1. 企業情報
大丸エナウィンは、大阪に本社を置くエネルギー関連企業です。主な事業として、LPガス、石油製品の販売、住宅設備機器の提供を行う「リビング事業」を中心に、ミネラルウォーターの製造販売を行う「アクア事業」、医療用ガスや産業用ガス、在宅医療機器のレンタル・販売などを手掛ける「医療・産業ガス事業」を展開しています。近畿地方ではLPガス販売で3位の地位を占める中堅企業であり、産業用・医療用の特殊ガスや水宅配サービスにも注力し、M&Aにも意欲的とされる多角的な事業モデルが特徴です。
2. 業界のポジションと市場シェア
大丸エナウィンは、近畿地方におけるLPガス販売で3位という強固な地域基盤を有しています。主力のリビング事業が連結売上高の72%を占める一方で、医療・産業ガス事業(24%)やアクア事業(4%)といった異なる分野にも進出しており、エネルギー事業単独のリスク分散が図られています。
市場動向としては、国内経済の景況感改善が認識されつつも、世界経済の悪化や物価上昇、コスト増加といった外部要因への懸念が表明されています。同社はLPガスの出荷量増加と販売単価上昇でリビング事業を堅調に維持し、アクア事業ではミネラルウォーターの販売本数増加、医療・産業ガス事業では在宅医療機器のレンタル・販売増加と、各事業セグメントで市場ニーズに合わせた対応を行い、直近の業績に貢献しています。M&Aによる事業拡大にも意欲を示しており、今後の事業ポートフォリオの変化も注目されます。
3. 経営戦略と重点分野
提供された情報からは、具体的な中期経営計画や詳細な経営ビジョンは確認できません。「M&Aに意欲的」との記載があり、外部成長戦略を重視している可能性が示唆されます。
新製品・新サービスの展開については、決算短信において特定の新規製品の発表はありませんでしたが、アクア事業での「スーパーバナジウム富士」の販売本数増加や、医療・産業ガス事業での在宅医療機器のレンタル・販売増加が、既存事業内の強化・成長に寄与しています。
4. 事業モデルの持続可能性
大丸エナウィンの事業モデルは、主力であるLPガス供給で安定的な収益を確保しつつ、成長が見込まれる医療・産業ガスや、ニーズが高まるミネラルウォーター事業で収益源の多角化を図ることで持続可能性を高めています。LPガス事業はエネルギー価格変動リスクがあるものの、販売単価への連動により対応しています。アクア事業は健康志向、医療・産業ガス事業は高齢化社会や産業需要の変化に適応しており、市場ニーズの変化に対応できる体制を構築しています。売上計上時期の偏りに関するデータはありませんが、LPガス事業は冬場の需要が強い傾向があるため、季節性がある可能性はあります。
5. 技術革新と主力製品
提供された情報からは、特定の技術革新や独自技術に関する具体的な記述は見当たりません。
同社の収益を牽引する主力製品・サービスは、連結売上高の72%を占める「リビング事業」のLPガス、ブタンガス、住宅設備機器です。特にLPガスの出荷量増加と販売単価上昇が、近年の売上増収に大きく貢献しています。次いで「医療・産業ガス事業」も売上高の24%を占め、在宅医療機器のレンタル・販売増が収益に寄与しています。
6. 株価の評価
現在の株価は1,506.0円です。
– PER(会社予想):13.42倍
– PBR(実績):0.76倍
– EPS(会社予想):112.20円
– BPS(実績):1,981.86円
現在の株価は1株当たり純資産であるBPSを下回っており、PBRは1倍割れです。
業界平均PERが10.1倍、業界平均PBRが0.7倍であることと比較すると、大丸エナウィンのPER(13.42倍)は業界平均よりやや割高、PBR(0.76倍)も業界平均よりやや割高な水準にあります。
7. テクニカル分析
直近の株価は1,506.0円で推移しており、年初来高値1,945円と比較して大きく下落し、年初来安値1,439円に迫る水準にあります。このことから、現在の株価は安値圏に近い位置にあると判断できます。
本日の出来高は9,800株、売買代金は14,628千円と、非常に小規模です。過去10日間の出来高を見ても数百株から数千株程度と低水準で推移しており、市場からの関心度は低い状態にあると言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年で堅調な増加傾向にあり、2025年3月期は33,418百万円と前期比増収を達成しています。直近12か月も増収トレンドを維持しています。
- 営業利益: 2022年3月期の987百万円から2025年3月期の1,266百万円へと安定的に増加しており、2025年3月期は大きく伸長しました。
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 2023年3月期に一時的に減少したものの、その後回復し、2025年3月期には888百万円と過去最高益を更新しています。
