、半導体関連材料を中心とした取扱量の増加が報告されており、新たな市場ニーズへの対応を進めています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、倉庫業を中核に港湾運送、陸上運送、国際複合輸送を組み合わせた総合物流サービスであり、顧客の物流ニーズにワンストップで対応できる点が強みです。
市場ニーズの変化に対しては、医療・介護用食品や半導体関連材料といった成長分野への対応、および国際複合輸送の強化を通じて適応力を示しています。これらの取り組みは、今後の持続的な収益源となり得る可能性があります。
売上計上時期の偏りとその影響:
データなし
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向や独自性:
データなし
収益を牽引している製品やサービス:
収益を牽引しているのは「総合物流事業」です。特に国際複合輸送業が順調に推移しており、三重朝日物流センター、医療・介護用食品専用センター、タイ現地法人の新倉庫の稼働や、半導体関連材料の取扱量が収益に寄与しています。
6. 株価の評価
- 株価: 1,090.0円 (2025-11-25終値)
- EPS(会社予想): 92.75円
- PER(会社予想): 11.75倍
- BPS(実績): 1,509.42円
- PBR(実績): 0.72倍
現在の株価1,090.0円は、会社予想EPSからのPERが11.75倍、実績BPSからのPBRが0.72倍です。
業界平均PERが14.80倍、業界平均PBRが1.10倍と比較すると、現在のPERおよびPBRは業界平均を下回っており、割安感が見られます。
7. テクニカル分析
- 現在の株価: 1,090.0円
- 年初来高値: 1,220円
- 年初来安値: 728円
- 52週高値: 1,220.00円
- 52週安値: 728.00円
- 50日移動平均線: 1,135.02円
- 200日移動平均線: 1,029.76円
現在の株価1,090.0円は、年初来高値1,220円からは約10.7%下落した水準にあり、年初来安値728円からは約49.7%上昇した水準に位置しています。52週高値・安値のレンジの中間やや高値寄りに推移していますが、50日移動平均線1,135.02円を下回っており、短期的な下降トレンドにある可能性があります。しかし、200日移動平均線1,029.76円を上回っているため、中長期的には上昇基調にあると考えられます。
出来高・売買代金から見る市場関心度:
本日出来高は63,400株、売買代金も69,074千円と、上場企業としては比較的少ない水準です。直近10日間の平均出来高(65.66k株)と比較しても同程度の水準であり、市場の関心は極端に高いとは言えない状況です。
8. 財務諸表分析
(2025年3月期 連結)
* 売上高: 124,765百万円(前年同期比1.8%増)
* 営業利益: 7,805百万円(前年同期比25.1%増)
* 経常利益: 8,806百万円(前年同期比19.8%増)
* 親会社株主に帰属する当期純利益: 6,041百万円(前年同期比30.4%増)
* ROE(実績): 6.84%
* ROA(実績): 3.05%
過去数年間の傾向を見ると、2023年3月期に売上、利益のピークを迎えましたが、2024年3月期は減少しました。しかし、2025年3月期は、国際複合輸送の順調な推移や新規施設稼働が寄与し、売上高は微増、営業利益、経常利益、純利益は二桁増益となりました。収益性は改善傾向にあります。
四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):
直近の決算は2025年3月期通期決算であり、通期予想との比較はできません。しかし、2026年3月期の通期予想は、売上高1.0%増に対して、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも減益を見込んでいます(それぞれ3.9%減、5.8%減、4.0%減)。これは新拠点の立ち上げ準備費用や大型修繕計画、2024年問題に伴う費用増加などの影響を警戒していると推測されます。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率(実績): 55.1%
- 流動比率(直近四半期): 1.85倍
- Total Debt/Equity(直近四半期): 36.77%
自己資本比率55.1%は極めて高く、財務基盤が非常に安定していることを示しています。流動比率1.85倍も短期的な支払い能力に問題がない健全な水準です。Total Debt/Equityが36.77%と低い水準であることから、負債依存度が低いことが伺えます。
借入金の動向と金利負担:
損益計算書におけるNet Non Operating Interest Income Expenseは年間でマイナスであり、Interest Expenseは近年微増傾向にあるものの、全体として財務上の金利負担は軽微であると考えられます。
10. 収益性分析
- ROE(実績): 6.84% (ベンチマーク10%と比較してやや低い)
- ROA(実績): 3.05% (ベンチマーク5%と比較してやや低い)