- ROE(実績): 6.12%(過去12か月では5.75%)
- ROA(実績): 3.76%(過去12か月)
全体として、売上・利益ともに過去数年で着実に成長しており、非常に明るい財務状況です。ただし、直近四半期(9/30/2025)の前年比売上成長率が-2.40%、四半期利益成長率が-64.40%とあり、単独四半期では減収減益となっている可能性があり、今後の推移を注視する必要があります。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率: 67.4% (2025年3月期)と非常に高い水準を維持しており、財務基盤が極めて安定しています。
- 流動比率: 1.81 (直近四半期)であり、短期的な支払い能力に全く問題はありません。
- 負債比率 (Total Debt/Equity): 9.96% (直近四半期)と非常に低く、負債負担が小さいことを示しています。
全体として、自己資本比率の高さ、流動性の高さ、低負債が示す通り、財務健全性は極めて優れており、資金繰りに関する懸念は低いと判断できます。借入金は純資産に対しごくわずかで、金利負担も軽微です。
10. 収益性分析
- ROE(過去12か月): 5.75%
- ROA(過去12か月): 3.76%
- 売上総利益率(過去12か月): 約31.0%
- 営業利益率(過去12か月): 約3.8%
- 純利益率(過去12か月): 2.53%
収益性は安定しているものの、一般的なベンチマークであるROE 10%、ROA 5%には届いていません。営業利益率も約3.8%と、高いとは言えない水準です。売上は増加していますが、利益率は横ばいか微増程度であり、より高い収益性を追求するためには、コスト構造の改善や、より高付加価値な事業展開へのシフトが改善余地として考えられます。
11. 市場リスク評価
- ベータ値(5年月次): 0.21と非常に低く、市場全体の変動と比較して株価の変動が小さい、いわゆるディフェンシブ特性を持つ銘柄です。
- 52週高値・安値のレンジ: 52週高値1,945円、52週安値1,439円に対し、現在株価1,506円はレンジの下限に近い位置にあります。
- 決算短信に記載のリスク要因: 世界経済の悪化、物価上昇、コスト増加などが今後の業績に影響を及ぼす可能性を指摘しています。LPガス事業はエネルギー価格の変動リスクも常に存在します。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER: 10.1倍
- 業種平均PBR: 0.7倍
- 大丸エナウィンのPER(会社予想): 13.42倍
- 大丸エナウィンのPBR(実績): 0.76倍
業種平均と比較すると、現在のPERはやや割高、PBRもやや割高な水準にあります。
– 目標株価(業種平均PER基準): 112.20円 (EPS) × 10.1倍 = 1,133円
– 目標株価(業種平均PBR基準): 1,981.86円 (BPS) × 0.7倍 = 1,387円
算出した目標株価レンジ(1,133円~1,387円)に対し、現在の株価1,506円は上回っています。このことから、業界平均倍率を基準とした場合、現在の株価はやや割高であると総合的に判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況: 信用買残が9,400株あるものの、信用売残が0株のため信用倍率は0.00倍です。出来高が非常に少ないため、信用取引の状況が株価に与える影響は限定的とみられます。
- 株主構成: インサイダー保有比率が47.68%と高く、自社共栄会、ENEOSグローブ、自社(自己株口)、光通信、パロマなどが大株主として名を連ねています。安定株主が多く、経営の安定性が高いと推測されます。
- 大株主の動向: データなし。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 1.86%
- 1株配当(会社予想): 28.00円
- 配当性向(過去12か月): 25.21%
配当性向は手堅い水準であり、今後の業績や財務状況に応じて増配の余地も考えられます。自己株式の変動はありますが、直近で大規模な自社株買いの発表はありません。配当落ち日は2026年3月30日が予定されています。
15. 最近のトピックスと材料
2025年3月期の決算短信では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の全てで増益を達成し、堅調な業績が公表されました。リビング事業におけるLPガスの出荷量増加と販売単価上昇、アクア事業の販売増加、医療・産業ガス事業の在宅医療機器のレンタル・販売増加が好業績の要因です。
また、2026年3月期の業績予想も増収増益を見込んでおり(親会社株主に帰属する当期純利益は減益予想)、事業の安定性が示唆されています。