- Profit Margin(過去12か月、純利益率): 4.84%
- Operating Margin(過去12か月、営業利益率): 7.01%
- Gross Profit Margin(過去12か月、粗利率): 12.08%
ROE、ROAともに一般的なベンチマーク(ROE10%、ROA5%)を下回っていますが、2025年3月期の実績は前年比で大幅な増益を達成しており、収益性は改善傾向にあります。営業利益率7.01%は堅実な水準であり、効率的な経営努力が見られます。ただし、Piotroski F-Scoreの収益性スコアが1/3であることから、さらなる改善余地があると考えられます。
11. 市場リスク評価
-
ベータ値(5Y Monthly): 0.48
ベータ値0.48は、市場全体の動きに対して比較的感応度が低いことを示しており、株価変動が市場全体よりも穏やかである傾向にあると言えます。
* 52週高値・安値のレンジと現在位置: 52週高値1,220円、52週安値728円に対し、現在の株価1,090円はほぼ中央からやや高値圏に位置しています。
* 決算短信に記載のリスク要因:
* 米国の関税措置の影響による世界経済の動向
* 燃料費および資材費の高騰
* 2024年問題に伴う費用の増加
* 為替変動
* 新拠点の立上げ準備費用
* 大型修繕計画
12. バリュエーション分析
- 現在のPER(会社予想): 11.75倍
- 業界平均PER: 14.80倍
- 現在のPBR(実績): 0.72倍
- 業界平均PBR: 1.10倍
目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
- PER基準: EPS 92.75円 × 業界平均PER 14.80倍 = 1,372.7円
- PBR基準: BPS 1,509.42円 × 業界平均PBR 1.10倍 = 1,660.36円
提供されたバリュエーション分析では、目標株価(業種平均PER基準): 1417円、目標株価(業種平均PBR基準): 1661円と計算されています。このレンジの中央値は約1,539円となります。
割安・割高の総合判断:
現在の株価1,090円は、PER、PBRともに業界平均を下回っており、バリュエーション分析の目標株価レンジと比較しても明確に割安であると判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用買残: 90,800株
- 信用売残: 8,400株
-
信用倍率: 10.81倍
信用倍率が10倍を超えており、信用買い残が信用売り残を大きく上回っているため、需給面では買い圧力が弱く、株価の上値を抑える要因となる可能性があります。
株主構成:
- 機関投資家保有比率: 33.28%
- インサイダー保有比率: 11.01%
- 大株主の状況: 日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が筆頭株主であり、明治安田生命保険、三菱UFJ銀行、百五銀行、三十三銀行といった金融機関が上位に名を連ねています。また、自社(自己株口)が6.76%保有しており、安定株主が多く経営基盤は安定していると考えられます。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 3.44%
- 1株配当(会社予想): 37.50円 (年間配当予想39.00円)
- 配当性向: 40.73%
同社は安定的な配当を実施しており、会社予想による配当利回りは3.44%と比較的高い水準です。配当性向も40.73%であり、利益の一定割合を株主還元に充てる方針が伺えます。2025年5月1日に配当予想の修正を発表しており、年間配当金は1株あたり39円(中間16.50円、期末22.50円)とする予定です。
自社株買いに関する明確な情報はありませんが、自己株口の保有があるため、過去に実施されたか、将来的に活用される可能性はあります。
株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する情報はデータなし。
15. 最近のトピックスと材料
2025年3月期の決算短信によれば、以下の点が注目されます。
* 国際複合輸送業の順調な推移: グローバルなサプライチェーンにおける同社の存在感が高まっています。
* 新規物流センターの稼働: 三重朝日物流センター、医療・介護用食品専用センター、タイ現地法人の新倉庫が稼働し、事業領域の拡大と収益貢献が期待されます。
* 半導体関連材料の取扱量増加: 成長市場である半導体分野での物流需要を取り込めている点はポジティブです。
これらの新規事業や市場拡大への対応が、2025年3月期の増収増益に寄与しました。2026年3月期の業績予想は減益を見込んでいますが、これは今後の成長に向けた投資や、2024年問題への対応費用を織り込んだものと考えられます。
16. 総評
日本トランスシティは、中部地区最大手の倉庫・総合物流企業として安定した事業基盤を持つ企業です。
強み (Strengths):
- 強固な事業基盤: 倉庫業界国内4位、中部地区最大手という地位と、四日市港を中心とした港湾運送・国際複合輸送ネットワーク。
- 分散された事業ポートフォリオ: 倉庫、港湾運送、陸上運送、国際複合輸送といった多様な事業を展開しており、リスクが分散されています。
- 高い財務健全性: 自己資本比率55.1%、流動比率1.85倍と、非常に安定した財務状況を維持しています。
- 積極的な投資と事業拡大: 医療・介護用食品専用センターやタイ新倉庫の稼働、半導体関連材料の取扱増加など、成長分野への投資により収益機会を創出しています。
- 割安な株価評価: PER、PBRともに業界平均を下回っており、割安感があります。
弱み (Weaknesses):
- 控えめな収益性: ROE6.84%、ROA3.05%は、一般的なベンチマークと比較してやや低い水準です。
- 需給バランス: 信用買残が売残を大きく上回る信用倍率の高さは、短期的な株価上昇の重荷となる可能性があります。
- 中長期的な成長戦略の具体性: 中期経営計画は掲げられているものの、具体的な数値目標や新規事業のロードマップに関する詳細情報に欠ける部分があります(提供データ内)。
機会 (Opportunities):
- 物流需要の増加: 国内の堅調な設備投資や国際貨物輸送の堅調な推移が、今後の物流需要を押し上げる可能性があります。
- 特定分野での成長: 医療・介護用食品や半導体関連材料といった専門性の高い分野での物流ニーズの拡大。
- 海外展開の強化: タイなど海外での新倉庫稼働は、グローバル市場での事業拡大の機会となります。
脅威 (Threats):
- 外部環境の変化: 米国の関税措置、燃料費や資材費の高騰は収益を圧迫する可能性があります。
- 労働環境の変化: 物流業界の「2024年問題」は、労務コストの増加や人手不足の深刻化を招く可能性があります。
- 金利上昇リスク: 今後の金利上昇局面では、借入金が少ないとはいえ、金利負担が増加する可能性があります。
- 安定した事業基盤と高い財務健全性により、景気変動に対する耐性があると考えられます。
- 現在の株価はPER、PBRともに業界平均と比較して割安水準にあり、配当利回りも魅力的な水準です。
- 戦略的な設備投資や新市場への対応は、長期的な成長のドライバーとなり得ます。
- 来期(2026年3月期)の業績予想が減益となっている点、および「2024年問題」や費用増のリスク要因には注意が必要です。
17. 企業スコア
-
成長性: B
2025年3月期は増収増益を達成し、国際複合輸送や新規拠点稼働が寄与。しかし、2026年3月期の通期予想は減益を見込んでおり、新拠点立ち上げ費用や外部環境のリスクを考慮すると、成長ペースは一旦緩やかになる可能性があります。今後を見据えた投資は行われていますが、当面は様子見の評価とします。
* 収益性: BROE 6.84%、ROA 3.05%は業界平均やベンチマークと比較してやや低い水準ですが、2025年3月期は前年比で大幅な増益を達成しました。営業利益率も堅実であり、収益性は改善傾向にあります。
* 財務健全性: S自己資本比率55.1%、流動比率1.85倍、Total Debt/Equity比率36.77%と、いずれの指標も非常に高く、極めて健全な財務状況です。
* 株価バリュエーション: APER 11.75倍、PBR 0.72倍は、業界平均PER 14.80倍、業界平均PBR 1.10倍を下回っており、現在の株価は割安と判断されます。
本レポートは、提供された情報に基づいて客観的な分析を目的として作成されたものであり、特定の金融商品の購入、売却、保有を推奨するものではありません。記載内容は正確性を期していますが、その完全性、正確性を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
企業情報
| 銘柄コード | 9310 |
| 企業名 | 日本トランスシティ |
| URL | http://www.trancy.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 1,090円 |
| EPS(1株利益) | 92.75円 |
| 年間配当 | 3.44円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 3.0% |
| 5年後の想定PER | 11.8倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 107.52円 |
| 理論株価 | 1,263円 |
| 累計配当 | 19円 |
| トータル価値 | 1,282円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | 3.30% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 637円 | 319円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 728円 | 364円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 796円 | 398円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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