重要な動きとして、2025年6月27日付で代表取締役社長の交代(古野晃氏から居内清和氏へ)が予定されており、新たな経営体制による今後の戦略展開が注目されます。
16. 総評
大丸エナウィンは、近畿地方を地盤にLPガスを主力としつつ、医療・産業ガスやミネラルウォーター事業で多角化を進める堅実な企業です。極めて高い自己資本比率と低い負債比率を誇る盤石な財務基盤は最大の強みであり、経営の安定性は非常に高いと言えます。過去数年間にわたる売上高と利益の着実な成長も評価できます。
一方で、ROEやROAは一般的なベンチマークを下回っており、収益性には改善の余地があると考えられます。また、LPガス市場は成熟化しており、今後の持続的な成長にはM&Aによる事業拡大や、高付加価値分野へのさらなるシフトが重要となります。ベータ値の低いディフェンシブ銘柄であり、市場全体の変動に左右されにくい特性は安定志向の投資家にとって魅力的です。
現在の株価は年初来安値圏にありますが、PER、PBRは業界平均と比較してやや割高と判断されるため、バリュエーション面では慎重な見方が必要です。今後のM&A戦略の具体化や、新経営体制による成長戦略の進捗が、株価評価を左右する重要な要素となるでしょう。財務の安定性を重視しつつ、緩やかな成長を期待する投資家にとって検討に値する企業と言えます。
強み:
- 極めて健全な財務体質(高い自己資本比率、低い負債比率)
- 安定した収益基盤と多角化された事業ポートフォリオ
- 地域におけるLPガス販売の確固たる地位
- 市場変動に強いディフェンシブな特性
弱み:
- 一般的なベンチマークを下回る収益性(ROE、ROA)
- 成熟市場における成長戦略の明確化
- 市場関心度の低さ(低い出来高)
機会:
- M&Aを通じた新たな事業領域の開拓や既存事業の強化
- 高齢化社会における在宅医療機器市場の拡大
- 環境規制や省エネ需要に対応したサービス展開
脅威:
- エネルギー価格変動リスク
- LPガス市場の競争激化とエネルギー転換の加速
- 世界経済の減速や物価上昇によるコスト増加
17. 企業スコア
-
成長性:B(中立)
売上高は着実に伸びており、来期も増収予想ですが、LPガス市場の特性を考慮すると爆発的な成長は見込みにくいため。M&Aによる成長への期待はありますが、現時点では実績として評価できないため、中立的な評価としました。
– 収益性:B(中立)ROE(5.75%)とROA(3.76%)は一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を下回っており、営業利益率も約3.8%と高水準ではありません。安定した利益は計上しているものの、より高い収益性を追求する改善余地があるため、中立と評価しました。
– 財務健全性:S(非常に優良)自己資本比率67.4%は非常に高く、流動比率、負債比率も極めて健全です。財務基盤は盤石であり、懸念材料はほとんどありません。
– 株価バリュエーション:C(割高)現在のPER(13.42倍)とPBR(0.76倍)は、業界平均(PER 10.1倍、PBR 0.7倍)と比較してやや割高な水準にあります。算出された目標株価レンジ(1,133円~1,387円)を現在の株価1,506円が上回っているため、割高と判断しました。
企業情報
| 銘柄コード | 9818 |
| 企業名 | 大丸エナウィン |
| URL | http://www.gas-daimaru.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 1,506円 |
| EPS(1株利益) | 112.20円 |
| 年間配当 | 1.86円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 3.0% |
| 5年後の想定PER | 13.4倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 130.07円 |
| 理論株価 | 1,746円 |
| 累計配当 | 10円 |
| トータル価値 | 1,756円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | 3.12% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 873円 | 436円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 996円 | 498円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 1,090円 | 545円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
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